年収が多いほど学力高いは当然

全国学力テストの結果を文部科学省が調査したところ、年収が多い世帯ほど子供の学力も高い傾向になっていることが分かった、という報告が出された。
調査は初めての試みで、数字で裏付けられたというものの、結果については、一般の感覚で言えば「何を今さら・・・」という感想である。
塾や習い事など学校外教育への支出額と学力にも相関があり、全く支出のない世帯は、月５万円以上支出する世帯と比較して、２５ポイントほど正答率が低かった、というのも「当たり前だ」という感想。

「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」は、親の所得に関係なく学力向上に一定の効果がみられたという。
これらは「経済格差が招く学力格差を緩和するカギになる」というのだが、親の心がけに解決を委ねている印象で、やや苦しい分析になっている。

一般の人にとってこれらのことは、目新しいことではなくて予想できなかったらおかしいくらいの常識である。
親の子育ての姿勢や教育への意識によって、子どもが大きな影響を受けることは当たり前のこと。

容易に想像がつく新鮮味のない調査結果を受けて・・・、「さて、次にどうするか」ということが肝心なところだ。
「これは仕方ないこと」だと考えるのか、それともこういう現状は「改善しなければならないこと」と考えるのかによって、目指す方向が全然違ってくる。

文科省が調査委託した範囲から逸脱するかもしれないが、「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」「博物館や美術館に連れて行く」ことが効果があるというのなら、それを教育課程の中に組み込むことを提言するのも一つの方法。
親の収入による教育の格差が次の世代に引き継がれる負の循環、いわゆる「貧困の再生産」が問題視されている。
不安定で殺伐とした空気がいずれ経済や活力を失っていく一面が指摘されている。「共通のスタートラインに立つ」ことをどうやって立て直すのか、そこが本丸だ。