歴史的に尖閣諸島は日本の領土であることは間違いない。
中共は1971年から尖閣は中国のものといいだした。
その地下には地下資源が埋蔵されていると国連が発表したからだ。
1972年日中国交正常化交渉はその翌年行われ、共同声明が田中角栄・周恩来両氏によって署名された。
副産物として日本は中華民国(台湾)と断交した。
だがこの時、周氏は尖閣にはわざとふれなかった。日中国交正常化を優先し、田中氏も米中パートナー戦略より先に決めたいという焦りがあった。
国と国の外交交渉もいろんな取引も変わらない。焦ると相手の野心下心が見えなくなる。
「棚上げ」=「後日また」だった。
触れて欲しくないところ、不利なところは巧妙に隠し契約に持ち込む。
いいとこ取りの中共のしたたかさ、日本の甘さが目立つ。
加瀬英明氏のメルマガより
送信日 : 2012/12/25 (Tue)
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題 名 :
義勇心なき国民
尖閣諸島が日本の領土であることは、疑いもない。
日本政府が明治18(1885)年から尖閣諸島の現地調査を行って、中国清朝の支配下にない無人島であることを確認したうえで、10年後に日本の領土に編入した。
いまになって、中国は日本が清から略取したと主張して、「日本が盗んだ」「奪われた領土」といって騒ぎたてているが、中国がはじめて尖閣諸島の領有権を主張したのは、昭和46(1971)年に国連アジア極東経済委員会が東シナ海の海底に、巨大なガス田、油田が埋蔵されていると発表した直後のことである。
中国で11月15日に、習近平新体制が発足した。
習近平総書記兼中央軍事委員会主席は就任に当たって、「近代以降、中華民族は最も危険な時を迎えたが、中国共産党の創立後は団結して民族の偉大な復興を成し遂げた。引き続き中華民族の偉大な復興のため奮闘努力しよう」と訴え、その翌日、党政治局常務委員の会見で、「中華民族の偉大な復興」を繰り返して強調した。
さらに、16日の党中央軍事委員会会議で「軍事闘争の準備を最重視する方針を堅持、国家主権と安全、発展の利益を断固守る」と呼びかけた。前の胡錦濤政権が「中国の平和的台頭」を標榜したのに対して、中国の野望を露わにしたものだった。
中国が尖閣諸島の領有権をはじめて主張した翌年に、田中角栄首相が北京入りして、日中国交正常化が行われた。
田中首相が尖閣諸島に触れたところ、周恩来首相が慌てて「ここではやりたくない」といって逃げたのを、田中首相が国交正常化を焦ったために、頷いた。
私は田中内閣によって日中国交正常化が強行された時に、中国が全体主義体制のもとにあるうえに、歴史を通じて邪悪な政治文化を特徴としてきたことから、国交正常化に当たって、日台関係の処理をはじめとして、大きく譲歩したことに反対した。当時、中国は中ソ戦争が生起することに脅えていたから、中国のほうが日本を強く必要としていた。
昭和53(1978)年10月に、中国の最高実力者だった鄧小平副首相が来日した6ヶ月前に、中国の百数十隻の漁船が尖閣諸島を取り囲んで、日本政府を狼狽(ろうばい)させた。
鄧副首相は来日すると、尖閣諸島の領土問題を「1972年の合意に基いて棚上げしよう」と提案した。日本側はそのような了解が存在しなかったと否定するべきだったのに、国家にとって領土が生命であるのを忘れて、中国に媚びて受け容れたために、大きな禍根をつくった。
中国は平成4(1992)年2月に、尖閣諸島を自国領土として規定した「領海法」を制定することによって、中国から言い出した「棚上げ」論を反古(ほご)にしてしまった。それにもかかわらず、宮沢喜一内閣は天皇がその秋にご訪中されることを決定した。
私はこの年8月に、宮沢内閣が天皇ご訪中について14人の有識者を首相官邸において個別に意見を聴取したが、その1人として招かれた。
私は陛下が外国に行幸されるのは、日本を代表してその国を祝福されるためにお出かけになられるものだが、中国のように国内で人権を蹂躙している国はふさわしくないうえ、ご訪中によって中国が2月にわが尖閣諸島を領土として含めた領海法を施行したのを、容認することになると反対意見を述べた。
その後、中国人活動家グループが、香港、台湾と協動して、尖閣諸島領海に不法侵入する事件が、あいついで発生した。そして日本政府は、中国、香港の活動家がわが国の主権を侵す目的をもって魚釣島に上陸したのを逮捕、あるいは検束したのにもかかわらず、中国を刺激するのを恐れて、起訴することなく釈放した。
日本政府は日本国民のみならず、尖閣諸島が沖縄県石垣市に属しているのにもかかわらず石垣市の市職員まで、現状を変更することになるといって、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。
野田内閣は中国が尖閣諸島を奪おうと企てるのが明らかになるなかで、尖閣諸島の「平穏かつ安定的な管理」を唱えて、無為無策に終始した。このような日本政府の怯懦な姿勢が、中国をいっそう慢心増長させた。
野田内閣が平成24(2012)年9月9日に尖閣諸島の国有化を決定したところ、中国政府が激しく反発して、中国全土に大規模な官製の反日暴動が荒れ狂った。
すると、日本の大手のマスコミによって、日本政府が国有化を決めたことによって、これまで「棚上げ」されて、凍結状態にあった現状を壊したために、中国の反日暴動に火をつけたという見方がひろめられた。
これは、とんでもない言い掛かりだ。その半年前の3月16日に、尖閣諸島の久場島沖で中国の国家海洋局所属の海洋監視船「海監50」と、もう1隻の中国の公船が、日本領海を侵犯したのに対して、わが海上保安庁の巡視船が警告したところ、「海監50」が「釣魚島(中国側の魚釣島の呼称)を含むその他(尖閣諸島)の島は中国の領土だ」と応答し、逆に巡視船に退去するように要求した。
これまで、中国公船によるこのような傍若無人な行動はなかった。1978年以降、中国は「棚上げ」の合意を、つぎつぎと恣意的に破ってきた。
尖閣諸島が、危い。日本は先の大戦において敗戦を喫してから、勇気をまったく欠いた国となってしまった。誇るべき国史と伝統文化――心を捨てるかたわら、軍事にまつわるいっさいを危険視して、物質的な快楽のみをひたすら追求してきた。そのために、中国、韓国、ロシアだけではなく、諸外国から侮られる国となっている。
戦後の日本を企業に譬(たと)えていえば、「平和主義」を国是として、外国であるアメリカに国防を過度に依存して、経済のみに専念してきたビジネスモデルが、いまや完全に破綻している。
多くの国民が日本が「平和主義国家」であることを誇ってきたが、他人に縋(すが)って贅沢な暮しをしているのを、自慢しているのとかわらない。卑しいことである。
(私の中国論については、石平氏との対談『相手が悪いと思う中国人 相手に悪いと思う日本人』<ワック文庫>を読まれたい。)
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加瀬英明事務所
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第二次安倍内閣が発足した。
安倍氏は「(尖閣)交渉の余地なし」と明言した。是非貫徹して貰いたい。