落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

近畿・梅雨明け

2022年06月28日 | 日常・身辺
気象庁によると関西以西も梅雨明けらしい。
我が家(神戸市北部、標高360m)の気温は27℃、湿度は80%。
爽やかな風が吹いているので、湿度は徐々に下がってくると期待している。
九州北部・四国・中国・近畿・北陸が梅雨明け 統計開始以来、最も早く 熱中症に警戒
日本気象協会 本社日直主任 2022年06月28日11:01
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2022/06/28/18098.html

九州北部・四国・中国・近畿・北陸が梅雨明け 統計開始以来、最も早く 熱中症に警戒
きょう28日、気象庁は「九州北部・四国・中国・近畿・北陸が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。各地とも統計開始以来、最も早い梅雨明けです。

まだ6月も数日あるというのに、早かった。
そのぶん7,8月の猛暑が怖い。お天道様、お手柔らかにたのみます。



遠のく昭和

2022年06月26日 | 日常・身辺
ネットニュースを徘徊していると、「加山雄三が年内でコンサート引退・・」という記事があった。

若大将と呼ばれた氏は85才、写真も昔日と余り変わらないことに驚く。
よく読むと引退はコンサートのみ、俳優業はお続けになるらしい。
頑張って頂きたいと思う。
同じ若大将シリーズに出ていた「青大将」こと田中邦衛さんを思い出して検索してみると、昨年88才で亡くなられていた。

往年の俳優や歌手など有名人を思いつくまま検索してみると、時間の経つのを忘れる。
「ええっ、老けるとこんな姿に・・・」とか「全然、変わりない、お若いなぁ」と、自分のことは棚に上げて見入るのだ。
ひところ明治100年と言われた時代があった。昭和100年もあと数年でやってくる。
でも、悲しむにはあたらない、年寄りの特権「昔はよかった・・」とDVDやYoutubeで何時でもタイムスリップできる時代になった。有り難いことだ。


長引く ウクライナ・ロシア戦争(2)

2022年06月20日 | 世相
NATOの高官は、露・ウ戦争は数年続くと警告した。
ウクライナでの戦争「数年続く」 NATOトップ警告
2022年6月19日 14:21 発信地:ベルリン/ドイツ [ ドイツ ヨーロッパ ウクライナ ロシア ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3410421?cx_part=topstory

写真:北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長。ベルギー・ブリュッセルにて(2022年6月15日撮影)。(c)Valeria Mongelli / AFP

【6月19日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は、独紙ビルト(Bild)に19日に掲載されたインタビューで、ウクライナでの戦争は「数年間続く」恐れがあると警告した。

 ストルテンベルグ氏は、「数年間続くことをわれわれは覚悟しなければならない」とし、「たとえコストが高くついたとしても、ウクライナへの支援を弱めてはならない。軍事支援だけでなく、エネルギーや食料の価格高騰についてもだ」と述べた。(c)AFP

微妙に変化してきたプーチン・ロシア大統領と同ラブロフ外相の見解
ロシア外相、「ウクライナを侵攻していない」と主張 2022.06.18 Sat posted at 16:30 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35189145.html

写真: ロシアのラブロフ外相。「恥じ入ることなく国家のありのままの姿を示す」と強調した/Karen Minasyan/AFP/Getty Images

(CNN) ロシアのラブロフ外相は18日までに、同国は完璧(かんぺき)な国家ではなく、国としての存在感を示すことを恥じないとの見解を示した。

英BBC放送との会見で、ウクライナ侵攻で犠牲者が出たことを問う質問に応じて、述べた。

また、ウクライナを「侵攻してはいない」と主張し、「ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に引きずり込むことは犯罪行為であることを西側諸国へ説明するためにほかの選択肢が絶対的になく、特別軍事作戦に訴えた」とも述べた。

また、親ロシア派武装勢力が東部ドネツク州で名乗る「ドネツク人民共和国」が英国人に死刑を宣告した問題に言及。この宣告に関連するロシアの責任に触れ、「西側諸国の目には全く関心がない」と主張。

関心があるのは国際法のみとし、「国際法に従えば、傭兵(ようへい)は戦闘員として認められていない」と正当化した。

プーチン氏、ウクライナ「中枢」への攻撃示唆 EU加盟「反対せず」
https://www.sankei.com/article/20220618-AAJGN4EIWNK53JGBMSPYPUTDNI/

ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は17日、露主催の「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」の全体会合に出席した。プーチン氏は司会者との質疑応答で、ウクライナが「一線」を超えた場合、同国の「意思決定中枢」を攻撃する可能性もあると述べた。同国のゼレンスキー大統領らの殺害を示唆し、米欧側にウクライナへの兵器供与を停止するよう警告する思惑だとみられる。

プーチン氏は「一線」の内容について「自分だけにとどめておく」とし、明言は避けた。ただ、プーチン氏は5日に国営テレビが放映したインタビューで、米欧側が供与を決定した長距離兵器がウクライナに配備された場合、「これまで攻撃対象としなかった対象も攻撃する」と警告しており、重火器の配備を念頭に置いている可能性がある。

プーチン氏はまた、欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会が17日、ウクライナを「EU加盟候補国」と認定するよう勧告したことを受け、「EUは軍事組織ではなく、ロシアは反対しない」と述べた。ただ、ウクライナはEUに加盟しても、EUの「半植民地」になる-と主張した。

プーチン氏は戦況についても言及。露軍が掌握を狙う東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)のうち、制圧が遅れているドネツク州について「ウクライナ軍が要塞化しており、突入は合理的ではない」とし、「迂回(うかい)して背後を突く作戦を展開しており、時間がかかる」と述べた。「ロシアは核兵器で誰も脅していないが、主権を守るためにロシアが何を持ち、何を使用するかを誰もが知るべきだ」とも述べ、核使用の可能性を否定しなかった。

侵攻について、プーチン氏は「ロシアの安全保障のためにやむを得なかった」と改めて正当化。「ロシアの安全を保証するのは陸海軍だけだ」と述べたほか、ウクライナ領土の大半は旧ソ連指導部に与えられたものだ-とし、侵攻はロシア領の〝回復〟だとする認識も示唆した。さらに「ロシアとウクライナの関係は遅かれ早かれ正常化するだろう」と一方的に主張した。


「ランサムウェア」

2022年06月15日 | 世相
今や中小企業でも業務にコンピュータが広く使われている。
そこにネットからランサムウェアなるウイルスが紛れ込んでデータが勝手に暗号化される。
ITに精通したハッカーがあの手この手で企業を脅迫し、身代金を払えば、暗号化は解除されるらしい。

外部ディスクにバックアップしていても、何時の時点からおかしくなってなっているのか、検討するには何日もかかる。その間、ネット業務は使用出来ず、日々損害が発生する。
情報処理担当者の嘆きが想像される。
個人のパソコンなら動作不良と同じで、初期化して、OSを再インストールするだろう。
その後、メールデータや写真をバックアップからエッチラオッチラ復元する。
それでも半日やそこらすぐに経ってしまう。
バックアップがなければパアだ。当方のように記憶をパソコンに依存する者は記憶喪失と同じ、恐ろしい事態になる。
「身代金の支払い代行はできますか」「実はやってます」…万策尽きハッカーに要求額支払う
2022/06/15 08:11
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220615-OYT1T50037/

 「盗っ人に追い銭は払いたくない。そんな葛藤があった」。大阪市内の50歳代男性は苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべ、ハッカー集団に「身代金」を支払ったことを告白した。

 男性が役員を務める不動産管理会社がサイバー攻撃を受けたのは1月9日。「パソコン画面のアイコンが、どんどん白くなっていきます」。電話で報告する部下は動転していた。会社に駆けつけると、サーバーに収めた数万枚に及ぶ管理物件の記録写真や帳簿のファイルなど、あらゆるデータが閲覧できなくなっていた。

写真: 見慣れないアイコンをクリックすると、英語のメッセージが表示された。
ランサムウェア被害に遭い暗号化された大阪市の不動産管理会社のデータファイル

 <暗号化を解除する唯一の方法は、ビットコイン(暗号資産)を支払うことだ>

 コンピューターウイルス「ランサム(身代金)ウェア」を送り込んできた攻撃者からの脅迫文だった。

 すぐにセキュリティー専門家に相談し、サーバーにデータを復旧させる手がかりが残っていないか調べた。販売元にも問い合わせ、復元用のソフトをダウンロード。警察にも通報し、約10日間格闘したが、万策が尽きた。要求額は6万円。「もう払ってもいいか」。心が折れた。

 ネットでデータ復旧業者を探し、「身代金の支払い代行はできますか」と尋ねると、電話に出た相手は声を潜め、「実はやっています。過去にもそういう事例はあります」。業者に身代金と復旧費10万円の計16万円を支払った。6万円分のビットコインがハッカー集団に渡り、引き換えに暗号化を解除する鍵が届いた。

サーバー内の情報は約3週間で復旧。請求書には「データ復元作業」と書いてもらった。「ある意味グレーな行為だった。ただ、大事なデータを取り戻すため、背に腹は代えられなかった」。男性は今も自分にそう言い聞かせている。

支払いで攻撃助長の懸念も

 <サイバー攻撃者への金銭の支払いは厳に慎む>

 経済産業省はこんな表現で要求に応じないよう企業に求めている。身代金を払ってもデータが復元される保証はなく、攻撃を助長することが懸念されるためだ。

 だが、国内でも一定数の被害者がやむなく支払いに応じているとみられる。

 米国のセキュリティー会社「プルーフポイント」が世界の約600の企業などを対象に行った調査では、昨年、ランサムウェアの被害に遭った組織のうち、米国で64%、英国で82%が「身代金を支払った」と回答。日本では二十数社のうち20%が要求に応じたと答えた。

 それにもかかわらず、こうした事実が表面化することはまれだ。この問題に詳しい浅田会計事務所(大阪市)の山中俊郎税理士(49)は、「身代金支払い名目で決算書などに記載する企業はない。経費や特別損失として処理しているのだろう」と語る。

大企業も葛藤

 ランサムウェアが猛威を振るう中で、身代金を支払う選択肢があり得るか。大企業でもそんな議論が起きている。

 〈1〉72時間以内に10万ドルを支払うように要求を受けた。
 〈2〉取引先のデータを公開するとの恐喝があった。
 〈3〉攻撃者との交渉で、身代金を1万ドルに減額させることに成功した。

 積水化学工業(大阪市)は昨年10月、役員ら24人が参加し、模擬訓練を実施した。「身代金は支払うべきではない」。同社ではこうした認識が共有されている。しかし、危機に際し、脅迫にどう向き合っていくか議論を深めた。

企画した原和哉・情報システムグループ長(58)は、地震などの自然災害と比べ、企業のサイバー攻撃への備えは不十分だと感じている。「脅迫への対応はIT部門だけでは決められず、経営陣の判断が求められる。どう対応したらいいか、リアルに、詳細に議論していくべきだ」と語る。

海外で15億円の支払い例

 攻撃者は企業の規模に応じ、支払えそうな金額を要求することが多いとされる。海外では多額の身代金を支払ったケースが明らかになっている。  昨年5月、米国最大級の石油パイプラインがランサムウェアによる被害の影響で、操業を停止。運営会社「コロニアル・パイプライン」はハッカー集団に身代金440万ドル(現在のレートで約6億円)を支払った。同6月には、被害に遭ったブラジル食肉大手JBSが犯行グループに1100万ドル(同約15億円)を支払ったと発表した。


梅雨入り間近

2022年06月12日 | 日常・身辺
爽やかな日曜、どこか山歩きに・・と、迷っているうちに午後になってしまった。
階下の公園の緑がいよいよ深くなってきた。



花壇とハルジオン


散りはじめたサツキ

予報では、梅雨入りが近い。
関西 梅雨入り間近! 14日(火)は警報級の大雨になる所も
日本気象協会 関西支社木村 司 2022年06月12日15:19
https://tenki.jp/forecaster/kimura/2022/06/12/17838.html

関西 梅雨入り間近! 14日(火)は警報級の大雨になる所も
近畿地方では、あさって14日(火)には広く雨が降り、梅雨入りの可能性が出てきました。南部を中心に、警報級の大雨になる恐れもあるため、今後の情報に注意をしてください。



「世界的な景気後退」

2022年06月09日 | 世相
ロシア・ウクライナ戦争は長引き停戦も覚束ない。
ロシアはウクライナに侵攻して殺人と都市破壊、なにかメリットはあったのか。
スエーデンとフィンランドがNATO加盟を申請する事態を招いた。
何がどう影響しているのか素人には解らないが、投資が低迷し、燃料と食糧が値上がりだ。
世界的な景気後退、世界銀行が警告 ウクライナ侵攻の影響 2022年6月8日
https://www.bbc.com/japanese/61727950

世界銀行は7日、世界各国が景気後退に直面していると警告した。新型コロナウイルスの大流行ですでに大きく揺らいでいた経済に、ウクライナでの戦争が追い打ちをかけているとしている。

世銀はこの日、6月の世界経済見通しを発表した。デイヴィッド・マルパス総裁はその中で、高インフレと低成長が同時に起こる「スタグフレーション」の危険性が「かなり大きい」と警告。以下の見方を示した。

「世界のほとんどの国で投資が低迷しているため、低成長が10年は続く可能性が高い。多くの国ではインフレ率が過去数十年で最高水準にあり、供給増も緩やかと予想されるため、インフレ率がさらに長く高止まりする恐れがある」

世界各地でこのところ、エネルギーと食料の価格が上昇している。

マルパス氏は、「ウクライナでの戦争、中国でのロックダウン、サプライチェーンの混乱、スタグフレーションのリスクが、成長に打撃を与えている。多くの国にとって、景気後退は避けられないだろう」とした。

マルパス氏によると、世界の成長率は2021〜2024年に2.7%ポイント低下すると予測されている。これは、1976〜1979年の直近の世界的スタグフレーションでみられた低下の2倍以上だという。

東アジアなどで「大規模な不況」

今回の経済見通しは、ヨーロッパと東アジアの開発途上国で「大規模な景気後退」が生じるとした。

また、ヨーロッパで今年最も経済生産高が急落する可能性が高いのは、ウクライナとロシアだと予測した。

ただ、戦争と新型ウイルスの影響は、さらに広い範囲に及ぶと警告した。

マルパス氏は、「世界的な景気後退が回避されたとしても、スタグフレーションの痛みは数年間続く可能性がある」と指摘した。

経済見通しはさらに、1970年代末のインフレ抑制のための金利上昇が急激だったことが、1982年の世界同時不況と、新興市場や発展途上国での一連の金融危機を引き起こしたと警告した。

しかし1970年代は、ドルが現在より安く、石油は相対的に高価だった。
<分析> ダーシニ・デイヴィッド国際通商担当編集委員

ロシアによるウクライナ侵攻から100日以上が経過した。震源地から何千キロも離れた国や家庭を襲っている衝撃の大きさが、今まさに明らかになってきている。

開発途上国は以前から、経済の立て直しに苦労していた。各世帯の一般的な収入は、パンデミック前の20ドルにつき現在は19ドルまで減っている。
食料とエネルギー価格の高騰は、生活を一段と悪化させ、最も弱い立場の人々を悲惨で苦しい状況へと追いやる。
貧しい国だけの話ではない。ある調査によると、イギリスの全世帯の6分の1が、食料を支援するフードバンクを利用している。

このような世界的な苦境は、インフレ緩和のための金利上昇によってさらに悪化する恐れがある。パンデミックの影響緩和のための政府支援が消滅に向かっている時期に、ちょうど重なるかもしれない。

世界銀行は、債務救済や、食料輸出における制限の非設定など、各国に早急な対応を求めている。政策立案者らに対し、食料とエネルギーの供給を保護し、不安定な市場を安定させ、価格高騰を緩和するために、一致して行動するよう求めている。

各国の政策立案者は、すでに極めて厳しい闘いに取り組んできた。
しかし世銀は、いま何もしなければ、さらに長く痛みも大きい危機が訪れるかもしれないと示唆している。
現在の苦難は、単に不幸や社会不安を意味するだけではない。何年にもわたって人々の生活を苦しめる恐れがある。
(英語記事 World Bank warns of recession risk due to Ukraine war)

「疲労感」とはぴったりの表現、つまり「ウンザリ」感だな。
「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和四年(2022)6月9日(木曜日)   通巻第7362号
mailmag@mag2tegami.com

 「ウクライナ支援」の欧米に疲労感。「停戦交渉を急げ」論が急拡大
   「ハイマース供与は停戦を遅らせ泥沼化させるだけだ」と軍専門筋も


 つい半月前、ダボス会議は『ウクライナ一色』だった。5月23日にはオンラインでゼレンスキー大統領が登場し、対ロ制裁の強化を訴えた。また復興には5000億ドルが必要だと経済支援の拡大も抜け目なく要請した。

 この会議でのハイライトはキッシンジャー元国務長官と極左・ジョージソロスとの鋭角的な対立だった。停戦をいそげと秩序再建を説く前者に対し、ソロスは「ロシアは信用できない。停戦など実現不可能だ」とした。

 バイデン政権はウクライナへの武器供与を増大させ、M42「ハイマース」の供与を決めた。実戦配備は六月末になる。ロシアは「火に油を注ぐ」とし、「米とウクライナの『強力な、信頼できる約束』があり、ハイマースをウクライナはロシア領内に撃ち込まない」(ブリンケン国務長官)と米国はいうが、「約束は守られたためしがない」(ドミトリー・ペスコフ大統領府スポークスマン)と反論した。
 プーチンは「新しい攻撃に転じる」と西側の関与に反発した。

 「ハイマース供与は死者を増やすだけで、大局には影響しないだろう」と米国のINF検査官を務めたスコット・リッターが言う(RT、6月7日)。ハイマースは70キロの射程があり、長距離ロケット弾を装備すれば300キロを飛翔できるからロシア領内の拠点ベルグロード攻撃に使える。米国は6月1日にハイマース供与を決めたが、長距離ロケットは供与しない方針だ。

 ウクライナ軍が予想外に強く二日間で落とする筈だったキエフを防御したばかりか、ロシア軍を敗退させたのは英米が供与したジュリンとスティンガー・ミサイルの威力だった。

 この携行ミサイルの特訓のため、米軍はウクライナ兵をドイツのNATO基地へ招き、徹底的に教え込んだうえ、およそ150名の米軍顧問団が現場戦線で指導していた。またロシア軍の動向情報を提供したため、ウクライナは有利だったのである。

 通信網がロシアによって途絶すると、すかさずイーロン・マスクが「スペースX」のスターリンクを提供した。欧米各紙は、このスターリンクを中国が打ち落とす可能性に言及している。

 155ミリ榴弾砲(M777)も北部と東部戦線に投入され、威力を発揮したが、これも米軍がドイツのNATO基地でウクライナ兵と特訓したのだ。つまりウクライナ軍は事実上、準NATO軍として機能していると言えるだろう。
 侵攻以来、西側の論調はロシア軍の残虐ばかりを批判し、ロシアの言い分に聞く耳を持たないが、ウクライナでも大本営発表とメディアの統制が進んでおり、トルストイの『戦争と平和』は発禁処分となった。ロシア人が平和を望むはずはないというわけだ。

 ▲ウクライナ支援に疲労感が拡がる欧米

 欧州の対応をみるとしゃかりきの応援団は英国。なにしろ国会議員のバッジは左半分が英国旗、右はウクライナ国旗である。
 ジョンソン首相が強烈に支援旗を振り、自らもキエフへ乗り込んだが、演出過多。保守党内からも「パーティゲート疑惑」でジョンソン辞任要求が四割に達していた。英国民の感情はウクライナ支援への疲労感である。
 ジョンソン罷免の不信任案は否決されたものの指導力は半ば失われている。すなわちジョンソン政権はレイムダック入りしている。

 フランスはマクロンが嘗てのサルコジ外交をまねて、モスクワを二往復したが、プーチンから「廊下鳶」扱いされた。マクロンは『プーチンに恥をかかせてはいけない』とも発言したためウクライナ外務省から顰蹙を買った。
ロシアの言い分はドネツクとルガンスクで、親露住民が1万4000人虐殺されたため、住民を保護する『特別軍事作戦だ』としており、ロシア国民の七割近くは、このプーチンの主張を是としている。「ドンバス地区の帰属は住民投票で決めるとした『ミンスク合意』「を守らなかったのはウクライナ側だ」とロシアは主張している。
ロシア軍は6月8日までにウクライナ全土の二割を掌握したことはゼレンスキー大統領も認めた。

 プーチンに「西側の陰謀」とささやき続けているのは安全保障会議書記のニコライ・パトルシェフ(上級大将)だ。パトルシェフは『レニングラード派』であり、エリツィン大統領のときに首相を務めたプーチンと五十年の交友があり、プーチンの後釜としてFSB長官も務めた。「ウクライナ軍はナチ」『背後に西側の陰謀』「ネオナチとネオコンが共同」などとプーチンに陰謀論を吹き込んだ。パトルシェフ自身も大富豪であり、政権への影響力が強いが、すでに71歳で、シロビキの長老でもある。

 ドイツは社民党と緑の党の左翼連立だが、突然変異的にウクライナへ武器支援、防衛費をGDPの二倍にするとした。ところが、ドイツ兵は使い物にならず、ウクライナへ供与した武器は錆があって、使えなかったとする報告がある。
 あれほど親露外交を進めたメルケル前首相は、現在、回想録を執筆中とかで、ロシアのウクライナ侵攻開始からずっと沈黙してきた。ようやく口を開き「ロシアの侵攻は擁護できない。ウクライナと連帯する」と発言した。

 米国はバイデンに一貫した戦略がなく、プーチンを「人殺し」と言ったり「台湾を軍事的に介入する」としたり、思いつきでIPEFを獅子吼し、400億ドルものウクライナ支援予算を可決した。
ところが、バイデンの支持率は逆に急降下、36%しかなく、中間選挙での民主党の惨敗が見えている。まして国内の銃乱射、治安悪化、猛烈インフレで、米国民の関心事はウクライナにはない。

 バイデンは自由のために徹底的に戦えと鼓舞し、「プーチンを権力の座に居座らせてはいけない」と豪語していたが、だんだんと語気を緩め『プーチン氏を追放する気はない。領土の一ミリたりとも譲歩するな等とゼレンスキー大統領には言っていない」と従来の発言をひっくりかえした。
 息子のハンター・バイデンがウクライナと癒着して法外な顧問料をせしめていたほか、証拠として押収されているハンターのPCから、数々の疑惑が取り沙汰されており、また直近では『ニューヨーク・ポスト』に、ハンターが売春婦と銃を振り回している写真が露出し、結局、トランプのロシアゲートをでっちあげたのは、こうしたスキャンダルから目を逸らす煙幕戦術だった。

トランプ政権の誕生を予測していなかったオバマ、ヒラリー、バイデン等はCIA、FBIにトランプ政策の邪魔立てを画策し、ともかくトランプをウクライナから遠ざけようとしたのではなかったのか。

 ▲アゾフ連隊はどうなったのか?

 マリオポルで降伏したアゾフ連隊はおよそ1700名の兵士等はロシアへ連行された。どのように扱われるか、あるいは人質交換でウクライナに戻れるか。  しかしアゾフ連隊が壊滅したとき、ゼレンスキー大統領は悲しみの顔をしていなかった。ずばり言うとアゾフ連隊を見放していた。
なぜならアゾフ連隊はウクライナ政府の統率から離れた独立愚連隊のような軍事組織で2014年に創設され、ナショナリズムの強い志願兵から成立していた。ようやく国家防衛隊に組み込まれたが、統合的な組織ではなく、ゼレンスキー大統領にとっては煙たい、あるいは邪魔な軍ではなかったか。
またアイダール大隊、右派セクター、ドンバス大隊なども、軍事作戦でロシアとの激戦を展開しているといわれるが、成果はきこえてこない。

 ▲チェチェン部隊、ワグネル軍は、どこで何をしているのか

  この戦争は事実上の米国vsロシアとの代理戦争で有り、「ウクライナはタンポン(緩衝器)だ」とはダンコースの発言だ。
ヘインズ米国家情報長官は、「プーチン大統領が、事実上NATOが介入していると認識し、かつウクライナ軍に負けそうだと認識すると、核兵器を使う恐れがある」と議会証言している。

 他方、ロシアの凶暴なチェチャエン部隊の「活躍」は知られるが、傭兵のワグネル部隊の動向をつかんでいない。チェチェン部隊では司令官が死亡したと報じられている。

 「米国はワグネル部隊に具体的対応をしてきていない」(チボール・ナギー元アフリカ担当米国務次官補)。ワグネル部隊は不良少年あがりでプーチンのコック、プリコジンが胴元とされる。プーチンの暗黙の下、中東とアフリカで展開、存在が明らかなのはリビア、マリ、そしてシリアだが、クレムリンは表向き『ワグネル部隊とは無関係』としており、報酬も金で支払われているらしい。

 イスラエルは、仲介役を果たそうとしたが、プーチンのユダヤ人不信感によって相手にされず、そればかりかベネット連立政権は風前の灯火、明日選挙となればリクード主体の連立が復活し、ネタニヤフが返り咲くシナリオが広く語られている。
ましてプーチンを離れたオルガルヒが次々とテルアビブへ逃げ込んでいる。

 こうみてくると停戦交渉のポジションを得そうな可能性があるのは、鵺的な言動が目立つエルドアン(トルコ大統領)だろう。トルコは引き替えにロシアが支配するシリア北部への軍事介入への暗黙の了解を求めている。事実、シリア駐留のロシア軍六万は引き上げつつあって、代わりにアサド体制を守備しているのはイランである。