Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

日立、1ラックサーバーでクラウド?参入へ

2008-11-19 20:50:27 | Technology

 何でもかんでもクラウドと呼ぶ最近の風潮はあんまりよろしくないと思います。

 今回紹介する日立のネタは、「なんかよくわからないネットの先の何か」からサービス受けるのではなく、個別に用意された1ラックサーバーを「運営委託」するサービスを提供すると発表しました。

日立ソフト、3カ月間で仮想システムを構築する新サービス ITmedia

 日立ソフトウェアエンジニアリングは11月19日、同社のデータセンター内に企業のシステム環境を仮想的に短期間で構築するサービス「SecureOnline 1ラックソリューション」を開始した。機器やソフトウェアを1つのラックに収納して提供する。

 同サービスでは、ブレードサーバやSANストレージ、ネットワーク機器、管理コンソールを1つのラックに集約して同社のデータセンターに設置し、仮想化ソフトウェアの設定を含めて提供する。利用企業はデータセンターと自社をVPNで接続し、データセンターのシステムを仮想的に自社ネットワークに設置したシステムとして利用できる。

 外部のリソースを利用することをクラウドと定義・・・しても、基本「1社1台」で管理費用も含めて委託会社が払うわけで。これをプライベートクラウドと言われてもなんだか釈然としませんが。

 しかしながら、なかなか面白いサービスです。企業がクラウドサービスを利用する上で心配になるのは、やはりサーバーを仮想的に切り分けてシェアすることで、情報漏洩の可能性があることだと思うのです。その点日立のサービスならば、一社につき1台のラックを用意することで、他社のサーバーとは物理的に切り離されます。また、VPNによってローカルIPを割り振れますので、通常の社内サーバーと同様に扱える点も魅力です。

 この、「巨大な単一リソースを切り分けてシェアする」クラウドに対比するように、「物理的に切り分けて管理をシェアする」サービスというのは、企業ニーズにうまく応えているのではないでしょうか。これなら、クラウドに及び腰だった中以上の企業にも訴求力がありそうです。

 ただ、物理的に専用ハードウェアを用意して管理する分お値段はずいぶんとお高くなっています。

参考価格は、構築および設定作業費用が7000万円(税抜き)、サポート費用が年間で構築および設定作業費用の18%(同)。

初期導入費用が税込み7,350万円で、年間1,323万円のランニングコストと。少なくとも「パーソナル」な金額ではないですよねえ。


米Yahoo!、ヤンCEOが辞任

2008-11-18 18:20:35 | Thinkings

 初期のドットコムバブルの立役者であるYahoo!に、大きな変革の産声が上がったかのようです。

 Yahoo!のMicrosoftへの買収交渉が進んでいたとき、株主からの買収へ応じる圧力を一身に受けつつも、かたくなにそれを拒否し続け、最終的にご破算へと導いた人物、ジェリー・ヤン氏がYahoo!のCEOを辞任することになりました。2007年6月の任命からわずか一年半の任期となりました。もっとも、Yahoo!を離れるというわけではなく、CEOの職を辞するだけのようですが・・・

ヤフー、ヤンCEOが辞任 NIKKEI.NET

 サンフランシスコ(ウォール・ストリート・ジャーナル)米ヤフー(Nasdaq:YHOO)は17日、共同創業者のひとりであるジェリー・ヤン最高経営責任者(CEO、40)の辞任を発表した。後任が指名され次第、CEO職を降りる。2007年6月にCEOに就任したヤン氏は、米マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)の買収提案を拒否するなど、波乱に満ちた短い任期を終えることになる。

 ジェリー・ヤン氏はYahoo!の共同創業者でありましたので、「自分の会社」という意識が強かったのでしょうね。しかし、その思いも株主の前には通じず、今回の引責辞任に至ります。下降を続けるYahoo!の株価ですが、MicrosoftのバルマーCEOの「買収には興味がない」発言によって引き起こされた暴落からは立ち直ったものの、相変わらず、3ヶ月前の半分で推移しています。

 今後のYahoo!の動きで注目されるのは、やはりMicrosoftとの合併があるのか、という点でしょう。新たなCEOに合併に前向きな人物がつくならば、もしかしたら交渉再開もあり得るかもしれませんが・・・Microsoftの意向次第で「どちらにしろ、遅すぎた」という結果も考えられます。Yahoo!の取締役会の中でも意見が分かれているようですし、今後の動きについては、しばらく出方を見る必要がありそうです。

 個人的な見解を述べますと、一度身売りを検討し、かつ相手先から見限られたYahoo!が、今後かつての勢いを取り戻すことは難しいのではないかと思います。一時代を築いたポータルサイトの雄にも、ひたひたと表舞台からの退場の時が近づいているでしょうか。


自動車の死角をなくす技術

2008-11-17 21:34:42 | Technology

自動車が足として使われ出してからずいぶんとたちますが、これまでに様々な部分で改良が進んできましたが、中でも注目されるべきことに安全面があります。たとえばシートベルトにエアバック、バックミラーやバックモニター、サイドミラーなど。これらは、事故の起こる確率を減らす、起きたときでも人を守るために考え出されたものです。今では、バックモニターはまだしも、今挙げたものが一つでも着いていない車に乗るのはいやですね。

 さて、いろいろと進化してきた車ですが、今にいたって未だ解決されていない問題があります。基本的に「中に乗って動かす」ものですから、どうしても「外装に遮られて見えないところ」が出てきます。つまり死角の存在です。
 思わぬところで思わぬところをぶつけてしまう原因になっていた死角ですが、それがある意味無くしてしまうかもしれない技術が公開されたようです。

富士通研、リアルタイムで立体的な車両向け全周囲モニタ実現技術を開発 マイコミジャーナル

今回の技術は、4つのカメラによる周囲の路面映像を撮影するところは同じだが、それをFPGAで1枚の全周囲画像に変換、その後、富士通マイクロエレクトロニクスのカーナビ・ダッシュボード向けLSI「MB86R01」を用いて、仮想立体曲面に仮想投影し、見たい視点からの映像に変換、ユーザーは感覚的に見たい部分を立体的に切れ目なく表示することができるようになるというもの。

 詰まるところ、一画面に前周囲の状況を、自然な形で映し出す技術です。魚眼レンズの様にゆがめて全周囲の映像をつなぎ合わせ、たとえば普通に走っているならば、前方を中心に左右を広げ、バックしているならば前から見ているように後ろ側を映し出すと行ったように、シーンによってリアルタイムで重点視界を切り替えることができるみたいです。

 これによって、たとえば大型トラックの巻き込み事故や、駐車場での事故が減るといいですけれどね。

 ・・・こぼれ話として。
 最初全周囲モニターと聞いたとき、一番最初に思い浮かんだのはZガンダム以降のコクピットでした。あの、球面の内側全部がモニターになっているアレです。なんだかんだ言って自分がガンダム世代だと言うことを思い知りました。


地デジ対応テレビが安くなる?

2008-11-16 21:03:11 | Technology

 2011年7月24日、地上アナログ停波まであと3年を切りまして、私の身近でもテレビについてぽつぽつと話が出てきています。当の私は、そもそもテレビをあんまり見ないのと、とりあえず自分用には確保してあるためのほほんとしていますけれど、今あるブラウン管テレビをもったいないと思う人にとってはそうも言ってられないようです。

 メイドインジャパンの家電はむやみに強固ですので、耐用年数を過ぎてからでも平気で使えるものを「地デジ見れないし」と捨ててしまうのは確かにもったいない。経済的な理由から買い換えられないという問題もあるでしょうし。
 そういう、「テレビを買い換えたくない」という需要に応えるには、やはり「外部チューナー」と使うのがスマートな解決方法でしょう。しかしながら、現在販売されている外部チューナーは1万~1万5000円程度。アナログテレビなら下手すると買えてしまう値段ですので、アナログも見える現時点ではあんまり手を出したくないですね。

 というわけで、デジタル放送の一層の普及には、やはり低価格のチューナー開発が急務。というわけで、そのチューナーの価格をぐっと下げる予定のLSIチップを、NECが販売した模様です。

NECエレがチューナー用低価格LSI アナログTVも地デジ身近に FujiSankei Bussiness i

 NECエレクトロニクスは14日、テレビにつないで地上デジタル放送を視聴するチューナー(受信機)向けに低価格のシステムLSIを開発し、サンプル出荷を始めたと発表した。来春から量産する。これにより、従来の半値以下となる5000円程度の格安チューナーが製品化できるとみられ、ブラウン管テレビでも低コストでデジタル放送を楽しめるようになる。

 価格を半分に落として5000円程度。1万円を大きく割り込むのは、消費者の心理的障壁を取り去るのに非常に効果的だと思いますので、これによってデジタルチューナーの普及が増えるといいですね。ただ、データ放送は受信できないそうですので、地デジ対応の薄型テレビの方は限定的な影響にとどまるでしょう。20インチ以下の二台目需要向け下位機種においては価格下落の恩恵を受けられるかもしれませんが、ミドルレンジ以上の機種となるとあまり影響が無いと思われます。

 では、このチップが市場に出回ることでチューナーの値段が下がったら買いか?と言うことですが、「もうちょい待って」というのが正解かなと思います。
 今、独占禁止法も絡む形で「B-CASカード不要論」が盛り上がってまして、カードが廃止されますと、リーダー周りのハードウェアとB-CASカードのライセンス料が不要になりますのでさらに1000円~2000円値段を下げる余地があるかな、と。

 そんなわけで、今アナログテレビを使ってみえる方については、「ぎりぎりまで待って見極める」方向で行くのが吉かと思います。「ブラウン管の大量廃棄問題」?そんなことは知ったことじゃないですね。簡単に予想できることですから、頭のいい人たちがきっと何とかしてくれますよ。・・・その「何とかする方法」が「リサイクル料の値上げ」じゃないことを祈りたいですが。


ハッカーへのアナログなおとり捜査

2008-11-15 20:07:18 | Crime

 自慢のハッキングテクニックを誇示することで就職の道を開こうとしている方にはバッドなニュースです。

 自国内の企業に対して行われた犯罪であっても、外国在住の場合はなかなか逮捕することは難しいです。しかも、それがネットワークを介して行われたことだとなおさらですが・・・。しかしながら、自国の利益を守るために最大限の努力をしなければいけないFBIは、あるユニークな方法でハッカーをおびき出し、逮捕することに成功した模様。

米国企業から外国のハッカーに熱烈な求人メール、実は米国内に誘い出すためのFBIによるおとり捜査 technobahn

米国内でハッキングなどのセキュリティー犯罪を犯しながらも米国外に居るため検挙ができない容疑者に対して、「あなたの才能をぜひ我が社で活かしてください、渡航費用は全て会社持ちで、高給を保証します。米国の本社でお待ちしております」とするメールで言葉巧みに容疑者を米国まで渡航するように誘い出し、実際に旅客機で渡米して米国内に降り立つと捜査官が逮捕してしまうという新手のおとり捜査の手法をFBIが国外のハッカ-犯逮捕などに利用していたことが13日までに、このおとり捜査で逮捕された容疑者の裁判の公開資料から明らかとなった。

 適当な短さで記事を抜き出そうとしたんですが、一文が長いこと!要約すると、ハッカーに好待遇なヘッドハンティング話を持ちかけ、誘いに乗ってアメリカの空港に降りたところで逮捕するというもの。ハッカーの自尊心をくすぐり、かつ好待遇をえさにした、実に人間心理をついた作戦ですね。

 確かに、ゲーム業界がハッカーに対して、「字社のセキュリティ防衛のためのスタッフになって欲しい」という求人の仕方はありそうな話です。また、話を聞くだけ聞いて蹴るにしても、渡航費用は向こう持ちですから米国観光でもして帰るか、という軽い気分でいけますからね。「俺もアメリカンドリームを実現したぜ!」とガッツボーズをとってワクワクしながら渡米したら、空港で一転、お先真っ暗に・・・犯人の思考を想像すると、何というか短編映画が一本できそうな感じですね。ハリウッド好みのハッピーエンドではないですけれど。

 うまい話には裏があるってことですね。調子のいい勧誘の電話には乗らない方が良さそうです。


クラウドでセキュリティ・・・流行る?

2008-11-14 23:59:59 | Technology

 最近はソフトウェア側の進化・・・というよりもリソースの食い方よりハードウェアの進化が先行していますので、そこまで不便を感じることは無いのですが・・・いや、やっぱり全項目調査などの時はあるかもしれません。
 何の話かと申しますと、もちろんセキュリティソフトの話です。常に常駐して監視を行っているセキュリティソフトは、環境によっては深刻なお荷物になることがありますので、今年・・・2009年度版のトレンドは「軽さ」がフォーカスされているような印象を受けますね。

 ただ、検索プログラムからパターンマッチングのためのデータベースまでをすべてクライアントで持っている現在のシステムの場合、常に一定のリソースを消費し続ける関係上、処理を軽減するのにも限界があります。

 その打開策として、トレンドマイクロが考え出したのがクラウドによるセキュリティソフトの提供でした。平たく言えば、処理の半分以上をトレンドマイクロのサーバー上で請け負うことで、クライアントの負担を軽減しようというものです。

パターンファイルを雲の上へ、トレンドマイクロが新技術基盤を発表 Enterprise Watch

 Smart Protection Networkは、パターンマッチングと複数のレピュテーション技術を組み合わせてさまざまな脅威に対応する新しいセキュリティ技術基盤。特徴は、従来のパターンファイルのうち、ヒューリスティックなどのプログラム型パターン以外の約75%を、トレンドマイクロのデータセンターに移行して管理する点。怪しいプログラムをダウンロードしたときなど、危険性が疑われる場合は、クライアント上のエージェントからデータセンターに問い合わせを行うことでパターンマッチングを行う。

 特徴としては、パターンファイルの大半をトレンドマイクロのサーバーで参照することにより、クライアント側には最小のデータをインストールすればすむこと。それによりパターンファイルのアップデートの必要がなくなることが挙げられています。気になるファイル検索の方法は、

  疑わしいファイルを検索するには、まずクライアント上のパターンファイルを参照し、必要に応じてデータセンターに問い合わせを行い、不正かどうかを判定する。問い合わせに使うのは疑わしいファイルの「ハッシュのようなもの」(代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏)。送受信するデータ量は片道平均で約 300バイトと小さいため、帯域の狭いネットワークでも問題はなく、不正プログラムの発見から駆除までに必要な時間は約500ミリ秒で済むという。

となっていますが・・・

 ここで不安な点は2点。

1.このご時世、サーバーにデータを渡していいものか
2.1ファイル0.5秒もかかっていて全件検索をやったときにはとんでもない時間がかかるが

 1は、個人情報保護とか情報統制が叫ばれている中、果たして外部に「ハッシュのようなもの」とはいえデータを送ることによって情報漏洩が起きないかということ。・・・クラウドサービス全般に言えることですけどね。仕事上重要なファイルを別企業のサーバーに置いてい置くリスクを考えると、なかなか選択しがたいように思うのですが。

 2は単純に時間の問題です。
 今、私のWindowsフォルダのプロパティを開いてみたのですが、10ギガを超える60,000ものファイルが存在しています。これに対して1ファイルにつき500msの時間をかけたとすると、単純計算で8時間以上・・・コーポレートユースにおいては確かに全件検索はあんまりやる機会は無いと思いますし、駆除までの時間と言っていますので単純検索の場合はもうちょっと短いのかもしれませんが・・・全件検索を要求される今の個人ユースの形態ですと、ちょっとやってられないですねえ。ネット検索サービス程度の時間ですむならば、なんとか我慢できそうですが。

 ここのPCにおいてかなりリソースが潤沢に使えるようになった今、ネットワークとの接続が制限されるコーポレートユースにおいては確かにパターンファイルの更新が必要なくなるのはメリットかもしれませんが・・・いや、クラウドを使う以上は常にネットワークとつながっていなくてはいけないわけで、矛盾してるよなあ・・・正直なところ、流行るかどうかわかりませんが、それなりの大きさの企業ならば、企業内にサーバを置く今の形で問題ないんじゃないかと思いました。

 ・・・つか、何でもかんでもクラウドのトレンドに乗ることが本当に必要だとはとても思えないです。猫も杓子もインターネットとかWeb2.0とか、携帯がPCに取って代わるとかという話と非常によく似ているので、すぐに飛びつかずにしばらく静観するのが吉だと思いますよ。


(PRODUCT)REDを知っていますか

2008-11-13 22:33:49 | Thinkings

 このほどデルから、トップカバーをアーティストデザインのものにした、特別なノートPCが発売されました。hpもそうですけれど、従前から続くソリッドかつシンプルなデザインとは一線を画した斬新なデザインを採用することが増えていますので、今回のものもその一環かと思われましたが、今回のデザイナーズエディションの販売には、もう一つの意図があった模様です。

デル、(PRODUCT)REDブランドで海外アーティストデザインのトップカバーを発表 CNET

 デルは、(PRODUCT)REDブランドのもとでPCや周辺機器を製造販売するパートナー企業。Dell(PRODUCT)RED デザインのPCが1台購入されるごとに、同社から20ドルの支援金が寄付される。

 この(PRODUCT)REDですが、デルに先駆けてAppleもパートナーとなっています。真っ赤なiPod nanoやshuffleを見たことがある人もいるかと思いますが、それがそのモデルです。

Apple (PRODUCT) RED Special Edition

 で、そもそも(PRODUCT)REDはどんなものかと申しますと、

民間企業から世界エイズ・結核・マラリア対策基金への持続的な資金の流れをつくる寄付の仕組みです。

ホームページにかいてあります。実際には主にアフリカのエイズ対策に使われるようです。

 この活動のユニークなところは、企業や個人が単純に寄付をするのではなく、(PRODUCT)REDというブランド名を冠した商品を企業が企画、販売し、売り上げの一部を寄付するという流れであることです。これによって商品展開の時点でもPRになりますし、企業だけでなく個人も、間接的に活動に関わることができるわけです。より多くの人を単純に巻き込むという点においては、企業にとっては商品展開の一助に、個人にとっては気軽に参加できるという点でナイスなアイディアではないでしょうか。

 ところで、Wikipedia財団も寄付を求めているのをご存じですか?

 ウィキメディアをご支援ください!

 ここで思ったんですけれど、Wikipediaについても同じようなスタンスで寄付金を集めることってできないものですかね?世界規模のナリッジデータベースを維持するためにパートナー企業を募るのもいいと思うのですが・・・企業が絡んでくると、記事の内容にも絡んでくるし、いろいろ難しいからダメっぽいかなあ。個人的にはWikipediaのロゴが入ったステーショナリーとかがあったら喜んで買いますけど。


ローマ字についてのちょっとしたコラム

2008-11-12 19:58:52 | Thinkings

 日本語と言えば、仮名漢字交じりの、今まさにここにあるような表記方法が一般的。しかしながら、キーボードから入力する場合、この表記方法を”直接”書き表そうとするとそれなりに手間がかかります。そのために使われるのがカナ入力、そしてローマ字入力となります。元々プログラム目的でPCを使い出した私にとっては選択肢なんて無いに等しかったですが、覚えるキーが少なくてすむローマ字入力は、非常にスタンダードな入力方法になっています。 

 ローマ字でもカナでもいいですが、ひらがなをそのまま入力していくこの方式に無くてはならないものが「変換」という作業。日本語には1,945字の常用漢字がありますが、JISコードによって規定されているのは6,355字。つまり、日常的に目にするものだけで2,000字を超える漢字があり、その他を含めれば、整理されたとはいえ6,000文字以上の漢字を目にする機会があると言うことです。
 アルファベットの26文字に比べればとんでもなく多い漢字ですが、日本語を簡潔に、意味を損なわずに書き記すためには無くてはならないものです。

 しかしながら、昔の人の中にはそう思わなかった人もいるんですよねぇ・・・

 明治のはじめ、そしてGHQの占領政策のさなか、「漢字を廃止してローマ字(カタカナ)をつかおう」という一派が結構な勢力を持っていたのです。明治初頭は、国全体が「西洋かぶれ」になっていた時代でして、

「国際化の波に乗り遅れないよう、習得の困難な漢字を廃止してローマ字にしよう」

という運動が起こりました。矢田部良吉、外山正一といった人が作った「羅馬字会」というところが最大勢力だったようですね。しかしながら、ローマ字を制定していく過程で生まれた「ヘボン式ローマ字」と「日本式ローマ字」の二つの綴り方双方の支持者が分かれることで、会は分裂。その後、ローマ字表記について内閣から「訓令式ローマ字」と呼ばれる新たな表記が出されるも、二つの会派は歩み寄ろうとしません。そんなことでは普及も進むはずもなく、新たな動きとしては戦後を待たなくてはなりませんでした。

 というのも、戦後、GHQは占領政策の一環として

「識字率を向上させ、民主化を進めるために、習得の困難な漢字を廃止してローマ字にしよう」

という政策をとりかけたのです。そのときにローマ字論者の歓喜はいかばかりか想像に難くありませんが、その後の調査で日本人の識字率が高いことがわかり、この政策を撤回しています。
 その後、二つの会派は融和に転じ、今に至りますが・・・まあ、ローマ字が漢字に取って代わることが無かったのは現状の通りです。

 ちなみに、「漢字を廃止してカタカナをつかおう」という「カナモジカイ」なる団体もそれなりに大きな勢力を誇っていました。戦後の国語改革において国語審議会での一大勢力となっており、先に出てきた常用漢字の前進である「当用漢字」も、漢字を全廃する前段階として同審議会が制定したものだったのです。

 しかしながら、ローマ字論、カナモジ論双方に対する議論はあっけないほど簡単に終演を迎えます。

 1966年、中村梅吉文部大臣は

「今後のご審議にあたりましては、当然のことながら国語の表記は、漢字かなまじり文によることを前提とし、……」

と、双方の思想家たちをばっさり切り捨ててしまったのです。「当然」とまで言っていますしね。これにより、ローマ字、カナモジ両論の研究は一気に熱が冷めていきました。日本の漢字表記は夢想家たちの手から守られることとなったのです。

 しかしながら、ローマ字論者の研究は無駄ではありません。彼らの研究により、今PCで使われているローマ字入力の規格の礎ができたわけですからね。えーと、カナモジカイは・・・

 さて、二つに分かれたローマ字論者は今も二つの団体として残っていますが、その中の「財団法人日本ローマ字社」という団体のホームページにおいて、「もし日本語がローマ字表記になっていたら」というif体験をすることができます。要するに、全部ローマ字で書かれているんですね。
 一度そのホームページを訪れてみるとよくわかると思いますが、まだ英語であった方が読みやすいんじゃないでしょうか。読んでいくのにとんでもなく時間がかかりますし、意味をとるのも一苦労です。これが採用されていたらと思うと正直ぞっとしませんが・・・1966年で駆逐されていて本当によかったと思いますよ、個人的には。

Zaidan- hôzin Nippon-no-Rômazi-Sya (NRS)


さよならWindows3.1

2008-11-11 20:24:21 | PC

 私は95年に速攻でWindows95に乗り換えていますので、とっくの昔にさよならは済ませたんですが・・・

 むしろ、まだ新規需要があったことが最大の驚きだと思います。Windows3.xの新規ライセンス発行が、2008年11月1日、とうとう停止されたようです。1990年5月22日にWindows3.0が発売されてから実に18年5ヶ月10日を経て、その歴史に一応の幕を下ろすことになります。

Windows 3.Xシリーズ、18年の歴史に幕を閉じる GIZMODO

2008年11月1日。米マイクロソフトはとうとうWindows 3.x の新規ライセンス発行を停止し、その18年という歴史に幕を閉じました。

 なんでも、POSレジや航空会社の座席用システムに使われていたとか。世に出た当時はヘビーなシステムでしたが、今となっては組み込みもかくやという超軽量OSとして、割と広く使われていたようです。・・・昔のバイト先のPOSレジはWinodwsNTでしたね、そういえば。

 せっかくなので、歴代のコンシューマー用Windowsの必要スペックを表にまとめてみました。

CPU メモリ(推奨) HDD
Windows3.1 8086(10MHz) 640KB 7MB
Windows3.1(PC-98xx) 386SX(16MHz) 3.6MB(4.5MB) 80MB
Windows95 486SX(16MHz) 8MB(12MB) 75MB
Windows98 486DX(66MHz) 16MB(32MB) 200MB
WindowsMe 150MHz 32MB(64MB) 250MB
WindowsXP 300MHz(600MHz) 128MHz(256MHz) 2.1GB
WindowsVista Capable 800MHz 512MB 20GB
WindowsVista Premium Ready 1GHz 1GB 40GB
※WindowsXPのCPUの欄の()内は推奨

 改めてみてみますと、3.1とVistaの推奨スペックは、CPUのクロックで100倍、メモリで1638.4倍、HDDの容量では5851倍の開きがあります。インフレもいいところですね。OSがこれだけリッチになるに従って、周りのソフトウェアやハードウェアでできることもどんどんと進歩していることは実感してはいますけれど、改めて数字を見てみると、単位が全部変わっていますもの・・・ドッグイヤーとはよく言ったものです。

 逆に言えば、そんな骨董品が今までずっと使われてきたと言うことは、シンプルなシステムの需要というやつはなかなか無くならないと言うことですよね。周りを見回してみると、案外そういうレガシーなシステムが、身近なところで使われているかもしれませんよ。

 余談ですが、各Windowsの必要スペックを調べる過程で、今まで自分が使ってきたPCのことを何となく思い出しました。案外忘れてるものだとも思いつつ、何とも言えない懐かしさがこみ上げてきましたよ・・・


ホンダの新しいロボットは・・・椅子型パワードスーツ?

2008-11-10 20:38:53 | Technology

 人型ロボットと聞いて思い浮かべるのは人それぞれだと思いますけれど、「現実に存在する」という一言を添えるなら半分くらいは「ああ、ASIMO?」と答えるのではないでしょうか。一部実用化も進んでいる同社のロボット技術ですが、今度はまた、ちょっと別の形で世に出てきたようです。

ホンダ、「体重支持型歩行アシスト」の記者会見を開催~まずは業務支援用として検証を開始 ROBOT Watch

 11月7日、本田技研工業株式会社は「体重支持型歩行アシスト」装置の試作機を初公開した。「体重支持型歩行アシスト」は小型シートのついた両脚型のデバイス。使用者(自力歩行できる人)の体重を支えることで、歩行・階段昇降・中腰動作をするときの脚の筋肉、関節(股関節、ひざ関節、足首関節)の負担を軽減する。

 今回発表されたロボットは、まさに「足のはえた椅子」と言った表現がぴったりくる、ちょっと異色のもの。機能的には、歩く、階段を上る、中腰になるといった日常の動作を手助けするもので、バランスとるなどの基本的な動作は、ほぼ人間がやることになります。
 アシストによって軽減されるのは、立った状態で3kg、中腰で9kgとのこと。たったこれだけ?とも思いますけれど、両手に5kgのダンベルを持った状態で中腰になってみると、それなりの効果が見込めることがわかのではないでしょうか。

 ただ、慣れないうちはやはり違和感があるとか。

歩き回ってみたが、馴れない機器を装着しているせいか、自分自身が足を普段より大きく、かつガニ股気味になってしまっているのが分かる。階段を昇降してみてもそれほど不自由はないが、見ていると手すりをつかんで歩いている人が少なくなかった。それだけ違和感があるということだ。

 今回の機器のターゲットは、中腰での作業が多い作業者や、足腰の弱くなった高齢者に設定しているとのこと。歩く・・・というよりも、自分で自由に動き回れるというのは本当に大事なことです。私は、以前二回ほど入院をしているのですが、そのときにいやと言うほど思い知りました。
 日本のパワードスーツは、軍需用途とは一線を画した、いわゆる「弱者のためのもの」という印象を強く受けます。今後、このような技術によって、誰も血を流さずに、一人でも多くの人が自由に歩ける日々を取り戻せたら、それはとても大きな意義があると思います。願わくば、軍需転用とかされないといいですけれどね。