黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『孤宿の人 下』宮部みゆき(新人物往来社)

2005-09-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
加賀殿が幽閉されている涸滝の屋敷で下女として働くことになった、少女・ほう。
思いがけず屋敷内で顔を合わせた加賀殿から、手習いや算術を教わることになり、彼と心を通わせる日々。
一方、嘉介親分が亡くなり、引手をやめさせられた宇佐は、ほうの身を心配しつつも、役人・渡部一馬より紹介された、英心和尚の中円寺で働いていた。
そして加賀殿の怨霊を隠れ蓑に、密かに起こる丸海藩の内紛、そして丸海の領民を相次いで災いが襲い……。

決して絶対的な悪ではないけれど、欲望、虚栄……そういったものに支配されてしまう、人の心の弱さ。ちょっとしたきっかけさえすれば、それを押し込めている箍は容易くはずれてしまう恐ろしさ……そんな、社会の歪の中で狂っていく人々の心、そしてあまりにも軽んじられ、理不尽なまでに簡単に失われる人の命を思うと、やりきれなく、切ないです(T_T)
悲しいお話ですが、それだけではない何かを残してくれるのは、やはり『ほう』という存在感の大きさでしょう。
加賀殿がほうに遺した文字は、わたしが読みながら感じていたのと同じ字だったので、思わずうんうんと頷いていたり。
泣き所が多いので、人前で読まない方が良いかも(笑)。

<05/9/26,27>

『アルファメリック』宏橋昌水(幻冬舎)

2005-09-27 | 読了本(漫画)
紅茶店・アルファメリック……その表の商売とは別に、物への『想い』の深さにより、損害額を決める『想い損害保険』の代理店を営んでいる。
『想い』を判定するのは、従業員の匡……彼は物に触れると、それに残った感情を読み取ることのできる能力を持っている。店には今日も依頼人が訪れて……。
損害保険に入っていた、世界的に有名な舞台女優、マリアンヌ・ユナールの帽子が盗まれた後、ぼろぼろになって帰ってきたという。不幸中の幸いで、その帽子の中からローズクォーツが発見されるが……第1、2話、
町で匡が見かけた、シルクハットにタキシード姿の謎の男。そして、同様に歩き回る少女の姿。
一方、店に出入りの職人から、修理を頼まれたドールハウスの玄関ホールの絨毯が何故かどうやってもくっつかないという不思議な現象が起きていると聞く……第3、4話、
保険に入っていた七星曜変天目茶碗が盗まれた。大口の顧客であるその持ち主が離れるのを恐れる店長・有一。その頃、川名が木の中に置かれている、問題の茶碗を発見するが……第5話、
アルファメリックの損害保険会社の親会社・赤須保険に加入している大型船2隻が相次いで座礁。
その頃、予知能力のあった元判定人が遺した「アルファメリックの紅茶店の茶葉の袋に、アルファベットをかたどった何かが入っているかもしれない」という予言の通り、『SIREN』と書かれたプレートが発見される。そこから匡が読み取った思念は、「セイレーンのオルゴール。この2つを重ねれば破壊の音楽に」というものだった。どうやら座礁した船には、そのオルゴールが積まれていたらしく……第6、7話

個人的にちょっと物足りない感が残ります(どこ、と具体的には挙げられないのですが、ちょっと話が荒いような)。
特に最後のフリートークが、ちょっとあっさりし過ぎな印象が(手書きだったらまた違うのかもしれませんが、活字のみでメモ程度だったので);

<05/9/27>