CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】あちらにいる鬼

2019-10-07 21:35:47 | 読書感想文とか読み物レビウー
あちらにいる鬼  作:井上 荒野

芥川賞向けの内容と、個人的には思ったのでありましたが、
男女の情念を描いた作品でありました
あまりに重い、なるほど、すごい、愛を描いていると
納得というか、深く感じ入る物語でありました
実録なのか、あの瀬戸内寂聴さんを題材にとって、
愛するということに肉薄していく内容が
まぁ、なんとも、重くのしかかってくるようでありました

タイトルの鬼というのは誰なんだと、
読み終えて、ひょっとして、すべての人がそうなのかと
思っていたんだが、どうも、そうではなく
主人公の一人である白木という男のことだそうで、
確かに鬼ともいえるが、
そこに群がる女たちもまた、鬼ではないのかしらと
感じたりしたのであります

あるモテる男をめぐって、様々な女が懸想しては、
惚れた晴れたを繰り返していくという
ある種他愛のない話なんだが、
それぞれの女たちの言い分と思い、
そこに違いのある女が二人
正妻と愛人といったものが、どうしてそうであったか
その特別なところもわかるようだが、
その、特別なという感覚は
また、さしたることもなかった他の女たちも
皆自分だけはと思っていたそれなのではないか、
本当に違っていたのだろうか、
思わされたりして、そこに右往左往する姿、
焼かれていくように、さめざめと感情にさらわれていく感じが
よい言い方が思いつかないけども、
女ということを露悪的に描いているようにも読めて
驚愕というか、息をのんだのでありました

ほとんどが実話なんだそうで、すごいことだなと
あきれるほどだったのでありますけども
確かに愛というそれについて
ものすごく詳しいというか、それを体現して生きた人なんだと
女たちを見て思うのであった