黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『東雲の途』あさのあつこ(光文社)

2012-09-09 | 読了本(小説、エッセイ等)
小名木川から引き揚げられた無残な身元不明の男の屍体。外見は商人のように思われたが、それが侍の変装であると見抜いた同心・小暮信次郎は、その斬られた傷口から瑠璃の原鉱を見つける。それはどうやら男自身がいまわの際に押し込み、下手人らの目から隠したらしい。
岡っ引きの伊佐治は、その瑠璃について小間物問屋遠野屋清之介に見立てをしてもらうことを提案。二人は遠野屋へと向かう。
一方、その頃。遠野屋には、異母兄・宮原主馬の側近である伊豆小平太が現われた。自分の代わりに、男の屍体を受け取りに行って欲しいというが、商人として店の名に傷をつけ、評判を落とす事を恐れ、断る清之介。そんな彼に、殺害された男は、国許からある密命を帯び江戸に来た小平太の弟であると告白する。その後見送ったところへ、信次郎たちがやって来た。
屍体から取り出した瑠璃を見せられた清之介は、既視感を覚えるが、判然とはしない。
屍体は搗き米屋・吉井屋が自分のところの使用人だと主張し、引き取られたという。どうやら背後に侍が関わっているらしいことから、この一件がうやむやにされるのではないかと懸念する信次郎。
促され、過去から逃げていては駄目だと感じた清之介は、亡き妻・おりんに預けていた刀と共に保管されていた守り袋の中から、先の瑠璃と同様の石を見つけ、信次郎たちを呼び出し、自分の過去を語った。
その守り袋は、母代わりとして唯一彼の世話をしてくれた台所付きの老女・すげから貰ったもの。そしてそれはすげの郷里であった山重の里の女が代々伝えているものであった。
先の一件は、御禁制の品でしか存在しないはずの瑠璃が領内から見つかったことが発端ではないかと考えた清之介は、その謎を解く為、そして商人としての目で自分の昔日を見定める為、伊佐治と共に故郷である嵯波へと向かう……

シリーズ第4弾。過去と決別、恩讐を超えて商人として生きていく決意を固める清之介、の巻。
だいぶ前向き(というか明るめ)になったので、若干あっさりめな印象?

<12/9/9>