落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

大晦日の夕日

2016年12月31日 | 日常・身辺


2016年も今日で終わり。
東京の次男坊が帰って来るというので神戸空港まで会いに行きました。元気でやっているようで安心しました。長男宅で過ごし2日には東京に帰るそうです。
展望デッキに上がると淡路島の向こうに夕日が落ちるところでした。
予報に依れば正月三が日は天気も良さそうです。


【山】神戸市北区 淡河浦川谷、R428岩谷峠

2016年12月20日 | 散歩・山歩き
18日(日) 晴れ
淡河の浦川から谷を岩谷峠に向かって歩きました。
2km程行ったところで行き止まりになってしまいました。

谷の奧、見えている山は稚児ヶ墓山

 山歩記


19日(月) 晴れ
岩谷峠から逆に辿ってみました。
淡河までは行かず、途中からR428号線に上がりました。

帝釈山、丹生山 (R428より南側を望む)

 山歩記


日露会談「進展」なし

2016年12月17日 | 政治・外交
プーチンは「北方4島はロシアに主権がある」と明言しての来日だった。
会談の内容は経済協力しかない。
記者会見では「北方四島での共同経済活動の実現に向け、協議を始めることで合意した」と発表した。安倍首相もプーチンも「平和条約締結が重要」と述べているが、日本は4島返還であるがロシアのそれは二の次に思える。
日本の立場は、北方領土の主権が還ってくる前提もないのに共同経済活動には踏み込めないはずで、今後具体的進展があるのか不透明。
【プーチン大統領来日】自民・二階俊博幹事長「国民の大半がガッカリしている」
http://www.sankei.com/politics/print/161216/plt1612160047-c.html

 自民党の二階俊博幹事長は16日、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談について「国民の大半がガッカリしているということを、われわれは心に刻む必要がある」と述べ、成果が不十分との認識を示した。党本部で記者団に語った。
 与野党内には安倍首相が今回の会談結果を受けて衆院解散に踏み切るとの憶測もあったが、二階氏は「首相からその解説を聞いていない。この程度のことは解散のテーマにはならないと思っていたから、なんでもない」と述べた。

 北方領土問題を含む平和条約交渉については「解決の見通しがつくかのような報道が続いた。日本国民は『これで解決するんだ』と思った。なんの進歩もなくこのまま終わるなら、一体あの前触れはなんだったのかということを、日本の外交当局は主張しなければならない」と述べ、不満をあらわにした。
 そのうえで、「時間を区切った交渉のはずだ。経済問題も大事だが、人間は経済だけで生きているわけではない。もう少し、真摯(しんし)に向き合ってもらいたい」と述べ、早期の平和条約締結の必要性を訴えた。

 日露首脳は元島民らの北方領土への自由訪問拡充で合意したが、二階氏は「この程度のことで喜んでいるのではなくて、真の平和、真の友好のために一層の努力をするきっかけというか、バネにする方向に進んでほしい」と注文を付けた。
 一方で、二階氏は「日露首脳が胸襟を開いて会談がなされたということは、成功だった」と述べ、一定の評価も与えた。
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【日露首脳会談】平和条約の重要性で一致 領土問題では隔たり 四島経済活動で声明
http://www.sankei.com/politics/print/161217/plt1612170008-c.html

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は16日、首相公邸で共同記者会見し、北方四島での共同経済活動の実現に向け、協議を始めることで合意したと発表した。安倍首相は「平和条約締結交渉に向けた第一歩となる」と強調。プーチン氏は「一番重要なのは平和条約の締結だ」とし、信頼関係醸成には時間がかかるとの認識を示した。領土問題解決に向けた端緒を作ったともいえるが、具体的な前進には時間がかかりそうだ。

 両首脳は北方四島での共同経済活動に関するプレス向け声明を発表した。択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島の名前を明記し、「共同経済活動に関する協議を開始することが平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るということに関して相互理解に達した」と書き込み、平和条約締結交渉の対象が四島であることを示した。

 安倍首相は記者会見で、「共同経済活動は日露両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識のもとに進められる」と指摘。日露両政府は今後、日露間だけの共同経済活動実現のため、条約などの形で「特別な制度」を設ける方針。漁業、観光、医療などの分野で協議に入る。

 両政府はロシアでの経済連携やエネルギー、医療分野など8項目の経済協力プランの具体化に向けた約80件の民間企業や政府当局間の覚書も交わした。また、両首脳は元島民の高齢化に配慮し、墓参の実現に向けた協議をそれぞれの外務当局に指示した。

 安倍首相は16日夜のNHK番組で、プレス向け声明の最後に「平和条約問題を解決する自らの真摯(しんし)な決意を表明した」と明記したことについて、「この1行に私とプーチン氏の思いは凝縮されている」と強調した。

 一方、プーチン氏は記者会見で、北方領土周辺の軍港の存在と日米安全保障条約に言及し、「(日本側は)こういったニュアンスやロシア側の懸念を考慮してほしい」と語った。
 平和条約締結の重要性については「平和条約は歴史的、中長期的な見通しの中で長期的な協力のためのベースを作りあげるからだ。これは島での活動よりも、もっと重要だ」と説明した。

 安倍首相とプーチン氏は15日に首相の地元・山口県長門市で、16日は東京の首相官邸で会談。長門市では2人きりの会談も約1時間半行い、平和条約締結問題などを協議した。プーチン氏は16日夜に帰国の途についた。
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プーチン「ロシアに領土問題はない」

2016年12月14日 | 政治・外交
プーチンはかねてから表題のように主張している。
ならば、何を交渉しに来日するのか。
経済協力が先か、領土返還が先か、疑心暗鬼で先に進まない。
WWⅡ で日本の敗戦が確実になって、ソ連は北方領土に駆け込み侵略した。
ロシアにはこの「火事場泥棒」的事実が頭に無いようである。
西村眞悟の時事通信  平成28年12月14日(水)

プーチンを日本に入れるな

読売新聞が、十五日に来日するロシアのプーチン大統領と七日に会見して聞き取ったことを、今日になって一面で報道している。
そのプーチン大統領が七日に読売に話した内容の中心は、 ロシアに領土問題はない、だ。

読売は何故、七日にプーチンから聞き取ったことを、 一週間も伏せて報道せず、本日に一面で大きく報道したのか。
それは、読売が、プーチンの「報道統制」に従ったからであろう。
もちろん、プーチンは、 対日交渉を自分に有利に展開させるように読売を統制をした。
読売は、それに従った。 つまり、読売は報道機関であることを放棄して、 自らプーチンの対日工作活動の道具になったのだ。

プーチンは、 我が国がロシアに提供するものを全て両手で抱えてから、 ロシアが我が国に提供するものは何もない、 つまり、ロシアに領土問題はない、と言っている。
そして、それを日本国民に伝えるタイミングを、 安倍が後戻りができなくなる十四日だと見越して読売に命じたというわけだ。
その上で、プーチンは、 日本側のすがるような思いを肌で感じながら、十五日に日本に乗り込むつもりだ。

なめやがって。

とはいえさすが、プーチンは、 KGB(カーゲーベー、ソビエト国家保安委員会)の対日工作員だ。

では、安倍総理は、 如何に対処すべきか。

本日直ちに、モスクワのプーチン大統領に、 日本とロシアに領土問題があるという認識が、 あるのかないのか確認をとり、 「ない」という答えならば、 「では話しあう議題がなくなったのだから訪日無用」と応答し、 プーチンの対日外交の失敗を天下に曝すべきである。
そして、この失敗はプーチンの領土問題に関する不誠実な認識不足からもたらされたものであることを国際社会の天下に知らせなければならない。
さらに、我が国は、 西ではウクライナのクリミアを武力併合し、 東では我が国固有の領土を不法占領している 無法国家ロシアの非を国際社会に示すべきである。
国際社会は、 現在の対ロシア経済制裁をさらに強化すべきである、と。

そこで、KGBに入局するには ソビエト共産党に入党になければならないのであるから、 共産党員のプーチンが忠誠を誓った共産党の親分であるブレジネフが 日ソに領土問題が「ある」ことを認めたことを記しておきたい。
このことを知らずして日本に来るな。

即ち、昭和四十八年(1973年)十月の田中・ブレジネフ会談である。
ソ連の目的は現在と同じ、日本の経済協力で、 日本の目的も現在と同じ、領土返還。
以下、その時の会談を外務省東欧第一課長としてコントロールした 新井弘一氏から私が直接聴いたことと 氏の著書「モスクワ・ベルリン・東京、一外交官の証言」をもとにして再現する。

まず、出発前に、新井課長は、田中総理に、 コミニュケ作成交渉を含め、 決裂も辞せぬ態度をソ連側に示す必要性を強調する。
それに対して田中総理は、 「俺の腹は決まっている。 ソ連が頑迷ならば何も結ばす帰るだけだ。
コミニュケを作る必要もない」 と明確に答えた。

 第一回首脳会談
田中首相、 「ソ連の領土は広い、上空からバイカル湖が見えたが、  ソ連から見れば、北方領土などは湖に浮かぶ流氷みたいなものではないか」
ブレジネフ、 「それは私の責任ではない」

 第二回首脳会談
冒頭から二時間にわたり、ブレジネフは、 シベリアの産業地図を前に、満面を紅潮させ、拳を振り上げて、高圧的にテーブルをたたき、立て続けにしゃべり続けた。
ブレジネフがしゃべり続ける最中に、 新井課長は、煙草を大きくふかしながら時計を見て不快感を示し、 田中首相に、 「彼の発言を無視して、こちらの主張をぶちまけてください」 と紙に書いて渡した。
果たして、田中総理はドスの利いた声で言った。
  「経済協力、大いに結構。 しかし、自分はもっと大きな目的のためにはるばるやってきたのだ。 それは日ソ間の未解決な領土問題を解決する為である。 この問題を解決することは、 両国の政治家に課せられた責務であり、宿命である」

 第三回首脳会談
ソ連側の、シベリア開発協力、漁業、安全操業などが延々と取り上げられ、 領土問題の進展はなかった。
ただ、北方領土水域での操業問題が取り上げられたが、 ブレジネフとコスイギンの堅いブロックを破ることができなかった。
グロムイコは官僚の権化であり、 ブレジネフが不用意な発言をしたと思えば、間髪を入れず、それを打ち消す発言を始める。
その都度、新井課長は、 「まだ通訳が終わっていない」といってコスイギンの発言を制止した。

 大平・グロムイコ外相会談
共同コミニュケ作成に関し、 日本側は意見の不一致を確認するや、サッサと退出し、決裂の意思を示した。

 最終首脳会談
コミニュケ案にある「日ソ間の未解決の問題」に関して、 コスイギンが、 複数の「未解決の諸問題」にしてくれと要求した。
田中首相が、 「領土問題」という言葉を入れることを要求した。
コスイギンは 「不同意」と答えた。
直ちに田中首相がブレズネフに、 「では聞くが、『未解決の諸問題』と複数にする理由は何か。 日ソ間に未解決の問題というのは領土問題しかないではないか」と言った。
ブレジネフは、一瞬、口ごもりながら 「漁業とか、経済協力とか・・・」と答えた。
その時、田中首相は、四本の指を突き上げて、 「では、この未解決の諸問題に、 四つの島が入っていることを確認されるか」 とブレジネフに迫った。
ブレジネフは、 「ヤー ズナーユ(私は知っている)」と答えた。
田中首相は、 「もう一度、ハッキリと確認願いたい」と迫った。
ブレジネフが肯いて、 「ダー(そうだ)」と答えた。

この瞬間、 「日ソ間の領土問題は、ヤルタ以来、一連の国際協定によって解決済みである」 とするソ連の立場が崩れた。
つまり、日ソ(ロシア)間に「領土問題が存在する」ことを日ソ両国は確認した。

重ねて言う。プーチンは、この認識なくして日本に来るな。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

【プーチン露大統領訪日】「露に領土問題ない」プーチン大統領、交渉長期化を示唆
http://www.sankei.com/world/print/161214/wor1612140006-c.html

 【モスクワ=黒川信雄】ロシア大統領府は13日、公式サイト上にプーチン大統領と日本テレビ、読売新聞との会見の詳細を掲載した。プーチン氏は「ロシアに領土問題はない」と発言するなど、15日からの自身の訪日を前に、北方領土交渉に対するロシア側の厳しい立場を明確に示した。

 プーチン氏は、北方領土問題以外にロシアには国境線の問題はないとの認識か-との質問に、「ロシアにはそもそもいかなる領土問題も全くないと思っている。日本がロシアとの間に領土問題があると考えているのだ」と述べ、北方領土がロシアの主権下にあるとの認識を改めて強調した。

 安倍晋三首相が示した8項目の経済協力プランについては、「(平和条約締結の)条件ではない。これは必要な雰囲気作りだ」と語り、平和条約締結には直接結びつくものではないとの考えを示した。また、中国と40年間にわたり国境問題を交渉した事例を挙げ、交渉が長期化する可能性を示唆した。

 プーチン氏は北方領土での共同経済活動について「検討する用意がある」としつつも、「重要なのは条件だ」と指摘。日本の主権の下での経済活動に否定的な見解を示した。

 1956年の日ソ共同宣言で示された平和条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しがどのような形で実施されうるのか-という質問には、「それを話し合うのは時期尚早だ」とする一方、「もし首相と日本政府がこの宣言に立ち返るというのなら、われわれは話し合うだろう」と発言。

 ただ、宣言にはどちらの主権で、どのような条件で引き渡されるか明記されていないとの従来の主張を繰り返し、「共同宣言の枠内だけでも、まだ非常に多くの作業が必要だ」との見方を示した。国後、択捉両島を含めた四島の議論は「全く別の状況で別の問題提起だ」とも強調した。

 日本が欧米諸国とともにロシアに科している経済制裁に対しては、「なぜウクライナ、シリアの問題を日露関係に結びつけるのか」と批判的な考えを示した。
                   ◇
 ■読売、会見6日後に掲載
 読売新聞は、インタビューは7日に行ったとしている。「プーチン氏のロシア語での発言を和訳し、精査を重ねた」ため、13日付で掲載したとしている。これ以外に理由はないのか尋ねた産経新聞の取材に対し、読売新聞グループ本社広報部は「記事で説明している通りです」と書面で回答した。
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サイバー戦争

2016年12月09日 | 政治・外交
今やインターネットのない世界は考えられない時代となった。
PCの前に座って検索すればあらゆる情報が瞬時に目前に提示される。
買い物もインターネット経由で便利になり、もう後戻りできない。
街を歩けば、スマホ片手のビジネスマン、学生が闊歩しているし、危険ではあるがスマホやケータイ片手に自動車を運転する人も見かける。

その裏には万全のセキュリティがあってこそ成り立っている。
国防の分野では、敵対国に情報が盗み取られればたちまち劣勢に立たされる。
今も人力に頼るスパイが暗躍しているが、電子技術による情報戦は、重要な情報が盗まれていることに気がつかない場合があるという。
陸自システムにサイバー攻撃、情報流出か 国家関与も 被害の全容不明 2016/11/28産経
http://www.sankei.com/affairs/print/161128/afr1611280003-c.html

 防衛省と自衛隊の情報基盤で、駐屯地や基地を相互に結ぶ高速・大容量の通信ネットワークがサイバー攻撃を受け、陸上自衛隊のシステムに侵入されていたことが27日、複数の同省関係者の話で分かった。防衛省が構築した堅固なシステムの不備を突く高度な手法と確認された。詳細な記録が残されておらず、被害の全容は判明していないが、陸自の内部情報が流出した可能性が高い。

 複数の自衛隊高級幹部は「危機的で相当深刻な事態だ。早急に再発防止策を講じる必要がある」と強調。一方、情報セキュリティーを担当する防衛省の斎藤雅一審議官は「個別の案件には答えられない」とコメントした。

 防衛省は外部接続を制限するなど防御態勢を強化してきたが、今回はそれを上回る高度な手法から国家などが関与した組織的攻撃の疑いが強い。同省は深刻な事態と判断。9月ごろに確知し、直後にサイバー攻撃への警戒レベルを引き上げた。

 関係者によると、攻撃を受けたのは、防衛省と自衛隊が共同で利用する通信ネットワーク「防衛情報通信基盤(DII)」。接続する防衛大と防衛医大のパソコンが不正アクセスの被害に遭ったとみられる。このパソコンを「踏み台」として利用した何者かが、陸自のシステムにも侵入した可能性が高い。防衛省は確知後、防衛省・自衛隊全体でインターネット利用を一時禁止した。

 防衛大と防衛医大は、全国の大学が参加する学術系のネットワークにも入っている。このネットワークを経由して攻撃されたもようだ。
 DIIはインターネットに接続する「部外系システム」と、関係者が内部情報をやりとりする「部内系システム」に分かれている。電子メールを通じてコンピューターウイルスが入り込むことなどを防ぐため、二つのシステムは分離して運用されている。
 ただ、個々のパソコンは両方のシステムに接続し、切り替えながら利用する仕組みで、切り離しは完全ではなかった。攻撃者はこの仕組みを悪用したとみられるという。

 ■サイバー攻撃 政府機関や企業の情報通信システムに不正侵入し、機密情報を盗み出したり、データを破壊したりする行為。電子メールでコンピューターウイルスを送りつけ、感染したパソコンを遠隔操作する手口が目立つ。大量のデータを送信してサーバーに過大な負荷をかけ、サイトを閲覧できないようにする手法もある。2011年には国内で防衛産業を狙った大規模攻撃が明らかになり、セキュリティー対策が進む契機となった。
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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第258号(12月8日)
http://melma.com/backnumber_190875/

真珠湾からサイバーへ

 以下は5年前の今日、配信された軍事ジャーナル(12月8日号)「日本は戦争に勝てた」である。現在でも通用すると思われるので、再録する。

「*
 今日は大東亜戦争開戦の日だが、毎年この頃になると決まって飛び出す質問が「日本は何故負けると分かっていた戦争に突入したのか?」である。
 敗戦後、旧軍人たちは負けた言い訳をするのはみっともないので、ひたすら反省の弁だけを述べた。「戦争を止められなくすみません」そこで上記の質問になる訳だ。
 だが戦争をするに当たって勝算がない訳はなく、当然日本にもそれはあった。だから何故失敗したのかを考えることこそが真の反省となろう。

   もちろん大国アメリカと戦争するに当たって、米都ワシントンを占領できるとは軍人達は思わなかった。だが日露戦争に当たってモスクワを占領できると明治の軍人は考えなかったし、実際に占領はしていないが、日本はロシアに勝っている。
 当然戦前の軍人達は日露戦争をモデルに対米戦争に勝利する戦略を考えていた。日露戦争では、先ず海軍が露太平洋艦隊を撃滅し陸軍が満州に上陸しロシア陸軍を追い払い、そこで極東ロシアを救うべくアフリカを迂回してやってきたロシアのバルチック艦隊を、日本海軍が壊滅しロシアの戦意を喪失させて講和会議に持ち込んだ。
 対英米戦では日本は同様の戦略を立てていた。まずフィリピンに駐留していた米軍を追い払い東南アジアにいた英軍を追い払い、これを救うべく太平洋を渡って来た米太平洋艦隊をフィリピン沖で壊滅し、講和に持ち込む戦略であった。

   もしこの通りにやっていたら、あの戦争の結果はまるで違ったものになっていたであろう、というのが米国の歴史家の意見でもある。だが連合艦隊司令長官、山本五十六海軍大将はこの戦略を変更したのである。米艦隊を待ち受ける戦略から米拠点を積極的に叩く殴り込み戦略に変えたのだ。
 この空母機動部隊を生かした殴り込み戦略は、米海軍にも評価され現在の米空母戦略の礎となっている。発想はよかったのだが、これを完遂するためにはレーダーの配備が必要だった。
 レーダーは英国では1年前に配備されており、米国でも配備が始まっていた。日本海軍は戦艦大和やゼロ戦の開発に見るように当時、世界最高の技術水準を誇っていたにもかかわらず、レーダー開発だけは遅れを取っていた。電子情報に対する認識が欠如していたのである。
 結局これが致命傷だった。相次ぐ殴り込みも敵が見えないのでは功を奏さない。米太平洋艦隊の壊滅に失敗し、日本海軍は戦力を消耗し最終的には海軍が壊滅して敗戦したのである。

   この教訓は今の日本で生かされているだろうか?。私の体験からは生かされていないと結論せざる得ない。
 私は1990年代半ばまで航空自衛隊にいて情報通信関係の仕事をしていた。当時の空自は世界最強の戦闘機F-15を擁し、インターネットのさきがけとなるバッジシステムを整備し、旧海軍さながら最高の技術水準を誇っていた。
 だがインターネットの開通に伴い、私のいた部署はサイバー戦争対処を進言したのだが、パイロット中心の上層部はまったく聞く耳を持たなかった。「インターネット?、そんなモン、つなげなければいいんだろう。」

   確かに1990年代前半にインターネットの必然性を説明するのは困難だった。だが私が去った後もサイバー戦争対処の必要性を説明した者は空自にいなかったようだ。おかげで1990年には世界最高の防空システムを誇った航空自衛隊は、21世紀には二流の空軍に成り下がったのである。
 最近、防衛省は米国防総省からサイバー戦争対処で協力を求められて大慌てしているらしい。だがこの15年の遅れを今後5年で取り戻すのは、どうやっても不可能だろう。
*」

 さて、果たして5年後の先月27日、防衛省の情報システムにサイバー攻撃が仕掛けられ陸自の情報が流出した可能性があると報道された。政府関係者は「承知していない」と報道を否定したが、現在の防衛省のサイバーセキュリティが極めて脆弱なのは周知の事実である。
 要するに現在も5年前も20年前も、75年前と同じく電子情報戦への認識を欠いたままであり、日本の防衛は何の反省もしていないのである。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地政学入門」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1475838508
上記動画のテキスト本 「領土の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089

動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
上記動画のテキスト本 文庫「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/

動画配信中:「現代戦闘機ファイル」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html

動画配信中「よくわかる!ミサイル白書」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
上記動画のテキスト本「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true

その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)



開戦記念日

2016年12月08日 | 歴史
20世紀初頭は世界中に帝国主義が蔓延していた。日本も満州などに権益を持っていたが、米の嫉妬するところとなり、スターリン、ルーズベルトなどの謀略によって日米戦争が起きた。
戦後の1951年、マッカーサーは議会で「日本の戦争は自衛戦争だった」と証言した。

「戦争原因の見直し
 21世紀になり多くの歴史資料が公開されたので米国が何もしないの突然攻撃されたというような子供じみた隠蔽や歪曲は通じない。第一次大戦のベルサイユ条約では独だけが断罪されたが今では訂正されている。太平洋戦争も日本の冤罪は明らかである。」
(落合道夫著:大東亜戦争と日本人の課題)

済んだこととはいえ、戦争の原因を知っておくことは重要だ。
なぜなら「歴史は繰り返す」。

太平洋戦争開戦ラジオ放送



トランプ・蔡英文 電話会談

2016年12月07日 | 政治・外交
2日、トランプ次期米大統領と蔡英文台湾総統が電話会談を行った。
中国は米に抗議をした。
トランプ氏と蔡総統の電話会談、中国が米国に厳重抗議 2016年12月04日 11:07 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3110113

【12月4日 AFP】中国政府は3日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領が数十年にわたる自国の外交慣例を破って2日に台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統と電話で会談したことについて、米政府に抗議した。

 現時点ではトランプ氏と蔡総統の電話会談が、米政府が取ってきた「一つの中国」という原則を堅持する立場からの方針転換を意図したものかどうかは明らかではない。しかし、トランプ氏は国際問題を即興的に扱っているという危惧の念は高まった。

 電話会談を受けて中国政府は断固とした対応を取った。中国外務省は「わが国はそれ(トランプ氏と蔡総統の電話会談)についてすでに米側の関係者に厳重に抗議した」「世界には『一つの中国』しか存在しないことをはっきりと示さなければならない。台湾は中国の領土の不可分の一部である」と述べた。

 また、中国は米側の関係者に対し、台湾関係問題の慎重な取り扱いと、米中関係全般への不必要な干渉を避けるための配慮を要請した。(c)AFP
第二次大戦後、台湾は中国共産党によって統治されたことはなく事実上主権国家。
「台湾は中国の領土の不可分の一部である」は空しく聞こえる。
米は台湾関係法によって台湾との外交関係を維持し、軍事的な支援もしている。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第257号(12月6日)
http://melma.com/backnumber_190875/

米中激突

 先月21日、米原子力空母ロナルド・レーガンが母港、横須賀に帰還した。6月20日に米空母ステニスとフィリピン沖で演習し、6月30日には南シナ海を航行し中国海軍を牽制し、9月からは北朝鮮危機に備え主に日本海、黄海周辺を遊弋していた。
 そして横須賀に帰港し乗組員は感謝祭の休暇に、船体はメインテナンスに入った3日後の25日、中国空軍の戦闘機スホイ30、2機が宮古海峡を、また爆撃機H6、2機、偵察機Tu154を含む中国空軍機4機がバシー海峡をそれぞれ突破し、西太平洋で合流した後、宮古海峡を通過して大陸に帰還した。

 宮古海峡は台湾の北東、バシー海峡は台湾の南にあることから明らかな様に、中国の作戦の意図は台湾の包囲であり、台湾侵攻の準備である。今月2日にトランプ次期大統領は台湾の蔡英文総統と電話で会談し、台湾防衛の意思を明確にした。
 トランプは既にマティス元米中央軍司令官を国防長官に指名しており、狂犬の異名を持つマティスは海兵隊出身である。海兵隊の本来の任務は上陸作戦であり、台湾が中国に軍事占領された場合、これを奪還するための上陸作戦を実施するには最適の人物であろう。
 更にトランプは4日、ツイッターで「中国は南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設していいかと(米国に)尋ねていない」と中国の南シナ海進出を認めない姿勢を示した。狂犬マティスに任せれば南シナ海の中国軍基地など木端微塵に吹き飛ばせると息巻いているのである。

 中国は南シナ海と東シナ海への侵略を加速しているが、台湾は二つの海の中間にあり、台湾を軍事的に獲得しなければ両海の支配権は確立しない。そもそも、台湾併合は毛沢東以来の中国の悲願であり国是でもある。今さら諦められるものではない。
 今までは両岸繁栄で潤ってきたから現状維持で良かったが、経済不況に苦しむ現在では、かつて香港返還が経済成長の起爆剤になったように、台湾併合を実現して経済の起死回生を狙う本音も見え隠れする。
 米中激突の発火点は台湾となりそうである。


1日、田母神裁判、検察による被告人尋問があった。
https://www.youtube.com/watch?v=f3oV51O2TsQ&t=2493s

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地政学入門」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1475838508
上記動画のテキスト本
「領土の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089

動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
上記動画のテキスト本
文庫「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/

動画配信中:「現代戦闘機ファイル」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html

動画配信中「よくわかる!ミサイル白書」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
上記動画のテキスト本「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true

その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)