神無月に入り、初雪が舞い降りた頃。恩人である先代・長次郎の店を引き継いだ、日本橋通の一膳飯屋・塩梅屋の二代目季蔵。しかし長次郎は、北町奉行・烏谷椋十郎の下で<隠れ者>…探索と、場合によっては裁けぬ悪を退治する…としての、知られざる別の顔があり、その裏稼業も継ぐようにと迫る烏谷への返事に悩む季蔵。
そんな中、納戸にしまってあった長次郎の日記を読んでいた季蔵は、名前の書かれていない<椋鳥飯>という名を目にし、烏谷にも訊いてみたが、心当たりはないという。
その夜、常連客である履物屋桐屋の、女好きの隠居喜平が、町で見かけた年増の美人の話をする。それを聞いていた客…室町の味噌屋千曲屋で働く伊那吉は、その女は同じ店で働いているおさわではないかという。やがて、ふたりは彼女を巡って張り合い……“第一話 椋鳥飯”、
新年。季蔵の元許嫁で、今では心を病み療養中の瑠璃を、襲わせたのは誰なのかを、烏谷に相談する季蔵。
鷲尾影守が手を組んでいた太田屋信右衛門との悪事の証である証文を、瑠璃が持たされているのではと疑われている為ではないかと、烏谷はいう。
一方、江戸の町で奇天烈な盗みが横行してると、同心・田端宗太郎の岡っ引き松次が話しているのを聞いた季蔵。
そんな中、季蔵と豪助、おき玖の三人で出かけた縁日で、置き去りにされてる男の子を見かけ、おき玖は連れ帰るが……“第二話 焼きみかん”、
雛の節句が過ぎた頃。瑠璃が喜ぶ物を作ろうと、苦心の末、独自の桜餅を作った季蔵。
それを持って、瑠璃が身を寄せるお涼の元を訪れると、猫が毒入りの桜餅を食べて死んでいるところに出くわす。それを持ってきたのは、先頃から前栽売りのおたけの代わりに来ているおうめだという。狙われたのは瑠璃に違いないと考えた季蔵が、その夜おたけを訪ねると、おうめは彼女の妹ではなく、頼まれただけの知らない女だという。鶴の絵柄の櫛を持っていたことから、鷲尾の家中の者だと疑う……“第三話 悲桜餅”、
水無月。祭りに人の心が弾む頃。今年は隔年で催される山王祭のある年。山王祭のある時にいつも店に現れ、どじょうを変わった注文で頼む隠居がおり、今年もやってきたその隠居は、珍しく一人ではなく若者二人を伴っていた。
田端いわく、隠居は上方の菓子屋の隠居鹿屋宗右衛門。他の二人は神田の畳職人幸吉、旗本の次男坊武元敬二郎だという。それぞれに身内の若い娘をかどわかされたという共通点があり、その為に行動を共にしていたらしい。彼女たちは皆、山王祭の日に姿を消していた。
いつも山王祭の折に、紅屋の桔梗屋が配っていた新しい蜜紅を。娘たちは貰いに行っていたらしいと訊き、桔梗屋が犯人ではないかと考えるが、桔梗屋はすでに江戸店を畳んでいた……“第四話 蜜紅”を収録。
シリーズ第二弾。
隠れ者って、てっきり裏で調べるだけなのかと思ったら、人知れず悪人を消すのも役目だったんですね(つまり仕事人的な)。
今回はその役目を引き受けるかどうかで延々悩む季蔵。そんな中療養中の瑠璃さんが狙われたり、という展開。
前の巻でも思いましたが、ちょっと被害者たちに容赦ない感じ(作者が)。季蔵がこの仕事を選ばざるを得ないことを読者に納得させるための道筋なのかとも思うけれど、なんか、後味悪め。
仕事人はしっかり金をもらってるところで割り切れるけれど、この作品は人の(というか季蔵の)良心に脅しをかけてる感じで、何かもやもやする~;
<12/9/16>
そんな中、納戸にしまってあった長次郎の日記を読んでいた季蔵は、名前の書かれていない<椋鳥飯>という名を目にし、烏谷にも訊いてみたが、心当たりはないという。
その夜、常連客である履物屋桐屋の、女好きの隠居喜平が、町で見かけた年増の美人の話をする。それを聞いていた客…室町の味噌屋千曲屋で働く伊那吉は、その女は同じ店で働いているおさわではないかという。やがて、ふたりは彼女を巡って張り合い……“第一話 椋鳥飯”、
新年。季蔵の元許嫁で、今では心を病み療養中の瑠璃を、襲わせたのは誰なのかを、烏谷に相談する季蔵。
鷲尾影守が手を組んでいた太田屋信右衛門との悪事の証である証文を、瑠璃が持たされているのではと疑われている為ではないかと、烏谷はいう。
一方、江戸の町で奇天烈な盗みが横行してると、同心・田端宗太郎の岡っ引き松次が話しているのを聞いた季蔵。
そんな中、季蔵と豪助、おき玖の三人で出かけた縁日で、置き去りにされてる男の子を見かけ、おき玖は連れ帰るが……“第二話 焼きみかん”、
雛の節句が過ぎた頃。瑠璃が喜ぶ物を作ろうと、苦心の末、独自の桜餅を作った季蔵。
それを持って、瑠璃が身を寄せるお涼の元を訪れると、猫が毒入りの桜餅を食べて死んでいるところに出くわす。それを持ってきたのは、先頃から前栽売りのおたけの代わりに来ているおうめだという。狙われたのは瑠璃に違いないと考えた季蔵が、その夜おたけを訪ねると、おうめは彼女の妹ではなく、頼まれただけの知らない女だという。鶴の絵柄の櫛を持っていたことから、鷲尾の家中の者だと疑う……“第三話 悲桜餅”、
水無月。祭りに人の心が弾む頃。今年は隔年で催される山王祭のある年。山王祭のある時にいつも店に現れ、どじょうを変わった注文で頼む隠居がおり、今年もやってきたその隠居は、珍しく一人ではなく若者二人を伴っていた。
田端いわく、隠居は上方の菓子屋の隠居鹿屋宗右衛門。他の二人は神田の畳職人幸吉、旗本の次男坊武元敬二郎だという。それぞれに身内の若い娘をかどわかされたという共通点があり、その為に行動を共にしていたらしい。彼女たちは皆、山王祭の日に姿を消していた。
いつも山王祭の折に、紅屋の桔梗屋が配っていた新しい蜜紅を。娘たちは貰いに行っていたらしいと訊き、桔梗屋が犯人ではないかと考えるが、桔梗屋はすでに江戸店を畳んでいた……“第四話 蜜紅”を収録。
シリーズ第二弾。
隠れ者って、てっきり裏で調べるだけなのかと思ったら、人知れず悪人を消すのも役目だったんですね(つまり仕事人的な)。
今回はその役目を引き受けるかどうかで延々悩む季蔵。そんな中療養中の瑠璃さんが狙われたり、という展開。
前の巻でも思いましたが、ちょっと被害者たちに容赦ない感じ(作者が)。季蔵がこの仕事を選ばざるを得ないことを読者に納得させるための道筋なのかとも思うけれど、なんか、後味悪め。
仕事人はしっかり金をもらってるところで割り切れるけれど、この作品は人の(というか季蔵の)良心に脅しをかけてる感じで、何かもやもやする~;
<12/9/16>