日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

少年と犬

2020-07-18 06:14:00 | 読書
馳星周の直木賞受賞作『少年と犬』を読みました。




この作品は、東日本大震災で被災して飼い主を失った犬を偶然見つけた人と犬との関わりを描いた短編の連作ですが、同じ犬がずっと繋がれていくという構成になっています。主人公の犬は多聞というシェパードと和犬のミックスです。大型犬ですがよくしつけられています。震災で飼い主を失った彼はいろいろな人に拾われて旅をして行きます。




最初に拾われた宮城県を振り出しに、外国人の窃盗団の一員やスポーツ好きな夫婦、風俗嬢、老齢の猟師など、年代も状況もさまざまな人々に助けられ飼われていきます。でも、どの飼い主も長い期間彼を飼い続けることはできません。彼は何かに惹きつけられるようにある方向を目指していて、それに関わる人々は気づいて最後にはリリースしてくれます。




この小説では、辛い人生を送っている人々が描かれています。彼らにとってこのわんこは本当に癒しでありぬくリであり救いです。わんこと暮らしているとその感覚は本当に大きなものとして感じられます。僕は電車でラストを読んでいて涙が出てきて困りました。わんこ好きにはぜひ読んでもらいたい傑作です。


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