落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

西村眞悟氏「さらに、一歩を踏み出そう」

2015年09月26日 | 政治・外交
60年安保闘争と云えば、当方高校生だった。
同級生の中には安保云々を唱える者もいたが、大方は無関心だったと思う。
当方より4,5歳以上の学生や労働者が反安保闘争に参加していた。

倉山満著「嘘だらけの日米近現代史」より
日米安保、当時の椎名国務大臣の発言
核兵器のおかげで日本が萬一にも繁昌しておりますというような、朝晩お灯明をあげて拝むというような気持では私はないと思う。ただ外部の圧力があった場合にそれを排除するという、いわば番犬・・と言っちゃ少し言いすぎかもしれぬけれども、そういうものでありまして、日本の生きる道はおのずから崇高なものがあって、そしてみずからは核開発をしない。そして日本の政治の目標としては、人類の良識に訴えて共存共栄の道を歩むという姿勢でございます。ただ、たまたま不見識の者があって、危害を加えるという場合にはこれを排除する、こういうための番犬と言ってもいいかもしれません、番犬様ということのほうが。
そういう性質のものであって、何もそれを日本の国民の一つの目標として朝夕拝んで暮らすというような、そんな不量見なことは考えておらないのであります。
(昭和四十一年三月十八日 第五十一回国会 衆議院外務委員会)
親米でもなく反米でもないスタンスがうかがえる。

西村眞悟の時事通信 平成27年9月25日(金)
http://www.n-shingo.com/

さらに、一歩を踏み出そう

安保法案が成立し、はやくも、次は経済へ、景気へと急速に関心が流れている。
国会前の60年安保反対闘争が急速に終息して、低姿勢で経済一辺倒の所得倍増に流れたのと似ている。
何故、60年安保を引きあいに出したかといえば、この度の国会前には、 五十五年前の青少年が、そのまま頭の中が凍結されて、じいさんになったようなのが大勢いたからだ。

また、そもそも、この糞暑い夏に、大騒ぎをした課題は、 60年安保後に、すぐに着手して解決すべきであった課題であり、 それが経済一辺倒・所得倍増のなかで、いままで凍結されていたのだった。
従って、この度も、野党とデモ隊は、55年前のアホが、 そのまま凍結されて出てきたような見るに耐えない状況になったと言うわけだ。

そこで、今こそ、さらにまた一歩前進しなければならないと強調したい。
第一、安全保障法制と言いながら、具体的な、 北朝鮮に拉致された被害者の救出をどうするのか、 沖縄の基地をどうするのか、 これらに切り込んでいった議論はなかったではないか。

遙かスーダンの自衛隊のPKO部隊が、駆けつけ警護ができるようになった。
集団的自衛権行使で、アメリカ軍と自衛隊が共同行動をおこなえるようになった。
これは、前進だ。
しかし、国会の論者は、肝心の個別的自衛権を考える能力がないのか。
北朝鮮に拉致された日本人の救出は、個別的自衛権ではないか。
沖縄の基地問題は、我が国自身の安全保障の問題ではないか。

ついでに言っておく。
台湾を守ることは、我が国の個別的自衛権の問題である。
それを示すケースは、 1807年、デンマーク艦隊引渡請求事件、当事国、イギリス・デンマーク、である。
せっかく、中共の習近平が9月3日に、 仰々しいミサイル見本市的軍事パレードをしてくれているのに、 台湾を守る問題が議論にならないとは恐れ入る。
ミサイル防衛と巡航ミサイル保有が議論にならないとは。
中共の南シナ海侵略、侵略した島に滑走路と港湾をを建設して 南シナ海の領海化を目論むのを如何に阻止するのか。
これが議論できないのか。
或る意味では、遙か北アフリカの駆けつけ警護よりも重要ではないか。

北朝鮮に拉致された日本人を、北朝鮮域内で確保して日本に救出してくることは、 北朝鮮政府の了承がなければできません。
これで、与党も野党も議論を終えていていいのか。
誘拐された自分の子どもを救出するためには、誘拐した犯人の同意が必要です。
こんな馬鹿なことを真面目に言っている馬鹿が何処にいる。

つまり、この度の安保法制の議論が過ぎたからといって、忘れてはいけない。
まず、個別的自衛権とは何で、如何にして行使するのかに取り組もう。
個別的自衛権であるから、 集団的自衛権に関して、驚くべき馬鹿なことを言っていた学者や内閣法制局出身のおっさんや ノーベル文学賞受賞作家などは出る幕はないだろう。

さて、沖縄だが、 県知事が、人権問題を討議する国連に行って、沖縄の基地反対を訴えている。
外務省は、直ちに、沖縄県知事のパスポートを失効させるべきだ。

日米両軍が激突した沖縄戦は、七十年前の昭和二十年六月二十三日に組織的戦闘が終わった。
しかし、気がつけば、今、第二の沖縄戦が展開されている。
中共の思想戦、宣伝戦そして工作活動であり、 日本内部の左翼、共産党そして、 つい最近まで国会の前にいた曰く言い難い群衆である。彼らは中共の工作で動く。
彼らは、赤子まで動員する「群衆」のプロである。
この第二の沖縄戦で敗れれば、我が国のみならず、 東アジア全体が一挙に地殻変動の上に乗っかったような混乱に陥る。
何度も言っているが、また言う。
平和を望むならば、戦いに備えよ!

苦言ばかり書いてきたが、最後に、 彼らもいいことを教えてくれたと評価しておきたい。
第一に、憲法学者はこんなアホなのかと教えてくれた。
第二に、内閣法制局にはこんなアホがいるのかと教えてくれた。
第三に、平和、平和という奴ほど、すぐ暴力に訴えると教えてくれた。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/



秋分

2015年09月23日 | 日常・身辺

秋分の日、一年の第三コーナーをまわりました。
南向きのベランダから、播磨灘に沈む夕日が見えるようになりました。



21日、能勢のお寺に息子家族を誘って亡父の墓参り、息子の家に一泊
22日、万博公園に皆でピクニックに行きました。
1970年の万博会場は見事な森林公園に生まれ変わっていました。
45年も経つとこうなるのかと感心しました。
多くの家族連れで賑わっていました。








孫と散策

但し、交通量は相当なもので少々疲れました。
21日の朝、中国自動車道を吹田へ東に向いて走っていましたが、西向きは故里へ帰る人達でしょうか延々と渋滞が続いていました。
能勢の山道では、見通しの悪いカーブでセンターラインを守れない車が結構いました。
休日ドライバーが多いので当方は減速し左寄りを走っているので接触を免れたことが一度や二度ではありませんでした。一体何を考えて運転しているのでしょうか。



安保法案成立・これから

2015年09月20日 | 政治・外交
戦後七十年、安保法案が成立し安倍首相の提唱する「日本を取り戻す」大きな一歩となった。
後の世で、歴史的と評価されるかもしれない。
しかしマスコミは「安保法案は絶対ダメ」という拒否反応を示している。
マスコミには中共や半島の工作員が入り堂々と彼の国の宣伝を展開している。
世論調査の内閣支持率を見ても、各社の数字が違っているのが面白い。
面白いと云うと不謹慎かも知れないが、これが情報戦だろう。

国防には軍隊(自衛隊)の裏付けが不可欠。
国内では警察、対外的には軍隊とどちらも重要であるはず。
関東地方の大水害で自衛隊が大活躍をした。その自衛隊も高齢化しているという。

「加瀬英明のコラム」メールマガジンより
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi
日本を守る〈4〉~杉田玄白「医も兵法と同じ」“防疫体制”の必要性説く

 国を人体にたとえれば、国外から蒙っている脅威は、疫病と同じものだ。

 杉田玄白といえば、江戸時代後期の蘭方医学の先駆者で、『解体新書』と『蘭学事始』によって有名だが、著作『形影夜話』(1803年)のなかで、医が兵法とまったく変わらないと、論じている。
 玄白は「孫呉(孫子、呉子)の兵法を知らざれば軍理は立たぬ。医も形体(かたち)詳(つまびらか)ならざれば、医理は立たざる事と知らる」と戒めて、医術も、その時々に変わる状況の形体(かたち)に合わせて、柔軟に兵略を立てるのと同じことだといって、医術と兵法の共通点をとりあげて詳述している。
 玄白の時代から、世界のありかたも、病いを恐れるのも変わっていない。

 いま、私たちはアメリカの力が衰えているなかで、中国の切実な脅威を蒙っている。
 疫病が日本の岸まで、迫ってきている。安保関連法案は、杉田玄白が説いたように、防疫体制を強化するものだ。
 だが、39年前か、38年前までの中国は、ちがった。毛沢東時代が39年前に終わるまで、極貧国だった中国は、中ソ戦争を恐れて、日本に援けを求めていた。小平は揉み手をさかんにしながら、日本から投資と技術を引き出そうとした。

 日本が直面する脅威の形体(かたち)が、激変している。
 習近平が率いる中国は、2500年の中華帝国のDNAを露わにして、「偉大な5000年の中華文明の復活」を叫んで、華夷秩序を再興しようと、目指している。5000年は、中国人の誇大妄想癖だ。
 私たちのすぐ隣に絶対独裁という危険ドラッグの常習者がいて、日本に襲いかかろうとして、隙をうかがっているのだ。

 「平和憲法」さえあれば、国外の状況がどうなっても、日本はまったく心配ないという者は、有名なイギリスの科学空想小説作家のH・G・ウエルズの言葉を読むべきだ。
 「かつて恐竜は地上の支配者だったが、地球を襲った氷河時代によって草木や森林が枯れ、草食動物だったから、巨大な体を支えることができず、餓死していった」
 「恐竜にとって温かく降りそそぐ陽光と、草木が茂る豊かな大地が、永久に続くものとみえた。そして、快楽な生活を送っていた。彼らには聴こえなかったが、その背後では宇宙の不可思議な力が旋律を奏でていた。
 そして、永久に変わらないと思われた安定が、崩れる日がきた。ほどなくして、彼らは絶滅した」


日本を守る〈5〉~自衛隊の精強度を高めよ

 安保法制について、新聞の世論調査をみると、読売から朝日、毎日、日経まで「反対」が50から60%以上、「支持」になると20から30%で、産経だけが58%だ。
 安倍内閣の世論調査の支持率も、安保法制のために、「不支持」が50%を上回るようになっている。
 これは、日本国民がアメリカによる保護を天与のものだと錯覚して、国家にとって何より大事な防衛問題について、関心がいかに薄いか、示している。世界のなかで、このような国は他にない。

 安保法制を、強化しなければならない。

 だが、いくら法律を整備しても、肝心の自衛隊が頼りにならなかったら、安保法制をめぐって空ら騒ぎしていることになる。
 政治家も国民も自衛隊の実態に、目を向けることがない。
 まず自衛隊は、あまりにも高齢化している。陸海空3自衛隊の平均年齢は35歳、幹部が42歳だ。幹部は将校のことだが、軍を自衛隊と呼んでいるのと同じことだ。
 軍隊の精強度は、平均年齢で計られる。韓国軍、台湾軍、アメリカ陸軍、海兵隊の平均年齢は、23、4歳だ。

 自衛隊は優秀な隊員が多いものの、残念だが頼りにならないと思う。
 11年前に、イラクに陸上自衛隊が派遣された時にテレビで見たが、そろって中年男性だった。
 陸軍となると、戦場を重い装備をもって、駆けまわらなければならない。
 「携帯円匙」(えんび)というと、シャベルを使って、「個人用掩体」(タコツボ)を掘らなければならないが、地質が柔らかくても、伏せた姿勢で1人用の掩体を掘るのに、1時間半はかかる。

 普通科(歩兵のこと)中隊は230人ほどだが、尉官の定年が54歳なので、定年前の1尉(大尉)の中隊長が多い。
若者が自衛隊に魅力を感じないのも、なぜだろうか。
 どの国でも、軍人は名誉ある仕事であるのに、日本ではそうではない。
 それに、自衛隊は警察官、消防官より手当が少ないので、待遇に大きな差がある。

 陸上自衛隊の予備自衛官は、僅か45000人だ。45000人では、まったく足りない。そのうえ、予備自衛官はもっと高齢化が、進んでいる。
 アメリカも志願制度だが、除隊後は義務として予備役に編入される。
 国民が防衛問題を日蔭に置いてきたために、自衛隊には欠陥が多すぎる。
 安保関連法案が成立したら、みんなで自衛隊に目を向けたい。

賢明なスポンサーには敬遠される左巻きマスコミ。
高須クリニック、「報ステ」スポンサー降板 安保法案「偏向報道」に“NO” 2015.09.18
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150918/dms1509181700019-n1.htm
高須院長は16日夜、ツイッターで「失望しました。(同番組の)スポンサーやめます」と表明した。CMで“Yes”といっていた高須院長が「報道ステーション」に“No”を突きつけた格好だ。・・・



安保法案・成立

2015年09月19日 | 政治・外交
ようやく安保関連法案が参院本会議で可決・成立した。
野党民主党の帰化議員を中心としたプロレスまがいの乱闘が仕掛けられた。野党女性議員は「セクハラ」作戦で議長席を取り囲んだりした。某太郎は数珠と線香をもって牛歩戦術をやらかした。自民党の若い女性議員が民主党中年議員に羽交い締めにされ、これこそ100%「セクハラ」と思われるが・・・
次回の選挙までこの有様をよーく覚えておかなければ。
日本は文明国の一員、議員は紳士淑女であることを期待するが、これでは恥ずかしい。
日本の国防は同盟国の米に依存している。その米は衰退、隣国の中共は軍拡。
集団的自衛権の限定的行使はやむを得ず、この法案の成立が戦争抑止となるよう願う。
安保法案、自民・公明両党の賛成多数で成立、賛成148票
参院本会議で安全保障関連法が自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立。
2015.9.19 02:18
http://www.sankei.com/politics/print/150919/plt1509190009-c.html

写真:拍手する与党(奥)。手前は民主党=19日未明、国会・参院本会議場(酒巻俊介撮影)

 集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法案は19日未明の参院本会議で採決が行われ、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。賛成票は148、反対票は90だった。

【安保法成立】「参院での意思明確にする日が今日だった」鴻池・参院特別委員長
http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190029-n1.html

写真:参院本会議で安保法案が可決、成立。記者団に答える鴻池祥肇委員長=19日未明、国会内(斎藤良雄撮影)

 鴻池祥肇(よしただ)・参院平和安全法制特別委員長は19日未明、安全保障関連法の成立を受け、「委員長という立場で円満に公正に、どちらかといえば少ない方の意見を十分に聞くような機会を作ってきた。法案が成立し、感無量だ」と述べた。
 14日以降、衆院で法案を再可決、成立させる憲法の「60日ルール」適用が可能となる中、参院で成立したことについては「私が委員長になったからには、参院での意思を明確にしなきゃいかん。その時期が今日だった」との考えを示した。
 法案審議を通じて「官邸の下請けではない」などと発言し、注目を浴びた。この日は「真ん中に立った(内閣官房)副長官あたりが気の毒だった」と気遣った。
 17日の特別委での採決時に野党側の強い抵抗を受けたことを記者団に問われると、強行採決ではないと改めて強調。その上で「こういう大事な法案は、できるだけ合意形成に近づけたかったというのが私の思いだし、反省だ」と述べた。

西村眞悟の時事通信 平成27年9月19日(土)
http://www.n-shingo.com/

一歩を踏み出す

国会内も、国会の外も、そこに群れる連中、見るに耐えなかった。何という劣化か。
そして、この群れを煽る許し難い一部のマスコミ、 それに乗る馬鹿議員、影で操る共産党、 「九条守れ」、「戦争するな」、「徴兵反対」の思考停止。 立派な売国の群れだった。
しかし、そのなかで、本来の日本に戻るために、一歩前進した。
安倍内閣、よくあの連中を相手に、我慢して、よくやった。
泥、泥のなかから、蓮の花がぱっと咲いたような気がする。

一年前の閣議決定による安倍総理大臣の「集団的自衛権行使の表明」に加えて、 この度の安保法案成立は確かに快挙である。
とはいえ、成立した法案は、あれはできる、これはできない、とややこしい。 しかし、一歩を踏み出したと評価する。

そのうえで、言っておく。
自衛権は、 我が国の国内法秩序がないところで、 もしくは、我が国の国内法秩序が破壊されているところで、 我が国の国内法秩序など全く守るつもりのない敵に対して、 国家と国民を守るために行使するものである。

従って、自衛権を、 国内で国内法に従って行使される警察権と同じように扱ってはならない。
つまり、 警察権は、法律に規定のあることができる、規定のないことはできない(ポジリスト)。
自衛権は、法律に禁止されていないことは、できる(ネガリスト)。

この度の法案は、ポジリスト(警察)からネガリスト(軍隊)への発想の切り替えがない。

しかし、心配はいらない。
ここ(自衛権行使、つまり軍事)は、 スタッフ(参謀)を従える最高指揮官が決定する領域である。
即ち、 最高指揮官(つまり内閣総理大臣)が、自衛権を行使すると決定すれば行使する。
そして安倍総理(最高指揮官)は、 既に集団的自衛権を行使すると表明しているからこれで十分である。
では、この度の国内の法律によると自衛権を行使できないが、 行使しなければ国家と国民が取り返しのつかない危機に遭遇するときどうするのか。
そのときは、総理大臣(最高指揮官)は、「超法規的措置」をとる。
つまり、法律を無視して、敢然と自衛権を行使できるのだ。

昭和五十二年九月二十八日、日航機ダッカハイジャック事件、これだ。
福田赳夫総理は、十月一日、「人の命は地球より重い」との声明を発し、 「超法規的措置」によって、ダッカにいる犯人(日本赤軍)の要求を吞んで、 服役中および拘留中の者六名と六百万ドルをダッカの犯人に引き渡した。
福田赳夫総理の、この決断内容の当否はともかく、 行政権をもつ内閣の首班にして自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣は、 超法規的措置を決断実行できるということを、ここで強調しておきたい。
この意味で、福田赳夫総理は、貴重な先例をつくった総理である。

従って、安倍総理は、我が国の危機を克服する為の強力な権限を保持することになる。
総理大臣の集団的自衛権行使表明と、それに基づく法案成立、 この一歩は、おおきな一歩だ。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
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安保法案参院特別委で可決

2015年09月17日 | 政治・外交
安保法案がいよいよ参院本会議に上程されるところまできた。
野党は議長の不信任案を出したり、国会周辺では共産党をバックとする九条の会などのグループが「戦争法案」反対で連日騒いだ。
国会内理事会では、民主党や共産党の議員がスマホで記念撮影に興じる姿が報道されていたが、皆浅はかな顔に見える。国民の税金で対案もなく「戦争抑止法案」の邪魔をしている輩だ。

■【緊迫・安保法案】野党の「セクハラ」作戦に反撃 参院議長が女性衛視投入 民主・小宮山泰子氏「女を利用するな!」2015.9.16 23:04
http://www.sankei.com/politics/print/150916/plt1509160083-c.html

ポストに「九条の会」のパンフレットがよく入っている。
カネのかかる立派な上質紙のカラー印刷。カネはあるところにあるらしい。

加瀬英明氏メールマガジン(15日~17日)より
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi
 日本を守る〈1〉~「第9条」は平和をもたらさない~

 私は安保法制の審議が続く国会のまわりを訪れるごとに、反対派の人々の幟やプラカードを見て、「アホ」と思った。
 「日本は戦争をしないと誓った国」「戦争反対」「戦争はゴメンだ!」といった幟(のぼり)や、プラカードだが、行くべき場所を勘違いしている。国会ではなく、麻布の中国大使館の前で気勢をあげるべきなのだ。

 中国の習近平主席は「5000年の偉大な中華文明の復興」を「中国の夢」(チュグオモン)として煽って、しばしば公的な場において、「戦争の準備を進めよ」と命じている。
 中国の発表によっても、毎年、国防支出を世界のどの国よりも大きく増している。いったい、日本政府と中国政府のどちらが、戦争熱に憑(つか)れているのだろうか。

 162年前にペリーが黒船を率いて江戸湾にやってきた時に、もし、浦賀の海岸に「日本は戦争をしないと誓った国」という幟を立てて迎えたとしたら、アメリカによってたちまち侵略されて、後にアメリカがフィリピンを奪った時のように、抵抗した数十万人か、数百万人の国民が虐殺されていただろう。
 120年前の日清戦争、110年前の日露戦争に当たって、「戦争反対」といっていたとしたら、日本が中国のチベット、ウイグルになったか、ロシアによる支配を受けていたはずだ。

 反対を叫ぶ男女は怠惰だから、日本の幕末からの苦難の歴史を、まったく学んでいないのだ。
 日本に“平和憲法”という呪(まじな)い札があるからといって、世界の弱肉強食のありかたが、ちょっとでも変わるわけではない。
 “平和憲法”は、平和をもたらしてくれない。そんなに“第9条”がすばらしいものなら、中国の脅威を切実に蒙っている、インドからフィリピンまでの諸国が競って改憲して、“第9条”を採用していたにちがいない。

 ウクライナ憲法に“第9条”があったとしても、ロシアが2014年に白昼、ウクライナからクリミア半島を奪い取るのを、阻止できなかったはずだ。ロシアは軍服から記章をはぎとった部隊を、民兵として偽装して、クリミアに乱入させた。
 東西冷戦が終わってから、1994年にアメリカとイギリスはロシアとともに、万一、ウクライナが侵略されたら、軍事的に守ることを保証するブダペスト合意文書を交わしていた。
 ところが、アメリカも、イギリスも腰が引けて、動かなかった。

日本を守る〈2〉~米軍に頼り「保護ボケ」患う

 8月30日の日曜日に、安保法制に反対する3万3千人(警視庁発想)の人々が、国会の前に集まって気勢をあげた。
 そのなかに、女子大生グループという娘が、フーゾク嬢のように臍(へそ)を露出して、「WAR IS OVER・IF YOU WANT TO」という、英語のプラカードを掲げていた。
 フーゾク嬢風の女子学生がいた場所が、国会前でよかった。

 もし、米軍基地の前だったら、アメリカ兵たちが太股と臍を丸出しにした日本娘の訪問を、奇声を発して喜ぶだろうが、「WAR IS OVER」という言葉を見て、在日米軍全員が基地を閉めて、さっさとアメリカへ帰ってしまうことだろう。
 それとも、反対派の男女は日本国民だけにとって、戦争が無縁なものになったけれど、アメリカ兵には日本を守るために生命を危険にさらすリスクを負って、駐留を続けてほしいと、思っているのだろうか。

 国会前の男女は、日本が67年前に独立を回復して以来、崇高な「平和憲法」があるから、平和を謳歌してきたのだと、誇っている。
 だが、この平和は「ヘイワ念仏」を唱えてきた賜物ではなく、アメリカによる軍事保護のおかげ以外の何ものでもない。

 日本が降伏した翌年に、アメリカ占領軍が「日本国憲法」を押しつけたが、4年後に朝鮮戦争が始まった。マッカーサー元帥はその僅か2ヶ月後に、“即席憲法”によって日本を完全に非武装したのが失敗だったと、臍(ほぞ)を噛んで、日本政府に警察予備隊を創設して武装するように命じた。
 日本は独立回復後も日米安保条約によって、アメリカの軍事保護下に安住するうちに、ヘイワボケではなく、保護ボケを患うようになった。だが、他人の施しにすがって、安逸な生活を貪(むさぼ)っている者が、贅沢を見せびらかしているのは、恥かしい。

 戦後70年、アメリカは体力が衰えて、日本を守るのに、日本の助けを求めている。
 戦後の日本は武を忘れて、全員が商人の国となった。

 幕末に長崎海軍伝習所で教官をつとめた、オランダ士官のカッテンディーケが回想録のなかで、ある商人に「オランダ兵が30人いれば、長崎を占領できる」というと、「それは、お侍さんの仕事です。私にはかかわりがない」と答えたのに、驚いている。きっと、今日の日本にとって、アメリカが武士なのだろう。

日本を守る〈3〉~米軍を日本につなぎ止めよ

 私はアメリカを“アコーデオン国家”と、呼んできた。

 アメリカはこの戦後70年、外へ向かって撃って出る時期と、羹(あつもの)に懲(こ)りて引きこもる時期を、交互させてきた。
 先の大戦が終わると、トルーマン政権が軍縮を進めたが、朝鮮戦争が起ると全力をあげて戦った。アイゼンハワー政権が朝鮮戦争をやっと休戦にもち込むと、内にこもった。

 ケネディ大統領がベトナム戦争を仕掛け、ジョンソン政権で本格化した。ところが、大火傷をして、ニクソン政権が南ベトナムを放棄すると、カーター政権が終わるまで、内にとじこもった。
 レーガン大統領はそれゆけドンドンと、ソ連に軍備競争を挑んで、ソ連が解体した。アメリカの驕(おご)りは、ブッシュ(子)政権で最高潮に達して、アフガニスタンとイラクを侵攻した。その結果、中東が収拾がつかない大混乱に陥ったから、大失敗だった。

 アメリカは海外で戦う意志力を萎えさせて、オバマ大統領はシリア内戦が激化しても動かず、2014年に公けの場で、「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と、弁明した。
 いま、アメリカはアジアどころではない。

 ヨーロッパでプーチン大統領のロシアの脅威が切迫して、NATO(北大西洋条約機構)諸国が緊急対応軍を急編して、演習を繰り返している。
 アメリカ軍は中東では毎日、イスラム国(IS)を空爆している。
 アメリカ軍はドイツに174、日本に113、韓国に83など、外国に700以上の基地を展開しているが、財政再建のために、国内外の基地の数を減らしつつある。連邦議会議員のなかには、在韓米軍と沖縄の海兵隊を引き揚げるべきだと、主張している者もいる。
 ワシントンでは日米安保条約が、アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らないから、不公平だという声もあがっている。

 私は岡田党首の民主党が、安保法制に反対して配っているビラを読んで、肝を冷した。
 「日本が直接攻撃を受けていなくても、地球の裏側まで行って、他国の行う戦争に参加しなければ、日本の平和は守れないのでしようか」というのだ。アメリカは日本の「同盟国」であって、「他国」ではあるまい。これでは、公党の資格がない。

 アメリカという“アコーデオン”が、綻(ほろ)びつつある。私たちは努力して、アメリカ軍を日本に繋ぎとめておかねばならない。



菊水山

2015年09月13日 | 散歩・山歩き
関東・東北地方は大雨で大変な事になりました。
鬼怒川の自然堤防を削ってまで太陽光発電パネルを設置したことが、堤防の決壊を招いたという人災説がでてきました。住民の方々にとっては悔やみきれないことでしょう。お見舞い申し上げます。

当地方は、好天。
午後、脚が萎えてきているので例によって菊水山に行きました。
今日は管理車道往復で、ストックもなし、水筒とデジカメだけで身軽です。
家から50分で頂上に着きました。
日曜日で賑やかでした。


展望台では、超望遠レンズで鷹を撮影せんと頑張っているグループがいました


東側の小山から見る菊水山
一昔前はここから斜面に憩う人々が見えましたが、
今は木が茂ってすっかり見えなくなりました


桜の黄葉が始まっています


今日の鈴蘭台


登山口の神鉄車庫
某鉄道車両工場に勤めていたので懐かしい風景です









サイバー戦争

2015年09月11日 | 世相
軍事による戦争ではなく、目に見えない情報戦が行われている。
以前にも関係記事をスクラップした記憶がある。(バックドア
今後益々熾烈になり、終息することはないだろう。
なにしろ国境なき戦争、取り締まる方法がない。
レノボ、ファーウェイなど中国企業の通信機器 悪意あるソフト、あらかじめ搭載 大紀元 2015/09/10 18:44
http://www.epochtimes.jp/2015/09/24481.html

 レノボ、ファーウェイ(華為)、シャオミ(小米)など中国企業の通信機器に、悪意あるソフトがあらかじめ搭載されている。ドイツのITセキュリティ会社が調査結果として明かした。 利用者の個人情報、位置情報を盗み、メールや電話を傍受するスパイウェアが仕組まれており、取り除くことも出来ないという。

 ドイツのITセキュリティ企業「Gデータ」は最新の調査で、中国企業のスマートフォンからスパイウェアが確認されたと公表した。「数多くの電話に(スパイウェアは)存在する」と同社セキュリティ担当アンディ・ヘイター氏は、大紀元の電話インタビューに答えた。

 スマートフォン市場で急躍進するシャオミの機器「Xiaomi Mi 4 LTE」にも、3月に類似のマルウェアが搭載されていることをセキュリティ研究者が発見した。同社「Xiaomi Redmi Note」にも、スパイウェアがインストールされていることを、2014年7月31日の香港フォーラムIMAモバイルで研究者が指摘した。

 ヘイター氏によると、一連のスパイウェアは中国にデータを送信しており、決して取り除くことが出来ない。セキュリティのため、利用者の唯一の選択は「新しい別な会社の機器を買うことだ」と述べた。

 セキュリティ企業「Gデータ」が発見したスパイウェアを搭載した中国企業の通信機器は、ファーウェイ、レノボ、シャオミのほか、Alps、ConCorde、DJC、 SESONN、Xidoなど26の携帯モデルで確認できたという。

 スマートフォンに搭載されたスパイウェアは「諜報目的ならば、完璧な道具だ」と、米カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く「ラクーン・モバイルセキュリティ」のCEOマイケル・シャウロフ氏は大紀元の電話インタビューで答えた。

 同社は2014年9月30日、香港で民主化を求める抗議デモ参加者を狙った、サイバースパイ活動があることを指摘した。メールや音声記録、位置情報、パスワードなどの個人データが悪意あるソフトにより収集されるという。大規模な組織的活動であることが推測されるため、シャウロフ氏は中国政府の関与を指摘した。
(翻訳編集・佐渡 道世)

世界で進行しているサイバー攻撃の凄まじさには目を奪われるが、このマップは全体像のほんの一部に過ぎない ニューズウィーク 2015年7月14日(火)19時47分 ローレン・ウォーカー
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/07/post-3769_1.php

マップ自体も驚くべきなら、データの収集方法にも驚かされる NORSE
http://map.norsecorp.com/

 世界各地で起きているサイバー攻撃をリアルタイムで視覚化する「インタラクティブマップ」(双方向地図)がここ最近、ソーシャルメディアで注目を浴びている。このマップでは、サイバー攻撃が着々と、時には怒涛のごとく行われている様子が、カラフルなレーザービーム風の線で描き出され、見る者の目をくぎ付けにしているのだ。
「ノース社のサイバー攻撃マップを見ていると、催眠術にかけられたみたいになる」と、あるユーザーはツイートしている。

「たった今、中国がアメリカにサイバー攻撃を仕掛けているぞ!」と別のユーザーが叫ぶ。
 しかし、このマップで我々が見ているものとは一体何なのだろうか?
「ここに表示されているのは、実際には当社のインフラ設備に対するサイバー攻撃です」。ノース社のジェフ・ハーレル製品担当部長は、本誌の電話取材に対してそう説明した。そう、ユーザーが見ている間断ない攻撃の嵐は、たった1つの企業に対するものなのだ。

 しかもこのマップに表示されているのは、ノースが受信するデータの1%未満だという。ユーザーが目にしているのは、攻撃のごく一部を抽出した「見本」にすぎないということだ。出所や目標に関する何らかのパターンにユーザーが気づいても、全体像と比較すれば、ほとんど意味を持たないほど次元が違うのだ。

 ノース社は、サイバー脅威に対抗する企業だ。カリフォルニア州フォスターシティに拠点を置き、同社のインフラ設備に対するサイバー攻撃について情報を集め、攻撃の発生源を記録。その悪質なIPアドレスをブロックするよう顧客に知らせている。「顧客が脅威にさらされなくても済むように、我々が最初の攻撃を受けている」とハーレル氏は語る。

 彼は同社のクライアントについて具体的に明かそうとはしなかったが、金融サービスやハイテク産業の企業、そして、米エネルギー省などの政府機関のようだ(エネルギー省は、ノース社と190万ドルの契約を結んでいる)。
これは人間がやっている戦争ではない

 ノース社は、世界50カ国のあちこちに設置した800万台にのぼる特殊なセンサーを介して、ネットワークに対するサイバー攻撃を誘導している。サイバー攻撃が、ミズーリ州セントルイスといった、一見すると意外な場所を絶え間なく襲っているように見えるのはこのためだ(そこには同社の管理事務所があり、センサーも数台設置されている)。これらのセンサーは、一般的なパソコンやX線装置、ATMなど、通常標的とされるシステムに見えるよう設計されている。

「犯人」は、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)に感染した高齢者のパソコンかもしれない。サイバー攻撃の大半は自動化されており、不正メールをクリックすることで感染するボット(コンピューターウイルスの一種)によって実行されているのだ。

 ノース社のサイバー攻撃マップは、誕生してから数年が経ち、今年4月にも最新アップデートが行われている。米政府職員2100万人の個人情報が流出した先日の事件のように、大きなハッカー攻撃があるたびこのマップに注目が集まるのは言うまでもない。

例:ASCII誌のレビュー記事
スゴイなぁ、ええなぁと書いてあるが、マルウエアについては特に書いていない。
■アップル、サムスン、ソニモバも恐れるシャオミの最新スマホ『Mi3』レビュー
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/186/186851/

当方はスマホを持っていないが、なかなかいいデザイン。
マルウエアはファームウエアとして組み込まれているので、除去はできないという。
これでビジネスや振込やとやっていると、情報が筒抜け。
エライ時代になったもの。


日露戦争 講和百十周年

2015年09月07日 | 歴史
9月5日は、日露講和百十周年。
西村眞悟の時事通信 平成27年9月6日(日)
http://www.n-shingo.com/

二十世紀は「日本の世紀」である

百十年前の九月五日、アメリカ合衆国のポーツマスというアメリカ海軍の海軍工廠のある小さな街に、 アメリカ合衆国セオドア・ルーズベルトの「中立の友誼的斡旋」により、 西からは日本全権外務大臣小村寿太郎が赴き、 東からはロシア全権元大蔵大臣セルゲイ・ウィッテが赴き、 十六ヶ月に及ぶ日露戦争の講和条約を締結した。

其の骨子は次の通り。
(1)ロシア軍は満州から撤退する
(2)ロシアは、日本の朝鮮半島における優越権を認める
(3)樺太の北緯五十°以南を日本領とする
(4)ロシアは旅順、長春間の東清鉄道を日本に譲渡する
(5)ロシアは遼東半島の租借権を日本に譲渡する
(6)沿海州の漁業権は日本人にある
しかし、此の講和条約において、日本国民が期待した、 一年間の国家予算の四倍に上った戦費二十億円の賠償は合意されなかった。

とはいえ、 日本は、かろうじて戦勝国としての面子を保ってロシアとの講和を達成することができた。

ここにおいて、十五世紀、バスコ・ダ・ガマがヨーロッパからインドに至る航路を拓いてから 五百年間で初めてのことが起こった。
近代化を始めて三十余年しか経たない東洋の有色人種の国である日本が、 白人のヨーロッパ最強のロシア帝国の軍隊を打ち破ったのである。
ヨーロッパ世界、そして、アジア・アフリカ、つまり全世界は、驚愕した。
白人に支配されているフィリピン、インドネシア、ベトナム、ビルマ、インド、 そしてアラブさらにアフリカの人々の独立自存を求める魂に火が付いた。
日露戦争が世界史を変えた。
西でロシアに接するフィンランド、ポーランド、ハンガリーそしてトルコは、 日露戦争に日本が勝利したことに目を見張り、それ以来百十年後の現在も親日国である。

日本が勝利したとき中国革命を目指す孫文は、スエズ運河の船の上にいた。
その時、アラブ人から君は日本人か、素晴らしいと讃えられた。
それからは支那から一万数千の留学生が来日して日本で学んだ。
彼らの多くは日本の陸軍士官学校で学んで将校となり、 後の国民党軍を背負って近代中国の建設に向かうことになる。
蒋介石も其の一人である。

レーニンは、旅順の要塞の力は六つのセバストーポリ(クリミア半島のロシアの要塞)に等しいとの述べた上で、「イギリスとフランスが(クリミア戦争で)セバストーポリを占領するのに丸一年もかかったのに、 ちっぽけな、これまで誰からも軽蔑されていた日本が、 八ヶ月(実際は五ヶ月)で、セバストーポリを六つ合わせた力を持つ旅順を占領したのである。
(ロシア帝国に対する)この軍事的打撃は計り知れない」と書き、 日本軍による旅順陥落を「プロレタリアートの戦争(ロシア革命)の時期は近づいてくる」と意義づけた。

アフリカのガーナ出身のアナン国連事務総長は、来日する度に東郷平八郎を祀る東郷神社に参拝した。 チリ出身の国連事務総長デクレアルも四度、東郷神社に参拝した。
東郷平八郎が、ロシアのバルチック艦隊を日本海対馬沖で撃破した提督だからである。

日露戦争で共に満州の戦場にいた フィンランド人のグスタフ・マンネルハイム将軍と ユダヤ人のイスラエル建国の父ヨセフ・トルンベルドール そして、イギリス人のイワン・ハミルトン将軍に付いて書きたい。

グスタフ・マンネルハイム将軍はロシア軍騎兵将校として、 奉天附近で秋山好古少将率いる日本の騎兵部隊と戦い撃破された。 彼は、何故、日本軍がロシア軍を撃破し得たのかを考えた。
そして、少数でも日本のように団結すればロシアを撃破できると確信し、 フィンランドをロシアの支配から解放するための戦闘を開始し成功を収める。
後年マンネルハイム将軍は、 ボルシェビキの本質は「暴力と無秩序」に過ぎないと見抜き、 東からは日本が、北からはフィンランドがボルシェビキの支配するペテルスブルグに攻め入れば、 ボルシェビキを打倒し得てロシア革命を終息させ得ると考えていた。

ヨセフ・トルンベルドールは、 ロシア軍将卒(後に将校)として旅順要塞に立て籠もり 日本の乃木希典大将率いる第三軍と戦い、左腕を根本から失った。
そして日本軍の捕虜となって大阪の浜寺ロシア兵収容所に入れられた。
彼も日本を観て、マンネルハイム将軍と同じように、 何故此の日本が大国ロシアを打ち破ったのかと考えていた。
すると一人の日本兵が 「祖国のために死ぬことほど名誉なことはない」と彼に言った。
トルンベルドールは、此の言葉に深い感銘を受け、 浜寺の収容所において「ユダヤ人の祖国」を建設しようと決意する。

其の十年後、彼はユダヤ国家がローマに滅ぼされてから二千年ぶりにユダヤ人の軍隊を造り、 イギリス軍に加わって第一次世界大戦のダーダネルス作戦に参戦する。
其の戦いぶりを観て、ダーダネルス作戦のイギリス軍の指揮官イワン・ハミルトン将軍は、 「彼らは類い希な度胸をしている」と絶賛した。
彼らが、日露戦争の日本軍兵士のように戦ったからである。
トルンベルドールの造ったユダヤ人部隊を絶賛したハミルトン将軍が、 十年前の日露戦争で、トルンベルドールが旅順要塞に立て籠もっていたロシア兵だったことを知っていたかどうかは残念ながら分からない。

其のイワン・ハミルトン将軍は、 十年前の日露戦争の際にイギリス軍から観戦武官として旅順と満州の戦場に派遣され、 旅順要塞攻防戦の凄まじさを目の当たりに見ていたのである。
そして、ハミルトン将軍は、日本軍の戦いぶりに深い感銘を受け、 日本から学ぶべきものとして兵士の忠誠心をあげた。
彼の報告によって書かれたイギリスの公刊日露戦史には、次のように書かれている。

「此の旅順の戦いは英雄的な献身と卓越した勇気の事例として末永く語り伝えられるであろう」

よって彼は、第一次世界大戦を、乃木希典第三軍の方式で戦い、歩兵の突撃によって塹壕戦に対処した。
戦後、彼は、エディンバラ大学の名誉総長となり、イギリスの教育改革に取り組み、 「子ども達に軍人の理想を教え込まねばならない。
自分達の祖先の愛国的精神に尊敬と賞賛の念を深く印象付けるように」と説いた。

またトルンベルドールは、第一次大戦後に、イスラエルに入植する。
そして、北部のテルハイに居たとき、アラブの武装民に襲撃されて数発の銃弾を受け転倒する。
駆け寄った戦友に彼はこう言って、事切れた。

「俺に構うな、祖国のために死ぬことほど名誉なことはない」

 現在、彼の死んだ地には、彼の墓が立てられ、其の前に大きなライオンの石像がある。
その石像に、トルンペルドールが最後に言った言葉、 かつて日本兵が浜寺で彼に言った言葉、 「祖国のために死ぬことほど名誉なことはない」 とヘブライ語で刻まれている。

トルンベルドールは、今も「片腕の英雄」として全イスラエル人に愛されている。
それ故、イスラエルは親日的である。
尚、トルンベルドールが、ロシア兵捕虜として日本の浜寺にいたとき、 明治天皇は彼に義手を下賜されている。
トルンベルドールは、明治天皇を尊崇し、 彼の残したノートには、来るべきユダヤ人の国は、明治の日本のようでなければならないと書かれている。

このように、 フィンランドそしてイスラエルの建国に、日露戦争の日本の勝利は、決定的な要因を与え、 さらにアジア、アフリカの人々に民族自立の魂が沸き立った。
そして、数十年の胎動の後に、世界が再び目を見張る。
日本が再び、一九四一年十二月十日、 イギリスの戦艦プリンス・オブ・ウェールズをマレー沖で撃沈し、 一九四二年二月十五日、 七つの海を支配する大英帝国のアジアにおける象徴的な拠点! シンガポールを陥落せしめたからである。
フランスのドゴールは、白人の数百年にわたる支配が終わったと述べ、 イギリスの歴史家トインビーは、白人の無敗の神話は、日本によって公然と打ち破られたと書いた。

二十世紀初頭の日露戦争から中盤の大東亜戦争まで、 日本は有色人種の唯一の国として、 一貫して五百年続く白人の支配と戦い其れを打破した。
日露戦争で、始めて有色人種の国が白人の帝国に勝利したことを世界に示し、 続く第一次世界大戦においては、 人種差別撤廃を講和条約交渉で提起し、  大東亜戦争においては、大東亜共同宣言を発して、 人種差別撤廃を正々堂々と掲げて戦った。

そして、二十世紀に日本が戦うまで、 世界に独立国は四十余国しかなかったのに、 現在、百九十余国が独立国として国連に加盟している。
それは、アジア・アフリカから、百五十余国が独立国として誕生したからである。

よって、二十世紀は、「日本の世紀」である。

昨日、九月五日、東京でポーツマス条約締結百十周年記念集会があった。
集会は、国歌斉唱と、日露戦で戦没した英霊への黙祷から始まった。
私は、加{P英明先生の開会の挨拶の後、立って、 日露戦争から始まり大東亜戦争に至る戦いで日本は世界史を変えた。
よって、二十世紀は「日本の世紀」であると述べた。
すると、後に講話に立った馬淵睦夫前ウクライナ大使は、 二十一世紀も「日本の世紀」だと言われた。

そこで、後の懇親会で乾杯の音頭をとることになった私は、 「プーチンを煽ててクリミヤでくたくたにして、 樺太・全千島を取り戻し、 二十一世紀も日本の世紀にしよう、乾杯!」と叫んだ。

なお、昨年の七月、 私は、アメリカの陸軍士官学校ウェスト・ポイントを訪問した後、 四百キロ北上してポーツマスを訪れた。
ポーツマスは今も海軍工廠のある小さな十九世紀の雰囲気をたたえた街であった。
四十年ほど前に、歩いて訪れた時と建物は変わっていなかった。
海軍工廠では、軍事機密の固まりである潜水艦を造っていた。

この度は、小村寿太郎、高平小五郎ら日本側交渉団が宿泊し、 何度も日露会談が開かれたリアス式の海岸に面したホテル、ウェント・ワースを訪れた。
ホテル、ウェント・ワースでは、 日露会談の行われた部屋には「ツリーティールーム」と書かれた表札が架かっていた。
其の部屋に至る階段の正面の壁に、 明治天皇とロシアのミコライ二世の大きな肖像画が掲げられていた。
日本人であるのが分かったので、 ホテル側は「ツリーティールーム」てビスケットとお茶を提供してくれた。
ポーツマスは、 ポーツマス条約締結以来、今も昔のアメリカのままの親日的な親しみやすい街である。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

日露戦争の背景

 日露戦争に行った祖父(1877-1952)

三国干渉
日清戦争で勝利する日本を列強は重大視しはじめた。1895年露仏独は、日本が下関条約で清国から割譲された遼東半島を返還するよう求めてきた。露は、日本が手放した租借権を得て遼東半島へ進駐、旅順にロシア太平洋艦隊を配置した。これにより日本における対露感情が決定的に悪化し、民衆は臥薪嘗胆というスローガンの下に重税に耐えて働き、富国強兵政策が推進されていった。

露と国交断絶
露の南下政策で朝鮮半島にロシア側の利権がどういう形であれ、入ってくるのは自国の防衛上不利と考え、1904年2月6日、当時の日本の外務大臣小村寿太郎は当時のロシア公使ローゼンを外務省へ呼び、国交断絶を言い渡した。

各国の利害関係
日本と同様に露の南下政策を警戒していた英は日英同盟で日本を支援。
仏は露仏同盟で露を支援。
米は仲介を果たすことで中国の利権を得ようとする。

参謀本部次長・児玉源太郎のとったメディア戦略(NHK2005/11/16放送「その時歴史が動いた」より)
『日本奉天占領 もはやロシアに望みはない。ロシア軍は最大の危機に陥った。』(明治38年3月11日タイムズ誌)
 日露・奉天会戦の翌日、日本を激賞した記事が世界を駆けめぐった。国力、兵力ともに圧倒的な不利の中、大国ロシアを破った日本は、この報道で、一躍世界の檜舞台に躍り出た。
 このメディア戦略を仕組んだのが、参謀本部次長・児玉源太郎だった。開国以後、不平等条約の締結など欧米列強との格差が深刻化していた日本。児玉源太郎は、世界で初めて戦場の様子がすぐさま報道される日露決戦を、日本アピールの最大のチャンスと捉えていた。その最高の舞台として迎えられたのが当時世界最大の陸戦となった奉天会戦。ロシア軍32万に対し、日本軍25万。児玉の見事な陽動作戦で相手を退却に追い込み、日露決戦を決定づけるとともに世界における日本の立場を大きく変え、歴史を動かした。
(この頃すでに電信による世界的な通信網が発達していた。児玉源太郎は、各国有力紙の記者を優遇し、後には前線従軍を許可した)
結果
日露協約による互いの勢力圏の確定。満州、朝鮮の権益確保(ポーツマス条約(日露講和条約))。
列強各国に対する不平等条約の改正。その陰に7万人の大きな犠牲があった。
アジアにおける利権を狙う米国の警戒心を呼び起こし、対日感情が悪化し第二次世界大戦の遠因になる。列強の軍縮要求。
幾多の血を流し、ロシアを満洲から追放し、中国の保全を全うした日本に対して清国は一片の感謝を持たなかった。日本人の間では「中国人は戦争中何をしていたのか」という不満が高まり、そのような対中感情が「特殊権益」という考え方を強化し、やがて満州事変を誘発し、満洲建国となっていく。
しかし、日本は名実ともに列強の一員になり、大国とのバランスを保つ義務が発生する。

ポーツマス条約:(Wikipedia)
ポーツマス条約(ポーツマスじょうやく、英語: Treaty of Portsmouth, Portsmouth Peace Treaty)は、アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの斡旋によって、日本とロシア帝国との間で結ばれた日露戦争の講和条約。日露講和条約とも称する。1905年(明治38年)9月4日(日本時間では9月5日15時47分)、アメリカ東部の港湾都市ポーツマス近郊のポーツマス海軍造船所において、日本全権小村寿太郎(外務大臣)とロシア全権セルゲイ・Y・ウィッテの間で調印された。



橋下徹大阪市長が米カリフォルニア州サンフランシスコ市議会に宛てて発送した公開書簡

2015年09月06日 | 政治・外交
橋下大阪市長が慰安婦問題に関して公開書簡を送付した。
2014年11月、同州グレンデール市が設置した慰安婦像の撤去を在米日本人等が訴えた裁判では、SLAPP(strategic lawsuit against public participation 「市民参加を妨害するための戦略的訴訟」)と認定され棄却されたといういきさつがある。裁判所が当時の慰安婦というものの真実にせまる調査をしたようには見えない。
橋下氏の公開書簡では、法律論ではなく、日本軍によって女性の尊厳が蹂躙されたわけではないと広い観点から意見を述べている。さて何処まで理解されるだろうか。
本来政府がするべき事と思われるが、河野・村山談話を踏襲してきた日本政府では出来ないことだろう。
2015/09/03 産経新聞より
【橋下市長公開書簡】全文和訳(1) 日本を含む世界各国は戦場における性の問題、過去を直視すべき
http://www.sankei.com/west/print/150903/wst1509030078-c.html

 大阪市の橋下徹市長が米カリフォルニア州サンフランシスコ市議会に宛てて発送した公開書簡の全文の和訳は以下のとおり。

 2015年8月27日
サンフランシスコ市議会 様

 貴市議会で審議中の議案(慰安婦の碑または像の設置を支持する決議)について、拝見しております。
 未だ審議中の案件ではありますが、貴市議会では今後委員会審議に付して、公聴会を開くなど幅広い意見を聴取されようとしておられますので、姉妹都市の市長としての立場から、現段階で一つの意見として私の考えをお伝えしようとするものです。
 私の考えを広く貴市市民の皆さまにお伝えできますよう、貴市議会の決議案に対する公開書簡の形でご説明させていただきます。この議論についての一助となりますことを期待いたします。

 〈普遍的な価値を持つ女性の尊厳と人権が戦場においても守られる世界をめざして、そのための活動は大いに取り組むべき〉

 21世紀の今日、女性の尊厳と人権は、世界各国が共有する普遍的価値の一つとして、確固たる位置を得るに至っています。これは、人類が達成した大きな進歩であります。
 しかし、現実の世界において、兵士による女性の尊厳の蹂躙が根絶されたわけではありません。私は、未来に向けて、女性の人権を尊重する世界をめざしていきたい。
 そのために必要となるのは、過去と現在を直視することです。

 日本を含む世界各国は、過去の戦地において自国兵士が行った女性に対する人権蹂躙行為を直視し、世界の諸国と諸国民が共に手を携え、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう決意するとともに、今日の世界各地の紛争地域において危機に瀕する女性の尊厳を守るために取り組み、未来に向けて女性の人権が尊重される世界を作っていくべきだと考えます。

 女性の尊厳と人権を守るための活動については大いに取り組むべきで、基本的に賛成です。ただし、女性の人権問題への取り組みが目的であるというのなら、そのための記念碑は、旧日本軍によって利用された慰安婦だけではなく、「世界各国の軍」によって、戦場において性の対象とされてきた全ての女性に対するそうした行為のすべてを二度と許さないと、世界に向けて宣言するものでなければなりません。

 戦時という環境において、日本を含む世界各国の兵士が女性の尊厳を蹂躙する行為を行ってきた、という許容できない「普遍的」構造自体をこそ、私達は問題にすべきなのです。
 日本を含む世界各国は、戦場における性の問題について、自らの問題として過去を直視すべきです。過去、戦場において、日本だけでなく世界各国の軍によって、女性が性の対象とされてきたこともまた、厳然たる歴史的事実です。残念なことに今日においてもなお、戦場における女性、子供への性暴力が行われているとの報道が多くなされています。

 〈慰安婦問題の否定はしない、筆舌に尽くしがたい慰安婦の苦痛への理解と反省〉

 第二次世界大戦前から大戦中にかけて、日本兵が「慰安婦」を利用したことは、女性の尊厳と人権を蹂躙する、決して許されないものであることはいうまでもありません。
 本人の意に反して、戦地で慰安婦として働かされた方々が被った苦痛、そして深く傷つけられたお気持ちは、筆舌につくしがたいものであることを私は認識しています。ですから、私は、いかなる意味でも、慰安婦の問題を正当化する議論には与してきませんでしたし、これからも与しません。
 日本は過去の過ちを真摯に反省し、慰安婦の方々には誠実な謝罪とお詫びを行うとともに、未来においてこのような悲劇を二度と繰り返さない決意をしなければなりません。

【橋下市長公開書簡】全文和訳(2) 韓国側の態度の変更と、確たる事実と思わせる巧みな論理展開
http://www.sankei.com/west/print/150903/wst1509030079-c.html

 〈ただし日本の事例のみをとりあげることによる矮小化は、世界各国の問題解決につながらない〉

 一方で、戦場の性の問題は、旧日本軍だけが抱えた問題ではありません。第二次世界大戦中のアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍、ドイツ軍、旧ソ連軍その他の軍においても、そして朝鮮戦争やベトナム戦争における韓国軍においても、この問題は存在しました。
 世界各国の軍でも同じ問題があったことを理由に旧日本兵の慰安婦問題を正当化しようというような意図は毛頭ありませんが、戦場の性の問題を旧日本兵のみに特有の問題であったかのように扱い、日本以外の国々の兵士による女性の尊厳の蹂躙について口を閉ざす限り、世界が直視しなければならない過去の過ちは正されず、今日においても世界の様々な地域において報告されている兵士による女性の尊厳の蹂躙問題は解決されないでしょう。そのことを私は何より懸念するのです。

 〈日本が特異であると言われていることへの反論〉

 日本が特異であると言われている理由として二つのことが考えられます。韓国側の態度の変更と、間違った認識をあたかも確たる事実と思わせる巧みな論理展開です。

 第一に特に韓国側の態度の変更があります。日本と韓国の間では、日韓基本条約と日韓請求権並びに経済協力協定で植民地時代のことをすべて解決したはずなのに、韓国側は最近になって慰安婦問題は協定に入っていないと言い出しました。
 日本政府の立場でいうと「筆舌に尽くしがたい苦痛は与えたが条約で解決済みであり、それ以上の法的責任は負わない」となりますが、韓国は「請求権問題は条約では未解決」との立場を主張し、双方の法的責任に対する認識の隔たりは大きいというのが現実です。
 国際社会において日本に道義的責任があることは間違いないと私も考えますが、とはいえ、日本政府の見解としても、国際法上の立場からも、条約が存在する以上、法的責任を持ち出すことはどう考えても不可能です。

 そのような中でも例外的に責任を問えるものが敢えてあるとすれば、いつまでも時効にかかることなく、永久的に戦争犯罪として個人の過去の罪を問うことが可能なホロコースト、ナチスなど、ジェノサイド的な犯罪や人道に対する罪など極めて「特異な」ものだけだと思います。
 ジェノサイドや人道に対する罪が「2000年国連安全保障理事会決議1325号11項」において、恩赦規定の適用除外とすることで時効や条約等に関係なく永久に責任を追及していくべきと謳われているのも同様の趣旨だと考えます。
 このような流れを背景に、韓国側は慰安婦問題に対する態度を硬化させ、日本の慰安婦問題は人道に対する罪であると執拗に主張しているのです。

 これに関連しているのが第二の要因です。ジェノサイドでも人道に対する罪でもない慰安婦問題を、まるでそうであるかのように強調する巧みな論理展開です。実際に慰安婦問題をジェノサイドや人道に対する罪のように唱えている活動家や種々の報告書もあるようですが、これは正しくありません。
 慰安婦問題がジェノサイドや人道に対する罪であるという主張に焦点をあてるのであれば、慰安婦像の碑文にある「日本帝国軍に拉致されて」「強制的に性的奴隷にされた」「20万人」といったキーワードの正確さが問題になります。問題の本質を見極めるために、日本が国家の意思として強制連行をしたのかどうかも含めて、慰安婦への非人道的対応の実態などについて、検証がなされることが必要です。最近明らかになったり、話題になった例をみるだけでもこれらのキーワードが正しくないことがわかります。

 少し具体的にお話しますと、例えば、いわゆるクマラスワミ報告(クマラスワミ氏による1996年の国連人権委員会特別報告)では「慰安婦」を「軍性奴隷」と断じています。その根拠の1つとして、「1000人もの女性を慰安婦として連行した奴隷狩りに加わった」という吉田清治氏の告白をあげていますが、吉田清治氏は、一方でこの告白が創作であることを認めており、従前から慰安婦問題を報道してきた朝日新聞も、2014年8月5日に、吉田清治氏の告白を虚偽と判断し、多くの朝鮮の女性を慰安婦として「暴行加え無理やり」「狩り出した」とする一連の記事を取り消し、日本国内でも衝撃的な大問題となったのは記憶に新しいところです。

【橋下市長公開書簡】全文和訳(3) クマラスワミ報告は実証性に乏しい著書に依拠
http://www.sankei.com/west/print/150903/wst1509030080-c.html

 これらを受けて、2014年10月に、日本政府はクマラスワミ報告の記述の一部撤回(旧日本軍が韓国から慰安婦を強制連行したとする吉田証言に拠った部分の撤回)を申し入れましたが、クマラスワミ氏ご自身はその報告書は吉田証言のみに拠って書いたものではないとして、撤回を拒否しています。他方で、クマラスワミ報告自体はジョージ・ヒックスというジャーナリストによる“The Comfort Women”という著作に多く依拠していますが、この著作は実証性に乏しいものであると複数の研究者から指摘されているものだということを、申し添えておきます。

 そもそもクマラスワミ報告は、今日の女性に対する暴力に関する50ページに及ぶ報告書であり、慰安婦問題はその報告書本体についた2つの付属文書のうちの1つ「戦時における軍の性奴隷制度問題に関して、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国及び日本への訪問調査に基づく報告書」において取り扱われたものです。国連人権委員会においては、クマラスワミ氏の特別報告を審議の材料とした上で「女性に対する暴力の撤廃」という6ページに及ぶ決議を採択しました。その決議の中で特別報告者の作業を「歓迎(welcome)」し、当該付属文書の報告内容に対しては「歓迎」よりも評価の低い「留意する(take note)」と触れただけにとどまります。このことが示すことはつまり、クマラスワミ報告本体が最も高く評価されたのであれば用いられたであろう「賛意(commend)」が示されたわけでもありません。よって国連人権委員会として、「慰安婦」を「軍性奴隷」と断定する内容を容認(endorse)したものでは決してないのです。

 もうひとつの例として、アメリカの大手教育出版社であるマグロウヒル社の高校の世界史教科書「伝統と交流」では、第2次世界大戦を扱った章の中で、「日本軍は14歳から20歳までの20万人もの女性を強制的に連行・徴用し軍用売春施設で働かせた」、「逃げようとしたり性病にかかったりした者は日本兵に殺された」、「戦争が終わる頃には、慰安所でやっていたことを隠すために多数の慰安婦を虐殺した」など多数の虚偽の記述があり、事実とは全く異なる誤った認識に基づく内容があたかも史実であるかのように教育現場に持ち込まれています。日本政府が重大な事実誤認があるとして訂正を求めていることに対し、アメリカ国内ではこれを言論・出版の自由や学問の自由に干渉するものだとする批判がありますが、決してそうではありません。間違った事実の指摘を批判することこそが言論・出版の自由や学問の自由への干渉なのです。

 米国の学者らは2015年5月5日の声明で「旧日本軍による慰安婦制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして日本の植民地と占領地から貧しく弱い立場にいた若い女性を搾取したという点において、特筆すべきもの」だと結論づけていますが、規模の大きさや組織的関与の有無が問題なのではありません。規模や軍の関与に関わらず、世界各国の軍によって引き起こされてきた「普遍的」な女性の人権問題と考えなければならないのです。自国の例を直視せず、日本の例を特異なものとしてそこだけを問題視する考え方は、世界各国で貧しく弱い立場にあった女性が受けた苦痛から目を背けることにも繋がってしまうのです。

 さらに、ジェノサイドであるナチスドイツのホロコーストと全く違った文脈で起こった「慰安婦」問題とを同列に扱おうとする動きもありますが、ホロコーストは一民族の抹殺であり、人類史上例を見ない犯罪です。「慰安婦」問題は女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものですが、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙というある種の「普遍性」を持った問題と、民族の抹殺という人類史上極めて特異な人道的問題を同一視する論理は、理解し難いと言わざるを得ません。また1994年のルワンダ大虐殺の組織的レイプはルワンダ国際刑事裁判所でジェノサイドとされましたが、これはあるグループの殲滅を意図した組織的なレイプであり、日本軍によるいわゆる慰安を目的とした慰安婦制度とは目的も方法も違います。

 このように、慰安婦問題に関しては、現在までのところ、国家が組織をあげて人さらいのような強制連行を行なっていたというような確たる証拠は何も出てきておらず、そうである以上、日本の立場としては、法的責任はやはり認められないという結論にならざるを得ません。

 旧日本兵の慰安婦問題は「特異的である」「特筆すべき」などと表現されることがよくありますが、それは日本の謝罪や和解の取り組みを受け入れていない、また日本の取り組みをそもそも知らないということに止まらず、それどころか慰安婦問題がいつの間にか「確たるジェノサイド的な事実」として誤って国際社会に広まっているからではないでしょうか。

【橋下市長公開書簡】全文和訳(4) 不確かな一方的主張を歴史的事実と信じてしまうことが残念
http://www.sankei.com/west/print/150903/wst1509030081-c.html

 〈日本に法的責任があると言うなら、世界各国も同様のはず〉

 逆に、日本の「慰安婦」に対する責任問題が、条約や二国間取り決めで全て解決済みとは言い切れない、日本の慰安婦問題をジェノサイドや人道に対する罪のように言うのであれば、世界各国も同罪であることを国際社会は主張しなければなりません。

 戦場において、日本だけでなく世界各国の軍によって、女性が性の対象とされてきたこともまた、厳然たる歴史的事実です。軍の関与があったかどうかがよく議論の俎上に上りますが、どのような形態であれ、性の対象として女性を利用する行為そのものが女性の尊厳を蹂躙する行為なのです。

 重ねて申し上げますが、世界各国には、戦場の性の問題について、過去に日本という他国が起こした特異事例としてではなく、自らの問題であるとして過去を直視してもらいたいのです。そうでなければ、今なお続く兵士による女性の尊厳の蹂躙は根絶できません。

 〈貴市議会の決議案に関する懸念とグレンデール市の慰安婦像、碑文の問題点〉

 今回の決議案に関して懸念するのは、旧日本軍の行為の「特異性」という誤った事実認識に基づいて、碑文に間違った事実が刻まれるのではないかということです。
 2013年7月にグレンデール市に設置された慰安婦像の石碑には「1932年から1945年の間に日本帝国軍によって強制的に性奴隷状態にされた20万人以上の(中略)アジアとオランダの女性を記念して。(以下略)」と刻まれていますが、これは歴史的事実として確認されていない言説です。慰安婦の数や募集における旧日本軍の関与について歴史研究者の間でも議論が分かれていることは2015年5月5日の『日本の歴史家を支持する声明』の中で米国を中心とする187名の歴史研究者らが自ら認めています。

 にもかかわらず、碑文に刻まれ、広く報道されることで、世界の多くの人々がこの不確かな一方的主張をそのまま歴史的事実と信じてしまうことが、残念でなりません。
 今回、貴市議会で審議されることになる決議案の文面を見る限り、具体的な碑文については触れていませんが、「日本帝国軍に拉致されて」「強制的に性的奴隷にされた」「20万人」といったキーワードが既に書かれており、同じような表現になるのではと懸念しています。

 グレンデール市の石碑は「この不当な人権侵害が決して繰り返されないことが、私たちの偽らざる願いです」と締めくくられており、この部分に込められた思いには賛成です。ただ、そこに事実として何が刻まれるかが問題なのです。国連安保理決議1325号にもあるように、戦場、戦時における女性子供への暴力、性暴力は他の被害に比べて突出してきましたし、世界各地で「普遍的」に見られることが指摘されており、戦場における性暴力は世界全体が取り組まなければいけない問題と、私は認識しているのです。

 なお、決議文の「数名の日本の軍事指導者のほとんどは起訴から逃れた」という記述も間違いです。
 戦後の軍事裁判では、戦争犯罪人として多くの関係者が処罰されています。バダビア臨時軍法会議において、インドネシアのジャワ島スマラン他の収容所に抑留されたオランダ人女性を慰安所に強制連行した日本軍将校らが裁かれ、その責任者のうち一人は死刑となっているように、慰安婦問題に関しても、処罰されるべき者は処罰されているのです。

【橋下市長公開書簡】全文和訳(5) 次世代の若者がよりよい世界のために、いがみあわず協力を
http://www.sankei.com/west/print/150903/wst1509030082-c.html

 〈事実の正確な把握と認識こそが将来の過ちを防ぐ、石碑はその役割を担うからこそ不正確さを最大限排除した事実の提示が必要〉

 誤解のないように重ねて申し上げますが、私には旧日本兵の慰安婦問題を世界各国の軍でも同様のことが行なわれていたことを理由に正当化しようなどという意図は全くありません。日本は過去の過ちを直視し、徹底して反省しなければならないのです。
 慰安婦像や石碑を建てる意味があるとすれば、過去を直視し、世界各国が共有する普遍的価値の1つである女性の尊厳と人権を尊重する世界をめざしていくという宣言のためであり、あくまで碑文の中身はその観点から各国が共有できるものであるべきと考えます。
 他国の兵士がどうであろうとも、旧日本兵による女性の尊厳の蹂躙が決して許されるものではないことに変わりはないのです。それゆえに過去の直視とは別に、日本は独自に自らの問題について向き合い、問題解決の努力を謝罪と道義的償いとして行なってきました。

 〈日本政府の立場、元慰安婦の方々へのこれまでの誠実な対応、女性の尊厳と人権が守られる世界を創り上げていく決意〉

 現在、元慰安婦の一部の方は、日本政府に対して、国家補償を求めています。しかし、1965年の日韓基本条約と「日韓請求権並びに経済協力協定」において、日本と韓国の間の法的な請求権(個人的請求権も含めて)の問題は完全かつ最終的に解決されました。
 また、中国は、1972年の日中共同声明において戦争賠償の請求を放棄したことを前提に、個人被害者へのいかなる支払いも必要ないという態度を日本の外務省に対してとっていたことからうかがえるように、日本と中国の間に法的な請求権の問題は存在していません。

 日本は、韓国や中国との間の法的請求権問題が最終解決した後においても、元慰安婦の方々への道義的責任を果たすために、国民からの寄付を募り1995年に「女性のためのアジア平和国民基金(略称アジア女性基金)」を設立しました。
 アジア女性基金は全ての国の慰安婦の方に向けてスタートし、それぞれの国の実情に応じたものとなるよう各国と話し合った結果、韓国だけでなくフィリピンやインドネシアなど4カ国1地域で償い事業が行なわれました。中国についても、元慰安婦の方々への償いの可能性を打診しましたが、基金関係者の話によりますと中国政府は断ったとのことです。

 元慰安婦の方々へ償い金をお渡しし、総理大臣の直筆署名入りのお詫びの手紙と日本国民からのメッセージを添えて、あらためてお詫び申し上げたほか、女性の尊厳を傷付けた過去の反省にたち、女性に対する暴力など今日的な問題に対処する事業を援助するなどの女性の尊厳事業を行なうことで、日本政府はアジア女性基金とともに、誠実に対応してきたのです。
 先日安倍首相が発表しました戦後70年談話においても、首相は戦時下に名誉と尊厳を深く傷つけられた女性がいた事実を直視し、今後はそうしたことのない世界を創り上げたいという希望とそうした世界を日本が率先して創り上げていくというリーダーシップの決意を示したのです。

 〈日系人への配慮を求める、姉妹都市への影響を懸念、次世代の若者がいがみあわず協力していける環境をつくることの責任〉

 過去の過ち悲劇を直視し、犠牲者に思いをはせることで同じ過ちを繰り返さないこと、被害者の痛みを和らげることは、今日に生きる我々の世代の国境を越えた責任ではありますが、それと同時に次世代の若者がよりよい世界のために、いがみあわず協力していける環境を作ることも我々の責任です。

 サンフランシスコには日本人、日系人が多く住んでおります。慰安婦像もしくは石碑の設置はコミュニティーに分断を持ち込みかねないものとして懸念しており、またよりよい日米関係のためにも、細心の注意を払っていただきたい旨、姉妹都市大阪市の市長として述べさせていただきました。

 サンフランシスコ市とは長年にわたって相築き上げてきた友好関係を礎に、更なる協力によって、ともによりよい未来を構築していけると考えており、それを強く望むものです。
                  大阪市長 橋下徹

■グレンデール市の慰安婦像裁判は、なぜ原告のボロ負けに終わったのか
小山エミ / 社会哲学
http://synodos.jp/international/13150