黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『幻想即興曲 響季姉妹探偵ショパン篇』西澤保彦(中央公論新社)

2012-04-01 | 読了本(小説、エッセイ等)
2011年2月。苦桃書房で編集者をしている響季智香子は、担当しているミステリ作家・古結麻里から『幻想即興曲』と題された手書き原稿を渡される。しかもその処分を智香子に任せると云われたことから判断に困り、ロンドン在住の新進ピアニストである3つ下の妹・永依子に相談する。
そこに書かれているのは、40年前近く前に少女時代の麻里自身が遭遇した実際の事件について。しかも一度は焼失した原稿を、苦労の末、復活させたものだった。
1972年3月28日、吾箭戈市。正午を知らせる時報サイレンが鳴る中、その地で<野田医院>の二代目医師・野田修造が、刺殺されるという事件が発生。貸本屋兼駄菓子屋の<佐藤商店>を営む佐藤善治郎と、孫の井本一真らが居合わせ、通報。当初、元ピアノ教師であった修造の妻・美奈子に歪んだ愛情を抱く男・坂井の犯行かと思われたが、現場では黒ずくめの女が目撃されており、後にそれが美奈子であるとされ、彼女自身もその犯行を認めたことから逮捕される。
だがその同時刻。小学生だった古結麻里は、同級生の茂森壮太にたまたま出逢い、野田医院に美奈子を見に行くという彼の言動に怪しさを感じ、見張るために同行。ふたりは、野田家のピアノで、ショパンの幻想即興曲を弾く美奈子の姿を外から目撃していたのだった。だがその主張は受け入れられぬまま、事件は終結。
その後、麻里は、なりゆきから吾箭戈市を離れ、県庁所在地の寿峻市に在る進学校<謝名堂学園>に進学。その地で恩師となる女教師・小比類巻冬羽と出会う。偶然にも彼女はかつて美奈子の級友であり、良家のお嬢様だと思っていた美奈子が、ピアノに対して大いなる情熱を持った信念のひとだったことを知る。
長じてミステリ作家を志すようになった麻里は、自分が遭遇した過去の事件を書き著すことにし、その背景について探るが……

響季姉妹…雑誌編集者の智香子(カコ)と、ピアニストの永依子(イコ)が、作家・古結麻里が遭遇し、小説として書き著した、およそ40年前に起きた事件について推理する、というミステリ。そしていつもの如くジェンダーな感じで…。
“ショパン篇”ということは、今後も続くのかな?

<12/3/31,4/1>