今回の震災関係で,身近なところで,予測できなかった事態を「想定外」とする行政の姿勢をみました。埼玉県久喜市でおきた液状化による住宅災害の責任をめぐってのことです。
東日本大震災から一カ月余。関東でもいまなお強い余震があります。関東で被害がとりわけ甚大だったのは,千葉県の沿岸部にある浦安市です。市は液状化現象(地震の際に地下水位の高い砂地盤が,振動により液体状になる現象。埋立地や河口など砂質の地盤で起こりやすく,地盤の上の建物を傾かせ,道路を液状に破壊する)で,泥との闘いを今なお強いられています。
液状化が問題になった市が,内陸の埼玉県にもありました。久喜市です。この市は,浦安市とは異なり関東の内陸の地。埼玉県東部に位置し,人口約15万6千人です。都心まで約50km。面積は82.4 km²です。利根川の沖積平野にある平坦な土地柄です。この久喜市の南栗橋の一部で,今度の震災によって液状化現象にみまわれました。
問題の液状化地域は南栗橋の新興住宅地で,約2000戸に8000人ほどの人が住んでいます。今回の震災では,約130戸が大なり小なりの液状化被害を蒙り,生活基盤に大きな支障がでました。具体的には,複数の家が傾き,道路の至る所でアスファルトがもちあがり,亀裂がはしり,汚水にまみれた土砂があふれました。上下水道の一部は使えない状況でした。
南栗橋地域は市が分譲した住宅用地です。この地一帯はもともと水田などの湿地帯で,地盤が軟弱でした。これまでとくに問題がなく経過してきましたが,大震災で住宅地として適格ではないことが図らずも露呈してしまったかたちになります。
責任は誰にあるのかでしょうか。この土地を分譲した自治体なのか,湿地帯を実際に埋め立てた造成業者なのか,住宅の基礎工事にたずさわった業者なのでしょうか。誰がどの範囲で責任をとるのが妥当なのでしょうか。