落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

【山】丹波市市島町 「親不知」

2012年05月30日 | 散歩・山歩き
ガイドブックとともに、GoogleEarthを見てみた。
南側の大杉ダムや大原神社のポピュラーなコースよりも、北側の豊富用水池を取り囲む尾根に魅力を感じた。
尾根から眼下の眺望を楽しみながら歩けたら・・・

だが、それは自分勝手な思い込みだった。


豊富用水池から望む「親不知」(左奥)

 ホームページ山歩記


中共幹部貴族

2012年05月25日 | 政治・外交
社会主義市場経済を標榜する中共は、共産主義とは名ばかりで格差が大きく65倍とも云われている。
なかでも中共幹部へ富が偏在し、稼いだカネは海外に持ち出し溜め込んでいるらしい。
その額、7兆8千億。子弟を仮想敵国?米国に留学させているのが多い。
先般失脚した薄熙来、次期主席習近平などは太子党(世襲)勢力に属する。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年5月23日(水曜日)弐 通巻第3658号
http://melma.com/backnumber_45206/

李克強(次期首相に有力)の妻は米文学者。娘は米国留学中
なんだか、習近平も李克強も、みんな子供は米国の大学へ行かせてるジャン


 最近判明したのは李克強の妻のこと。独裁国家では家族の成員さえ明らかにされず、金正日に三人の男の子がいたなんて三年前は誰も知らなかった。
 胡錦涛は恐妻家、習近平の妻は国民歌手にして軍少将、娘はハーバード大学留学中。
 さて次期国務院総理にもっと近い距離にある李克強・副首相のことだが、夫人の名前は程虹、河南省鄭州市出身と判明した。
 程虹の父親は程金瑞。元河南省共青団副書記。母親は劉益清。新華社記者をしていた。太子党であること、エリートの娘で文革中、下放経験があることがわかった。
 程虹夫人は北京大学で英文専攻、26歳で学生結婚。米文学に造詣があり、米国ブラウン大学へ客員教授として招かれたこともある。北京首都経済貿易大学教授を経て、米文学小説の翻訳もある。
 ひとり娘は米国へ留学中(名前と留学先の大学名は不明)

関連
先祖返りするシナ


尖閣寄付金八億円突破

2012年05月23日 | 政治・外交
東京都尖閣諸島寄付金は21日現在8億円を突破した。寄付件数は6万件。
危機感と石原都知事の意気に感じた国民が多かった。
石原新党に期待する世論も半数を超えたという。
都の尖閣購入寄付 20日で7億円目前 知事「国民に危機感」 2012年5月17日(木)07:58(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20120517083.html

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)購入計画をめぐり、東京都が購入資金の寄付口座を開設してから16日で20日がたち、総額約7億円が集まっている。購入額は未定だが「10億~15億円」(関係者)との見方があり、寄付だけでこれを超える可能性も現実味を帯びてきた。16日午後6時現在の寄付は計5万731件、6億9342万5018円。1日あたりでみると、2500件以上、約3千万円に上る。このほかに、起業家から1億円の申し出もあるという。

 ■1件あたり1万円超

 都には、寄付とともに、「賛同する。がんばってほしい」「石原(慎太郎)知事にしかできない」といった意見が全国から寄せられており、石原知事は16日、「国民がどれだけこの問題で危機感を持ち、中国の姿勢に反発しているかということだ」と語った。寄付について、「自分たちの手で国を守りたいという意志が凝縮した結果」と述べたこともある。
 購入額以上に寄付が集まった場合について、石原知事は同日夜に出演したテレビ番組で「購入後も島でしなくちゃいけない作業の費用もあるでしょうから、浄財はいつまでも受けさせていただいて有効に使う」と述べ、漁業振興や自然保護などにあてる考えを示した。
 総務省の家計調査によると、1世帯が寄付に使う平均年間額は、東日本大震災があった平成23年で6448円で、ここ10年間の平均では3208円。これに対し尖閣寄付金は単純計算で、1件あたり約1万3500円となる。

 石原知事は「日本人も捨てたもんじゃない。うれしさで胸がいっぱい」と自ら筆をとり、「みんなでこの国を守りましょう」などと感謝のメッセージを作成。寄付者へ送付するよう事務方に指示した。都によると知事は「一人一人に感謝の思いを直接伝えたい」との意向で、メッセージを郵送する予定。
 寄付金が財源でも、都で購入するには都議会の同意が必要だ。議員レベルの賛意はあるが、「反対」を明言している共産党以外の主要各派は「購入後の活用方法など具体的提案の前には言及しづらい」などと明確な意見表明をしていない。購入議案は年末にも提案の見込みだが石原知事は6月の定例会でも購入について説明する意向で、都議会の反応が注目される。
 寄付金口座は、みずほ銀行東京都庁出張所(店番号777)、普通口座1053860「東京都尖閣諸島寄附金」。寄付金控除対象。問い合わせは都知事本局尖閣諸島寄附担当(電)03・5388・2206(平日午前9時~午後6時)。尖閣諸島購入案に賛同する個人や団体が寄付を呼びかけるインターネット上の書き込みやビラが増えており都はこうした状況が詐欺事件につながることを警戒し、「専用口座以外には関与していない」と注意を呼びかけている。

石原新党「期待」半数超す 尖閣購入など好感 本社・FNN世論調査 2012年5月22日(火)08:15
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20120522087.html

■東京都尖閣諸島寄付金
http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/senkaku.htm

■石原都知事御礼メッセージ
http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/senkaku/governorMSG.pdf


日蝕

2012年05月21日 | 日常・身辺
何となくいつもと日射しが違うなぁ
冬のように弱い、オレも目が弱ってきたか
そんな筈は・・・そうか日蝕がどうとか書いてあった
webニュースを開く、そうか今朝だったのか

あわてて古いレンズにあるだけのフィルターを付けて
ISO感度を最低の100にし
絞りも最少F22にして撮ってみた
それでも露出オーバーだ






2012/05/21 7:46

次は2035年? もうおらんかもな


【山】豊岡市出石町 法沢山

2012年05月21日 | 散歩・山歩き
5月19日(土) 晴れ

「兵庫100山」ガイドブックでは、法沢山北西登山口から急斜面を往復するコースが紹介されていた。
それもロープにすがるような急斜面らしい。
なんとか周回するコースはないものかとネットで探すとやはりあった。
北側に「駒返峠」という昔話に出てきそうな名前の峠がある。地形図にも点線が入っている。
GPSにウェイポイントを仕込んで出かけた。

ホームページ・スライド写真



駒返峠


イワカガミの登山道


法沢山 山頂






先祖返りするシナ

2012年05月16日 | 政治・外交
鄧小平が推進した改革開放路線、社会主義市場経済はシナを世界第二位の経済大国に押し上げた。
その理想とは裏腹に、共産党幹部の腐敗が蔓延している。
「先富論」から先に進まず、共産党幹部が貴族化した。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年5月15日(火曜日)弐 通巻第3648号
http://melma.com/backnumber_45206/

過去30年で420万人の共産党員が汚職にまみれ
高級官僚465人を起訴し、最悪貪官の何人かを処刑したが


 汚職がばれて死刑になった高官は何人もいる。
なかでも全人代副委員長の成克杢、江西省副省長だった胡長青、安徽省副省長の王杯忠、国家医薬監督局張だった鄭篠黄らの死刑実行が大きく報道され、見せしめとされた。
それでも腐敗はやまないばかりか、経済発展のスピードに平行して規模、金額も倍々ゲーム。とどのつまり薄煕来ファミリーの利権ネットワークが象徴したように、軽々と1000億円が海外へ持ち出されていた。
 公式的な数字でも合計1000億ドルが海外へ持ち出されていたと言うが、実態は一万の高級官僚が海外逃亡、きえた外貨は4000億ドル内外だろう。

 中国の「予防腐敗局」の数字によれば(5月14日付け)、共産党員でおよそ420万人が汚職容疑で捜査対象となり、そのなかで腐敗高級官僚は465人に達していた。この「予防腐敗局」って、パソコンに打ち込むと最初にでるのは「呼ぼう、腐敗」である。なんだかアイロニカルだ。
 2003年から2011年9月までの腐敗官僚の司法部への送検は4万2000名に達しており、このカテゴリーには上海前書記の陳良宇が含まれる。

 こういう国が「革新的核心的利益」とか、「世界ウィグル会議はテロリスト」とか叫ぶのはとてつもなく不均衡、ちぐはぐである。

■「加瀬英明のコラム」メールマガジン
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

中国は前近代的な貴族国家だ Date : 2012/05/07 (Mon)

 中国は試験航海を終えた航空母艦の第1号艦を、『施琅(シーラン)』と命名した。
 施琅は今から329年前に清王朝の命を受けて、「反清復明」を唱える鄭氏政権が籠った台湾を攻略した提督である。
 これは、中国が台湾を併呑しようとする野望を、露骨に示したものである。

 私は昨年12月にワシントンを訪れた時に、アメリカの友人からつぎのような話を聞いた。
 2008年に、アメリカの中国専門家の第一人者のリチャード・フィッシャーがアナポリス海軍兵学校に招かれて、1000人の未来のアメリカ海軍士官を前にして講演した。
 質疑応答になった時に、台湾から来た外国留学生だと名乗った生徒が立ち上って、「中国が台湾に侵攻をはかったら、台湾人は最後の1人まで戦います!」と、叫んだ。
 すると、1000人の士官生徒全員が立ち上って、いっせいに歓声をあげ、拍手したという。
 台湾は台湾人に属する。歴史的にいって、満州、チベット、新疆などと同じように、中国の古有の領土ではない。

 中華人民共和国は中国史を通じて、登場しては滅びた帝国である。国名を中華人民共和国でと稱していても、人民による国ではない。
 中華人民共和国は、貴族が治めている国だ。中国の最高権力者の圧倒的多数が、毛沢東に従った古参幹部の血を享けた太子たちである。300あまりの一族が、すべてを握っている。
 胡錦濤国家主席が共産主義青年団グループに属し、次の最高指導者の習近平副主席が毛並みの良い太子党グループとして、区分けされる。太子党は中華人民共和国の株主グループに似ているが、どちらも同じ穴の貉(むじな)だ。
 建国当時の古参幹部の子か孫であるか、あるいは幹部の側近をつとめたことによって貴族となった者が、権力を握っている。習近平は毛沢東の戦友の習仲勲国務院副総理の子だし、胡錦濤は鄧小平の娘と胡耀邦の息子によって、引き立てられた。

 政権を軍事力が支えている。軍も、中国のオーナーだ。軍幹部も貴族が多い。
 2010年6月では、軍のトップの57人の将官のうち34人が中国共産党の最高幹部を兼ねている。軍人が7人の党政治局員のうち2人、党中央委員の56%に当たる32人を占めている。
 これまで中国は経済成長が、目覚ましかった。『ブロンバーグ・ニュース』によれば、全人代の2987人の代議員のなかで、富裕な上位70人の私財を合計すると、4931億人民元(約5兆4000億円)にのぼるが、アメリカ上下院について上位70人の私財を合わせても、480億ドル(約3800億円)にしかないと、報じている。
 アメリカの1人当たり国民所得が中国の十数倍だから、途方もない巨額だ。中国には政治家の財産を公表する制度がないが、日本の国会議員と較べてみたら、貧しいものだ。
 『ロンドン・タイムズ』紙によれば、中国トップの12の不動産会社はすべて党最高幹部の子が所有している。巨利を生む有料道路のオーナーの85%も、高官の子弟だ。2010年に中国で1600万ドル(約1億2800万円)以上の年収があった3220人の91%が、党幹部の子たちだった。

 中華人民共和国は、巨大な同族会社だ。収賄、横領などが、蔓延している。数千年にわたる中国社会のありかただ。
中国には、1000万人にのぼる公務員がいる。こぞって上の真似をしているが、不思議でない。中国語には昔から、日本語にはない「官禍」、「清官」という言葉が存在する。

 中華人民共和国で、先祖返りが進んだ。毛沢東時代には儒教を封建思想として、「批孔」といって孔子を排撃し、全国の孔子廟を破壊した。いまでは孔子を称えて、「孔子研究所」を世界に輸出するようになっている。
 毛沢東、マルクス、孫文は、19世紀なかばに清朝末期を揺さぶった太平天国の乱を、社会主義の先駆けとして絶讃した。
 太平天国の乱は私有財産を否定、土地を平等に分配、貧富の差をなくして、男女平等、異民族の満族による支配である清朝を倒すことを求めて、中国中心部を支配下に収めた。その後、政府軍によって討伐されて終息した。

 私は1979年に中国に招かれて、初めて訪れた。全員が人民服を着て貧しく、平等だった。「太平天国の中国に来た」と思った。
 毛沢東時代には清朝の漢人の将軍で、「礼教(儒教の教え)を守れ」という名分を掲げて、太平天国の乱を討伐した曽国藩を裏切り者として非難したのに、いまでは愛国者となっている。いまや中国はマルクスを捨てて、支配者が絶対という儒教国家となった。

 日本は自由な台湾なしに、立ち行かない。日本にとって、台湾は核心的利益だ。
 なぜ、久里浜の防衛大学校に台湾の留学生がいないのか。日本は台湾とともに興隆し、台湾とともに亡びる。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
加瀬英明事務所
お問い合わせメール: info@kase-hideaki.co.jp
ホームページURL: http://www.kase-hideaki.co.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■鄧小平
http://ja.wikipedia.org/wiki/トウ小平
■改革開放
http://ja.wikipedia.org/wiki/改革開放

■「尖閣」で応酬 中国「核心的利益」 首相「固有の領土」 人権問題にも言及  2012.5.13 21:14 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120513/plc12051321140007-n1.htm


SS首謀者逮捕

2012年05月15日 | 世相
環境保護団体を標榜するシー・シェパード(SS)のポール・ワトソンが逮捕された。
和歌山太地町の伝統イルカ漁や、日本捕鯨を妨害していた。
捕鯨に反対する人々の寄付金で活動していたが運が尽きたのか。
関係が深いと云われるグリーンピース、ピースボート、国会議員の辻本某女らはどう申し開きするのかな。
シー・シェパードのポール・ワトソン船長逮捕 船舶の運航妨害容疑 2012.5.14 10:21 産経[捕鯨]
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120514/crm12051410220005-n1.htm

 環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード」(SS)は、同団体代表のポール・ワトソン容疑者(61)=傷害容疑などで国際手配=がドイツのフランクフルトで逮捕されたと公式ホームページで発表した。
 記事は13日付。逮捕は中米コスタリカ当局の要請によるものとし、映画「シャークウォーター 神秘なる海の世界」の撮影中、コスタリカで船舶の運航を妨害した容疑で12日、ドイツ警察に逮捕されたという。
 ワトソン容疑者をめぐっては、海上保安庁が平成22年4月、日本の調査捕鯨船への妨害行為を指揮した疑いが強まったとして、威力業務妨害容疑などで逮捕状を取得し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配している。

シー・シェパードが世界で“晒し者”に? 司法闘争激化、地中海のマルタ首相も提訴へ
2012.3.10 18:00 産経[海外事件簿]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120310/asi12031018010002-n1.htm


国際戦国時代

2012年05月14日 | 政治・外交
国際社会のニュースに接すると、日本は平和と痛感する。
しかし、この平和は未来永劫盤石なものだろうか・・・
シナは共産党一党独裁政権で擬似資本主義、党幹部が贈収賄事件に関与し蓄財に励む。
だが、ロシアも米も、グローバル企業が政権に深く入り込み富を築く点ではシナとよく似ているのではないだろうか。
■ Japan On the Globe(748) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■
http://blog.jog-net.jp/

 戦国時代を戦うプーチン
 ~ 北野幸伯著『プーチン 最後の聖戦』を読む


 プーチンはアメリカの覇権に命がけの挑戦状を叩きつけている。

■1.「戦国時代に生きるロシア人」

「平和に慣れた日本人と、戦国時代に生きるロシア人では、あまりに思考法、発想法が違う」[1,p16]とは、ロシア在住の国際関係アナリスト北野幸伯(よしのり)氏の新著『プーチン 最後の聖戦』での一節である。
 この本では、いかにプーチンがロシアの最高権力者にのし上がり、アメリカの世界覇権に挑んでいるかが活写されている。それを読んでいくと、我が国の戦国時代に、武将たちがまさに命懸けで領国内の実権を奪い、天下を狙っていった様を思わせる。
 外交の世界では「平和的」「民主的」などの美辞で飾られているので、「平和に慣れた日本人」は国際社会でも同様かと思ってしまうが、プーチンの命懸けの戦いを辿ってみると、国際社会がいまだに戦国時代であることが、よく理解できる。
 そして、再び大統領としてカムバックしたプーチンがアメリカの覇権を打倒したら、我が国もまた戦国時代に投げ出されてしまうのである。

■2.ロシア戦国時代の風雲児

 ロシアでの命懸けの戦国時代を象徴するのが、ユコス事件だ。2003年10月、ロシアの石油王ホドルコフスキー(当時40歳)が、脱税などで逮捕された事件である。
 当時の彼の資産が150億ドルというから1兆円以上、ロシアで最大、世界でも16位の資産家だった。そもそも1991年のソ連崩壊から10年余りで、全員平等の(はずの)共産主義社会から、これほどの大富豪が生まれ、しかも逮捕されて没落する、というダイナミックさは、安定した日本社会では想像することすらできない。

 まずはどうして、こんな大富豪が生まれたのか見てみよう。1991年12月、新生ロシアは膨大な財政赤字を抱えており、初代大統領エリツィンはIMF(国際通貨基金)から、約226億ドルを借りた。
 IMFの貸し出しの条件の一つに「大規模な民営化を実施すべし」があった。ところが、共産主義社会では民営化しようにも、誰も国有財産を買う金を持っていない。
 そこで、ロシア政府は全国民に一定額のバウチャー(民営化証券)を配り、これで国民は民営化された国営企業の株式と交換できるようにした。ここまでは平等で良いのだが、一般国民は「バウチャー」とか「株式」と言われても、何のことか分からない。

 しかし、一部のめざとい人々は、その価値を知っていて、たとえばトラックにウォッカを大量に積んで、バウチャーと交換して歩く。人々は訳の分からない紙切れを出せばウォッカ1本貰えると知って、喜んで交換に応じた。
 こうして7つの新興財閥が誕生し、ロシアの富の50%を支配していると言われるまでになった。そのほとんどがユダヤ系である。
 ホドルコフスキーはメナテップ銀行を手に入れ、さらに国家に金を貸して、国が返せなくなると、担保にしていた石油会社ユコスを300億円で取得した。そして、このユコスの時価総額を3兆円まで増やした。
 アメリカはIMFの民営化条件によって、こうした新興財閥を勃興させ、間接的なロシア支配を企んだのだろう。そのシナリオに乗って、躍り出たのが戦国の風雲児ホドルコスフキーであった。

■3.飼い犬に手を咬まれた新興財閥

 ここでもう1人、風雲児が登場する。プーチンである。
 石油大手シブネフチや公共テレビORTを支配するユダヤ系新興財閥ボリス・ベレゾフスキーに取り入って、プーチンは首相に任命される。その取り入る過程で、いかにも戦国風のドラマチックなエピソードが紹介されているが、それは本書を読んでのお楽しみとしておこう。
 ベレゾフスキーは、操り人形としてプーチンを引き立て、エリツィンの後の大統領にまでしたのだが、プーチンは実権を手にした途端、新興財閥を次々と脱税容疑などで陥れていく。新興財閥側からみると、飼い犬に手を咬まれた形になる。
 ベレゾフスキーはプーチンの大統領選勝利の際はテレビORTを使って後押ししたのだが、今度はプーチンを攻撃し始める。2000年8月にフィンランドの北方バレンツ海で「ロシア原子力潜水艦クルスク」の沈没事故が起きると、「クルスク乗組員家族が苦しむ映像」と、黒海沿岸のソチで「休暇を満喫するプーチンの映像」を交互に流して、攻撃した。
 これに激怒したプーチンは、ベレゾフスキーとの最後の会談をする。これまた戦国風の劇的な対立で終わり、結局、ベレゾフスキーはロシアを脱出して、ロンドンに逃げた。ロシア政府は、再三彼の引渡しをイギリスに要求しているが、英政府は拒否している。
 新興財閥の親玉ベレゾフスキーまで失脚させられて、残る新興財閥は、プーチンに白旗をあげた。「ここ10年間の一番大きな過ちは、大企業が国の支配権を独占しようとしたことだと思われる」という声明を発表して、今後は本業に励み、政治には口出ししないと誓う。

■4.ホドルコフスキーの打倒プーチン

 しかし、新興財閥の一つ、ホドルコフスキーは、米英の支配者層と結託することで、プーチン政権を打倒し、自ら大統領になろうと考えた。
 同じユダヤ系の大富豪ロスチャイルド家の知遇を得て、その協力のもと「オープン・ロシア財団」を設立して、ロンドンや米国に事務所を設立した。「オープン・ロシア」とは、「プーチンを追放し、ロシアを開こう」という意味だ。
 さらにホドルコフスキーはブッシュ政権内の人脈作りに乗りだし、米国がイラク戦争を始めた直後、03年3月20日には「戦争はロシア経済にプラス」と述べて、明確に支持した。自国経済にプラスなら、他国での戦争も支持する、というあからさまな言い分は、いかにも戦国風で、平和ぼけした日本では絶対に口に出せないセリフである。

 一方のプーチンは2002年7月まで、「アメリカに接近することで、フセイン後の石油利権を確保しよう」と考えて、対米接近を図っていた。ソ連崩壊後、国力の落ちたロシアに覇権国家アメリカを止めることはできない。それならば、アメリカに寄り添って、「分け前」にあずかろうという魂胆であった。
 しかし、アメリカが「イラクの石油利権をロシアと分かつつもりはない」と明確な意思を表明してからは、プーチンは方向転換していく。
 プーチンは、同じ安保常任理事国のフランス、中国とともに、アメリカのイラク戦争を阻止し、その見返りにイラクの石油利権を確保することを目指した。それにロシア国内から異を唱えたのが、ホドルコフスキーだった。プーチンの怒りは想像に難くない。
 こうしてイラク問題を機に、反米にシフトしたプーチンと、米英の後ろ盾を求めたホドルコフスキーとの対立が先鋭化し始めた。[a]

■5.「プーチンはマジで世界の支配者たちと戦うつもりだ」

 さらにプーチン政権を驚愕させる行動を、ホドルコフスキーはとった。ユーコスと、米石油大手のシェブロンテキサコ、エクソンモービルとの資本提携を図ったのである。
 米メジャーがロシア最大級の石油会社に、法的拒否権を持つ形で入ってくると、事実上、米国務省、国防総省がユーコスの後ろ盾につくことを意味する。
 プーチンとホドルコフスキーの対立は、あくまでロシアを覇権下に置いておこうとするアメリカと、そこから抜け出そうとするロシアとのつばぜり合いであった。
 2003年10月25日、プーチン政権はホドルコフスキーを脱税などの容疑で逮捕した。北野さんは、これで「プーチンはマジで世界の支配者たちと戦うつもりだ」と悟ったという。[1,p138]
 これを機に、アメリカとロシアは「新冷戦」時代に突入する。新興財閥を屈服させ、ロシア国内の独裁を確立したプーチンは、アメリカの覇権に挑戦状を叩きつけたのである。

■6.反米の砦

 アメリカの逆襲も凄まじい。ソ連から独立したロシア周辺の諸国に次々と民主革命を仕掛け、親米政権を誕生させていく。
 2004年1月、グルジアのバラ革命、同年12月、ウクライナのオレンジ革命、2005年3月、キルギスのチューリップ革命と親米政権が誕生した。
 いずれも、議会選挙でロシア寄りの政権が勝った後で、選挙で不正があったと民衆のデモが発生し、再選挙で親米政権が逆転勝利する、というパターンが繰り返された。陰でアメリカ政府がバックアップするNPOが大量の金をばらまいて、デモを扇動していた。
 しかし、3度も成功すれば、アメリカの手の内は見透かされてしまう。2005年5月、ウズベキスタンで独裁者カリモフ大統領の辞任を求める大規模デモが発生すると、同大統領はこれを武力鎮圧し、アメリカが「ウズベキスタン支援停止」「民主化のための制裁」を唱えて非難しても、耳を貸さなかった。
 さらにウズベキスタン政府は、2005年7月30日、2001年のアフガン攻撃時から駐留していた米軍の180日以内の撤退を、正式に要求した。まさに絶交状である。

 実は、この7月5日、ロシアと中国、ウズベキスタンを含む中央アジア4カ国で構成する上海協力機構(SCO)で、中央アジア駐留米軍の撤退を要求するアスタナ宣言が採択された。ウズベキスタンの強硬な米軍撤退要求は、ロシアと中国の支持を背景にしていた。
 プーチンは、アメリカの覇権に挑戦するために、それまで仮想敵国だった中国との同盟を成し遂げ、上海協力機構を反米の砦にしていたのである。

■7.アメリカのアキレス腱・ドル基軸体制への攻撃

 外交面での反米戦略が上海協力機構だったとすれば、経済面での攻撃が、ドル基軸体制を揺るがすことだった。プーチンは2006年の国会での方針演説の中で、「石油などわれわれの輸出品は、世界市場で取引されており、ルーブルで決済されるべきだ」という爆弾発言をした。
 アメリカの対外債務は2004年当時で2.5兆ドル。世界の貿易はドルで行われているので、アメリカとしてはドル紙幣さえ刷れば、いくらでも輸入ができる。
 しかし欧州諸国がロシアから石油や天然ガスをロシア通貨ルーブルで買わなければならないとすれば、ドルの外貨準備を売って、ルーブルに変えなければならない。各国がそうすれば、ドルは暴落する。ドルの暴落は、ドル売りを呼んで、さらなる暴落をもたらすというドル基軸体制崩壊への循環に入ってしまう。
 上海協力機構の準加盟国として、中ロに守られているイランも、2007年、原油のドル決済を中止した。サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦など中東産油大国がつくる湾岸協力会議も、「イランがアメリカから逃げ切ることができれば、自分たちも決済通貨を変えてしまおう」と考えている。

 プーチンは、アメリカのアキレス腱であるドル基軸体制の崩壊への引き金を引いたのである。

■8.プーチン再び、そして我が日本は?

 2007年末、プーチンの大統領2期目が終わった。プーチンの8年間で、アフガン、イラク戦争と中東の不安定化を背景に、原油価格は30ドルから100ドルを超えるまでに上昇。膨大なオイルマネーがロシアにも流れ込み、ロシアのGDPは5倍となり、国民の平均収入も5.4倍に増えた。
 欧米諸国がいくら「プーチンは独裁だ!」と非難しても、ロシア国民のプーチン支持率は70%台を維持していた。
 プーチンは、後継者として子飼いのメドベージェフ第一首相を任命。2008年3月2日の大統領選挙で、メドベージェフは70%以上の票を集めて圧勝した。プーチンは、以後の4年間、首相として働くことになった。

 しかし、今度はメドベージェフが、英米の後援を得て、プーチンから離れようとする。まさに下克上の世界である。その一例が、国連安保理でのリビア攻撃を容認する決議案にロシアが拒否権を使わずに、成立させてしまったことだ。
 このメドベージェフの親欧米路線に対して、プーチンが公然と批判した。4年後、メドベージェフは再選への意欲を持っていたが、 プーチンに押さえ込まれてしまった。
 プーチンは2012年3月の大統領選に勝利し、大統領として戻ってきた。プーチンの再選に関しては、不正があったとして、ロシアの50以上の都市でデモが行われたが、プーチンは「アメリカ国務省の扇動だ」と非難して無視した。2004年以降のグルジアなどの革命を見て、プーチンには想定内の策謀だった。
 こうしてプーチンの3期目のアメリカ覇権への挑戦が始まった。プーチンが何を目指すか、ここまでの北野さんの分析を読んだら、読者にもある程度の想像はつくだろう。

 プーチンがアメリカに敗れれば、フセインやカダフィのような末路を辿る可能性がある。まさに「命がけ」の戦いである。
 しかし、もしプーチンが勝って、アメリカのドル基軸体制が崩れ去ったら、世界はどうなるか。プーチンは「肉を切らせて骨を切る」という戦略で、ロシアが生き残るための準備をしているそうだが、その時、我が日本はどうなるのか。
 アメリカの覇権下で安逸をむさぼりながら、ドル基軸体制での優等生ぶりを発揮してきた日本は、一挙に戦国時代に投げ出されてしまう。その事態に我が日本はどう備えるか、北野さんの本を読みながら、日本国民一人一人が考えるべき問題である。

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(382) 覇権をめぐる列強の野望
 北野幸伯『ボロボロになった覇権国家(アメリカ)』を読む。
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257Enippon/jogbd_h17/jog382.html

b. JOG(515) 石油で読み解く覇権争い
 北野幸伯著『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』を読む
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257Enippon/jogdb_h19/jog515.html

c. JOG(565) ロシアから日本を見れば
 私達が抱いている自画像とは、まったく異なる国の姿が見えてくる。
http://www2s.biglobe.ne.jp/%257Enippon/jogdb_h20/jog565.html



シナ長慶亡命騒ぎその後

2012年05月11日 | 政治・外交
薄熙来の子分王立軍の亡命騒ぎを端緒に中共幹部スキャンダルは広がる一方。
嫁はんの殺人容疑、米に住む息子の行方不明等々、そして中共幹部の利権ネットワークが明らかになってきている。

TIME紙は「社会主義を標榜する中国共産党は、中国資本家官僚党と言うべきだろう」と定義づけた由。
マフィア薄ファミリーだが、失脚とともに、関連企業は倒産、重慶市は破綻の憂き目に遭っているとのこと。儲けた莫大な金は海外に蓄財、これではシナ人民は浮かばれない。
こんな国に一生懸命貢ぐのかタカリに行くのかわからない政治屋がどこぞの国にいる。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年5月11日(金曜日)通巻第3644号
http://melma.com/backnumber_45206/

薄煕来の最大胴元、利権ビジネスの主役企業が倒産
大連、重慶で薄ファミリーの利権ネットワーク、ほぼ壊滅へ


 徐明(大連実徳集団董事長)が薄スキャンダル関連で逮捕拘束されたのは3月15日前後と推定される。
 徐明は薄ファミリーの利権ネットワークのなかで最大の胴元、どら息子のオックスフォード、ハーバード大学院の留学費用、豪遊費用の全ては徐明がまかなったとされる。そもそも薄煕来の公式のサラリーは月給12万4000円程度、どうやって海外留学費用を捻出できるだろう?
  3月15日、薄は重慶市書記を解任され、4月10日、政治局委員の職務停止。そして4月23日、大連実徳集団は倒産した。

徐明は2002年に『フォーブス』(中国語版)の財閥ランキングに顔を出して以来、「フォーブスが選ぶ中国民間企業家十傑」にランキング入り、最高位はフォーブス第十一位だった。
徐明が保有する、2億元を投じた自家用飛行機は時速850キロ、航続距離4200キロを誇る「チャレンジャー850」(カナダのボンバルディア製)。
この飛行機のインテリアはオバマ大統領の乗る「エアフォース・ワン」に似せて、執務室、バア、応接室、フィットネス施設あり、最大50名前後を載せて空中パーティも開けるという豪華ジェット機だが、徐明は、これを「特殊接待」に(インドネシアで事故を起こし、50名が死亡した、かのロシア機<ビジネスジェット機>は、この猿まね)使った。

「紅楼」の空中盤では有名女優、女子大生、看護婦、女優の卵などを侍らせ、高官らを特別接待。
或る中国のブログによれば、 「百名の女性を徐明は薄煕来とも”共有”した間柄だ。その上、拘束される直前に徐明はシンガポールから香港経由、北京へ入り、陪席させて某有名女優に850万元を支払った」そうな(博訊新聞網、5月9日より引用)。

薄煕来の権力を嵩にしての利権で太った同社は、すでに徐明社長が3月15日の薄失脚と同時に拘束され、尋問を受けていたことはわかっていたが、社業は運転資金が続かずに突如、停滞、各地のプロジェクトが頓挫しており、五週間後に倒産していたわけだ。
 薄ファミリーの汚職、破廉恥な殺人事件か如などの陰に隠れたが、最大の政敵だった温家宝にも悪い噂がまとわりついて、最新情報に寄れば息子の温雲松(ノースウエスタン大学院でMBA)が「中国衛生通信」の社長に就任したことが判明、同社の株価は50%以上跳ね上がった。

 温家宝を強力に首相に推挽したのは朱容基前総理だが、その息子レビン朱は「中国国際キャピタル」のCEOに就任していたことも判明した。
これで李鵬のどら息子や娘の水利系、土木企業トップや、胡錦涛の息子のセキュリティ企業トップなど、あまた共産党高官の、ほぼ全員が「太子党」利権のネットワークのなかで利権を享受している。
だからTIME(2012年5月14日号)が書いた。
 「社会主義を標榜する中国共産党は、中国資本家官僚党と言うべきだろう」と。

 ▼江蘇省揚州に江沢民ゆかりの飛行場が開港したのだが。。。。。

 さて権力闘争で「優勢」が伝えられた共青団だが、江沢民派の巻き返しも凄まじい。
 江蘇省揚州で「揚州泰山空港」がオープンした(揚州といえば、中国人は江沢民、しかし日本人は鑑真和尚を連想する)。
この地に飛行場が必要かどうかの議論もなく、小さな田舎の空港だが、開幕式には錚々たるメンバーが集合したのである。
 江蘇省書記の羅志軍、省長の李学勇。この列に当該担当「中国民生航空局」からは李家祥局長、そして軍から総参謀部陳丙徳・参謀総長の代理として作戦副部長の孟国丙が参加して「祝辞」を述べた。

 何故にこれほどのローカル空港の開港式に大げさなメンバーが集まったかと言えば、じつは揚州は江沢民の故郷である。
「上皇」を誇示する江沢民が「揚州泰山飛行場」と命名した経緯もあり、軍の代表も参加したジェスチャーをしめることで「上皇様がまだ軍部をおさえているのですヨ」と無言の示威行動を取ったのである。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年5月12日(土曜日)通巻第3645号<前日発行>
http://melma.com/backnumber_45206/

薄煕来夫人の長姉のビジネスは二十数社、海外資産は100億円
薄の実兄は香港の企業(光大国際公司)の役員を辞めたが。


 薄煕来排除によって共産党内部は安定したかと言えば、まだ党内秩序はがだがた、一部地方委員会は幹部連名で「周永康の停職」を求めている。
10日発売の香港誌『開放』(2012年五月号)は、薄の朋友でともに政治結盟を誓った劉少奇の息子、劉源(陸軍大将)が、薄一波の密葬に家族のように出席するなど、あまりにも薄に近かったため、次期中枢入りはほぼ絶望的だろう、と予測している。

一説に「毛沢東の再来」を自認してポピュリズムを気取った薄煕来が劉源とくんで軍を動かし、政変をおこして一気に政権を奪取するシナリオも存在したというが、デマの一種かもしれない。

他方、重慶のスラム街では、貧困層が暴動を繰り返している。
下層階級ほど、重慶市民は「薄書記時代が良かった」と嘯く始末、首都北京でも景山公園では「紅歌集会」が連続的に開催され、市民が(多くはビジネス便乗を逃した『負け組』だが)あつまって毛沢東礼賛の革命歌を大声で歌い続ける。中南海に近い同公園ゆえに歌は胡錦涛の耳にも達したか?

   ハーバード大学ケネディ・スクールに留学していた息子の薄瓜瓜は、薄失脚直後から姿を消したまま。逃亡直前に大学のネットに書き込んでいたのは「わたしは金銭スキャンダルと一切関係がない」だった。
 ところが英紙テレグラフ等によれば、米国内に「瓜瓜科学技術有限公司」なる企業を設立しており、資本金が32万ドル、家庭教師だったニールと合名設立になっているという説もあるが、会社の登記者は張暁軍(薄家の執事、ニール殺害の実行犯)になっている。

 薄の兄=薄煕永は役員をかねていた香港の光大国際公司を退社したが、弟の薄煕成(元北京市観光局長)と薄煕寧はホテル・チェーンの「六合興集団」の役員と務めている。現在所在不明。
またほかに三人の弟らが薄煕来にはあるが、中国外務省(外交部)前アジア・アフリカ局勤務の外交官、大学の歴史学教授、医者という噂があるだけで具体的詳細は不明である。

 ▼香港で派手なビジネスを展開した薄夫人の姉たち
 一方、薄夫人の谷開来には四人の姉がいる。
彼女の父親は谷景生(元将軍)。長姉は谷望江、次姉は谷望寧、三姉は谷丹、四姉は谷ゼンシェ(音訳不明)。
文革中、いずれも下放され辛酸をなめた。
 家族の多くは開放後、香港へでて手広くビジネスを拡大させ、経営に参画する企業の数は二十数社と言われる。
とりわけ長姉の谷望江が海外に移転させた資産だけでも邦貨100億円(米ドルで1億2600万ドル)という。この長姉・谷望江は64歳、別名を王江と名乗り、ビジネス界では女傑として君臨した。

谷望江は製鉄、印刷、洋紙、パルプ、服飾、梱包材料、建材、保険など次々と商圏を拡大させてきた。このグループの旗艦となる持ち株会社は香港に登記されて「喜多来ホールディングス社」(資本金は400万香港ドル=邦貨4000万円)。次姉の谷望寧も経営に加わって同社では第三位の株主、望寧はほかに科学技術企業を独自に経営している。長姉は香港の永住許可証をもち、高級住宅地セントラルに居を構えている。
この姉ふたりは薄の金銭問題で取り調べを受けている。「水に落ちた犬を打て」の格言通り、失脚した政治家は親兄弟親戚までトコトン追求される伝統があり、再浮上は考えにくいだろう。
 三姉の丹は、薄煕来の前妻(丹宇)の兄と結婚している。四姉は国有企業の副書記。
 当局の調べでは薄一族が海外へ移転させて秘密資金は1000億円以上と推定されているが、他方、薄煕来が重慶に就任以来の大建設ラッシュで、重慶市政府が抱える負債は14兆円(一兆元)。
重慶は「中国の夕張」どころか、「中国のギリシア」化しつつある。