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756)イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と治療に有効か?

図:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は細胞膜のACE-2と結合して細胞内に入る(①)。ウイルスはRNAを放出し、細胞のリボソームを使ってウイルスタンパク質を合成してウイルス粒子を複製する(②)。ヌクレオカプシド(N)タンパク質(③)には核局在化シグナルが含まれており、インポーチン(IMP)のα/βヘテロ二量体(IMPα/β)に結合し(④)、核膜孔複合体を通って核内に輸送され、核内で複合体は解離し、DNAやリボソームサブユニットに結合し(④)、宿主の抗ウイルス応答を抑制し、ウイルス感染を亢進する(⑥)。ウイルス感染はTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインの産生を亢進し(⑦)、サイトカインストームを引き起こして、重症化の原因となる(⑧)。イベルメクチンはヌクレオカプシド(N)とインポーチンα(IMPα)の結合を阻止してウイルスタンパク質の核内への移行を阻害する(⑨)。さらに、イベルメクチンは、サイトカインストームを引き起こす主要なサイトカインのTNF-αとIL-6の発現を抑制する(⑩)。これらの作用によってイベルメクチンはSARS-CoV-2感染症の発症と重症化を抑制する。(参考:Repurposing Ivermectin for COVID-19: Molecular Aspects and Therapeutic Possibilities.Front Immunol. 2021; 12: 663586.)

756)イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と治療に有効か?

【ワクチン接種が終わるまでは自分でCOVID-19から身を守らなければならない】
米国疾病対策センター(CDC)は5月13日に、新型コロナウイルスのワクチン接種が完了すればマスクやソーシャル・ディスタンスの確保なしで活動できるとする新たな指針を発表しました。ワクチン接種が終われば、基本的にはマスクやソーシャルディスタンスは必要ないというのが、感染症の専門家のコンセンサスのようです。

世界中でワクチン接種が進んでいますが、日本はかなり遅れています。
若い人も含めて国民の多くがワクチン接種が終了するのまだ半年以上先になるようです。
しかも、新規感染者数が増えている地域では、COVID-19に感染しても入院できない患者さんが多くいて、自宅待機中に重症化して亡くなる例も増えています。
したがって、ワクチン接種が終了するまでのこの数ヶ月の間、COVID-19に感染しないように、もし感染しても重症化しないための対策が必要です。

抗ウイルス作用がある薬には抗がん作用のあるものが多く、がんの代替医療で使用されている医薬品やサプリメントの中に、COVID-19の治療に試されているものがあります。
例えば、駆虫薬のイベルメクチン、オートファジー阻害剤のヒドロキシクロロキン、抗生物質のドキシサイクリンなどがあります。これらはがんの代替医療で広く利用されていますが、COVID-19に対する効果も報告されています。
最近、イベルメクチンのCOVID-19に対する効果を検証した臨床試験の結果が数多く報告されるようになりました。複数の臨床試験で、COVID-19に対するイベルメクチンの有効性が示されています

【イベルメクチンは寄生虫疾患治療薬として世界中で使用されている】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされます。
抗ウイルス薬を迅速に開発するために、関連のない疾患の治療に使われていた薬剤が、COVID-19治療用にリポジショニング(転用、再利用)されています。
in vitroで抗ウイルス効果を示したリポジショニング薬(転用薬)の有効性が臨床試験で評価されています。これらの候補の中で、イベルメクチンの臨床的有効性を示す臨床試験の結果が数多く報告されています。

イベルメクチン(Ivermectin)は、土壌から分離された放線菌ストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)の発酵産物から単離されたアベルメクチンから誘導され合成されました。日本国内では、腸管糞線虫症疥癬の治療薬として保険適用されています。
イベルメクチンは、中南米やアフリカのナイジェリアやエチオピアで感染者が多く発生している糸状虫症の特効薬です。糸状虫症はオンコセルカ症河川盲目症とも呼ばれ、激しい掻痒、外観を損なう皮膚の変化、永久失明を含む視覚障害を起こします。
その他、リンパ系フィラリア症など多くの種類の寄生虫疾患に有効で、人間だけでなく、動物の寄生虫疾患治療薬として広く使用されています。

2015年ノーベル生理学・医学賞は「寄生虫感染症に対する新規治療物質に関する発見」で北里大学特別栄誉教授の大村智氏および米ドリュー大学名誉リサーチフェローのW. C. キャンベル(William C. Campbell)氏、「マラリアの新規治療法に関する発見」で中国中医科学院教授の屠呦呦(ト・ユウユウ,Youyou Tu)氏に贈られています。「マラリアの新規治療法」というのはアルテミシニン誘導体のことです。

大村博士は様々な抗生物質を作り出すストレプトマイセス属の土壌細菌に注目し、土壌サンプルから採集した菌を培養し、キャンベル博士はこれらの活性を調べ、寄生虫に対して有効な物質を突き止めました。それがストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)という菌が作り出す物質で、アベルメクチンと名づけられました。 このアベルメクチンを化学的に改変してさらに効果を高めたのがイベルメクチンです。
イベルメクチンは、22,23-ジヒドロアベルメクチンB1a(H2B1a)が80%以上、22,23-ジヒドロアベルメクチンB (H2B1b)が20%以下の混合物です。H2B1a及びH2B1bは比較的安定して存在しており、分析対象化合物としては、H2B1aが用いられています。 (図)

図:イベルメクチンは糞線虫症、糸状虫症、疥癬症など多くの寄生虫疾患の治療に使用されている。イベルメクチンの有効成分はH2B1aとH2B1bの混合物。

 アベルメクチンの発見が1967年で、イベルメクチンの人間への使用が1987年にFDA(米国食品医薬品局)によって承認されています。
この薬によって、オンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ系フィラリア症など寄生虫が引き起こす感染症を劇的に減らすことが可能になりました。
オンコセルカ症は寄生虫によって目の角膜に慢性の炎症が起こり、失明につながります。リンパ系フィラリア症は現在も世界で1億人以上が感染し、成虫やミクロフィラリアに起因するリンパ管やリンパ節の炎症を起こし、これが繰り返されることでリンパ管の閉塞や破裂が起こります。その結果、身体の感染部位が膨れ上がって象皮病や陰嚢水腫などの症状を引き起こします。

イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロール(Cl)チャネルに選択的かつ高い親和性を持って結合します。その結果、クロール(Cl)に対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫が麻痺を起こし、死に至ります。哺乳類ではグルタミン酸作動性Cl−チャネルの存在が報告されていないので、安全性は極めて高いと言えます。
このように、イベルメクチンの安全性は非常に高く、寄生虫に感染した人間に対して、寄生虫が死滅する過程で引き起こされる免疫応答や炎症反応に起因する症状以外には、副作用をほとんど起こらないと言われています。

さらに、多数の前臨床試験で抗がん作用が確認されており、がんの代替医療でも有名な薬です。イベルメクチンにはp21活性化キナーゼ(PAK)阻害作用などの多彩なメカニズムでの抗がん作用が明らかになり、がん治療への転用薬として多くの研究が行われています。(681話参照)

【イベルメクチンは新型コロナウイルスの複製を阻止する】
イベルメクチンの抗ウイルス作用は以前から知られていましたが、in vitroの実験で、イベルメクチンが新型コロナウイルスの複製を阻害することがオーストラリアのメルボルンのモナッシュ大学の研究チームが発表しました。論文掲載は2020年6月ですが、論文は4月3日にon lineで発表され、4月4日にニュースで出ています。

The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro(米国食品医薬品局で承認されている薬のイベルメクチンはin vitroの実験でSARS-CoV-2の複製を阻害する)Antiviral Res. 2020 Jun; 178: 104787.

以下はこの論文の内容の抜粋です。

イベルメクチンは、米国食品医薬品局(FDA)が承認した広域スペクトラムの寄生虫駆除剤であり、さらに様々なウイルスに対してin vitroで抗ウイルス活性を示すことが示されている
もともとはヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)のインテグラーゼタンパク質(IN)とINの細胞核内への輸送に関与するインポーチン(IMP)α/β1ヘテロ二量体の間の相互作用を阻害する作用が見つかっている。
その後、イベルメクチンはインテグラーゼタンパク質(IN)の核内輸送とHIV-1ウイルスの複製を阻害することが確認されている。 
イベルメクチンの他の作用が報告されており、サルウイルスSV40大腫瘍抗原(simian virus SV40 large tumour antigen)およびデング熱ウイルス(DENV)非構造タンパク質55を含む、宿主およびウイルスのタンパク質の核内輸入を阻害することが示されている。
重要な点は、デング熱ウイルス1-4(DENV 1-4)、西ナイルウイルス(West Nile Virus)、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(equine encephalitis virus)、インフルエンザなどのRNAウイルスによる感染を制限することが実証されており、この広範な活性は多くの異なるRNAウイルスによる感染の成立がIMPα/β1に依存することに由来する。

イベルメクチンは同様に、インビトロおよびインビボの両方でDNAウイルスの偽性狂犬病ウイルス(pseudorabies virus :PRV)に対して有効であることが示され、イベルメクチン治療はPRV感染マウスの生存率を高めることが示されている。
マウスのジカウイルス(Zika virus :ZIKV)に対するイベルメクチンの有効性は観察されなかったが、著者らは、イベルメクチンの抗ZIKV活性の再評価が必要であることを認めている。
最後に、イベルメクチンは2014年から2017年にタイで行われたデング熱ウイルス感染に対する第III相臨床試験が実施された。デング熱ウイルス感染に対しては、1日1回の経口投与は安全であり、ウイルス性NS1タンパク質の血清レベルが大幅に低下した。しかし、ウイルス血症または臨床的利益の変化は観察されなかった。

COVID-19パンデミックの原因ウイルスであるSARS-CoV-2は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と密接に関連している一本鎖のポジティブセンスRNAウイルスである。
SARS-CoVタンパク質に関する研究により、SARS-CoV Nucleocapsidタンパク質のシグナル依存性核細胞質遮断における感染中のIMPα/β1の潜在的な役割が明らかになり、宿主細胞の分裂に影響を与える可能性がある。
(注:Nucleocapsidはウイルスのゲノム(DNAあるいはRNA)とゲノムを包むタンパク質(カプシド)の総称。)
さらに、SARS-CoVアクセサリータンパク質ORF6は、粗面小胞体/ゴルジ膜上のIMPα/β1を隔離することにより、STAT1転写因子の抗ウイルス活性に拮抗することが示されている。 
まとめると、これらのレポートは、イベルメクチンの核輸送阻害活性がSARS-CoV-2に対して有効である可能性があることを示唆している

SARS-CoV-2に対するイベルメクチンの抗ウイルス活性をテストするために、オーストラリア(Australia / VIC01 / 2020)で分離したSARS-CoV-2をVero/hSLAM 細胞に0.1のMOI(重複感染度; Multiplicity of infection)で感染させ、2時間後にイベルメクチンを5 μM の濃度で添加した。
(注:MOI(重複感染度; Multiplicity of infection)=0.1(PFU/cell)は細胞10個にウイルス粒子を1個の率で感染させて増殖させること)
培養液上清および細胞ペレットを0〜3日目に採取し、SARS-CoV-2 RNAの複製についてRT-PCRで分析した。
24時間後、コントロール(イベルメクチンを溶解したDMSOのみ添加)と比較して、イベルメクチンで処理されたサンプルの上清に存在するウイルスRNA(細胞外に放出されたウイルス粒子)が93%減少した。
同様に、細胞内のウイルスRNA(未放出およびパッケージ化されていないウイルス粒子を示す)は99.8%の減少が、イベルメクチン24時間処理で観察された。 
イベルメクチンを添加して48時間後までに、イベルメクチン処理した培養では、コントロールサンプルと比較して、ウイルスRNAは約5000分の1まで減少した。
これは、イベルメクチン処理により、48時間までに本質的にすべてのウイルス物質が効果的に消失することを示している。
この考えと一致して、72時間後にウイルスRNAのさらなる減少は観察されなかった。以前にも観察されたように、イベルメクチンとウイルスまたはイベルメクチンのみの添加でも、​​テストされたどの時点でもイベルメクチンの細胞毒性は観察されなかった。

イベルメクチンのSARS-CoV-2の感染阻止のメカニズムに関して、この論文の著者らの考えは下図に示しています。

図:インポーチン(IMP)のα/β1ヘテロ二量体(IMPα/β1)は細胞質内のコロナウイルス・カーゴタンパク質(coronavirus cargo protein)に結合し(①)、核膜孔複合体(Nuclear Pore Complex:NPC)を通って核内に輸送される(②)。核内で複合体は解離し(③)、宿主の抗ウイルス応答を抑制し、ウイルス感染を亢進する(④)。駆虫薬のイベルメクチンはIMPα/β1ヘテロダイマーに結合して不安定化し、IMPα/β1がウイルスタンパク質に結合するのを阻害し(⑤)、核に入るのを阻止する(⑥)。その結果、抗ウイルス応答が増強され、感染が阻止される(⑦)。(出典:Antiviral Res. 2020 Jun; 178: 104787.)

この論文の重要要点(Highlight)として以下のようにまとめています。

  • イベルメクチンは、in vitroでCOVID-19原因ウイルス(SARS-CoV-2)の阻害剤である。
  • 細胞培養の実験で、1回の処置で、48時間でウイルスを約5000分の1に減少させることができる。
  • イベルメクチンは寄生虫感染症に対してFDAの承認を受けているため、COVID-19の治療薬として転用される可能性を持っている。
  • イベルメクチンは、WHOの必須医薬品リストに含まれているため、広く入手可能である。

SARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome CoronaVirus 2)は新型コロナウイルス感染症(Coronavirus disease 2019:COVID-19)の患者から分離されたコロナウイルスです。つまり、SARS-CoV-2感染と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は同じです。
in vitro(イン・ビトロ)とは、「試験管内で(の)」という意味で、試験管や培養器などの中でヒトや動物の細胞や組織を用いて、薬物の反応を検出する試験のことを指します。
したがって、in vitroの研究で有効性が確認されても、人間で効くかどうかは不明です。臨床試験の結果が必要です。
実際に、培養細胞を使ったin vivoの実験でウイルス増殖を阻止した濃度は、通常のイベルメクチン服用で達せられる血中濃度の200倍以上高いので、通常の服用量を人間に投与しても、COVID-19の治療効果は得られないという意見もあります。
しかし、多くの国でCOVID-19に対するイベルメクチンの効果を検証する臨床試験が行われています。有効性を認めなかった試験も多くありますが、複数の臨床試験でイベルメクチンの有効性が報告されています。

【イベルメクチン治療はCOVID-19患者の死亡率を低下する】
イベルメクチン使用とCOVID-19患者の死亡率との関係を検討した臨床試験のメタ解析(メタ・アナリシス)の報告があります。メタ解析(meta analysis)とは過去に行われた複数の研究結果を統合し,より信頼性の高い結果を求める統計解析手法のことです。ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析は、根拠に基づく医療 (EBM) において、最も質の高い根拠とされます。以下のような報告があります。

The association between the use of ivermectin and mortality in patients with COVID-19: a meta-analysis(イベルメクチン使用とCOVID-19患者の死亡率との関係:メタ解析)Pharmacol Rep. 2021 Mar 29;1-7.  doi: 10.1007/s43440-021-00245-z. Online ahead of print.

【要旨の抜粋】
目的:2019年の新型コロナウイルス病(COVID-19)患者の死亡率に対するイベルメクチンの影響は、多くの研究で調査されている。 COVID-19患者の死亡リスクに対するイベルメクチンの全体的な影響を調査するために、ランダム化比較試験のメタ解析を実施した。

方法:PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Google Scholar、およびプレプリントリポジトリデータベース(2021年2月28日まで)を体系的に検索した。変量効果と逆分散の不均一性メタアナリシスを使用して、個々の試験のオッズ比をプールした。バイアスのリスクは、ランダム化試験用のコクランバイアスリスクツールのバージョン2を使用して評価された。

結果:この分析には6件のランダム化比較試験が含まれ、無作為にイベルメクチンを投与された合計658人の患者と、イベルメクチンを投与されなかった597人の患者を対象とした。6件の試験のうち、4件は全体的にバイアスのリスクが高かった。イベルメクチンの投与は死亡率を低下させる利益を示した(プールされたオッズ比= 0.21; 95%信頼区間0.11-0.42、n = 1255)

結論:COVID-19患者のイベルメクチン投与が死亡率低下と関連することを示す予備的な有益な効果を観察した。これは、適切に設計された大規模ランダム化比較試験でさらなる検証の必要性を支持する。

以下の図は、この論文のFig.2です。COVID-19のイベルメクチン使用者と非イベルメクチン使用者の間の死亡率のプールされたオッズ比を示すプロットです。

【イベルメクチンの5日間の治療は病気の期間を減らすかもしれない】
臨床試験での投与量は試験によってバラバラです。
前述のメタ解析に使われたイラクの研究では、イベルメクチンを1日に200μg/kgを2日間投与し、回復に時間がかかっている場合は、最初の投与から7日後に3回目を投与しています。さらに、ドキシサイクリン100mgを12時間おきに5〜10日間投与しています。

トルコの臨床試験では、イベルメクチンを200μg /kg/dayを5日間服用しています。

以下の論文はバングラデシュ(International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Dhaka, Bangladesh)からの報告です。

A five-day course of ivermectin for the treatment of COVID-19 may reduce the duration of illness(COVID-19の治療のためのイベルメクチンの5日間の治療は病気の期間を減らすかもしれない)Int J Infect Dis. 2021 Feb; 103: 214–216.

【要旨】
FDA(米国食品医薬品局)が承認した寄生虫治療薬であるイベルメクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の複製をin vitroで阻害することが明らかになっている。成人SARS-CoV-2患者におけるウイルス・クリアランスの迅速性とイベルメクチンの安全性を決定するために、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。
この試験には、バングラデシュのダッカに入院した72人の患者が含まれ、次の3つのグループのいずれかに割り当てられた。
1)経口イベルメクチン単独(12 mgを1日1回5日間)
2)経口イベルメクチン(12mgを初日に1回投与)とドキシサイクリン(初日に200mg、続いて次の4日間は12時間ごとに100 mg)
3)プラセボ対照群。

発熱、咳、喉の痛みの臨床症状は、3つのグループ間で同等であった。
ウイルス排除の期間はプラセボ群が12.7日に対してイベルメクチン5日間投与群は9.7日で統計的有意に短かった( p = 0.02)。
イベルメクチン(12mg,初日に1回)+ドキシサイクリン(初日に200mg、続いて次の4日間は12時間ごとに100 mg)群では11.5日でプラセボ群との差は認めなかった( p = 0.27)。
この研究では、重篤な副作用は記録されていない。
イベルメクチンの5日間のコースは、軽度のCOVID-19の成人患者の治療に安全かつ効果的であることが明らかになった。これらの予備調査結果を確認するために、より大規模な試験が必要である。

過去の研究で、イベルメクチン単回投与+ドキシサイクリン5日間投与が新型コロナウイルス感染症の治療に有効という報告があります。
しかし、この論文の研究では、イベルメクチン単回投与+ドキシサイクリン5日間投与はプラセボと有意差がありませんでした。
しかし、イベルメクチン12mgの5日間投与で有効性が認められました。すなわち、ウイルスが検出できなくなるまでの期間の短縮が認められました。

前述のように、イベルメクチンは、ウイルスタンパク質が宿主細胞の核に侵入するのを防ぐことにより、SARS-CoV-2に作用します。
ドキシサイクリンはSARS-CoV-2パパイン様プロテアーゼの潜在的な阻害剤であることが報告されています。
イベルメクチンドキシサイクリンという薬は発展途上国で一般的に使用されており、寄生虫感染症と細菌感染症の両方を治療するのに安全で効果的であることがわかっています。薬は手頃な価格であり(5日間の全費用は5日間のイベルメクチンで0.60米ドルから1.80米ドルの範囲)、バングラデシュですぐに入手できるため、COVID-19患者を治療するための非常に魅力的な代替薬と考えられています。


【寄生虫症撲滅の目的でイベルメクチンを予防投与している国はCOVID-19の死亡が少ない】
イベルメクチンは中南米やアフリカで感染者が多く発生している糸状虫症やリンパ系フィラリア症など多くの種類の寄生虫疾患に有効です。これらの寄生虫疾患が流行している国では、イベルメクチンの予防的投与が行われています。イベルメクチンの予防的投与のプログラムに参加している国では、非参加の国よりCOVID-19の感染や死亡が少ないという疫学的研究が報告されています。
以下のような報告があります。

COVID-19: The Ivermectin African Enigma(COVID-19:イベルメクチンアフリカの謎)Colomb Med (Cali). 2020 Dec 30;51(4):e2014613.

【要旨の抜粋】
アフリカのいくつかの国でCOVID-19による症例と死亡の頻度が低いことが知られている。イベルメクチンは、さまざまな寄生虫およびウイルス性疾患に有効な薬剤と見なされており、SARS-CoV-2に対してin vitroで効果があることが示されている。
この研究は、オンコセルカ症を制御するために実施された集中的なイベルメクチン集団投与に参加したアフリカ諸国におけるSARS-CoV2感染と死亡率を、イベルメクチン集団投与に参加しなかった国のものと比較することを目的とした。
1995年から2015年までの世界保健機関(WHO)が後援するオンコセルカ症管理のためのアフリカプログラム(African Programme for Onchocerciasis Control :APOC)に参加した19か国のデータを、参加しなかった35か国(非APOC)と比較した。 
さまざまな要因を調整した後、APOCに参加した国は非参加国と比較して、COVID-19による死亡率が28%低く(0.72; 95%CI:0.67-0.78)、感染率が8%低かった(0.92; 95%CI:0.91-0.93)
結論として、オンコセルカ症管理のためのアフリカプログラム(African Programme for Onchocerciasis Control :APOC)に参加した国は、非参加国に比較して、COVID-19による死亡率と発症率が大幅に低下していた。APOCによってコミュニティでイベルメクチンを大量に使用している一部のアフリカ諸国で、COVID-19に対する大規模な公衆衛生予防キャンペーンが偶然に行われた可能性がある。この魅力的な仮説を確認するには、追加の研究が必要でる。

これはコロンビアと米国の研究者からの論文です。以下は別の研究グループ(米国)からの論文です。

A COVID-19 prophylaxis? Lower incidence associated with prophylactic administration of ivermectin(COVID-19予防?イベルメクチンの予防的投与に関連する発生率の低下) Int J Antimicrob Agents. 2021 Jan;57(1):106248.

【要旨の抜粋】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中で急速に広がり続けているが、発生率は国によって大きく異なる。ここでは、イベルメクチンを含む予防的化学療法の定期的な大量薬物投与を行っている国では、COVID-19の発生率が大幅に低いことを示す
寄生虫感染症に対するイベルメクチンの予防的使用はアフリカで一般的に行われている。したがって、SARS-CoV-2複製を阻害するイベルメクチンの能力が感染率の低下につながる可能性が高いと推測される。
安全で効果的なワクチンが利用可能になるまで、特定の場合にイベルメクチンをCOVID-19の感染予防のための使用の可能性について検討する必要がある。

イベルメクチンはフィラリア症とオンコセルカ症の両方に対する大量薬物投与キャンペーンで予防的に広く使用されています。
過去数ヶ月の間に、SARS-CoV-2感染患者の治療としてのイベルメクチンへの関心が高まり、この薬は入院患者の死亡率を低下させることが示されています。イベルメクチンはCOVID-19の初期および軽度の症例で特に有望であると報告されています。
イベルメクチンは安全性が極めて高いので、SARS-CoV-2に対して予防的にも使用できる可能性が示唆されます。
そこでイベルメクチンを含むさまざまな薬剤を使用して寄生虫疾患に対する予防化学療法を日常的に展開している国からデータを収集して解析すると、イベルメクチンを予防的に使用している国ではCOVID-19の感染も少なかったという結論です。

【イベルメクチンはCOVID-19の予防と治療にかなり効果が期待できる?】
以下のような総説論文があります。

Review of the Emerging Evidence Demonstrating the Efficacy of Ivermectin in the Prophylaxis and Treatment of COVID-19(COVID-19の予防と治療におけるイベルメクチンの有効性を実証する新たなエビデンスのレビュー)Am J Ther. 2021 May-Jun; 28(3): e299–e318.

【要旨の抜粋】
背景:COVID-19が出現した後、潜在的に効果的な治療法を探索するために、多数の新規および再利用された治療薬が試され、臨床試験が実施された。

不確実な領域:中等度から重度の疾患におけるコルチコステロイドを除いて、試験された薬剤の大部分は、COVID-19の死亡率を低下させる有効性の再現性のある決定的な証拠を提供することができなかった。
最近、経口駆虫剤イベルメクチンがCOVID-19に対して有効な臨床効果を示す証拠が報告されている

データソース:データは、公開された査読済み研究、プレプリントサーバーに投稿された原稿、専門家のメタアナリシス、およびイベルメクチン配布キャンペーンのある地域の多数の疫学分析から供給された。

治療の進歩:イベルメクチンのランダム化比較試験の大多数は、臨床転帰の大幅な改善を繰り返し報告している。多くの予防試験は、定期的なイベルメクチンの使用が感染の大幅な減少につながることを示している。イベルメクチン配布キャンペーンを開始した地域では、そのようなキャンペーンのない近隣地域と比較して、COVID-19の症例数と致死率が減少した。

結論:COVID-19におけるイベルメクチンの18件のランダム化比較試験に基づくメタアナリシスは、死亡率、臨床的回復までの時間、およびウイルスクリアランスまでの時間の大幅な統計的に有意な減少を明らかにした。さらに、多数の管理された予防試験の結果は、イベルメクチンの定期的な使用でCOVID-19に感染するリスクが大幅に減少したことを報告している
最後に、イベルメクチン配布キャンペーンの多くの例において、COVID-19の罹患率と死亡率の減少が認められ、イベルメクチンがCOVID-19のすべての段階で有効な経口剤であることを示している

以下の内容はこの総説論文からの引用です。この論文では発症予防の臨床試験の内容が記載されています。要約のみ以下に記載します。
(DB-RCT, double-blinded randomized controlled trial; OCT, observational controlled trial; OL, open label; RCT, randomized controlled trial; SB-RCT, single blinded randomized controlled trial.)

発症予防の臨床試験:

Shouman W, (エジプト) www.clinicaltrials.gov  NCT04422561 (RCT, N=340)

対象:COVID-19患者(PCR陽性)の家族
用量:40–60 kg: 15 mg, 60–80 kg: 18 mg, 80 kg以上: 24 mg
結果:COVID-19の症状の発症者は投与群7.4% vs. 対照群58.4%(P < 0.001)

Elgazzar A, (エジプト) ResearchSquare doi.org/10.21203/rs.3.rs-100956/v1(RCT.N=200)

対象:COVID-19患者(PCR陽性)と接触する医療従事者あるいは家族
用量:0.4 mg/kg、第1日と第7日に1回づつ(計2回)投与
結果:COVID-19のPCR陽性の発症者は投与群2% vs. 対照群10%(P < 0.05)

Chala R, (アルゼンチン)NCT04701710 Clinicaltrials.gov (RCT, N=234)

対象:医療従事者
用量:12mgを7日毎に服用
結果:COVID-19発症者は投与群3.4 % vs. 対照群21.4 %(P = 0.0001)

Carvallo H, (アルゼンチン) Journal of Biochemical Research and Investigation  doi.org/10.31546/2633–8653.1007(OCT, N=229)

対象:PCR陰性の患者
用量:1滴0.2mgを1日5回(1日1mg)を28日間
結果:COVID-19発症者は投与群0 % vs. 対照群11.2 %(P < 0.001)

Alam MT, (バングラデシュ) European J Med Hlth Sciences 10.24018/ejmed.2020.2.6.599 (OCT, N=118)

対象:医療従事者
用量:12mgを1ヶ月に1回
結果:COVID-19発症者は投与群6.9 % vs. 対照群73.3 %(P < 0.05)

Carvallo H, (アルゼンチン)Journal of Biochemical Research and Investigation doi.org/10.31546/2633–8653.1007(OCT, N=1195)

対象:医療従事者
用量:1回12mgを1週間に1回服用。10週間継続
結果:COVID-19発症者は投与群(788人)0.0 % vs. 対照群(407人)58 %

Behera P, (インド) medRxiv doi.org/10.1101/2020.10.29.20222661 (OCT, N=186)

対象:医療従事者
用量:1回0.3mg/kgを第1日目と第4日目の2回服用
結果:2回の服用でCOVID-19発症率のオッズ比は0.27(95% CI 0.16–0.53)

Bernigaud C, (フランス) Annales de Dermatologie et de Venereologi doi.org/10.1016/j.annder.2020.09.231
(OCT, N=69)

対象:老人ホームの住居者
用量: 0.2mg/kgを1回服用
結果:COVID-19感染者は投与群10.1 % vs. 対照群22.6 %。COVID-19による死亡率は投与ぐん0.0% vs. 対照群4.9%

Hellwig M, (アメリカ合衆国) J Antimicrobial Agents doi.org/10.1016/j.ijantimicag.2020.106,248 (OCT, N=52カ国)

対象:アフリカのイベルメクチン予防プログラムに参加している国と参加していない国
用量: 様々
結果:イベルメクチン予防プログラムに参加しているアフリカの国は、参加していない国と比較して、COVID-19発症率が有意に低い

COVID-19の感染予防の目的で体重1kg当たり0.2mg(体重60kgで12mg)を週に1〜2回程度服用すると、COVID-19の感染や重症化や死亡率をかなり低下させることができるという結果です。

以下はCOVID-19患者の治療における林床試験の結果です。

Mahmud R, (バングラデシュ) www.clinicaltrials.gov  NCT0452383 (DB-RCT, N=363)

対象:外来患者と入院患者
用量:12mg + ドキシサイクリン。PCR陽性になってから3日以内に1回服用
結果:早期回復者は投与群60.7 % vs. 対照群44.4 %。(P < 0.03,)。病状悪化率は投与群8.7% vs. 対照群17.8 % (P < 0.02)

Chowdhury A, (バングラデシュ) Research Square doi.org/10.21203/rs.3.rs-38896/v1 (RCT, N=116)

対象:外来患者
用量:0.2mg/kg + ドキシサイクリン。1回服用
結果:回復までの期間は投与群5.9日 vs. 対照群9.3日。(P = 0.07)。病状悪化率は投与群8.7% vs. 対照群17.8 % (P < 0.02)

Ravikirti, (インド) medRxiv doi.org/10.1101/2021.01.05.21249310 (DB-RCT, N=115)

対象:軽度から中東度のCOVID-19患者
用量:1日12mgを2日間服用
結果:発症6日後のPCR陽性率は有意差なし。死亡率は投与群0 % vs. 対照群6.9 % (P = 0.019)

Babalola OE, (ナイジェリア) medRxiv doi.org/10.1101/2021.01.05.21249131 (DB-RCT, N = 62)

対象:軽度から中東度のCOVID-19患者
用量:1日6mgあるいは12mg。48時間毎服用。2週間継続
結果:ウイルスが検出できなくなるまでの期間(Time to viral clearance):対照群が9.1日、6mg服用群が6.0日、12mg服用群が4.6日 (P = 0.006)

Elgazzar A,(エジプト) ResearchSquare doi.org/10.21203/rs.3.rs-100956/v1 (OL-RCT、N=400)

対象:COVID-19の入院患者
用量:1日0.4 mg/kgを4日間服用。
結果:中等症:悪化は服用群が1% vs. 非服用群が22% (P<0.001)。重症例:悪化は服用群が4% vs. 非服用群が30% (P<0.001)、死亡率は服用群が2% vs. 非服用群が20%  (P<0.001)

Hashim H, (イラク) medRxiv  doi.org/10.1101/2020.10.26.20219345 (SB-RCT, N=140)

対象:COVID-19の入院患者と外来患者
用量: 0.2 mg/kg+ドキシサイクリンを2〜3日間服用。
結果:回復までの期間は服用群が6.3日 vs. 非服用群が13.6日  (P<0.001)、重症患者の死亡率は服用群が0% vs. 非服用群が27.3% (P = 0.052)

Spoorthi S, (インド) AIAM, 2020; 7(10):177-182 (RCT, N=100)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 0.2 mg/kg+ドキシサイクリンを1回服用。
結果:入院期間は服用群が3.7日 vs. 非服用群が4.7日  (P = 0.03)
  症状の消失までの期間は服用群が6.7日 vs. 非服用群が7.9日 (P = 0.01)

Ahmed S. (ダッカ、バングラデシュ) International journal of Infectious disease doi.org/10.1016/j.ijid.2020.11.191(DB-RCT, N=72)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 1日12mgを5日間服用。
結果:ウイルスが検出できなくなるまでの期間が服用群が9.7日 vs. 非服用群が12.7日  (P = 0.02)

Portman-Baracco A, (ブラジル) Arch Bronconeumol. 2020 doi.org/10.1016/j.arbres.2020.06.011 (OCT, N=1408)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 0.15mg/kgを1回服用。
結果:死亡率が服用群が1.4 % vs. 非服用群が 8.5% ハザード比 0.2, 95% CI 0.12–0.37 (P < 0.0001) 

Rajter JC, (フロリダ) Chest 2020 doi.org/10.1016/j.chest.2020.10.009 (OCT, N=280)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 0.2mg/kg+アジスロマイシンを第1日目に1回服用。必要に応じて第7日目も服用。
結果:全体の死亡率は服用群が15.0% vs. 非服用群が 25.2% (P =0.03)。重症患者の死亡率は服用群が38.8% vs. 非服用群が 80.7% (P =0.001)

Khan X, (バングラデシュ) Arch Bronconeumol. 2020 doi.org/10.1016/j.arbres.2020.08.007 (OCT, N=248)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 12mgを入院時に1回服用。
結果:死亡率は服用群が0.9 % vs. 非服用群が 6.8% (P < 0.05)。入院期間は服用群が9日間vs. 非服用群が 15日間(P <0.001)。

Gorial FI, (イラク) medRxiv doi.org/10.1101/2020.07.07.20145979 (OCT, N=87)

対象:COVID-19の入院患者
用量: 0.2m/kg+ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン。入院時に1回服用。
結果:入院期間は服用群が7.6日間vs. 非服用群が 13.2日間(P <0.001)。死亡は服用群が0/15 vs. 非服用群が2/71

現在まで、COVID-19におけるイベルメクチンの有効性は以下によって裏付けられています。

  • 2012年以降、複数のin vitro研究により、イベルメクチンがインフルエンザ、ジカ熱デング熱などを含む多くのウイルスの複製を阻害することが実証されている。

  • イベルメクチンは、いくつかのメカニズムを通じて、SARS-CoV-2の複製と宿主組織への感染を阻害する。

  • イベルメクチンは強力な抗炎症特性を持っており、in vitroデータは、サイトカイン産生と、炎症の最も強力なメディエーターである核因子-κB(NF-κB)の転写の両方を大幅に阻害することを示している。
  • イベルメクチンは、SARS-CoV-2または同様のコロナウイルスの感染に対して、ウイルス量を大幅に減少させ、複数の動物モデルの臓器損傷から保護する。

  • イベルメクチンは、感染した患者にさらされた人々のCOVID-19病の感染と発症を防ぐ。

  • イベルメクチンは回復を早め、症状の早期に治療された軽度から中等度の疾患の患者の悪化を防ぐ。

  • イベルメクチンは、回復を促進し、ICUへの入院と入院患者の死亡を減らす。

  • イベルメクチンは、COVID-19の重症患者の死亡率を低下させる。

  • イベルメクチンは、イベルメクチン配布キャンペーン後の地域における致死率の減少に関連している

  • イベルメクチンの安全性、入手可能性、コスト、重要な薬物相互作用の発生率が低いこと、約40年間の使用と数十億回の投与で観察される軽度でまれな副作用のみを考慮すると、ほぼ比類のない薬である。

  • 世界保健機関は長い間、「必須医薬品リスト」にイベルメクチンを含めてきた。

以上の結果から、イベルメクチンはCOVID-19の予防と治療に極めて有効と言えます。
1回の服用で十分な効果があることが示されていますが、イベルメクチンは消化管からの吸収が悪いので、飲み方によっては、ほとんど吸収されないリスクもあります。以下の点を守ることが重要です。

イベルメクチンは脂溶性なので、脂肪の多い食事で吸収が高くなります。 
寄生虫疾患の治療では、脂肪で吸収が亢進して血中濃度が高くなるのを懸念して空腹時の服用を指定しています。しかし、がん治療やウイルス感染症の治療の場合は、むしろ少ない服用量で血中濃度を高めるために脂肪の多い食事の後の服用の方が理にかなっています。
つまり、オリーブオイルや亜麻仁油や生クリームと一緒に服用したり、油脂の多い食事の後に服用すると体内吸収率を高めることができます。
イベルメクチンの分解はCYP3A4が主に関与していることが報告されています。したがって、CYP3A4を阻害するグレープフルーツジュースやシメチジンやイトラコナゾールと一緒に服用するという裏技もあります。

単回の服用では、服用した時に十分に吸収されなければ効果が出ないというリスクがあります。したがって、治療目的の場合は、1回0.2mg/kgを5日間程度服用するのが無難です。
発熱や倦怠感や咳などの感染を示唆する症状を感じたら、1回12mgを1日1〜2回を3〜5日間程度服用すれば確実です。
発症や重症化予防の目的では週に1回でも効果が期待できるようですが、1回0.2mg/kgを週に2回程度服用するのが予防効果が高いと思います。

◉ イベルメクチンを使ったがん治療についてはこちらへ

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