気象予報士・寺川奈津美さんのエッセイ。
寺川さんといえば、NHKの「ニュース7」の最後に登場する天気予報のキャスター。お茶の間で人気が高い。その寺川さんが自分をさらけだしてつづったエッセイ集が、『はれますように』である。
優秀な人気キャスターなのだから、さぞこれまでの人生は順風満帆できているのかとおもっていたが、なかなか大変なあゆみだったようである。
この本にも何回もそのことが書かれているが、予報士の試験には6回目で合格したとのこと。大学が理科系であるので、わりと容易に合格したと推測していた。難しい試験とは聞いていたが、それほど苦労して切り開いた道とは知らなかった。
大学を出て銀行に勤めるもなかなかあわず、ふとしたことから予報士試験をめざそうと一念発起。何度も試験に落ちて、自分にダメ出しをしていたという。
「ニュース7」には2分ほどしか出ないが、気象士の一日は朝の天気のチェックから始まり、気象分析、番組用の原稿を書いたり忙しいらしい。休日も全国の気候の様子を肌で経験することが大事だと、冬の北海道から沖縄まで、また被災地にも足を運んでいる、と書かれている。頭がさがる。いまでは「やりがい」のある仕事で、生き生きしている。
家族のこと、先輩の平井さんのこと、予報がおおはずれした失敗談、ランニングをし、ダンスをならっていることなど、興味深いことがやわらかい筆致で書かれているので、好感がもてた。
本の始めに17枚のポートレートがカラーで載っている。笑顔がかわいい。
目次は、以下のとおり。
・第1章「寺川はアナウンサーに向いている」
故郷/リケジョ/アナウンサーになりたい/上京/方言コンプレックス/〇〇禁止サークル/本当にトケジョ/ダメ就活/就職、そして資格との出会い/両立するもたった1年で
・第2章「6回目の気象予報士試験」
気象予報士試験とは/なかなか受からない!/走るは癒し/働かざるもの食うべからず/塾のアルバイト/支えてくれた人/転機/合格通知??
・第3章「鳥取でのキャスター時代」
コンプレックス/子ども番組/びわの木の思い出/目指すはディレクター/ウイングへ/思い固まる
・第4章「気象キャスターの役割」
試練のはじまり/気象キャスターって??/原点へ/被災地へ/ボディーブローを受けた日/全国を知る/りんごジュースの縁
・第5章「日々のこと」
先輩/ダンス/食事/好きな雲/父親/やりがい