落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

北朝鮮・漂着船

2017年11月30日 | 政治・外交
北朝鮮の事件が相次いでいる。
ICBM発射に驚いていると、地上では秋田県に北朝鮮の木造船が漂着した。
下図に拠れば、既に何度も漂着?(上陸)しているようで、意図的だろう。
沿岸警備からは、粗末な木造船は漏れるのだろうか。
工作員の姿はなく、既に入り込んだ工作員(一説には2万人いるという)とともに闇の世界で活動を始める。
【北朝鮮船漂着】佐竹敬久・秋田県知事「捜査の機会を逃がした」 北朝鮮船行方不明で県警を批判 2017.11.27 17:15
http://www.sankei.com/world/print/171127/wor1711270041-c.html

写真:秋田県由利本荘市の「本荘マリーナ」付近に漂着した、北朝鮮から来たとみられる木造船。25日早朝には姿が見えなくなった=24日(福島範和撮影)

 北朝鮮籍とみられる男性8人を乗せて秋田県由利本荘市に漂着した木造船が現場からなくなり、行方不明となっている問題で、佐竹敬久知事は27日の記者会見で、工作船かどうか検証する機会を逃したとして、県警の対応を批判した。

 知事は「周辺(住民)は不安だ。本当に漁船なのか。スパイ船なのか。8人だけなのか。8人はああいう状態だが、例えば2人は潜入したとか…」と指摘。

 「しっかりと船を調べないと。調べれば痕跡があるから。地元の漁民の方も言ってたが、移動できるときに移動して証拠の保全をすべきだった。住民に不安を与え、捜査の機会を逃したのは疑問が残る」と述べた。

 一方、菅義偉官房長官は同日の記者会見で、記者から船がなくなったのは悪天候が理由かを問われ、「基本的にそうだろう。船自体は発見できていないが、付近で船に積まれていたと考えられる木片や漁具などを回収した」と述べた。

 秋田県では昭和56年に男鹿市の海岸で、北朝鮮で1カ月間の工作員教育を受けて戻ってきた在日韓国人の男が逮捕され、朝鮮労働党作戦部に所属する「戦闘員」と呼ばれる案内役の工作員2人が逃走する「男鹿脇本事件」が起きるなど、1960年代から80年代にかけて北朝鮮工作員の潜入・脱出事件が数多く確認されている。

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【北朝鮮船漂着】秋田に漂着の木造船に驚き 8人の体力回復待ち、入管など本格聴取へ
http://www.sankei.com/affairs/print/171124/afr1711240018-c.html

写真:「本荘マリーナ」付近に漂着し、防波堤前に係留された木造船=24日午前9時32分、秋田県由利本荘市

北朝鮮から漂着したとみられる木造船は、中心部に青色の設備が見られる粗末な構造で、秋田県由利本荘市石脇の「本荘マリーナ」に係留されている。この船に乗っていたとみられる8人は県警由利本荘署が保護。同署で事情を聴いており、8人は「漁をしていたら、日本に流れ着いてしまった」と説明しているという。

 市内に住む60代の建設業者は「海岸線に北朝鮮など海外からの漂着物が来ることはあったが、8人もの人が来るとは驚いた」と話す。由利本荘市役所では、漂着物を見かけた際は、すぐ通報するようにホームページなどで市民に注意喚起していた。

 仙台入国管理局は由利本荘署に職員を派遣、通訳を交え、8人に対し、経緯などについて本格的な事情聴取を行う方針。ただ8人は命に別条はないものの、体力の消耗が激しいため、休息を取らせてから始める意向。東北地方では平成19年6月、青森県深浦町沖に漂着した小型木造船から、男女4人の脱北者が発見されていた。

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「漁をしていて船が故障」 秋田に北朝鮮木造船漂着で男性が説明 2017.11.24 08:59
http://www.sankei.com/affairs/print/171124/afr1711240006-c.html

写真:木造船が漂着した海岸付近で規制する警察車両=24日午前7時20分ごろ、秋田県由利本荘市

 秋田県由利本荘市に23日夜、木造船が漂着した問題で、乗っていた男性が「漁をしていて船が故障し、漂着した」という趣旨の説明をしていることが24日、分かった。北朝鮮から来たことも認めているという。小此木八郎国家公安委員長が閣議後の記者会見で明らかにした。

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11月の漂着状況のマップ

・・・木造船が流れ着いた場所は、工作員上陸ポイントとほぼ同じということが分かった。・・・
http://netgeek.biz/archives/107514




北朝鮮、ICBM発射

2017年11月29日 | 政治・外交
北朝鮮がミサイル発射、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られている。
高度は4000kmに達したという。
北朝鮮がミサイル発射 「ICBM」と米、日本のEEZに着水か2017年11月29日 7:06 発信地:ソウル/韓国
http://www.afpbb.com/articles/-/3153353?cx_part=topstory&cx_position=1

写真:北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)が公開した、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星12」発射の画像(2017年8月29日撮影、同30日公開)。

【11月29日 AFP】(更新)北朝鮮は29日、弾道ミサイルを発射した。韓国軍が発表した。米国防総省によると、発射されたのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、約1000キロ飛行し、日本海にある日本の排他的経済水域(EEZ)に着水したとみられる。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は「このような暴挙は断じて容認できない」と非難。「わが国はいかなる挑発行為にも屈することなく、(北朝鮮への)圧力を最大限に高める」と記者団に語った。
 安倍首相は政府がミサイルの動きを「完全に把握していた」とし、北朝鮮に対して厳重に抗議したことも明らかにした。

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は平安南道(South Pyongan Province)から東に向けてミサイルを発射。韓国聯合(Yonhap)ニュースは同本部からの情報として、韓国軍が対抗措置として「精密攻撃」ミサイル発射演習を実施したと伝えた。

 米国防総省は、ミサイル発射により北米や米領土、米国の同盟諸国への脅威は生じなかったとしている。だがジェームズ・マティス(James Mattis)米国防長官は、ミサイルの高度は過去最高に達したと指摘し、「全世界を脅かす」こともあり得る進展だとの見解を示した。

 小野寺五典(Itsunori Onodera)防衛相は記者団に対し、高度が「4000キロをはるかに超えていた」と述べた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は発射を受け、「われわれは対処する」と警告。レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官は、北朝鮮の核問題の解決に向けた外交的手段は依然として「実行可能」だと強調した。

 また米国によると、国連安全保障理事会(UN Security Council)は、日米韓3か国の要請を受け、緊急会合を29日午後4時半(日本時間30日午前6時半)に開くことを決めた。

 北朝鮮によるミサイル発射は2か月ぶり。先週には、米国が北朝鮮に対し新たな制裁を科すとともに、同国をテロ支援国家に指定したばかりだった。

 韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン、Cho Myoung-Gyon)統一相は前日の28日、北朝鮮がミサイル発射を準備している可能性が報じられたことを受け、同国での「注目すべき動向」が検知されたことを認めていた。(c)AFP
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成29年(2017)11月29日(水曜日)弐 通巻第5528号
http://melma.com/backnumber_45206/
北朝鮮、ICBMを日本海に飛ばしたが   新型か「火星型」は不明。ロフテッド軌道。4000キロを「遙かに超えた」

 2017年11月29日午前3時18分。北はまたまた新型のICBMを打ち上げ、400キロをこえる上空から日本海のEEZ領海に落下した。
 打ち上げから一時間余、小野寺防衛相は5時に防衛庁で記者会見し、六時前に安倍首相が官邸で記者会見している。

 この対応の迅速さをみれば、前夜から打ち上げ予測が確実であったことが分かる。
 前夜、ルクセンブルグ大公との夕食会を終え、首相はそのまま官邸に宿泊していることからも、万全の対応態勢にあった。

 他方、中国は北朝鮮国境を守備する北部戦区で大規模な軍事演習がなされ、零下17度の極寒状況のある内蒙古省でも、冬の軍事作戦を想定した訓練が行われ、また丹東から北朝鮮の新義州にかかる橋梁を「工事」のため一時閉鎖する措置をとるとした。

 日本時間午前六時ごろ、トランプ大統領が記者会見し、「制裁を最大につよめていく方針に変わらない。この状況にわれわれは対応している」と語気強く語った。

 これで日米中の即応体制は観測できるが、対応は記者会見だけであり、日本の防衛態勢の能力向上など、肝腎の話は何も出ていない。これで「万全の態勢ができている」というのは耳の聞き違いかと思った。

欧州のシンクタンク、北朝鮮の核攻撃標的リスト公表=東京、京都など―米華字メディア  Record china配信日時:2017年11月28日(火) 10時40分
http://www.recordchina.co.jp/b223011-s0-c10.html

2017年11月27日、米華字メディアの多維新聞によると、欧州のシンクタンク、欧州外交評議会(ECFR)はこのほど、北朝鮮の核攻撃の標的リストを公表した。

英紙デイリー・メールが伝えたもので、ECFRは報告書で「北朝鮮の情報源から、核攻撃の標的となる可能性のある場所のリストを作成することができる」とし、米国のマンハッタンやグアム、東京や京都、韓国のソウルなどを挙げた。

報告書では「平壌は、アジア太平洋の米軍の拠点と米本土の都市を襲う準備ができていると、脅迫を繰り返している」「日本の都市はより明確に標的とされており、それには東京、大阪、横浜、名古屋、京都が含まれている」などと指摘しているという。

報道によると、米国では、北朝鮮が都市機能や通信網を破壊する電磁パルス(EMP)攻撃を仕掛けた場合、米国内の電力などインフラが破壊され、食糧供給も壊滅することで、人口の9割が死亡する可能性があるとする試算が出されている。

また、もし米国のミサイル防衛システムが北朝鮮の水爆を阻止できず、ワシントン地区に落下した場合、約50万人が死亡し、90万人が被害を受け、ニューヨーク市に届いた場合は死者が170万人を超えるとのシミュレーション結果も伝えられている。(翻訳・編集/柳川)



中国の人口動態

2017年11月26日 | 政治・外交
一人っ子政策をした中国では、深刻な労働力不足が起きているという。
こういう社会の次はどうなっていくのだろうか。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)11月26日(日曜日) 通巻第5522号
http://melma.com/backnumber_45206_6614164/

中国とて、深刻な労働力不足は少子化が原因だが。。。
  大学新卒は795万人、80万人は就労先なしだが、労働現場へも軍隊へもいかない


 日本は「売り手市場」である。
少子化のため大学新卒が年々歳々減り続け、地方の大学は存続が危うい。文科省はなにを狂ったか、奨学金までつけて外国人留学生を大募集し、他方で日本人学生に給与型の奨学金は少ない。文科省の権益である大学を存続させるだけが目的かと、多くの若者が不満を募らせている。

雇用側は新卒を狙うが、学生は二社も三社も掛け持ちで受け、最終的にどの会社へ行くかを決めるのだから、企業側が内定を決めたら学生の囲い込みに入るのも無理はない。国際的にみれば、これほど異常な現象はないだろう。
欧米では大学を出ても30%前後に職がないのだから。

 反対の文脈で中国も異常なのである。
 労働現場に労働力が払底し始めている。中国を代表する製造業「フォックスコム」(鴻海精密工業)は湖南省鄭州工場で、旧正月の消費を当て込んでのかきいれ時に備えた増産態勢を敷いている「iフォン」の大メーカーだが、労働者が決定的に不足しているため強制残業に踏み切った。
 不満の声があがり、ストライキの構えにあるそうな。

 軍隊はといえば、新兵が欠員だらけとなった。
中国人民解放軍が、徴兵制ではなく志願制に切り替えてから四半世紀、新兵募集に応じる若者が激減している。兵隊なんかやってられるか、という意識が蔓延し始めたのだ。それもこれも中国の若者に大きな意識が起きていることと、人口動態からみても、一人っ子政策の悪弊が残っており劇的な変化が目立つ。

2011年に働く人口は9億2500万人だった。過去五年で、2000万人が労働戦線を去り、2050年には7億人にまで減少するといわれる。

若者の人口(15歳から24歳)は、2006年に1億2000万人だった。この数も、2020年には6000万人となって半減するという予測がある。未来の若者の急減予測は、その比率を比較すると、日本より深刻である。

 ▼世界一の人員をほこる中国軍も新兵不足が深刻

 もっとも顕著な例が、じつは軍隊である。
 たとえば山東省は人口9800万人もいるが、輸出製造基地でもあり、経済が飛躍する一方で、軍人リクルートは過去三年間、毎年二桁の落ち込みをしめしている。

 現在235万人の人民解放軍、上層部に「団塊の世代」があり、毎年、15万から20万人が退役している。これを補充するには毎年、すくなくとも毎年25万人の新兵を徴集しなければいけない」(アジアタイムズ、11月23日)

 最大の原因は大学にある。
 中国も猫も杓子も大学へいくようになり、2017年の新卒は795万人。16年は760万人、即席の大学やら、教授の資格のないセンセイが寄せ集めの、名ばかりの技術大学など、雨後の竹の子のように粗製濫造され、大学ビジネスこそ盛況なれど、就労先が急減している。景気後退の所為である。

 大学新卒は795万人(2017年)、このうち一割は最終的にあぶれる。つまり80万人は就労先なし、しかし彼らは労働現場へも軍隊にもいかない
 2016年に大学新卒は760万人だった。半分がまともな就労先を見つけた。残りは仕方なく、中小企業家、あるいはアルバイト、女子学生は「愛人業」か風俗へ流れ、それでも一割は完全失業となる。

 ところが中国人の意識では大卒はエリート。絶対に労働現場にはいかない。ブルーカラーにはなりたくないから大学へ行ったのに、何のため高い授業料を支払って大学をでてみれば、ホワイトカラーの職場がないじゃないか。
 中国の人口動態の激変ぶりも、つぎの社会的変化の前触れであろう。



冬到来

2017年11月19日 | 日常・身辺
風が冷たく、寒くなってきました。
日中の気温も12、3℃、朝晩は5、6℃になり、 昨日ストーブなどを出しました。
伯耆大山の初冠雪を見ると10月30日の美しい動画がアップされていました。(産経新聞)
平年よりも1日早かったそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=Pu1FBvB6_EA
 動画より
青空と冠雪、山麓の紅葉と三段染めが見られます。

2013年11月21日に大山に登ったときは、すでに雪が積もっていて驚いたことを思い出します。↓
http://kansai.me/krmt4/h25/1121daisen.htm

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階下の公園の楡も葉を落として、向こうが透けて見えるようになりました。


ゴビ砂漠の大渋滞

2017年11月18日 | 世相
砂漠と云えば、童謡「月の沙漠」や見渡す限りの砂丘とラクダ、満天の星、点在する遊牧民のテントなどを想像するが、現在のゴビ砂漠はこんなことになっているという。
モンゴル国境で大渋滞、対中国「石炭ブーム」脅かす 2017/11/14 ロイター Terrence Edwards
https://jp.reuters.com/article/mongolia-coal-trucks-idJPKBN1DH0J8

[ハンボグド(モンゴル) 14日 ロイター] - モンゴルのゴビ砂漠で、石炭を満載した数千台もの大型トラックが、中国国境に向かう渋滞した道路をのろのろと進んでいる。中国まで1週間かかることもある。
トラックの運転手たちは、石炭のほこりまみれのトラックの上で食事を作り、食べ、眠る。8世紀以上も前にチンギス・ハンの大軍の胃袋を満たしたものと同じ肉のスープを食べ続けている人も多い。
トラックの列沿いに、たばこや水、ディーゼル燃料を売って歩く人たちが活発に商売をするようになった。中国の税関通過待ちのトラックの列の長さは、130キロに達することもある。
石炭価格の回復と中国向け輸出増加のおかげで、モンゴルの炭鉱は今年大儲けした。通貨・債務危機により、国際通貨基金(IMF)の支援を必要とする事態に追い込まれたモンゴルの小さな経済にとっても、石炭は生命線となっている。

だが、両国間の主要な国境検問所であるモンゴル側のガシュンシュハイトと中国のガンツモッドでは、検問通過に長時間の遅れが生じており、こうした恩恵を損ねている。これによりゴビ砂漠の炭鉱から中国に石炭を運ぶトラックによる長蛇の列ができている。
通関の遅れは、石炭貿易の急成長による交通量の増加に原因があるとされている。だが、モンゴル当局が多発する石炭の密輸を止めることができずにいるため、中国側がここ数カ月、検問での審査を強化していることも事態を悪化している。
中国の内モンゴル自治区の通関担当者は、コメントの求めに応じなかった。北京の中国税関総署は、取材に応じなかった。

<回復も頭打ちに>

地元警察によると、今年の石炭価格上昇を受けて国境の交通量は倍増。中国とモンゴルの双方で、警察や税関のスタッフに大きな負荷がかかっている。
ゴビ砂漠の炭鉱は、中国での石炭価格上昇に乗じて利益を得ようと来年は増産を計画しているため、国境のボトルネックはさらに悪化しそうだ。

中国では、環境規制の強化により数百カ所の炭鉱が閉山したほか、小さな港での石炭の荷揚げが規制されため、石炭価格が上昇している。
北朝鮮の核実験に対して国連が経済制裁を強化し、中国が北朝鮮からの石炭輸入を減らしたことも、モンゴルがその穴埋めに入る好機を生んだ。

モンゴルの中国向け石炭輸出は、今年上半期に4倍以上に膨らんだ。だが通関の遅れが発生した7月以降、その伸びは頭打ちとなっている。

ガシュンシュハイトのモンゴル側の通関責任者、バター・ダワースレン氏は、両国とも通関の人員が不足していると説明する。10月に北京で行われた中国共産党大会のようなイベントも、状況を悪化させたという。
モンゴル外務省は、そもそも通関の遅れの最初の原因となったのは、モンゴル人の多くが長期休暇を取る夏の祭典「ナーダム」だったと説明する。
また、石炭の積荷に生肉や銃がまぎれているケースがあるとの中国側からの抗議を受け、モンゴル側でも積荷の検査により時間をかけるようになったと、ダワースレン氏は話す。
運転手が生きた狼を中国側に持ちこもうとしたことすらあったという。

「もちろん、誰も長い列になど並びたくない」と、ダワースレン氏は言う。同氏は、1日の通関処理能力を、現在のトラック700台から3000台に増加させれば、問題はすぐに解消できるとした上で、「運転手のためにも国のためにも良くない状況だ。解決に向けて取り組んでいる」と語った。
トラックの渋滞がない時でも、国境に行くのは恐ろしい試練だ。猛スピードの車が片側1車線の道を行き交っている。街路灯がなく、飲酒運転が横行しているため、夜はさらに危険が増すと運転手たちは語る。
「とても危険だ。毎日、道路脇でひっくり返った車をみかける」と、あるドライバーは語った。

ロイターの記者が最近この道を通った時にも、ひっくり返ったトラックや、正面衝突を起こしてつぶれた車がうち捨てられているのを何台も見かけた。
「信じられないものを見ることがある」と、運転手のドゥンシグ・バーサンジャブさんは、渋滞で動かない車列の脇に立って言った。「よそから来る人は、これまで見たもののなかで最悪だと思うだろう。でも私たちはいつも見ているので、何も感じなくなった」

炭鉱運営会社は、長期的な国境のボトルネックの解消策は、炭鉱とガシュンシュハイトを結ぶ新たな鉄道だと言う。
モンゴルは、200キロ以上に及ぶレールの土台部分をすでに築いているが、その後予算不足で計画は中断してしまった。
あまりにも長い間、モンゴルの厳しい自然環境に土台の基礎部分が放置されてきたため、計画を最初からやり直す必要があると、地元の当局者はみている。
鉄道計画の命運がどうなろうと、ゴビ砂漠から中国に向け、少しずつ進んでは止まる渋滞の中にいる運転手たちは、運転し続けるしかない。IMFの支援計画の影響で緊縮財政を敷くこの国では、他に雇用の機会は多くない。
「これは極めて危険で、命を脅かす仕事だ。でも、他に選択肢がない」と、トラックから降りてきた運転手が言った。ちょうど太陽が、ピクリとも動かない車の列の向こうに沈むところだった。
「他にすることは何もない」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)