最近はソフトウェア側の進化・・・というよりもリソースの食い方よりハードウェアの進化が先行していますので、そこまで不便を感じることは無いのですが・・・いや、やっぱり全項目調査などの時はあるかもしれません。
何の話かと申しますと、もちろんセキュリティソフトの話です。常に常駐して監視を行っているセキュリティソフトは、環境によっては深刻なお荷物になることがありますので、今年・・・2009年度版のトレンドは「軽さ」がフォーカスされているような印象を受けますね。
ただ、検索プログラムからパターンマッチングのためのデータベースまでをすべてクライアントで持っている現在のシステムの場合、常に一定のリソースを消費し続ける関係上、処理を軽減するのにも限界があります。
その打開策として、トレンドマイクロが考え出したのがクラウドによるセキュリティソフトの提供でした。平たく言えば、処理の半分以上をトレンドマイクロのサーバー上で請け負うことで、クライアントの負担を軽減しようというものです。
パターンファイルを雲の上へ、トレンドマイクロが新技術基盤を発表 Enterprise Watch
Smart Protection Networkは、パターンマッチングと複数のレピュテーション技術を組み合わせてさまざまな脅威に対応する新しいセキュリティ技術基盤。特徴は、従来のパターンファイルのうち、ヒューリスティックなどのプログラム型パターン以外の約75%を、トレンドマイクロのデータセンターに移行して管理する点。怪しいプログラムをダウンロードしたときなど、危険性が疑われる場合は、クライアント上のエージェントからデータセンターに問い合わせを行うことでパターンマッチングを行う。
特徴としては、パターンファイルの大半をトレンドマイクロのサーバーで参照することにより、クライアント側には最小のデータをインストールすればすむこと。それによりパターンファイルのアップデートの必要がなくなることが挙げられています。気になるファイル検索の方法は、
疑わしいファイルを検索するには、まずクライアント上のパターンファイルを参照し、必要に応じてデータセンターに問い合わせを行い、不正かどうかを判定する。問い合わせに使うのは疑わしいファイルの「ハッシュのようなもの」(代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏)。送受信するデータ量は片道平均で約 300バイトと小さいため、帯域の狭いネットワークでも問題はなく、不正プログラムの発見から駆除までに必要な時間は約500ミリ秒で済むという。
となっていますが・・・
ここで不安な点は2点。
1.このご時世、サーバーにデータを渡していいものか
2.1ファイル0.5秒もかかっていて全件検索をやったときにはとんでもない時間がかかるが
1は、個人情報保護とか情報統制が叫ばれている中、果たして外部に「ハッシュのようなもの」とはいえデータを送ることによって情報漏洩が起きないかということ。・・・クラウドサービス全般に言えることですけどね。仕事上重要なファイルを別企業のサーバーに置いてい置くリスクを考えると、なかなか選択しがたいように思うのですが。
2は単純に時間の問題です。
今、私のWindowsフォルダのプロパティを開いてみたのですが、10ギガを超える60,000ものファイルが存在しています。これに対して1ファイルにつき500msの時間をかけたとすると、単純計算で8時間以上・・・コーポレートユースにおいては確かに全件検索はあんまりやる機会は無いと思いますし、駆除までの時間と言っていますので単純検索の場合はもうちょっと短いのかもしれませんが・・・全件検索を要求される今の個人ユースの形態ですと、ちょっとやってられないですねえ。ネット検索サービス程度の時間ですむならば、なんとか我慢できそうですが。
ここのPCにおいてかなりリソースが潤沢に使えるようになった今、ネットワークとの接続が制限されるコーポレートユースにおいては確かにパターンファイルの更新が必要なくなるのはメリットかもしれませんが・・・いや、クラウドを使う以上は常にネットワークとつながっていなくてはいけないわけで、矛盾してるよなあ・・・正直なところ、流行るかどうかわかりませんが、それなりの大きさの企業ならば、企業内にサーバを置く今の形で問題ないんじゃないかと思いました。
・・・つか、何でもかんでもクラウドのトレンドに乗ることが本当に必要だとはとても思えないです。猫も杓子もインターネットとかWeb2.0とか、携帯がPCに取って代わるとかという話と非常によく似ているので、すぐに飛びつかずにしばらく静観するのが吉だと思いますよ。