ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




昨日、映画「EARTHLINGS」について触れられたコメントを頂きました。ありがとうございました。

「earthling(アースリング)」とは、One who inhabits the earth.=地球に生息するもの」

僕たち人間を含む、動物たち全ての生物のことを指す言葉です。

 

この映画は、動物たちが、ペットとして、食べ物として、皮などの衣服として、またサーカスなどのエンターテイメントとして、そして実験の材料として、

 

・・・かくも残虐に扱われ、殺されているかを描いたドキュメンタリー映画です。

僕たちが普段、当たり前のように口にし、手にしている肉や皮製品などは、いったいどこから、どうやって来たものなのか。

 

あまりに衝撃的な映像とは対照的に、淡々と語られるナレーションはホアキン・フェニックスが担当しています。あの「スタンドバイミー」で有名になったリバー・フェニックスの弟ですね。リバーは残念ながら早くして他界してしまいましたが。

ホアキンは役者として好きで、彼の映画は何本も観ていますが、結構マッチョな体つきだったりしたこともあり、完全なベジタリアンだとは知りませんでした。もっとも、ベジタリアンでなければ、この映画のナレーションは出来ないかもしれません。

 

予告編を観て、途中で「うわ」って、思わず声が出ました。そして、二回ほど映像を止めてしまいました。勿論、まじまじと見るためではありません。続けて先を観るのが怖くなったからです。

 

しかし、結局最後まで予告編を見、その後映画本編も観ることにしました。

 

僕は時々ホラー系の映画なども観ますが、それがどんなに生々しくても、絶対に作り物だと分かっているから、つまり、むしろ一番非現実的な映像で、現実にはありえないことだから、と、どこかで思っていられるから観ていられるのです。どんなに怖くても、「これは映画だし」と。お化け屋敷みたいなものです。いや、勿論それがダメな方が沢山いらっしゃるのは百も承知ですが。でも、僕がジェットコースターが全然ダメなように、あくまで作り物の中での選択肢の問題ともいえます。

戦争の映像は、これは本物です。残虐で、痛ましい。過去のもののみならず、海外のニュース映像でみる今日の戦争の映像はとてもショッキングです。同じ地球で、今、行われている現実・・・。血を流した人々。泣き叫ぶ人々。人に殺された人々。人を殺す、人々。勿論、戦争には反対です。積極的に戦争がしたい人など、一般的にはまずいないでしょう。身の安全が脅かされるのですから、怖くないはずがありません。

しかし、戦争の中で銃を構えている人は、なぜ誰かに銃を向けているのか。それは当の本人からしたら「だって、僕が殺されるかもしれないから」という理由があるわけですよね。

戦争自体の是非は今は置いておかせて下さい(もちろん、立場は『反対』です。できるなら、この世からなくなって欲しいです)。でも、僕にしたところで、自分が殺されると思ったら、歯向かうことだってあるでしょう。それは否定できない事実です。大切な人たちや大切な土地を守るために、誰だって戦うことがあるかもしれません。正義が当人には存在しているかもしれない、と思えることが、戦争の映像やニュースを見、どこかで受容しているときの、唯一の精神的なのりしろだったりするのです。

 

しかし・・・

 

この映画で流される痛ましい血は・・・自分の中で、理由付けがどうしても出来ない。納得がいかないのです。合点がいかないのです。どこかでは分かっていたことのはずなのに、あれ、何かおかしいぞ、って。

 

最初から最後まで、頭を手で支えていなければいられないくらい、精神的のみならず、肉体にまでズシンとくる、重たい映画でした。今まで観た映画の中で、一番重たかったかもしれません。

 

「なぜここまでする?ここまでできる?」

 

と、自分が『肉を食べ、革製品を身に着けている』くせに、思うのです。

 

僕は、たぶんベジタリアンにはなれないと思います。

 

でも、感謝の気持ちは、絶対に今までよりも強く持とうと思いました。ありがたく、勿体無くないように。

 

しかし、それでも「こんなやり方って」とは思いました。同じ命を分けてもらう行為にしても、あまりに尊敬がない。同じ生き物なのに、動物に尊厳を認めていなさすぎる。人間が身勝手で残酷なのにも・・・ほどがあるだろう、と。

いつかもしも、これらの動物のうちのどれかが、人間にとって変わる時がきたら、

人間は、どうなるかな。これ、「よくも」って、復讐されるんじゃないか、って本当に思いました。泣いて叫んで・・・でも、言葉が通じなくて。逆の立場だったら、僕なら耐えられないと思います。恐ろしいです。本当に、めちゃめちゃ怖い。痛い。辛い。

いや、彼らには人間ほど残虐なことは、きっと思いつかないでしょうけれども。常に優しいから。人間と違って。

 

この映画は、2006年にアメリカで公開されましたが、日本では公開されていません。その理由は・・・映画を観ればわかるものですが、でもこれはアメリカでは公開されのだ、ということを考えると、日本では・・・なにがしかの圧力があったのかな、と勘ぐってしまいます(アメリカはメチャクチャなこともしますが、自国を告発することにも寛容な国ですからね。そこは日本とちょっと違うところではないでしょうか)。

 

絶対に観た方がいい、とは申しませんが(ってか、そんなこと言えません)、いつか、もしかしてあなたにとって「その機会」が、「その日」が訪れたら、

 

観ておいてもいい映画かもしれません。

 

 

 

映画を観終わってキッチンへ行き、ふと見上げると、先日買った「たこ焼き器」の箱がありました。そして思ったんです。

「・・・これ、たこにとってみたら、とんでもなく恐ろしいマシンなんだろうな」、と。

たこ自身がたこ焼き持って笑ってるイラストが描かれてるんですよ。シュールというか、この映画を観た後だったからですが、考えようによってはちょっと悪趣味だよなぁ、とも思いました。

 

人間焼き器とかあったらって、考えてみたら・・・。切り刻んで、クルクル丸めて「うめー」とかって、・・・なんか、僕たちはすごいことしてるんだなって。いや、もうほんと、そんなことばっかりなんですよね。

 

感謝して、頂きます。本当に、ありがとうです。

 

以下、本当に衝撃的です。貼るかどうか迷いましたが・・・ここまで書いた以上。どうか、ご自身の判断でご覧下さい。お願いします。

日本語による映画の紹介があるサイト こちらには、ショッキングな映像は”クリックしない限り”ありません。どんな映画かの解説がありますので、よろしければ一度読んでみていただければと思います。

EARTHLINGS」公式ページ。こちらはタイトル画面内で自動的に予告編が始まりますので、くれぐれもご注意を。

映画本編(約95分)日本未公開の為、英語ですが、おそらく映像をご覧になるだけでも、内容は伝わると思います。僕もナレーションが何を言っているか、正確になんて全然わかりませんでした(普通の会話の英語とは違って、結構難しい英語ではないでしょうか)。でも、映像だけでもどんなことを伝えようとしているのか、想像がつくように作られていると思います。「人間だったら何が行われているのか誰にでもすぐにわかる映像」の連続だと思いました(だからと言って理解はできないかもしれませんが)。また、字幕もありますので、どうしても気になるところは止めて辞書を引く事もできます。

 

Pain is pain.

「痛みは、痛みである」

当たり前ですが、とても印象にのこった言葉です。

 

「匂いを感じたり、目が見えたりするのと同じように、動物は痛みも感じるのだ。彼らは我々よりも知能が低いのだから痛みも感じないだろう、と思うのは間違いで、痛みは痛みなのだ」

そして、

「もしかしたら、痛みの感覚が人間よりも発達している動物だっているかもしれないのだ」 

とも。

 

映画の中の動物たちの痛み、苦しみ。想像を絶します。

そしてそれは、我々人間が”自分たちの為に”与えている痛みであり、苦しみなのですよね。

 

では。



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