ザ・コミュニスト

連載論文&時評ブログ 

世界共同体憲章試案(連載第29回)

2020-03-12 | 〆世界共同体憲章試案

第17章 民際捜査機関

【第97条】

1.世界共同体総会は、領域圏または直轄自治圏の境界を越えた捜査活動または人道に反する罪に該当する事案の捜査活動を展開するために、民際捜査機関を設置する。

2.民際捜査機関の運営は執行委員会が統括し、各領域圏または直轄自治圏に常設される事務局が運営を補完する。

3.民際捜査機関は、毎年定期に、または必要に応じて、その活動を総会に報告しなければならない。

4.民際捜査機関に関する細目は、本憲章に定めるもののほかは、別に定める規程による。

[注釈]
 世界共同体民際捜査機関(正式機関名称は未定)は、現行の国際刑事警察機構(インターポール)の任務を継承しつつ、独自の捜査権限を加味して再編される総会下部機関である。
 インターポールとの最大の相違点は、世界共同体総会に付属すること、及び国家主権を前提としない世界共同体のシステム内で、独自の捜査活動を全世界で展開できることである。複数の領域圏または直轄自治圏にまたがる事案や反人道犯罪など、領域圏単位では捜査し切れない事案を担当する。

【第98条】

1.民際捜査機関は、捜査のために必要と認めるときは、人権査察院の判事が発付する令状に基づき、被疑者を逮捕することができる。

2.世界共同体を構成する領域圏または直轄自治圏は、民際捜査機関の捜査に対して、被疑者の身柄の管理その他あらゆる必要な協力をしなければならない。

3.民際捜査機関が世界共同体の域外で捜査活動をする場合は、予め当該地域の権限ある機関の許可を受けなければならない。

[注釈]
 民際捜査機関は、世界共同体域外でも捜査活動を展開できるが、その場合は当該地域の権限ある機関の許可を要する。民際捜査機関は、あくまでも世界共同体の機関だからである。

【第99条】

民際捜査機関の捜査結果に基づき、被疑者の司法処理を行う場所は、人道に反する罪の場合を除き、民際捜査機関執行委員会がこれを決定する

[注釈]
 民際捜査機関が捜査する事案を審理する場所(複数も可)は、世界共同体特別人道法廷で審理される反人道犯罪の場合を除き、いずれかの領域圏または直轄自治圏となる。それを決するのは、執行委員会である。

コメント