ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




「ダイヤモンドは永遠の輝き」

誰しも聞いた事のあるコピーだと思いますが、これはマーケティングの歴史上、最も成功したキャッチコピーの一つなんだそうです(物凄く高い効果を上げたコピー、ということです)。

しかし、これは単なるダイヤモンドの宣伝文句ではありません。人々に「ダイヤって永遠のものだから」っていうイメージを定着させるためのコピーだったんだそうです。

どういうことかと言うと、ダイヤモンドがどんどん転売されたりして中古市場に出回ると、ダイヤモンドの価格自体が下落します。価値が下がります。なので、これを防ぐためのコピーだったんです「なんたって、永遠の輝きなんだからさ、手放さずにずっと持っていてね」という・・・とある企業の思惑による、巧妙なコピーなんですね。

そもそも、なんで世の中は「ダイヤ、ダイヤ!」って言ってるんでしょうか?なんでこの鉱石が、こんなにも高級品であって、富のステータスシンボルであって、異常なほどの価値のあるものになっているんでしょうか?なんで給料の三か月分も支払って、この石をプレゼントすることが「良し」であったり、もはや当然の事のようになっているんでしょうか?なんで世の女性たちは皆、こんなにもダイヤをありがたがり、目を輝かせて、欲しがリ続けるのでしょうか。

 

約120年前に設立されたその会社は、「デビアス」と言います。南アフリカに本社があります。きっとお聞きになったこと、ありますよね?イギリス人のセシル・ローズという人が作りましたが、その資本はユダヤ人財閥が出しました(実際、現在でも世界のダイヤモンド業界はユダヤ人が相当な割合を握っています。ユダヤ人の国でありますイスラエルから日本への輸出品の7~8割がダイヤモンドだとも言われています)。

そのデビアスという、ダイヤモンドの採鉱、加工、流通、卸売りを独占している会社は、長い時間をかけて、世界中の人々を洗脳してきました。

☆ロマンス映画中で結婚祝いとしてダイヤモンドを使う。
☆有名人を使い、雑誌や新聞中にダイヤモンドのロマンチックな面を想起させるストーリーを掲載する。
☆ファッションデザイナーや流行仕掛け人を雇い、ラジオやテレビで流行を広める。
☆ダイヤモンドを広めるために英国王室に献上する。

などのキャンペーンを通して、人々にダイヤモンドのステータスを植え付けてきたんです。そして、ダイヤの価格の高値安定、そして自社によるコントロールのために、その価値はバンバン宣伝はするけど、あくまでも貴重品であり続けるように、市場に出回り過ぎたりしないように、流通量をもコントロールしているんですね。独占企業ですから万が一沢山採れても、会社にプールして小出しにしていけば済むわけですから。

そして僕達日本人は、世界第二のアメリカに次ぐダイヤモンド消費大国です。日本でも芸能人や女優さんが婚約や結婚をする時には、まず必ずダイヤモンドが登場しますね。「何カラットか」なんてことが話題になり、インタビューでは「見せて下さい、カメラに向って見せてください!」って、やってますよね。で、おおー、すげー、って。あれ、なんかオカシイなー、とは思いませんでしょうか(笑)?なんで揃いもそろって、皆して「ダイヤモンド」?って。でもこれがつまり、デビアスによる洗脳の効果が、我々にも(もしかしたら見せびらかしている芸能人にも)てきめんに表れているということなんですよね。おそろしーことです(デビアスとダイヤの関係について、詳しくはこちらをどうぞ)。僕達は、知らず知らずに操作されているのですね。

 

また、「紛争ダイヤモンド」というものがあります。聞きなれない言葉かもしれませんが、反政府組織などによって、違法に発掘されたダイヤを指します。そして、このダイヤを売って得たお金は、武器に変わります。その、ダイヤの行き先は・・・。

昨夜、「ブラッド・ダイヤモンド」という映画を観ました。渡辺謙、トム・クルーズ主演の「ラスト・サムライ」の監督が、レオナルド・ディカプリオを主役に迎えて撮った、2006年度の映画です。アフリカで採鉱される、この「紛争ダイヤモンド」を取り巻く問題、またこれに翻弄される国や人々を題材にした、サスペンス映画です。(「紛争ダイヤモンド」につて詳しくはこちらをどうぞ。映画を観た後だと、なおさらよく解ると思います)。

物語自体はフィクションですが、現実の事象が扱われています。シエラレオネ共和国という西アフリカの、ダイヤモンドが採鉱される自然が美しい小さな国が舞台です。余談ですが、この国は世界でも最低レベルの平均寿命しかありません。男性32歳、女性で35歳程度です。僕達日本人の半分も生きられないで死んでゆく人々の国があるのです。信じられますでしょうか。

そして映画は、この国で1991年に起こった内紛(←これは実際にあった)を軸に、川で採鉱中でたまたま大粒ダイヤを発見してしまった黒人漁師、それに関わってくるディカプリオ扮する密輸業者、世界にこの国で行われている内紛とダイヤ密輸の事実を知らせようとする女性記者らとの人間模様を描いた映画です。

武装した反乱軍(RUF)による「選挙で政府側に投票させないために」なんていう理由で、ナタで腕を切りおとすなどという残虐な行為(実際に行われたことで、今でも手足の無い子供たちが沢山社会復帰に向けて頑張っているようです)、奴隷化、レイプ、略奪、虐殺、そして麻薬漬けにされて洗脳され、父親にまで銃を向ける様に教育されてゆく少年兵達。これらはそんな昔ではなく、つい最近、実際に行われていたことです。

 

映画中、黒人漁師がこう言います。

「白人達がダイヤを欲しがるのはわかる。でも、なんでそのために俺たちアフリカ人が殺しあわなきゃいけないんだ。」

 

ディカプリオ演ずる、皮肉屋(いや、超現実主義者?)のアーチャーが、女性記者に言ったこんな言葉、印象的でした。

「あんたがこれを世界に知らせたら、誰かアフリカを助けに来るのか?」

「・・・いえ、きっと誰も来ないわ。」

 

そして、アーチャーは別のシーンで、こうも言いました。

「神はとっくにこの地を見捨てている」

 

そして、女性記者が言い放つ、こんな印象的な言葉もありました。

「誰かがダイヤを手にするために、誰かの腕が切り落とされているのよ。これを知ったら、誰もダイヤの指輪なんて買わないわ。」

 

注)セリフは、まったくこのまま、ではないと思います。すみません。思い出して書いているので。(注:先ほど再度観ましたら、やっぱり若干僕の脚色が入ってましたが(笑)、意図としては同じでしたので、このままにしときます。)

 

とにかく、見応えのある一本でした。「見ておくべき映画」の一本に、認定しちゃいます。とっても勉強になりましたし、映画としても一級品だと思います。お時間がありましたら、みなさんも是非(ただし、かなり残酷なシーンがありますので、そういうのに弱い方は注意して下さい)。

そうそう、・・・「恋人にダイヤをねだられたら、彼女にこの映画を観せてみましょう。きっと欲しがらなくなりますよ」なんてレビューを見つけましたが、あなたはこの映画を観ても、「やっぱりダイヤ欲しい」って思います(・・・思えます)でしょうか?ちょっと興味があります。

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お知らせ。

昨日のライブの模様が、FM osakaにて 3月8日(土)12:00-12:55にOAされるそうですー。僕も聴きたいがー、入らないー

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ではー。



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