【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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マイケル・アプテッド監督「アメイジング・グレイス」(イギリス・118分)

2016-10-04 00:00:26 | 映画

            

 奴隷解放というとアメリカのリンカーンを思い出しますが、それよりも前にイギリスで奴隷貿易の禁止がとりざたされ、実現しました。この作品はその運動の先頭にたったウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)の素顔を描いています。


 18世紀のイギリス。ウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)は、交易による豊かな富を築いた家に生まれました。成長した彼は遺された財産を慈善事業に使います。

 イギリスは当時、奴隷貿易でうるおっていました。ウィルバーフォースは、そのことに心を痛め、世のために祈る聖職者になるか、世を変える政治家になるかで苦悶します。

 『アメイジング・グレイス』の作詞をしたジョン・ニュートン(アルバート・フィニー)は、ウィルパーフォースの師でもありました。ウィルバーフォースは、このジョンの支持で、21歳の若さで議員に選出されます。

 彼は英国最年少の首相ウィリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)とともに、奴隷貿易廃止を訴えます。どんな危険な場所でも乗り込み情報を掴んでくるトマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)、貴族出身で奴隷経験者でもあるオラウダ・エクィアノ(ユッスー・ンドゥール)、ウィルバーフォースの友人で下院議員のヘンリー・ソーントンら12人が彼の訴えに共鳴し、活動のために集められます。

 彼らの活動は1787年5月に始まります。ウィルバーフォースたちは国中を回って指示を訴える演説を行います。その結果、39万人もの世論の賛同を得ました。彼はこれに力を得て、1791年、国会に奴隷貿易廃止案を提出します。しかし、奴隷制度賛成派の妨害のため、その申し立ては否決されてしまいます。うちのめされたウィルバーフォースを病魔が襲います。

 ヘンリーはウィルバーフォースを自宅に招き、妻マリアンヌとともに看病します。そして、バーバラ・スプーナー(ロモーラ・ガライ)という女性に引きあわせます。ウィルバーフォースとバーバラは恋に落ち、くじけそうになっていた彼はバーバラの支えによって立ち直ります。

 ウィルバーフォースの苦難に満ちた活動は、「アメイジング・グレイス」によって支えられ、奇跡の結末を迎えます。