落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

加瀬英明氏「政治の風」

2012年11月30日 | 政治・外交
11月も今日で終わり、平成24年師走を迎える。
衆院選を控え、新党の立ち上げ統合が相次いだ。
それぞれ自分の思惑とは微妙にずれ、これといった支持政党がない。
皆様は如何でしょうか。

評論家加瀬英明氏は、日本人は風に左右されやすいと仰っている。
師走の風に煽られないようしっかりと見極めたいと思うが。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi
送信日 : 2012/11/30 (Fri)
題 名 : 日本の大きな問題点 政治が風によって動かされる

 今年は世界的な異常気象のためか、東京でもしばしば突風に見舞われた。
 風のいたずらによって、わが家でも鉢植えが転がされたり、近所から玄関先に太い枝が飛んできた。
 石原慎太郎氏が都知事を辞職して、総選挙へ向けて新党を立ちあげることを発表すると、マスコミが大騒ぎして、旋風をひきおこした。
 日本の新聞や、テレビはことさら〃風〃を好んでいる。社員を養うために、せわしく日銭を稼がねばならないので、世論の隙をついては、“風神”をつくりだす。
 石原氏がもっとも新しい風神となった。慎ちゃんはヨットマンだ。石原新党が帆をあげるが、日本の新しい船出に向けて、私も友人たちとともに強い追い風を起したいと思う。
 日本のマスコミは、飽きっぽい。ついこのあいだまでは、橋下徹大阪市長が全国に風を起して、政界再編の目だと囃したてられた。
 私は橋本氏が大阪府知事となって以来、教育正常化や、行政改革を果敢に断行して、いまの日本を立て直すのに必要な破壊力を存分に発揮してきたのを、評価してきた。
   “維新の会”が国政に進出するのに当たって、国民倫理を前面に押し出し、教育正常化、領土を自力で守る防衛力整備、政党交付金の大幅な削減などを唱えたのに、共鳴した。
 橋下氏は「日本人は自国の歴史を学び直すべきだ」と訴え、韓国が慰安婦を強制連行したというなら、「強制したという証拠を出せ」と反論したのにも、喝采した。
 だが、橋本氏は軽いところが目立ち、まだ分からないところが多い。
 私は異常な“維新の会”のブームに、深い不安を覚えた。

 日本の民主政治に、周期的に「風」が吹いてきた。この30年ほどこのような「風」が、日本の民主主義の特徴となっている。
 昭和64年の衆議院選挙で、日本社会党が土井たか子委員長のもとで、議席を倍以上に増した。マスコミが「マドンナ旋風」と呼んで囃し立てたが、土井氏が「山が動いた」といって、小躍りした。
 小泉首相が平成13年に「自民党をぶっ壊す」といって、郵政改革を訴えた総選挙で、自民党が圧勝した。3年前に民主党が「政権交替」を叫んで、鳩山内閣が登場した時にも、マスコミは「風が吹いた」といって、盛んに喝采した。
 なぜか、日本国民は内容がよく分からない新しいものに、憧れる性癖がある。3年前の総選挙では、みんなの党がそのコミック的な党名によって、高い人気を博した。
 これらの「風」は、みな、一過性のものだ。平成13年に誕生した“小泉チュルドレン”は、その後の「風」によって、芥(あくた)のように散ってしまった。3年前にバッジをつけた“小沢チュルドレン”も、「風」とともに去ることとなろう。みんなの党も賞味期限が切れて、よろめいている。
 橋下市長自身も、自分の「賞味期限は2年間だ」と語ったと、伝えられている。
 天下の公党が候補者を公募するのも、日本だけのものだ。日本に独特な奇観だ。
 橋下市長が大阪維新の会をつくって、塾生を公募したところ、国会議員を含む3326人が応募したという。あの時点では、みんなの党の人気がまだ高かったが、もしみんなの党が、同じような塾を開設したとしたら、維新の会によってはねられた者が、殺到したにちがいなかった。

 「風」が周期的に吹くのは、日本では民主主義が国民のあいだに、しっかりとした根を降ろしていないためである。

 アメリカや、カナダや、ヨーロッパであれば、政党の日常活動がボランティアの学生、社会人から、高齢者まで厚い層によって支えられている。その支持者のなかから、ふさわしい候補者が選ばれる。
 私は4年前まで松下政経塾の役員を長くつとめて、相談役として退任したが、現在、36人の卆塾生が国会議員をつとめている。そのほとんどが、民主党に所属している。なぜかといえば、自民党は世襲議員が多く、選挙区の空きがないからだ。
 卆塾生のうち民主党議員が圧倒的に多いのは、政策や、綱領や、信念と関係がない。ただ胸にバッジをつけたい一心で、選挙区の空きが多い民主党に、雪崩れ込んだためである。
 私は民主党の1年生議員のなかで、3つの党に応募して、バッジを射止めた者を知っている。日本では政冶が国民の日常生活から、浮き上っている。

   本来、日本語で「風」といったら、思わしくない言葉だった。よい言葉といったら、「そよ風」ぐらいのものだろう。
 風の吹回(ふきまわ)し、風任(まか)せといえば、定見がないことだ。男や女が心変わりするのを、風吹きといった。
 江戸時代には「かぜを負うた」というと、物怪(もののけ)に取り憑かれたことをいった。「あの人は風に当たった」といえば、人に災いする魔風のことだった。風は疫病神であり、「風の神払い」といって、仮面をかぶって太鼓を打ち鳴らして、軒々金品を貰い歩く辻乞食がいた。
 地方では風の神に見立てた人形を作って、鉦や、太鼓ではやしたてて、厄除けを行った。いまでも農村へ行くと、風害を免れて豊作になるように祈願する、風神祭が行われている。

 マスコミは、風の魔神だ。風袋をかついで、風害を撒き散らしている。
 いまでは、政界で「風」はよい言葉になっているが、「風」は政治を不安定なものにしている。
 煽ることが、ジャーナリズムの生業(なりわい)であることは、戦前から変わらない。マスコミは何であれ、騒ぎを好む。劣情を刺激するポルノと変わらないが、そうすることによって、紙数が増え、視聴率があがる。
 江戸時代には、流行神(はやりがみ)現象があった。ある祠(ほこら)を詣でると、大きな御利益があるという噂がひろまる。すると、群集がそこに殺到する。ところが、長続きしない。いつも、一過性のものだった。
 しばらくすると、ちがう祠か、寺か、社を詣でると、福運がつくという風聞がひろまる。人々が、そこへ集まる。流行神は花が咲いてぱっと散るから、「時花神」とも呼ばれた。
 お蔭参りは江戸時代におよそ60周期で起ったが、伊勢神宮に参詣すると大きな御利益があるという噂がひろまって、老いも若きも日常生活の規範を離れて、街路に飛び出し、奔流のように踊り浮かれて、伊勢へ向かった。
 最後のお蔭参りは、幕末の慶応3年に起ったが、当時の日本の人口の1割に近かった200万人以上が、全国から伊勢を目指した。路々で周辺の家に土足であがり込み、饗応を強いるなど、狼藉を働いた。

 平成に入っても、日本ではお蔭参りが続いている。反原発デモも、その類である。
 日本は国政選挙のたびに、魔風にあおられて、ダッチロールする。国民が日常の政治に、かかわろうとしないから、政治が国民生活から浮き上ってしまう。
 日本国民は日頃、ゲルマン民族のように規律を守って地道に生きると思うと、周期的にラテン民族のように浮かれて、空ら騒ぎする。

 アングロサクソンや、ゲルマン民族であれば、新しいものに警戒心をいだく。かりに多少の欠陥があっても、多年使い慣れたもののほうが、安心できるものだ。ところが、日本国民は政治の場にまで、「女房と畳は新しいほうがよい」という感覚を持ち込む。
 いまの日本では、「御皇室が危ない」から始まって、日本経済、外交、国防、教育、医療制度と、何ごとにでも「危ない」をつけることができる。「危ない」の氾濫だ。
 この国を立直すためには、危なくない人々に国政を委ねるほかない。
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加瀬英明事務所
お問い合わせメール: info@kase-hideaki.co.jp
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勤め人の頃にあったおタカさんブームは覚えている。
会社の労働組合執行部がおタカさんを呼んできた。
労使交渉にイデオロギーは関係ないのにとウブなノンポリは思っていたのだが・・・

小泉の郵政改革も「改革なくして成長ナシ」のキャッチフレーズ、純ちゃんの熱弁にころりと参ってしまった。
恥ずかしながら、いまだに良かったのか悪かったのか判らない。
維新の会橋下氏の言動も仰るように?が付くこともある。
石原氏の太陽の党も一週間も経ずして消えて、どこかにくっつくことになった。

嘉田滋賀県知事が「日本未来の党」を立ち上げた。「小沢氏の力で政策を実現」したいそうだ。
小沢ガールズを引き連れ胡錦涛詣でをし、韓国では日本人ヘタレ講演、習近平のため天皇スケジュールに容喙した反日の御仁だ。これだけで拒否反応を持っているが、政治屋には今でも小沢信奉者が多いらしい。

坂真氏ブログ「依存症の独り言」↓
未来の党が引きずる極左の系譜 嘉田由紀子は市民の党の支援で当選した
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2012/11/post-ab43.html

瀬戸弘幸氏「小沢救済の為の『日本未来の党』」↓
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52920994.html


【山】宍粟市山崎町・波賀町 深山(ふかやま908m)、南深山(916m)

2012年11月28日 | 散歩・山歩き
朝の冷え込みはこの秋一番だったようです。
車のフロントガラスにびっしりと霜が降りていました。

以前登った長水山の前を通り北上し、突き当たり岩上神社奧の登山口から登りました。

赤いマークの山

さすがに晩秋ともなると標高900mの山にも雪が来ていました。
当方低山歩きなので、今年の1000m前後の山はこれが最後になるでしょう。


林道の落ち葉


南深山の頂上


セルフタイマーで記念撮影


思考停止と先送り体質

2012年11月23日 | 政治・外交
 勤労感謝の日
支那は尖閣は我が領土なりと公船を尖閣周辺に徘徊させている。
自衛隊の駐屯も云々されたが未だに実施されていない。一度占拠されたら排除するのにどれだけのエネルギーが必要か。 ド素人でもその困難さは竹島や北方領土を見ればわかる。

衆院選で自民党選挙公約が発表されている。
今までにない強さではあるが、いま出来ることはないのだろうか。
132 尖閣諸島の実効支配強化と安定的な維持 管理
わが国の領土でありながら無人島政策を続ける尖閣 諸島について政策を見直し、実効支配を強化します。 島を守るための公務員の常駐や、周辺漁業環境の整 備や支援策を検討し、島及び海域の安定的な維持管 理に努めます。

133 領域警備の強化
世界第 6 位の排他的経済水域と 6852 もの島々の安 全を確保するため、海上保安庁等の人員・装備・予算 を拡充し、領海・領域を護る体制を整えます。特に南西 諸島においては、警察、海上保安庁、自衛隊を重点配 備するとともに、海上輸送能力の向上を図るなどの対 応能力を高めます。

■「加瀬英明のコラム」メールマガジン
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送信日 : 2012/11/22 (Thu)
題 名 : いますぐ尖閣諸島に陸上自衛隊を駐屯させるべき

 これまで日本は平和憲法の発想によって思考を停止して、世界の現実を直視する力を失って、ひたすら外国と摩擦を生じるのを恐れ、平和国家ぶって得意になってきた。
 私はもう20年も前から尖閣諸島に、陸上自衛隊の1コ中隊を交替で駐屯させるべきだと、論じてきた。
 中国は海軍の拡張に乗り出したばかりだった。日本の経済協力と投資に餓えていたから、口先で抗議しても、既成事実として認めざるをえなかったはずだった。
 私はやがて中国が軍事力を増したら、尖閣諸島をかならず盗りにくると予想した。

 防衛省は中国が傍若無人に振る舞うために、離島奪還のための戦闘訓練と装備の調達を、あわててはじめた。来年度予算ではじめて、水陸両用車をたった4輌でしかないが、購入することになった。
 ところが、わが自衛隊にはもし尖閣諸島が奪われた場合に、奪還する能力がまったくない。
 陸上自衛隊の実力部隊として、那覇に1000人程度の第15旅団がいるだけだ。沖縄本島から与那国島まで、514キロにわたって先島が連なっているのに、宮古島にレーダ基地があるだけで、この間に実戦部隊はゼロだ。
 旅団といっても、諸外国なら連隊に当たる人員数だ。連隊だったら連隊長が佐官で足りるのに、将官のポストづくりのために、旅団となっている。連隊も大隊の規模でしかないのにもかかわらず、佐官のポストづくりのために、連隊となっている。
 ついこの間まで、日本社会党が上陸戦闘のための水陸両用車が攻撃的な兵器だといったために、認められなかった。同じことが、航空自衛隊が今日でも戦闘機として飛ばしているF4Jについても、あてはまった。
 F4にせっかく爆撃装置がついていたのに、「侵略的だから」といって、採用にあたって外された。そこで、アメリカ国防省では〃J〃が、ジャパンのJではなく、「欠陥商品(ジャンキー)のJ」だと、嘲っていた。

 どうして自由陣営において、アメリカに次ぐ第2位の経済大国である日本が、尖閣諸島という小島をめぐって日中が武力衝突した場合に、まず独力で守ることができないのか。はじめからアメリカ軍にすべてを頼るのでは、アメリカの世論が納得しない。

 それでもアメリカ軍に縋るほかないが、アメリカは尖閣諸島に限定された侵攻の場合には、日本が独力で対応し、衝突が拡大する場合は、日米安保条約を適用するといっている。
 日本国民の多くが日本が「平和国家」であることを誇ってきたが、他人委(まか)せの贅沢を見せびらかして、自慢するのと同じように浅はかなことだ。軽蔑しか、招かない。
 他人委せの平和を誇ることはできない。日本国民に平和を愛していると、言える資格はまったくない。

 戦後、アメリカの絶対的な軍事保護が、日本人から国家意識を失わせるのに当たって、決定的な力を持った。日本はどの独立国であっても持っているべき国家精神を、捨ててしまった。
 もし、中国の海上民兵である漁民が、魚釣島に大挙上陸して、事前に島にあがったわが警察官か、海上保安官が人質となり、人民解放軍が自国民を保護すると称して出動したら、どうするのか。いまからでも、武装要員を駐留させるべきである。


中共習体制の権力配分

2012年11月17日 | 政治・外交
我が国の野田政権は遂に解散。「自爆解散」「寄り切り解散」とか呼ばれている。
命名はともかく、真のガラガラポンが起きればいいと思う。
民主党は離党者が相次ぎ崩壊しそう。
××ガールズ、ボーイズも戦々恐々、××塾出身も大したことはなかった。
総選挙で早く立て直さないと、隣国中共も新体制が発足した。

尖閣に攻め来るのが先か、中共崩壊を待っておればいいのか。
人気のあった温ジイサンの海外蓄財が暴露されている。
中共幹部の海外蓄財は膨大で差し押さえのリスクもあるだろうにホントに戦争が出来るのかと思うが。 連日のように支那公船が尖閣付近をうろついている。習近平は胡錦涛よりも強硬とも云われ用心にこしたことはない。
インターネット上では支那人民の結構冷めたメッセージが見られる。
胡が軍 江が政 政軍分けも「短命な権力均衡」
http://www.epochtimes.jp/jp/2012/11/html/d94286.html

【大紀元日本11月16日】中国で15日から習近平新体制がスタートした。注目の最高指導部・政治局常務委員も発表され、江沢民一派とされる顔ぶれが多数を占める結果となった。一方で、胡錦濤・習近平サイドでは党大会前から軍部人事を布陣し、軍の指導権を手中にしている。熾烈な権力闘争の末、両派が共産党政権の維持を優先し、政・軍を分けることで権力配分の均衡を保った形となった。

 15日に発表された「チャイナセブン」の中、張徳江・重慶市党委書記、兪正声・上海市党委書記、劉雲山・党中央宣伝部長、張高麗・天津市党委書記の4人は保守派で江沢民氏に近い。胡主席サイドの李源潮・党中央組織部長や改革派のホープと目される汪洋・広東省党委書記の昇格はなかった。

 一方で、党大会前に布陣が進んだ軍の要職には胡錦濤主席の強い影響力が残されている。軍の4大トップとなる総参謀長、総政治部主任、総後勤部部長、総装備部部長の全員は胡・習両氏が抜擢した側近。中でも北京軍区司令官から、作戦と情報を握る総参謀長に昇格した房峰輝氏は胡主席からの信任が厚く、2009年の建国60周年記念の軍事パレードでは総指揮官を務めた経歴もある。

 また、中国の7大軍区のトップにも胡・習に近いメンバーが就いている。首都北京と周辺の防衛を担当する北京軍区の新しい司令官は、かつて習氏の部下の張仕波氏で、習氏から絶大な信頼を受けている。蘭州軍区トップ・劉粤軍氏も習組とされており、南京軍区の蔡英挺氏、広州軍区の徐粉林氏、済南軍区の趙宗岐氏は胡主席が引き上げた幹部である。

 このような権力分配の構図について、在米中国問題専門家・石藏山氏は「各勢力の短命な権力均衡にすぎない」と切り捨てた。派閥間の利益対立は今後も避けられないとして、共産党政権の維持という共通の目標から優先した党内の安定も一時的なものに過ぎないと指摘した。
(翻訳・余靜、編集・張英)

■幼稚園も軍事訓練? 強奪を「防衛戦」とは・・・
幼稚園で「釣魚島防衛戦」=浙江省
http://www.epochtimes.jp/jp/2012/11/html/d11135.html

【大紀元日本11月16日】中国浙江省杭州市にある浙江大学幼稚園で13日、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)防衛戦」が行われた。
 迷彩服を着た「解放軍チルドレン」がおもちゃの機関銃を手にし、「釣魚島は我が中国のもの」と声を張り上げながら入場。保護者の歓声のなか、障害物を突破して国旗を「領土」に差し込むなど、戦争に見立てたゲームが行われたという。


中共トップ決まる

2012年11月16日 | 政治・外交
中共のトップに習近平(59)が選出された。
胡錦涛は完全引退との報道が多いが、その見返りとして軍関係に胡錦涛派を送り込んだという。
それが日本にどう影響するのだろうか。
胡氏、軍人事で主導権 重要ポスト腹心で固め闘争激化 2012年11月15日(木)08:14
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20121115102.html

 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の章沁生副総参謀長は14日、北京の人民大会堂で香港の記者団に対し、胡錦濤国家主席(共産党総書記)が中央軍事委員会主席を退任すると述べた。胡氏は既定方針通り、すべての党要職を習近平国家副主席に譲り、完全引退することが確認された。胡氏はその見返りとして軍人事を自身の側近で固めることに成功したが、今後、軍内における派閥間の権力闘争は激しさを増しそうだ。
 中国の名目上の最高指導者は共産党総書記だが、実際には約230万人の軍のトップに立つ中央軍事委主席が最高実力者だ。
 党内規定では総書記の任期は5年と定められているものの、中央軍事委主席の任期に関する規定はない。これまでにも、トウ小平氏と江沢民前国家主席が、党と政府の役職をすべて引退した後、しばらく中央軍事委主席のポストにとどまり、政権への影響力を発揮し続けた経緯がある。

 複数の共産党筋によれば、胡氏も当初、前例にならおうと、留任に向けて党内で根回しするなど昨年末から準備していた。しかし今春の権力闘争で、江前主席に近い薄煕来前重慶市党委書記を失脚させた胡派の手法が「強引だった」との批判が強まり、警戒感を強めた党・軍内の反胡派勢力が「留任反対」に動いた。
 決定的だったのは、7月ごろ、態度を保留していた習近平氏も「留任反対」を明確にしたこと。これ以上留任にこだわれば、党内の対立が表面化しかねないと判断した胡氏は、8月初めに開かれた現・元最高幹部らによる非公式会合、北戴河会議で、全面引退する意向を明らかにしたという。
 その代わり、胡氏は院政を敷くため軍人事の主導権を握った。中央軍事委副主席を自身の側近で固め、作戦や情報を担当する総参謀長と、人事を担当する総政治部主任といった重要ポストをも腹心で押さえた。同時に、重要ポストに就くと報じられていた習近平氏の親友、劉源・総後勤部政治委員(劉少奇元国家主席の子息)ら数人の太子党(高級幹部の子弟)を軍中枢から外すことに成功した。


 15日の党中央委員会第1回総会で、習氏が中央軍事委主席に選出されても、主要幹部は胡氏の影響下にあり、軍掌握には時間を要しそうだ。胡派と習派が痛み分けとなった今回の人事だが、軍内における主導権争いの火種を残したといえる。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年11月15日(木曜日)弐通巻第3814号
http://melma.com/backnumber_45206/

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<速報>
誰もが驚きと失望の中国トップセブン
  江沢民派と守旧派の太子党が寡占し、団派は李克強ただひとり

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 失望が拡がった。この陣容では「汚職追放、改革」どころか特権階級の権利維持、利権確保の守旧政治、やっぱりそうか貴権階級の特権維持だけが目的の執行部であると国民は認識するだろう。世界のチャイナタウンを含めると地球的規模の失望が拡がった。
 期待をもたれた李源潮、王洋、劉延東は全員が「落選」し、守旧派系で江沢民の腰巾着らが中国の最高指導者に分け入った。

 次の五年を舵取りするチャイナセブンは習近平、李克強、王岐山、劉雲山、張高麗、張徳江、愈正声。
前者二人だけが五十代、残り五人はいずれも六十代後半、つまり次はない。一期だけである。
団派は今大会では先輩等の顔を立てたが、トップの多数派は譲っても、政治局全体では過半に近く、しかも、中央委員会のなかで団派は五十人の大所帯となって五年後に権力を太子党からもぎ取る構えに入ったようだ。
それにしてもこのメンバーでは新鮮さが感じられず、改革も遠のき、いずれもがリーダーの資質を欠き、中国の未来は急速に暗い印象となった。

~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ 2012.11.15 No.192号
http://www.seki-hei.com

最高指導部人事は共青団派の惨敗だった

2012年11月15日、午前から開かれた 中国共産党第18期中央委員会第1回総会において、 新しい政治局と政治局常務委員の顔ぶれが決まった。 総会終了の直後に、政治局常務委員に選出された 7名の指導者たちがお揃いの紺スーツに身を包まれて記者会見に臨み、 自分たちのチームで今後の中国をリードしていくことを内外に宣した。

それはすなわち、十三億の国民をこれから統治していく 中国共産党新指導部誕生の瞬間であるが、 この華やかなお披露舞台が設置されるまで、共産党の上層部においては 実に熾烈にして激しい権力闘争が展開されていた。
やっと決められたこの7名の政治局常務委員の構成は まさにこの壮絶な権力闘争の結果であるが、 中国の政治事情に多少詳しい人間なら、その顔ぶれを一目でみれば すぐに分かるように、闘争の結果は間違いなく、 江沢民氏の率いる上海閥・太子党連合軍の全面的勝利と、 胡錦涛氏の率いる共青団派 (共産主義青年団を母体とする派閥)の歴史的大敗退である。

新しく選出された7名の政治局常務委員のうち、 重慶市党書記だった張徳江氏と上海市党書記だった兪正声氏と 共産党宣伝部長を務めた劉雲山氏の三名は バリバリの江沢民派として知られて、 山東省党書記の張高麗氏も江沢民派に近い存在である。
もう一人の王岐山氏は太子党の一人であるが、 太子党はもともと江沢民派と「同盟関係」にあることは前述の通りだ。

つまり、政治局常務委員の7つの椅子の5つは 江沢民派か江沢民派に近い人間によって占められている状況である。 党の総書記でこの7名のトップである習近平氏となると、 太子党の代表格である彼はもともと、 江沢民氏と江沢民派の強い押しがあって今の立場になった人間だから、 半分以上は江沢民派なのである。
そして7名の中の最後の1名、次期首相に内定している李克強氏だけは、 胡錦涛氏の子飼いの幹部で、正真正銘の共青団派である。

こうして、最高指導部となる政治局常務委員会の絶対多数(7名のうち6名) は江沢民派あるいは「準江沢民」によって牛耳られることとなった。
少なくとも党の最高意思決定を担う中枢においては、 新しく誕生した習近平政権はまさに江沢民一派の天下である。

その一方、党組織部長だった李源潮氏や広東省党書記の汪洋氏など、 一時には常務委員会入りが確実視されていた共青団派若手ホープの面々は ことごとく最高指導部への昇進を阻まれ、 政治局員止まりのままで職務が異動されることになる。
このレベルの人事における胡錦涛氏と共青団派の惨敗は明らかである。 ( 石 平 )


よう云うた、それも広島で

2012年11月12日 | 政治・外交
橋下氏、?なときもあるが、これはいい。
ついでに沖縄で云うておくれ。
「尖閣が盗られようとしている、オスプレイは必要なんだ」
橋下氏、広島で「核廃絶無理、日本は平和ぼけ」  2012年11月11日(日)09:26
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20121110-567-OYT1T00806.html

 新党「日本維新の会」代表の橋下徹大阪市長は10日、非核三原則の「核兵器を持ち込ませず」に関し、「日米安保条約の中で可能なのか。(現実に核が)持ち込まれているなら、国民に開示して議論しなければならない」と述べ、疑問を示した。
 遊説先の広島市で記者団に語った。橋下氏は「(日本に拠点を置く)米海軍第7艦隊が核兵器を持っていないことはあり得ない。日本が米国の核の傘に守られている以上、持ち込ませる必要があるなら国民に理解を求めたい」と強調した。
 広島市などが訴えている核兵器廃絶については、「理想としては(廃絶)。でも、現実的には無理ですよ、今の国際政治で。日本は平和ぼけしすぎている」と指摘した。


米大統領オバマ氏再選

2012年11月08日 | 政治・外交
米財政再建、超党派で…オバマ大統領が勝利演説 2012年11月8日(木)01:28
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/world/20121108-567-OYT1T00150.html

 【ワシントン=中島健太郎、シカゴ=吉形祐司】米大統領選で再選された民主党のバラク・オバマ大統領(51)は7日未明(日本時間7日午後)、地元のシカゴで勝利演説を行い、「政治の現状が示すほど、我々は分裂してはいない。我々はともに未来をつかむことができる」と述べ、財政再建などの課題に超党派で取り組む姿勢を強調した。
 オバマ氏は2期目に向け、選挙戦で最大の争点となった景気と雇用の回復や、財政政策などをめぐり先鋭化した党派対立の修復を目指す。
 オバマ氏は演説で「財政や税制、移民の問題を解決するため、民主、共和両党の指導者と話し合うことが楽しみだ」とも語り、超党派による議論を呼びかけた。
 だが、6日の大統領選と同時に行われた上下両院議員選で上院は民主党、下院は共和党が多数派を占めることが決まり、改選前と同様に「ねじれ」状態が続くことが確定している。

米オバマ(1961-)、支那習近平(1953-)、露プーチン(1952-)、日本の周辺大国をこれから担う。
内憂外患、党利党略で往生際の悪い民主党政権が続いている。
日本は唯々米中の顔色を窺うようにして生きていくのだろうか。

多民族国家米は白人がマイノリティになりつつある、オバマ再選で米は衰退に向かうのではないかと予測する人もいる。
読むと首肯するところ多し。
[AC論説] No.418 オバマ再選は米国衰退の始まり
http://melma.com/backnumber_53999/

オバマが再選されて喜ぶ人もいる。私はオバマ再選は米国の衰退の 始まりで、特に東南アジア諸国に厳しい影響を及ぼすと見ている。 有権者の半分がオバマに投票したのだから私の意見はあくまでも私 見として聞いて頂きたい。

●過去4年の実績

オバマが再選して今日のニューヨーク株市場は300ドルの下落を示 した。国民がオバマの経済政策に期待してないことを如実に示して いる。オバマが当選して以来、4年間で彼の政策は失敗が多く実績 がない。失業率は7.9%を記録し、公言した5.5%の失業率は霞んでし まった。財政政策では政府支出を削減できず、政府は雇用人員を減 らすどころか逆に雇用が増えた。国の赤字はすでに16兆ドルを越え ている。オバマは国費削減よりも増税をして、特に年収25万ドル以 上の富裕層から税金を徴収する政策を推進し、国会が反対している。

●国防費の削減

4年前に公言したアフガンの撤兵はいまだに実現していないが、ア フガンでの反米テロは増える一方である。9月11日にリビアで米国 領事館が攻撃され、大使と警備に当った3人が殺害される事件が起 きた。オバマは攻撃のメールを受け取っていながら救援を派遣しな かったばかりか、オバマ大統領、ヒラリー国防長官やライス国連代 表などが一致してテロに攻撃された事実を国民に知らせなかった。 この事件はアメリカでベンガジゲートと呼ばれ、今月15日に国会で 訊問が始まる。

オバマの再選で確実になるのは国防費の削減である。ロムニーは国 防費の削減に反対だったが、オバマは強引に国防費の削減を推進し て今後4年の間にオバマは中東から撤退と同時に東南アジアでは現 状維持を要求、つまりアメリカは中国の強引な軍事行動に対して何 もせず、諸国に自制を要求する政策を取るだろう。

オバマが再選され、中東撤兵が現実となればた、ちまち中東各地で 反米運動やテロ攻撃が増加し、中東におけるアメリカの影響力は大 幅に下がる。これは石油資源の確保とシリアの内戦などに大きな影 響を及ぼすだけでなく、イランの原爆製造も確実となるだろう。イ スラエルは既に何度もアメリカに警告してきたがオバマはこれを無 視してきた。いずれイランの原爆が現実となれば世界の平和に大き な脅威、特にイスラエルの存亡に関わる大問題となる。

尖閣諸島や南シナ海での中国の強引な軍事行動や勝手な進出に対し アメリカは何もしない。中国の覇権行為に対し、日本を始め東南ア ジア諸国に対し「平和な話し合いで解決を望む」と言ったリップサ ービスしかやらない。中国の領土拡張は法的根拠も何もない。それ なのに被害国のほうに平和な解決を要求するのは可笑しな話だ。日 本を始めとする東南ア諸国は今から自力防衛対策を講じなければな らない。

●アメリカの赤字政策

オバマは自他共に認める社会主義者だが、私は社会主義者ではなく 共産主義者だと思っている。つまり富める者から奪って貧乏人に与 えると言いながら政府が奪った大半を取ることだ。

共産主義は富める者から奪っても貧乏人は貧乏から抜け出せない。 これがソ連の衰退に?がったのだが、アメリカの赤字削減はアメリ カの最重要課題なのに、オバマは「金持ちから税金を取る」主張し かやっていない。

一年前、アメリカ国会は国の赤字借款を15兆ドルと制限したのだが、 この制限額はたちまち突破され、改めて16.5兆ドルに変更された。 その制限も年末に到達すると言われている。つまりオバマは赤字を 解消する政策がなく経済破綻が目前に迫っているのに、支出削減を せず増税のみを主張しているのだ。国債を発行すれば中国からの借 款が増えて中国に対する発言力はゼロとなるが、オバマは既に中国 に叩頭しているから、東南ア諸国に援助して中国の覇権を抑えるこ とはできないだろう。

●ねじれ国会とアメリカの分裂

昨日の選挙の結果は、下院は共和党が過半数を制し、上院は民主党 が過半数を制する。このため議会のねじれ国会が継続することが確 実となった。下院で通過した法案はオバマと上院が制止し、オバマ の法案は下院が制止するねじれ現象が継続する。

オバマは当選語の演説でアメリカ国民の合作を訴えた。ねじれ国会 で政策が難航することを予想してのことだろうが、国を二極に分裂 させた張本人はオバマだった。

私がオバマに反対する最大の原因は、4年前の就任早々オバマケア と呼ばれる健康保険法案、および国家予算を「国会審議を無視して 三日以内に通せ」と命令したことである。民主的な法案討議を無視 して三日以内で通せと命令したのは独裁の極致である。当時は下院 で民主党が過半数を制していたから出来たのだが、このため二年後 の選挙で共和党が過半数を制するようになると国家予算が通らなく なった。

オバマは黒人だが、白人は人種問題を忌避する傾向があり、投票で は人種差別は殆どなく、ことに若年層の60%はオバマに投票したと いう。だが黒人の方は人種差別が明らかで、今回の投票では黒人の 93%とラテン系人の殆どがオバマに投票した。人種問題、移民問題の 上に民主党と共和党の分裂を進めたのはオバマである。国の分裂は 国の衰退を招く。二度目の当選を果たしたオバマが国の団結を呼び かけるのは当然と言えるが、分裂を誘起したのはオバマである。政 党、人種の融和を願うといっても分裂の傷は一朝一夕に治るもので はないだろう。

以上、国防費の削減、赤字と増税、人種差別と国民の二極化などを 挙げてオバマの再選がアメリカの衰退の始まりである私見を述べた。 私は中国人の共産思想と独裁を経験した人間である。反論もあるだ ろうが、あくまでも個人の意見と了解して頂きたい。



宮崎氏書評「超大国の自殺」

2012年11月06日 | 政治・外交
支那通の宮崎氏に依れば、中共の政権交代に伴い、軍事委員会も若返りが行われている由。
中共の尖閣盗りにどのように影響してくるのだろうか。
日本は唯々、日米安保に頼っていていいのだろうか。
先般イオン・岡田は支那を牽制する効果があると思われる日米軍事演習を断った。
頼みとする米もブッシュからオバマへと中道路線を歩んでおり、尖閣有事となれば本気で日本に味方をするかどうか危うい。
米も日本もそれぞれに民族主義が薄らぎ、老いつつあることは確からしい。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年11月5日(月曜日)通巻第3803号
http://melma.com/backnumber_45206/

悪党どもの最後の砦、それは「愛国」と「民族」カードだ
  尖閣を煽る共産党は自らの支配が最後のステージにあることを自覚している


パット・ブキャナン著 河内隆弥訳『超大国の自殺』(幻冬舎)
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 「アメリカはもう死んでいる」とのっけから衝撃的発言が連発される。アメリカの「緩慢な後退には、国益と、国民の意思の不一致がみられる」(464p)。
 ブキャナンといえば、ニクソンのスピーチ・ライターをつとめ、レーガン革命では保守思想の旗手として大活躍した。
しかもブッシュの弱腰中道路線をこっぴどく批判していたばかりか、それでも収まらず1992年と96年には自ら大統領選挙に出馬し、その予備選ではいくつかの州でトップか二位をかざり、本命ブッシュが青ざめる。 ともかく共和党主流派を大いに脅かす存在となった。
 その後も保守系雑誌で健筆をふるい、テレビのコメンテーターとしても大活躍、根強いファンがある。そのファンは日本にも及んでおり、彼の論理的根拠は、その民族的アイデンティティの確立と歴史主義の尊重という立場、日本で言えば石原慎太郎的であり、西尾幹二的であり、過激な傾向を帯びている点では中川八洋的でもある。かれはグローバリズムに反対する国益最優先主義者でもある。
 本書は、そのブキャナンの最新作。それも問題作で、2025年にアメリカは衰退の一図から自殺の道へ驀進していると説く、或る意味で物騒な本である。

 何が原因でアメリカは衰退するかと言えば、次の五つ。

 第一は「白人の少数化と部族主義」。カリフォルニア州では英語を喋る市民は40%しかいなくなったように白人がマイノリティに転落した。共和党に投票する十人に九人が白人だったが、その時代は終わった。

 第二に「ナショナル・アイデンティティの喪失」。米国が基督教の国であることもオバマは否定した。

 第三は「グローバリズムと格差」である。政府は三ドルの歳入に五ドルを支払うという税制の矛盾と拡大する福祉のツケがいずれ回る。グローバリズムは、日本ばかりか、いずれアメリカを痛めつけるだろう。

 第四は「多様性」が国際潮流だと説く怪しげなリベラリズムの蔓延である。人種のルツボは、暴動を引き起こすようになったが、ますます移民を認めるアメリカは、独自性も喪った。

 第五にブキャナンが指摘するのは軍事力の衰退、目を覆うほどの力の後退、その真空を埋める中国という好ましくない趨勢である。


 評者(宮?)ははたと考えた。この五つはアメリカの問題でもあり、しかしながら日本の問題でもあるという深刻さである。
 「日本列島は日本人だけのものではありません」とバカ総理が発言するほどに民族性が希薄となったうえ、日本の国益より中国の国益を優先する人たちが政治家に数多く、論壇ではTPP議論に代表されるようにグローバリズム礼賛がマスコミの主流である。
議論の多様化は、日本国民の結束力を急激に弱め、いったい何のために日本を守るのかという面妖な議論がまじめにテレビで議論される時代。
日本は老いて、このまま朽ちようとしている。
しかも中国の軍事力を前にして対応能力が欠落している。日本には国際常識としての軍隊が存在せず、未来の将校を育てる防衛大学は左翼に乗っ取られている。
 嗚呼、ブキャナンの深刻なる告発は、日本でも同じことではないのか。

 さて、ブキャナンは「やっかいな軍国主義国家」である中国に関して、こういう風に書いている。
 「中国の共産党支配者に、その正統性についての危機が迫ることは避けようがない」(382p-383p)。
 つまり共産党が政権をとった合法性がないと基本の矛盾を突きながら、つぎのように議論を進める。
 「毛沢東主義と革命を放棄して共産党は強力な国家を建設した。が、どの独裁権力の理屈も破壊した。中国がうまく行っている間、共産主義はーーほら、ご覧なさい。党がなければダメなんです、と言っておられる。しかし、国が失敗しはじめれば党はどうなるか?
 国民が「中国は失敗している。あなたたちの退場のときがきた、新しいアイディアを持つニュー・リーダーを探すんだ、新しい道を行くんだ」と言い出すとすればどう応えるのだろうか? 中国大衆が望んでいる資本主義の商品をこれ以上党が手渡すことが出来なくなったとき、共産党の絶対権力の保持を正当化する根拠をどこに求めればよいのか?」
 すなわち「悪党ども最後の砦は愛国主義である」(383p)
 ブキャナンは「中国共産党の最後の砦は愛国主義と人種カードとなるだろう」とずばり指摘している。

 さてそうなると、アメリカは日本防衛の興味を失うだろう。そもそもアメリカ人の末端の意識は日本防衛の義務を埒外のことと考えている。
 「中国人が三兆ドルの外貨準備を保有している時代に、われわれはヨーロッパ防衛のためにヨーロッパから借金する。湾岸諸国の防衛のために湾岸諸国から金を借りる。日本防衛のために日本から借金する。(中略)毎年、合衆国政府は対外援助のための債務を数百億ドル単位で増やしている。いったいなぜ?」(469p)。
 したがってブキャナンは日本の核武装に賛成である。
 「自ら核抑止力を開発できる能力があるのに、なぜアメリカが核の戦争のリスクを背負い続けなければならないのか?」(中略)「日本の核兵器保有は、日本を脅かす、ないしは攻撃しようとしている国々の脅威となるにすぎない」(486p)。
 こうした本質的国益衝突とナショナル・アイデンティティの回復を説く本は日本人にも大いに参考になるだろう。