中国の人権蹂躙映像が世界へ 亡命少年僧ら射殺 (10/22 02:18)産経
【北京=福島香織】9月末に中国チベット自治区とネパールの国境近くで亡命を試みたチベット尼僧(25)や少年僧(15)らが、中国の国境警備隊の銃撃を受け少なくとも2人が死亡した事件の映像が世界中で放映され、国際社会を騒然とさせている。
北京五輪を控え、「和諧(わかい)(調和のとれた)社会」構築という胡錦濤政権が提唱する“理想”の陰で行われている中国の人権蹂躙(じゅうりん)に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も調査を開始、米国などが非難の声を上げ始めている。
映像はルーマニアの登山家、セルゲイ氏が偶然撮影したものをルーマニア民放局が14日に放映。その後、日本を含む各国でも放映され、米国の動画投稿サイト「ユーチューブ」などインターネットの映像配信で世界中を駆け巡っている。
現場はエベレストに近いチョオーユー峰のベースキャンプから見渡せる氷河。映像は9月30日早朝、氷河の上を1列に並んでネパール国境のナンパラ峠に向かって歩いている約30人の行列を見下ろすように撮影されている。警告発砲音が響いた後、次の発砲音で先頭の尼僧が倒れた。カメラは銃を構える中国兵士の姿、続く発砲で行列の最後尾の少年僧が倒れる様子、倒れた人を抱き上げる兵士の姿をとらえ、目撃した登山家の「犬のように撃ち殺された」というコメントが流れる。 セルゲイ氏がテレビのインタビューに答えたところによると、一行はチベット仏教徒でダライ・ラマ14世に会うために亡命を敢行した。セルゲイ氏は兵士の襲撃を逃れた亡命者を助け、食料や衣類を分け与えたという。
この事件について12日に中国当局は、兵士が違法越境者に対し引き返すように説得したものの、「(抵抗したため)発砲した。正当防衛だ」との公式見解を発表。1人が死亡、2人が負傷したとしている。
しかし、映像が公開されたことで、亡命者の約半分が6~10歳の子供で、無防備な状態を背後から銃撃されたことが判明。チベットの難民組織など複数の人権団体の情報を総合すると、亡命者は全部で73人で、ネパールにたどりついたのは43人。そのほかは子供を中心に相当数が当局に拘束されているという。
こんな悲惨な状況をよそに、NHKは以下のように北京五輪が楽しみというニュース。
北京五輪 外国人を笑顔で歓迎 NHK 10月31日 6時59分
北京オリンピックの開催を2年後に控え、世界各国から訪れる外国人を笑顔で迎えようと、オリンピックで活動する中国の大学生のボランティアが、万里の長城に集まって、大規模なイベントが行われました。
北京郊外の万里の長城で行われたイベントには、北京オリンピックで、会場の案内や中国語の通訳などの活動をする中国の大学生のボランティアおよそ5000人が参加しました。参加者たちは、オリンピックの5つの輪の色に合わせ、赤い扇子や緑色の旗を持った5つのグループに分かれて、万里の長城を埋め尽くし、扇子や旗を順番に上げたり下げたりして、波のようにうねらせるパフォーマンスを、笑顔いっぱいに行っていました。イベントに参加した女子大生は、「笑顔は世界共通のことばなので、中国語がわからない外国人にも、笑顔だけで通じ合えると思います」と話していました。
オリンピックの組織委員会では、ボランティア以外の多くの市民にも、北京を訪れる外国人を、笑顔で迎えてもらうよう呼びかけていくことにしています。
北朝鮮核実験に対する各国の制裁で、中共の制裁は早くもザル法になっているらしい。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成18年(2006年)10月27日(金曜日)通巻第1600号より
北朝鮮制裁は中国の裏切りで早くも「ザル法」
鉄鉱石を運ぶトラックが45台、毎日、吉林省南坪と茂山鉱山を行き来している
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ヘラルド・トリビューンが現場の写真をすっぱ抜いている(10月25日付け、16面)。
北朝鮮北部の茂山鉱山は鉄鉱石の宝庫、日本時代から開発は進んでいた。
鉄鋼需要が著しい中国は鉄鉱石の輸入を豪州やブラジルの他に、この北朝鮮鉱区にも依存し、大量の鉄鉱石を輸入している。
40噸トラックが毎日45台、吉林省南坪(図面江に添って延吉の南南西およそ50キロ、和龍市南坪鎮に位置する)から向かい側10キロの茂山鉱山との間を往復している。日量にして1800噸!
国連の北朝鮮制裁決議に同調した「そぶり」を見せて、中国は巧妙な二枚舌外交を展開し、実質的制裁をしていない。 「荷物検査を強化している」と中国は言う。
ところが『タイム』(10月30日付け)は鴨緑江に面した丹東市へ飛んで検査現場を取材した結果、「検査は体裁だけ強化されたかにみえ、事実上は(西側への)ショーにすぎない」とのルポを掲げている。
(以下略)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成18年(2006年)10月28日(土曜日)通巻第1603号より
北朝鮮への制裁の一環として「送金停止」に踏み切った中国
でも本当の狙いは「制裁」ではなく、「人民元経済圏」に組み込むのが狙い
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日本の新聞を読んでいると、まるで中国が北朝鮮を制裁しているかのごとき、である。
弊紙1600号で伝えたように、中国の対北朝鮮制裁はジェスチャー、現場では制裁前となんら変わりない交易、貿易、交流風景が展開されている。
吉林省南坪ではトラックが対岸の茂山鉱山とのあいだを、いつものようにコンボイを組んで往復し、丹東の荷物検査は好い加減であり、長白山、図門の国境も人の出入りは変わらず、そもそも石油輸送のパイプラインは停止されていない。
「送金停止」? ドル送金だけで、人民元は自在である。
要するに中国の狙いは、この機に乗じて、北朝鮮を「人民元経済圏」に組み込むことであり、制裁は口実にすぎない。以前にも紹介したと思うが、中国人は(公然と文章化してはいないが)、最近、「東北四省」という呼び方をする。
つまり黒龍江省、吉林省、遼寧省が「東北三省」(旧満州)。これに北朝鮮を勝手にくわえて、「東北四省」。貿易港、鉱山、石炭鉱区を買い取った中国にとっては、すでに北朝鮮は「中国の」“経済植民地”という潜在意識であり、どうして、この地域の発展をさまたげるような制裁に手を貸すであろうか?
(やっぱり日本の国際情勢の舞台裏を読む力は弱いですねぇ。ま、周辺は平和を希求する国ばかりであると教唆した、連合国原作の“ヘイワ憲法”をまだ墨守しようとしている国ですから、謀略は存在しない、という基本認識なのでしょうか)。
これが中共、そのうち五輪ボイコットもでるのではないか。