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共産法の体系(連載第13回)

2020-03-05 | 〆共産法の体系[新訂版]

第3章 環境法の体系

(1)環境法の位置づけ
 共産法の体系において、民衆会議憲章に次ぐ枢要性を持つのが環境法である。環境法とは、持続可能な地球環境の保持を目的とする法規制の根拠法である。
 共産法において、環境法が枢要なのは、現代的共産主義の究極的な意義がまさしく地球環境の保全にあるからである。すなわち地球環境の保全を真に考慮した計画的な生産活動と民主的な政治制度のあり方こそが現代にふさわしい共産主義なのであるから、環境法は共産主義の心臓部に当たる法体系となるのである。
 ところで、環境法という法分類自体は、すでに資本主義社会においても現われている。ただ、そこでの環境法は通常、政府が環境政策を実施するための根拠法として扱われており、広い意味の行政法に分類される。従って、その内容は時々の政権の施政方針によって変容する不安定なものである。
 また、一部の環境先進国を除き、環境法は統一的な法典にまとめられておらず、複数法律の継ぎはぎ的な集合体に過ぎない。資本主義における環境法は、資本の活動を過度に制約しない限度で、そのつど制定される個別政策的な補充法に過ぎないからである。
 これに対して、共産法における環境法は、まず世界共同体レベルの世界地球環境法(条約)を統一的な法源としながら、それに則って各領域圏において策定される統一法典である。その位置づけも行政法の単なる一環ではなく、まさに環境法というそれ自体として固有の法体系を成すものである。
 共産主義的な環境法は補充法ではなく、それ以外のあらゆる一般法体系の基礎に置かれ、それらを制約する基礎法であり、その点では憲章に次いで、基本法の一環を成す。このことは、持続可能な地球環境の保持が単なる政策にとどまらず、世界共同体憲章における普遍的人権の支柱を成すことからも、裏付けられる(参照条項例)。
 こうした環境法の根本法源は先ほど言及した世界地球環境法であるが、そこに盛り込まれる原則的な内容については、稿を改めて次回に回すことにする。

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