ジュラシックパークという映画をご存じでしょうか?琥珀と呼ばれる松ヤニの化石に閉じ込められた蚊から、恐竜の遺伝子を取り出して現代に復活させるというお話でした。
恐竜が現代によみがえるというのはいかにも夢のある話ですが、現実はそんなに甘くありません。倫理面などの様々な障害により、クローン動物の研究はまだまだ発展途上。生きている細胞からでも自由にクローンを生み出せないのに、まして、琥珀の中の蚊の中から抽出するだなんて。
しかしながら、このニュースは「冷凍マンモスくらいなら」という希望を抱かせてくれますね。
理化学研究所、死後16年間冷凍保存したマウスからのクローン誕生に成功 nikkei TRENDY net
クローンは、核を抜き取った卵子に、コピーしたい動物の細胞の核を移し替え、代理母の子宮に移して誕生させる。しかし、死後長期間たった細胞は損傷しているため利用が難しく、これまでのクローンの成功例はすべて生きた細胞から核を取り出していた。死後長時間が経過した動物からの作成に成功したことで、永久凍土に眠るマンモスなど絶滅した動物を復活させられる可能性が開けるという。
詳しい説明は省きますけれど、適切に保存された細胞からならば、死体からもクローンが作れることが証明されたと言うことです。まあ、この「適切に保存された」というのがくせ者で、今回はあくまで人間の手で管理された状態のマウスを使ったので成功したということ。冷凍マンモスの細胞が壊れていないかどうかと言うのはまた別の話で、理想的な状態で保存されているマンモスの細胞が手に入らないことには「マンモス復活」はかなわないのです。
たとえマンモス復活はかなわなくても、今を持って絶滅しそうな動物というのは山ほど存在します。たとえば、動物園等で飼育されていた動物が死んだとき、もしくはあらかじめ血液サンプルを保存しておくことで、将来に備えることができることを意味します。これは、種の保存というテーマにおいて非常に大きな意味を持つことです。
クローンと聞いたときの大きな関心事の一つに「人間は複製できるか」というものがありますが・・・同じDNAというだけで、性格形成が生育環境に大きく依存する人間にとって、赤ん坊からやり直しのクローンは別人には違いないわけで。人間のクローンを作ることの意味がどれだけあるか、個人的には正直疑問ですね。
マンモス復活とかの「今まで誰も見たことがないものが見える」という話題は確かにワクワクしますけれど、クローン自体はなんとなく薄ら寒い技術に思えてしまいます。今後も命にメスを入れ続けるのがいいことなのかどうなのか・・・?もちろん、ES細胞などには期待はしているのですが、技術や倫理観がゆがんでしまわないように祈るばかりです。