【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

ヘンリー・キング監督「シカゴ」(アメリカ、1937年)

2016-12-15 12:20:46 | 映画

        

  タイロン・パワー主演。その演技をまた観たくて、この映画(DVD)を手にとりました。元気なタイロン・パワーが全開です。


 話の筋はざっと次のようなものです。1854年アイルランドから米大陸へ移住したオリヤリー一家。ミシガン湖の近くで興隆しつつあったシカゴを、幌馬車で目指していた一家でしたが、目的地をまじかにして父親パトリックが疾走する馬車から落ちて急死します。残されたのは、幼い3人の息子と母親のモリーでした。

 男勝りの母親は亡き夫の遺志をつぎ、シカゴに入り、洗濯屋を開業して辛苦と闘い、子供たちの養育に心身を捧げます。

 成長した子供たちはそれぞれ各人の道を歩み始めます。法律家を志した長男のジャックは正義派の闘士として弁護士に、次男のディオンはボス政治の巨頭ギル・ワーレンの片腕となり、市政界の若手として台頭します。ワーレンを凌ぐ実力を持つとも評価されるまでになりました。このディオンをタイロン・パワーが演じています。三男のボッブは、早くに結婚し、母の業をつぎました。

 ワーレンの経営する酒場に、ニューヨークから来た唄姫ベル・フォーセットがいて、ディオンは彼女に恋心を抱くようになります。そして、ディオンの次の行動はワーレンの酒場からベルを引抜き、上院議員コルビーの支援を受け、酒場を経営し、ワーレンに戦いを挑むようになります。

 しかし辣腕のワーレンは正面からディオンと敵対せず、自分の酒場を閉鎖して、代りに市長に立候補するので応援をしてくれと、逆に支援を依頼してきます。しかし、ディオンはいち早く彼の腹を見抜きました。そこで表面的にはワーレンに味方すると見せかけ、秘かに部下を兄ジャックの許につかわし、市長候補に立つことを勧めます。弟のたくらみとは知らぬジャックは、これを受けてたちます。そして選挙情勢が兄に不利と見るや、選挙当日にことを仕掛けてワーレン派を総検挙にいらしめます。ジャックは、ここに市長となりました。

 ディオンは自分の利益のために兄を当選させたのですが、正義感あふれるジャックは市政改革に乗り出し、まずボス政治の巨頭たる弟ディオンを検挙の策にでます。彼の犯罪を証す証人としてジャックは、弟の愛人ベルを召喚します。彼女が兄の信念に同意したのをみたディオンは、改心したかのようによそおい、兄に謝罪をもとめ、彼の手でベルとの結婚をとりまとめてもらいます。しかし、それもディオンの画策で、「被告の妻は証人の資格なし」との法文があって、これを利用したのでした。

 事態を知ったジャックは、ディオンに怒りをぶつけます。母親モリーは以前から息子のディオンが酒場の女と結婚することに反対でした。牛小屋にいて仕事をしていたモリーはボッブに兄弟喧嘩を知らされ、2人の許へ向かおうとしました。その時、不幸にも、彼女は小屋にランプの灯を消し忘れ、それを偶然に牛が蹴って、出火してしまいます。火は遼遠に広がり、シカゴ全市を包む大火になりました。

 ワーレンは、これをオリヤリー兄弟が放火したと、群衆を扇動します。ディオンも兄が下町を焼払おうとしたのだと誤解しますが、出火は母の家から出た失火であることを知ります。ジャックは軍隊を指揮して消火に努めるなか、ワーレンによって射たれ、犠牲となります。

 母親モリーは猛火の中でベルに命を救われ、初めて彼女が息子の嫁に心を開きます。シカゴはこの大火によって灰燼に帰しました。生残ったディオン一家は、新規まき直しで新しいシカゴを建設する決意を固めるのでした。