ジジババのたわごと

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独裁者が欲しがる共謀罪

2017年04月17日 | Weblog


独裁者が一番欲しがるもの、、それは理由をこじつけて検挙することができる「共謀罪」や「治安維持法」である。
反対するものを封じる、もっとも有効な道具となるからだ。
主義主張や体制に係わらず、権力者が陥る魔の道具だ。

そもそも刑法は、犯罪の内容を規定して、国家権力(警察など)によって犯人を処罰するための法律である。
ところが今国会に提案された「共謀罪(テロ等準備罪)」は、刑法のルールを逸脱している と指摘され批判されている。

刑法は、実際に犯罪を行ったものを処罰することが大原則になっている。
具体的な犯罪の実行があり、被害があらわれて(既遂)初めて処罰対象になると定めている。
裏返せば、犯罪行為におよんだけれども結果が発生しなかった(未遂)ときや、準備行為(予備)については処罰しないことになっている。
すなわち、「内心を裁いてはいけない」という近代刑法の大原則が敷かれて体系化されている。

ただし例外的に、「未遂」やその前の「予備」が設けられている。
殺人などごく一部の重大な犯罪に限って、「未遂罪」やその前の「予備罪」が適用される。


ところが「共謀罪」は、「話し合って合意したとみなされる段階」で裁くということであるから、「予備」以前の行為を処罰するものになる。

澤藤藤一郎氏ブログから具体例を引用すると・・・
傷害罪(刑法204条)について、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定めている。
現行は、人の身体を傷害する行為に着手しない限り、つまりは刃物を振り回すとか、人に殴りかかるとかする実行行為に着手しない限り、処罰対象とはならない。
ところが、この法案が成立した場合、傷害の実行行為がなくても「傷害の共謀あったとして」逮捕され、起訴され有罪になる。


現在は未遂罪や予備罪の適用がない比較的軽い犯罪に対しても、「共謀罪」では未遂・予備を飛び越えて「合意」したという理由で処罰するのである。
「共謀罪」が刑法のルールを逸脱していると指摘されるところである。
日弁連は「ほとんどが対象になるので、共謀罪に該当しない犯罪はごく限られたものだけになる」と言っている。

「共謀罪」は正確には、既にある「組織的犯罪処罰法」という法律に追加する形 をとっている。
この法律は、既にある277の罪について、包括的に共謀段階で処罰出来るようにするものである。

昨年の参院選前別府警察署員が、野党候補を支援する団体の敷地に、ビデオカメラを設置していた。草刈り中にたまたま発見された。
警察が監視を続けたことは、投票や思想信条の自由を侵害する行為だ。

大阪府警が被告の車にGPS端末を取り付けた ことも問題になった。 
自分の知らない間に発信器を取り付けられ、立ち寄り先情報をもとに、交友関係や趣味、思想・信条、健康状態まで割り出される。プライバシーが丸裸にされるようなことが、令状なしで出来るかということが争われた。
最高裁が、裁判所の令状を取らずに警察がGPS捜査を行うのは違法、とする判決を出したのはさいわいと言える。

共謀罪が成立したら、警察が睨んだ者の電話やメールを盗聴したり、車にGPS端末を付けたり、隠しカメラを設置したりが横行していくのは間違いない。
「罪を犯しそうだ」と決めつけて、何もしていない段階から事前捜査が横行し、犯罪とは無関係の通信の盗聴がますます拡大していく ことが危惧される。

思想弾圧に使われる危険性も極めて高い。権力に対して自由に批判することが委縮していくと予想できる。
目的がそこにあるのだろうから・・・当然のことである。

  参考資料:澤藤藤一郎の憲法日記、   札幌弁護士会資料 ほか


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