日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

オッペンハイマー

2024-10-02 06:40:00 | 読書
ガイ・バード&マーティン・シャーウィンの『オッペンハイマー』を読みました。




ドイツ系ユダヤ人の裕福な家庭に生まれたオッペンハイマーは、ニューヨークのユダヤ系の学校で学びました。伝統的なユダヤ教を守った保守的な学校ではなく、新しい教育概念に基づいた学校で、彼は自由に学んで行きました。飛び抜けて明晰な頭脳は当時から発揮され、ラテン語やギリシャ語をすぐに身につけて、古典作品を読んでいました。その後、ハーバード大学では、理論物理学に興味を持って3年で過程を終えると、ケンブリッジ大学の大学院に進みますが、精神的に混乱した時期にあたり、事件を起こしてしまいました。




幾つかの研究所を経てアメリカに戻ったオッペンハイマーは、当時のアメリカの社会風潮を敏感に感じて、共産主義者たちの会合に出たり、一部の共産党員と接触したりしましたが、やがて失望して、共産主義とは距離を置くようになりました。そんな中で彼は原子爆弾の開発機構の責任者となります。後半は、原子爆弾の父として国民的な人気と、彼を敵視するAEC長官ストローズとの重苦しい戦いが描かれています。

アインシュタインにも匹敵する天才科学者の、原爆という大量殺人兵器を生み出してしまった事に対する苦しみと誠実な対応が描かれていました。とっても重い読後感がありました。


コメント
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