Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

マイクロソフト、アンチウイルスソフトを無償提供へ

2008-11-20 19:30:54 | Thinkings

 マイクロソフトがOneCareを出したあたりから・・・いやセキュリティベンダーの買収をしたあたりから言われてきたことが現実になってしまいました。シマンテックよ、トレンドマイクロよ。あなた方の懸念は正しかったけれど、今回のマイクロソフトの決定を頭ごなしに否定するのはかなり筋違いになりそうです。

米Microsoftが来年にも無料のマルウェア対策機能を提供開始 INTERNET Watch

 米Microsoftは18日、2009年後半にもコードネーム「Morro」と呼ばれるマルウェア対策機能を無料で提供することを発表した。
 -中略-
 「Morro」では、核となるマルウェア対策機能のみが提供され、Windows Live OneCareで提供していたパフォーマンス向上ツールやデフラグ、バックアップ復元ツールなどの機能は含まれない。

 状況を整理してみましょう。
 マイクロソフトが提供するのは、ウイルスやスパイウェアなどに対応するウイルスセキュリティのみ・・・ですけれど、Windows Diffenderと組み合わせると、ファイヤーウォールとウイルスセキュリティの両方を備えた最低限のセキュリティスイートを「Windowsだけで」完結させることができます。

 そして、なぜこれを、「セキュリティベンダーの批判」や「訴訟リスク」を踏まえても導入する決断をしたかといいますと、「セキュリティに金を払わない人が多い」という点につきるでしょう。

 先進国の60%以上の利用者と新興国の多くの利用者が、最新版のセキュリティ保護機能をPCに装備していないことを挙げた。

 とマイクロソフトも述べていますけれど、「一般ユーザーにセキュリティ意識を期待してはならない」・・・というのがここ何年かの状況を見てきた私の実感です。それらのユーザーのマシンが、スパムの踏み台やボットネットの一部、マルウェアの感染源になることは、マイクロソフトにとってみれば顧客を危険にさらすことに他なりませんので、売り物を無償に買えて、マーケットを踏み荒らすことになっても必要な措置だと考えたんでしょうね。

 しかしながら、今回提供されるのはあくまで最低限のセキュリティスイートですので、それ以上の機能、たとえばネットワークからの秘匿とか迷惑メール対策、きめ細かなネットワーク管理などが必要ならば・・・つまり、メインで使っているPCには従来通りのセキュリティスイートを使った方が良さそうです。そういう意味でトレンドマイクロやシマンテックとは競合しないというのは正しいのではないでしょうか。・・・もともと彼らの製品を定期的に更新し続けている顧客はセキュリティ意識も高いでしょうからね。

 というわけで、Morroのリリースを本当の驚異に感じるのは、マルウェア業界と低価格路線のセキュリティベンダーではないでしょうかねえ。マルウェア業界にしてみると、野放しのPCが確実に削られる訳ですし、更新料無料のセキュリティスイートが売りの某ベンダーのソフトウェアとか壊滅的な打撃を受けるのではないでしょうか?

 いずれにせよ、世のクラッカー達が住みにくくなる世界は非常に喜ばしいです。リリースが楽しみですね。



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