落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

いつまで続く放射能汚染

2019年02月16日 | 原発
11.3.11東北大震災から8年。近頃は原発の話題もめっきり聞かなくなったが、
メルトダウンした原発は依然として存在する。
福島第1原発で燃料デブリの接触調査が開始© Sputnik /日本 2019年02月13日 15:56
https://jp.sputniknews.com/japan/201902135916405/

福島第1原発では13日、最も深刻なメルトダウンを起こした2号機で溶融核燃料(デブリ)の性状を調べる初の接触調査を午前7時から開始した。
炉心の底にある燃料デブリへは全長が最高で15メートルの伸縮式パイプが挿入され、先端に装着された2本の指でデブリとの接触が試みられる。調査目的は、将来、デブリの取り出し作業で使うロボットの設計などに反映させるため、デブリの性状を把握すること。今回の作業はあくまでデブリとの接触で、持ち上げたりはするものの、炉外への持ち出しは行われない。

放射能汚染は無くなったのだろうか・・・
農産物に付いていたベクレル表示も見なくなって久しい。
【福島原発 今】で検索すると、ワンサと記事がある。
政府も公にしないし、マスコミ報道もされないだけで今も続いている。
それは100年経ってもなくならない。
原発はチェルノブイリのように石棺に覆われることも無く、汚染水は地下を通って海に流れ続けているという。
■福島第一原発の現在の状況と課題 小出裕章・元京都大学原子炉実験所助教(京都市) 2018.2.24 講演会動画↓
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/413080


低線量被曝

2012年06月03日 | 原発
原発事故から1年以上たったが、マスコミの話題は原発再開や原発事故調査委員会などに移行している。
今夏電力不足が予想されることから大飯原発は再稼働に動いている。経済活動との兼ね合いで妥協もやむを得ないのかもしれない。
一方放射能はどんな状況かHPをみてみると福島はもちろん宮城、栃木、千葉、茨城など依然として0.2~0.4μSv/hの値を示している。
これらの地方ではあらゆるものが毎日低線量とはいえ放射能を浴びている。「直ちに影響が出るものではない」と安心していいものかどうか。マスコミにもあまり取り上げられていない。
20,30年たった頃にガンが多発すると云うことはないのか。本当に避難する必要はないのだろうか。
自分のような高齢者は関係ないかもしれないが・・・

■低線量被曝の正しい情報を早くキャッチし行動に 2012-05-16 14:59 swissinfo.ch
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=32699000
3・11から1年2カ月たった5月12日と13日、ジュネーブで低線量被曝被害を専門にする科学者と市民及び市民団体が集まり、「放射線防護に関する市民と科学者のフォーラム、チェルノブイリからフクシマへ」が開催された。ロシア、ベラルーシなどの科学者によるチェルノブイリ事故が引き起こした深刻な被害の報告に、日本から出席した松井英之医師は「改めて、低線量にさらされている福島の子どもたちの移住を早急に進めなければならないと確信した」と語った。
また、低線量被曝による発病や病気の症状などを統計的に調査する「疫学」を行政が行わない以上、民間でやっていくしかないとも話した。結局、ベラルーシなどでも、こうした形での調査の一つ一つが大切なデータとして役立ったからだ。・・・・


■原発短信 第100回日本泌尿器学会の発表 2012/05/30 武田邦彦教授ホームページ
http://takedanet.com/2012/05/100_8d27.html
・・・
まだ研究は初期的段階で、今後の研究に期待しなければなりませんが、まず、成人男子であっても低線量・長期間の被曝は危険なので、なんとかして福島の3分の1の地域に長くいないことが必要なようです。これについては福島医大などからさらに正しく詳細な情報提供が望まれます。・・・・



放射能汚染物質・食品

2012年02月21日 | 原発
東北大震災から一年が巡ってきた。
原発から飛散された放射能汚染物質はまだまだ無くなっていない。
幼児や青少年、働き盛りはやはり気を付けた方がよさそう。

武田教授のホームページより。
この頃ベクレルで表示されている事が多い。人体への影響はmSvがわかりやすい。
換算はこちらのホームページ(東大の先生)で出来る。
被曝防止情報 (平成24年2月19日)
http://takedanet.com/2012/02/post_4c4b.html

被曝を少しでも減らすために最近の重要なニュースを読者の方のご協力も得て、ピックアップしました。全体としてはそれほど危険な状態ではありませんが、食材の種類を多様にしたり、西日本、日本海側、外国のものをできるだけいれることが大切。キノコ、外食のコメ、東日本太平洋側のサカナ、乳製品は避けよう。

1) 埼玉県の上田知事は2月13日の記者会見で東電に逮捕者や自首する人が出ないことに怒りを示した。
中小企業ならすぐ警察が逮捕することと比較しての発言だが、マスコミも相手が東電であれば敬語を使ったり、報道を弱めたりしている。日本人を差別せず「法の下の平等」の精神をあらゆるところで実現して欲しい。

2) 東京の公園から高い放射性物質を含む植物が見つかり密かに処分したことが伝えられているが、ネットによると国分寺の落ち葉が750ベクレル(1キロ、以下同じ)、町田市の牛フン120ベクレル、練馬区の剪定枝200ベクレル、多摩市の落ち葉400ベクレルなどが測定値として出ている。

3) (すでによく知られていますが)南相馬で放射線量の高い粉(黒い)が見つかりました。セシウムで110万ベクレル(1キロ)という途方もない数字で、普通ならすぐ警察が駆けつけ、マスコミが大騒ぎするのが普通ですが、「国民が被曝する方向」の時には政府の目が怖く、責任のあるところはなにもしないという状態が続いています。政府はないも同然なので、自衛する必要がある。

4) 2月16日茨城県生活環境部原子力安全対策課は土壌中のストロンチウム、プルトニウムの分析結果を発表し、いずれも検出限界内であること、その多くが福島原発由来ではないことを強調した。しかし、原子炉の中ではセシウムとストロンチウムが同じ量発生し、3号機はプルトニウム9%の燃料を使っていた。それとの関係は国の責任者はなにも発言していない。私たちは「散っているかも知れない」という警戒を続けなければならない。

5) 1月31日、農林水産消費安全技術センターに堆肥の分析によると、福島市1300ベクレル(1キロあたり、以下同じ)、伊達市1900ベクレル、桑折町3700ベクレル、郡山市8700ベクレル、いわき市600ベクレルである。高いものは出荷を自主規制しているが、堆肥は危険。

6) 2月19日の報道によると、福島の医師は71人が他県に移り、医師の減少に歯止めがかからない状態が続いている。

7) 原発に近いところの野菜を使うと表明している企業:イオン、セブンイレブン、イトーヨーカドー、華屋与兵衛、ビッグボーイ、モスバーガー、サイゼリア、リンガーハット、マックなど(注)モスバーガーは自主検査しているとしているが検査結果は公表していない。
原子力予算4500億円の10分の1ぐらいを補償に使えば、汚染された野菜をすべて買い取ることができる。
そのことを報道せず、ベクレル表示をしていないで販売する流通が多い。「セシウムを含む野菜を出荷する農家は誠意ある国日本の「農家」ではなく、消費者の被曝を増やす商品を売る流通は誠意ある国日本の「流通」ではない。」

8) 1キロ1500ベクレルを超えるシイタケが静岡で加工。

(注)セシウムが入っていてもカリウム(放射性)もあるということを言う人がいるが、セシウムは筋肉に入る。もともと法律の規制を決めるときに臓器ごとに検討して決めている(日本は法治国家だ)。

9) 汚染された食材が沖縄に流れているという噂が絶えないが、沖縄で未使用の薪で1キロ500ベクレル、焼却灰で4万ベクレルを検出。この放射性物質は30年消えずに沖縄に蓄積する。放射性物質が入った農作物、瓦礫、薪などを持ち込むが危険なのは「煮ても焼いてもなくならず、繰り返し人体が被曝する」からで、1つ1つを計算して「基準値以下」であるというのでは安全ではない。

10) 横浜市瀬谷区の二ツ橋小学校の校庭に隣接する水路の跡地で、1時間あたり7マイクロという高い放射線量を想定。土砂を取り除く。ヤブ、水路、くぼみ、枯れ草には子供を近づけないように。

子供を被曝から守るためには、大人が子供を1年1ミリ以下にするように注意するしか方法がありません。
すでに日本には政府や市民を守ろうとする自治体はないので、アメリカ人が銃を持つように、日本人は「自分と家族を守るための知識」を持たなければならない時代です。
次の選挙では「汚染されたものを国民に提供しない」、「放射線を持ち込まない」という人に投票しなければなりません。国を取り戻すために。

(平成24年2月19日) 武田邦彦


福島第一原発で過去最高の放射線量

2011年08月03日 | 原発
【放射能漏れ】 建屋内最高5シーベルト超 福島第1原発1号機、屋外でも新たに10シーベルト  2011.8.2 23:01
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110802/dst11080223010036-n1.htm

 東京電力は2日、福島第1原発1号機の原子炉建屋2階で、屋内では過去最高となる毎時5シーベルト(5千ミリシーベルト)以上の高い放射線量を測定したと発表した。
 ロボット「パックボット」での測定で判明、遠隔操作していた作業員の被(ひ)曝(ばく)は最大で0・2ミリシーベルトだった。東電は、この場所を立ち入り禁止にした。
 東電によると、計測限界を超える5シーベルト以上が測定されたのは「空調機室」と呼ばれる部屋で、事故時に放射性物質を含む気体を放出する「ベント」作業で使われた、「非常用ガス処理系」と呼ばれる配管が通っている。この配管は毎時10シーベルト以上の高線量が見つかった1、2号機の主排気筒の下部につながっている。

 東電は「ベントの際に大量の放射性物質が通過して配管に付着したとすると、(両地点の)高線量検出は辻(つじ)褄(つま)が合う」としている。

 今回測定された毎時5シーベルトは、事故に伴って設定された作業員の被曝限度の250ミリシーベルトに3分で達する値で、一度に浴びると死亡する恐れもあるという。これまで屋内で測定された最高値は1号機1階の毎時4シーベルトだった。
 また、東電は2日、10シーベルト以上の放射線量が測定された主排気筒下部付近で、別の10シーベルト以上の場所があると発表した。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/08/10_1367.html
福島原発の10シーベルトを考える

福島原発の排気口近くの放射線量が10シーベルトもあったということで、大騒ぎになっています。

すでにこのブログで書きましたが、土壌の汚染と空間のシーベルトの簡単な関係は、「1マイクロシーベルトなら3000ベクレル」という感じです。1マイクロシーベルトと1シーベルトでは100万倍違いますから、1シーベルトということは30億ベクレルです。つまり福島原発で10シーベルトが観測されたというのは、その辺の瓦礫や建物、地面などが「300億ベクレル」の放射性物質があるということです。
・・・・・・・・・
この300億ベクレルというのはどういう数字かというと、

1) 福島原発全体の放射性物質量  約6亥ベクレル(土偏と思う)
2) 漏れたと推定される量     100京ベクレル
3) 福島原発の近くに100分の1があるとして、 1京ベクレル
4) 今回の量   300億ベクレル

5) 福島原発付近にあると思われる量に対して、今回の量は、300万分の1

ということです。つまり、福島原発の掃除では問題になりますが、社会には影響のない量です。

私は4月からずっと「福島原発はなにも起こらない」と繰り返してきました。その間には1号機の再爆発、3号機の臨界、4号機の倒壊など繰り返しネットなどで警告が出ていたものもありますが、もともと福島原発にはすでにそんな力はありません。

それよりなにより福島近辺の 除染が何より必要 で、おそらくは「原発がまだ収束していない」といういいわけを使って、除染を遅らせているものを思われます。

(平成23年8月3日 午後2時 執筆) 武田邦彦


好きで飲むタバコや酒と「被爆」を比較?

2011年06月12日 | 原発
産経新聞も時々おかしな意見を引っ張ってくるときがある。
【放射能漏れ】「人体への影響100ミリシーベルトが目安」「喫煙や飲酒のほうが心配」 東大放射線科・中川恵一准教授 2011.6.8 22:23  産経
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110608/bdy11060822250001-n1.htm

 「ただちに健康への影響はない」と言われても、目に見えないだけに、健康被害が心配になる放射性物質。東大医学部付属病院で放射線治療を担当し、茨城県東海村のJCO臨界事故で被曝(ひばく)した作業員の治療にも携わった中川恵一准教授は、被曝による発がんリスクについて、「日本人は、2人に1人が、がんになる世界一のがん大国。喫煙や飲酒の方がよほど危険だ」と語り、過度の心配をする必要はないという。

 中川准教授によると、被曝が人体に与える影響は「100ミリシーベルトがひとつの目安」。100ミリシーベルトの放射線を浴びた場合、がんが原因で死亡するリスクは最大約0.5%上昇。野菜嫌いの人や受動喫煙と同程度だ。
 運動不足や塩分の取りすぎは200~500ミリシーベルト、喫煙や毎日3合以上飲酒した場合は2000ミリシーベルト以上の被曝に相当。「タバコや飲酒による発がんリスクは、被曝と比べものにならないほど高い。この機会にがん対策全体を見直すべきだ」という。
 もともと自然界から年間数ミリシーベルトを被曝している人間の細胞には、放射線で傷つけられたDNAを回復させる機能が備わっている。

長期間にわたって受ける放射線量が100ミリシーベルト以下ならば、ほとんどが修復される。実際、広島・長崎のデータでも、100ミリシーベルト以下で発がんが増えたというデータはない。ただ、一部の原発作業員のように、短期間に200ミリシーベルト以上を被曝するようなケースについては、「年間20ミリシーベルトを10年浴びたのに比べ、2~10倍高いリスクとなる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 依然、風評被害が広がる農水産物については「国の食品衛生法に基づく基準値はICRPなどの国際基準を踏まえ、食品ごとに放射性物質の摂取上限が厳しく設定されている。原発周辺に自生する山菜などを食べるのは危険だが、流通しているものについては基準値を下回っており、問題ない」と強調。「汚染を気にして野菜や魚の摂取が減ったり、被曝を恐れてがん検診を受けなかったり、ストレスや運動不足の方ががんのリスクを高める」とする。

 「半減期が短い放射性ヨウ素はほぼ消えた。今、大気中に放射性物質はほとんどない。それ以降は、3月15日までに放出され、雨に溶けて土の表面に蓄積したセシウムからのガンマ線が被曝の原因。公共事業による土壌改良などが必要だ」と話している。

事故原発からは放射能汚染物質が無差別に人や農水産物にまき散らされた。
それを「喫煙や酒の方がよほど危険だ」と仰るのだが、なにかおかしい。
無学な当方にはどう反論したものかまとまらないが、武田教授がすっきりと解説されている。
奇妙な発がんの論理  お酒と被曝
http://takedanet.com/2011/06/post_9ddf.html

福島原発事故が起こり、おそらくはこの事故が日本人の思考範囲の外にあったのでしょう。奇妙な論理がいくつも横行しています。
その一つが朝日新聞が展開した「どうせ1億人に3000万人がガンで死ぬのだから、福島原発で100ミリシーベルトをあびて50万人が死んでも、問題はない」という話で、これは笑い話にもならないでしょう。
「どうせ、1億人の人間がすべて死ぬのだから、大震災で3万人が亡くなったって、なにが問題だ」
「どうせ、交通事故で1年に5000人も死ぬのだから、酔っぱらい運転で4人、死んだからといって問題では無い」
などとムチャクチャなことも言えるようになります。

・・・・・・・・・
朝日新聞や原子力安全委員が国会で言ったこのようなことは、福島原発で生まれた奇妙な現象の一つとして、今後、心理学などで取り上げてくれるでしょう。
この話と一緒にやや面倒な理屈も言われています.主に「お医者さん」からですが、
「1年100ミリシーベルトで発がんが0.5%増加するが、1日2合の飲酒では0.6%の増加だから、飲酒より安全だ」 というものです。

これについて、考えてみます.
あたかも理屈が合っているようで、実は詭弁や屁理屈と言われるものがあります。
1) 1年100ミリシーベルトでの発がんの意味
2011年に当時、10才だった子供1000人が被曝し、4年から7年目に5人の子供がガンになった。

2) 1日2合の飲酒の意味
お酒を飲まない人の平均寿命は男性で79才だったが、1000人中、300人がガンで死亡した。これに対して、1日2合のお酒を飲む人の平均寿命は84才で、1000人中、306人がガンが原因だった.
つまり、「原発事故では幼い10才の子供が数年の内にガンになるのだが、お酒を飲む人は若い頃から60年近く飲み続け、死亡原因としてはガンが少し増えている」ということです。

この二つの違いを示してみましょう。
1) 原発事故で被曝するのは「自分の意志」ではなく「強制的に被曝させられた」ということであるのに対して、「お酒を飲む」というのは自分の意志である。
これを「意志あり」と「強制的」によるリスクで整理するのが普通で、「意志あり」の方が100倍から1000倍の危険でも感覚的には同じとされる。

2) 原発事故では寿命が60年ほど短くなっているが、飲酒は死亡原因が変わるだけで、寿命は増加している。

3) 1日2合ほどの飲酒では寿命が延びるので、その分、発がんは増えている。
「意志あり」と「強制的」というものの差についてはこのブログにも書きましたが、まったく異なる統計にしなければならないのです。

人間は時に「冒険」もする動物で、冬山などがそれに当たりますが、冬山の死亡率が何%だから、冬は冬山と同じだけ子供が死んでもかまわないなどということを医者が言うことはないのです。
また、人間が天寿を全うして他界するときに、その原因は、体の老化(心臓、脳など)、他の動物に襲われる(肺炎など)、自分自身(ガンなど)があります。
この中で心臓や脳のアタックで死ぬ人は、いわば「事故」ですが、それが1000人に500人だからといって、交通事故で死ぬのが1000人に5人だからかまわないとは違います.

・・・・・・・・・
私たちの社会は、
ある程度の注意をして天寿を全うする、
できれば80才ぐらいまでが望ましいが、
それは運命が決めることだ、
でも、事故や犯罪にはできるだけ巻き込まれたくないし、
原因を作った人は「悪いことをした」のだから罰せられる、
ということで安定しているのです.

飲酒による80才の死亡原因と、被曝による10才の子供のガンを、「数字だけで比較する」ということをする医師も医師ですが、それを伝える新聞も新聞です.
新聞は「事実」を伝えるべきで、このような荒唐無稽で、間違いとも言える比較をあたかも事実のように伝えるのは「報道の暴力」と言えるでしょう。

(このブログは、「1年100ミリは怖くない.我慢せよ」と言われて反論に困っている人に、少しでもヒントをと思って書きました。)

(平成23年6月10日 午後3時 執筆)武田邦彦


農水産物の放射性物質汚染

2011年06月09日 | 原発
原発事故から2ヶ月経って「メルトダウン」が判明し菅首相は「国民に言ったこと根本的に違っていた」と陳謝した。(5/20 読売)
食べても安全と温家宝首相や李明博大統領とサクランボを食べるパフォーマンスを披露していたが、やはり汚染は着実に土壌や海に拡散している。
【放射能漏れ】 食品汚染、セシウム警戒 土・水から吸収、半減期は30年 2011.6.8 22:27 産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110608/dst11060822290032-n1.htm

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質(放射能)漏れによる大気や土壌、海水の汚染は、東日本大震災から約3カ月がたっても続き、国が定める基準値を不安視する声が高まっている。汚染の現状や国の対策はどうなっているのか。(長島雅子、河合龍一)
 文部科学省と米エネルギー省が4月6日から同29日にかけて調査した地表から1メートルの空間放射線量は、福島第1原発の北西を中心に汚染が広がっている様相を示した。事故当時、南東の風が吹いていたため、漏れ出た放射性物質が北西方向に拡散、雨で地表に降り注いだとみられる。

 文科省の6月3日の測定では福島第1原発から5キロ圏内と、北西の多くで依然、毎時20マイクロシーベルト以上の高い線量を観測している。

 大気中の放射線量は減少傾向にあるが、放射性物質が雨に溶け込み、土壌汚染が続いている。

 4月に福島県が公表した調査結果では、浪江町南津島で2万8957ベクレル、飯舘村長泥で2万8901ベクレルと高い数値の放射性セシウムを検出。国は水田の放射性セシウムの基準値を土壌1キロ当たり5千ベクレルとし、警戒区域などでコメの作付けを禁じた。
 文科省は6日から土壌汚染の実態調査に乗り出しており、8月初旬に放射線量の分布マップを作成。土壌からの被曝(ひばく)や農作物のリスク低減に役立てる。原発周辺海域についても調査地点を大幅に増やし、監視強化を図っている。

 基準値を超える食品には変化が見られる。

 当初は葉物野菜から半減期が8日間と短い放射性ヨウ素が検出されるケースが多かったが、最近は茶葉や山菜、海藻、ヤマメなどから半減期が30年と長い放射性セシウムが検出されるケースが目立つ。
 食品に含まれる放射性セシウムの許容量の基準は、年間上限被曝線量5ミリシーベルトから平均的な摂取量などを基に算出。飲料水で1キロ当たり200ベクレル、野菜類で500ベクレルなどとなっている。
 厚生労働省は「野菜や魚が土壌や水中の放射性物質を吸収している」とみており、5月中旬以降、茶葉や淡水魚、シラス、山菜などの検査強化を図るよう原発周辺自治体に通知。基準値を超えた食品が流通しないよう注意している。

武田教授のHPより
科学者の日記110608 夏を迎えて
http://takedanet.com/2011/06/110608_a9b0.html

夏を迎えて被曝量を減らすために色々、やらなければならないことがあります。
政府、自治体、学校などは、子供達を何とか被曝させようと必死なので、それに対抗して大人がやらなければなりません.

・・・・・・・・・
1) エアコン
エアコンはフィルター、ファンのところに3月の放射性チリが付いていますので、良く掃除をする必要があります。
部屋の空気を循環するのは被曝という点では問題はありませんのでエアコンの使用は大丈夫ですが、その前に室内の空気が循環して床や壁、家具などに付いている放射性チリが舞い上がらないようにあらかじめ水拭きをしましょう。
また外から帰ってきたときに着ていた服を着替えて部屋に入ると、その部屋の放射線量が下がるので、被曝量の少ない快適な生活を送ることができると思います。

2) 秋田と新潟のお米・・・どちら?
今のお米は大丈夫ですが、今年の収穫分のお米はできるだけ原発から遠い生産地を選びましょう。岩手、秋田、新潟、長野、山梨、愛知より外側は大丈夫です.
秋田と新潟は米所ですが、両方とも安心です.

3) 除去した土や草
夏には風が吹くので、表土(5ミリぐらい薄くとる。3ヶ月ぐらいたったら2度目(原発にカバーがかかった後))と雑草は取ってきたいとおもいます。除いたものは本来は東電が持って行くのですが、今はダメなのでビニール袋に入れて庭の片隅にかぶせる土が20センチぐらいになるように埋めておきましょう.
そのうち、回収に来ると思います。

4) メルトスルー(原発の燃料溶融)
日本政府はIAEAはごまかせないので、昨日、1号機から3号機がメルトスルーしていると報告しました。国民は裏切り、海外には本当のことを言うという困った政府です.
メルトスルーもメルトダウンも、燃料破損も同じ事で、原子炉の中が壊れたと言うことです。あまり細かい用語は無視しましょう。
私のブログに3月20日頃、原子炉はもう危険なことは無いだろうと書いたのがこのことで、原子炉は3月20日ぐらいには壊れていました。
だから、今回、ウソがばれただけで、事実は3月20日にはわかっていたことですから、現実は危険でも無く、何も変わりません。
強いて言えば、7月に原発に網をかければ、私たちは完全に原発を忘れても大丈夫と思います.


5) 抗議こそが力になる(クリアランスレベル)
各地の市長などが瓦礫を受け入れ、生協が汚染された野菜を売っています.このような行為は違法ですから、個別に抗議していく必要があります。いろいろなものが持ち込まれ、焼却炉で燃やされると煙に放射性物質でてきます。

6) 緊急時では政府はなにかしているのか?
政府は一刻も早く福島に実働部隊(消防など)を派遣して、汚染を取り除く必要があります。何もしなくても良いように、1年1ミリの基準を上げるなどの姑息なことをするのではなく、「旧に復する義務」が政府と東電にはあります。
補償や役人の処分も大切ですが、それより福島や茨城をまずは「旧に復してください」。

7) 休みを取る
人間の体は放射線の低いところに行けば、今までの被曝によって起こった損傷を修理します.
家族で日本海側にドライブに行く、標高の高い高原で遊ぶ、夏休みを利用して北海道や九州に行くなど、いろいろ計画をしてください。
お金や時間の都合が付かない人は、「ミニホットスポット」を調べて、7月からの行動パターンを考えただけでも被曝は3分の1ぐらいになります.

8) 海水浴、釣り
宮城沖から静岡沖までの海水浴と釣り、サーフィンは今年は控えた方が良いでしょう。いま、ワカメ、コンブがかなり汚染されていて、危険性が不明な状態です.
こんな状態が長くは続きませんから、今年は日本海側の海か、山の方で遊ぶ方が良いと思います。

9) シッカリして気楽な生活
注意点は少なくなって来ました。
風の日のマスク、雨の日の水たまり、牛乳と魚、原発近くの食材、汚染を表示しないスーパーを避ける、ミニホットスポットを覚えておく、公園に行かない、ヤブに入らない、少しずつ進める除染、 生活の習慣の中に取り込み、何気なく生活するようにしたいと思います.
気楽な気分になることも修復力を高めます.強いて言えば「楽しいお掃除、楽しい除染」という感じです.
宣伝ではありませんが、原発の考え方の本を一通り出しまして、今、「被曝から身を守る」などさらに現実的なことを書いています.並行して知識を増やすのも必要と考えています.

(平成23年6月8日 午前11時 執筆)武田邦彦


信頼できぬお上の原発情報

2011年06月01日 | 原発
原発情報に限らず、政府やマスコミの情報に信頼感が薄らいでいる。
武田教授のHPより
神になった人たちのリスト
http://takedanet.com/2011/05/post_a8d4.html

何の根拠もなく「被曝しても安全だ」と言う人が増えてきました。それが止まりません.
被曝するとガンになるのですから、根拠無く「安全」という人は神になった人です.常識ある人間はそんなことは口に出せません。
他人の健康のことで、人が何か口にするには、まず第一に日本は法治国家ですから「法律」、第二に医学医療や学問的に定まっていること、そして第三に自分の研究結果などです。
第二(学問の定説)のことを言う時には、第一(法律)に触れなければならず、第三(自分の研究)をもとにするときには、第一、第二にふれて、それとどこが違うか、その理由はなにかを説明しなければなりません。

・・・・・・・・・
日本の法律では、一般人は1年1ミリ。管理区域(健康に留意して、栄養のバランスをとり、被曝量を測定する)では5.2ミリと定められています.
国際的(ICRP)では「被曝に応じてガンが増える」とされていて、1年1ミリが「我慢の限度」とされています。

・・・・・・・・・
【神になった人】
1.文科省大臣: 「児童の被曝は外部被曝だけで20ミリまで安全」(ICRPはそんなことは言っていない)、

2.福島県アドバイザー: 「1年100ミリまで安全」(福島医大の講演では、「この医大の被曝医療は世界に誇るレベルになる(患者がでる)」と発言)、

3.官房長官: (60京ベクレルで被曝しても)「直ちに健康に影響はありません」(直ちにとは、人生が80年だから、10年から20年は直ちにだろう)、

4.保安院: 「海水中の放射性ヨウ素が規制値の3355倍でも、健康に影響はありません」、

5.柏市: (市内に1年1ミリを越える地域があるのに)「原発事故に伴う放射線量率等に関する市の考え方」という文章に、「千葉県北西部地域が相対的に高い数値であることを基にネット上に不安を煽るような書き込みがされている」と「1年1ミリ以上のところを警告すること=不安を煽る」としている。

6.東大、柏国立がんセンター「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」

7.その他、大勢(根拠がないのに、影響がないといっているのはNHK、朝日新聞、一部の医療関係者、放射線専門家、知識人など)


・・・・・・・・・
特に、東大、がんセンターのコメントが実に奇妙です.
「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」 とあります。
測定値はほぼ1時間0.5マイクロシーベルトで、1年間では約4ミリシーベルトになります。 つまり「少々高め」であることは認めています.それでも「人体に影響が無く、健康に問題がない」としていますが、この根拠はなにもありません。
勝手に「感覚で決めたか、政府の言いなりか」のどちらかです。市民が被曝している最中に、法律を無視すると人体実験になります。
正しくは、「一般公衆が1年に被曝している限度を越えているが、管理区域よりは少ない.だから、ある程度、健康に影響のあるレベル」とコメントする数値です.

・・・・・・
福島原発事故が起こって以来、国は突然、法律を無視して、被曝の影響を小さく見せようと、法律違反まで起こして懸命に広報をしています。
でも、なぜ東大がそのお先棒を担がなければならないのでしょうか? 東大は学問的に独立していますし、これまでも多くの委員をだして、1年1ミリを決めてきた機関の一つです.
それがなぜ、自らの学問的判断をすてて国にすり寄るのでしょうか?
東大(柏)は「風評被害を小さくする」ということに責任を持っているのでしょうか? それとも「自分たちは神だから、他人の健康を勝手に決めることが出来る」と思っているのでしょうか?
柏市の言動も、とても奇妙です.
柏市は、「専門機器に熟練した技術職員が必要となるため、市では対応ができません」と言い、「東京大学・国立がん研究センターの調査結果が柏市を代表する値と考え」としているのですから、0.5マイクロ(毎時)がでれば、市民に対して「管理区域涙から、被曝の警告をします」という広報を出す必要があります。
1年1ミリ以上の状態を「注意が必要」というネットの書き込みを「風評」というのはあまりにも「法律違反、市民の健康無視、親切心なし、市民は家族でもなんでもない物体」と思っているのが露骨です.
自治体が「法律を守ろう」と呼びかけている人を「風評を煽る人」というのは、前代未聞で、顔を見たくなります。
自治体は放射線についてあまり関与できないのですが、だからといって「市民を被曝させるのに熱心」という市役所は存在価値があるのでしょうか?

・・・・・・・・・
それにしても、日本人は本当に政府に盲目的に従うものだと改めて思います。その理由が「お金」なのか、「一人の人間として独立していない」のか判りませんが、良くも急に変わることが出来ると感心します。
●どうして、柏市は法律違反を起こしてまで、市民に「被曝しても良い」と言うのでしょうか? 
●朝日新聞はこれまで「被曝は危険」と言い続けてきた先鋒だったのに、政府が安全と言い出すと、突然、「被曝は安全」、「ガンになってもかまわない」と豹変したのでしょうか?
是非、ご本人から理由を聞きたいものです。
「神」はあの世の「神様」だけにしてください。

(平成23年5月30日 午前9時 執筆)武田邦彦

■【世論調査】政府の原発発表、「信頼できない」80% 2011.5.30 21:22 産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110530/stt11053021240009-n1.htm
原発事故の状況や放射性物質に関する政府の発表が「信頼できない」とする回答は80.8%
菅直人内閣の支持率は29.2%

それでも菅内閣支持率が30%近いとは・・・


文科省の放射能測定

2011年05月24日 | 原発
全国各地に設置されているという放射能測定装置(モニタリングポストと呼ぶらしい)による放射線量はリアルタイムでHPで見られるようになった。このこと自体は結構なことだが・・・↓
http://atmc.jp/realtime/
文科省のHPによれば、「空間放射線量率について、モニタリングポストにより連続測定を行い、3月12日より1日2回、定期的に自治体に報告を求めている。」と書かれてはいるが、どうやら人間の背の高さよりはるかに高い位置らしい。
この測定方法で安全というのは欺瞞ではないのか。

全国の放射能:http://atmc.jp/
上記のHPで見られる一見安全であるかのような値でも疑わしくなった。

武田教授のHPより
科学者の日記110523 ああ、すれ違い!
http://takedanet.com/2011/05/110523_a0af-1.html

あるお母さんが、子供の被曝が心配になって、市が測定している「空間の放射線量」を調べた。
なんと、地上5メートルのところで測っているではないか!
そこで、早速、市に電話をして「子供の被曝が心配なので、地上0.5メートルで測ってくれませんか」と御願いしました。

その答え。
「県衛生研究所内のモニタリングポストは、文部科学省からの委託事業として、空間放射線量率の測定を行うために設置しております。
検出器の位置が低すぎると、土壌成分の影響を受けてしまい、モニタリングポストの設置目的である空間の放射線量を適切に把握することができなくなってしまう恐れがございます。
そのため、検出器はホームページ記載の高さに設置しておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。」

・・・・・・・・・
一言で言えば、「バカだねえ」ということになるし、もう少し突っ込めば、「あなた、誰から税金をもらって生活しているの?」と言いたくなります.
お母さんが頼んだのは、「文科省の委託事業」のことではなく、
「非常時だから、せっかく装置があるのなら、文科省と掛け合って地面付近の放射線量を測って欲しい」 と言っているのです.
子供が被曝するのは、「土壌成分の影響を受ける」からであり、それは文科省の委託事業の目的とは違います. でも、神奈川県がもらったお金は税金です.この非常時に「学問的な目的で設置した装置を、県民の健康を守るために使わせてくれ」と国と折衝したかを、まず答えなければならないでしょう。


文科省が、 「県民の健康など関係ないので、目的外使用は許さない」 と答えたら、神奈川県としては装置を返したら良いと思います.
この非常時で、多くの人が心配している時に、「委託事業」などを振り回す時代錯誤の感覚には驚いてしまいます.
神奈川県は自分たちが税金で生活していること、県民を守る立場にあることに気がつき、地表0.5メートルで測ってください。

・・・・・・・・・
今度の福島原発の事故では、自治体の「市民無視」の行政が目立ちます.
法律を勉強せずに「1年100ミリまで大丈夫」と言ってみたり、チェルノブイリの経験を勉強せずに「ホットスポットは存在しない」と言ってみたり、私が今まで持っていた「真面目な地方自治体役人」のイメージは崩壊しました。
地方自治体の皆さん、この時こそ、税金を払っている人に恩返しをしましょう。

・・・・・・・・・追記・・・・・・
私が前の記事で「子供は軽装で、シャワーで良い」と言ったのは、3月中旬に比べて、今、福島原発から出ている放射性チリの量は、「1万分の1」になっているからです.
だから、3月から4月のブログとは今の環境は大きく違います.
また、窓を閉める必要もありません.
「花粉が飛んできた日」と、「花粉が飛んでいない日」とでは、花粉が飛んできたら窓を閉め、花粉が無いときには窓をあけて家の中に侵入してきた花粉を掃除するからです。

・・・・・・・・・
また、子供を作りたいとか、妊娠している方でご心配されている方が多いのですが、胎児や妊婦は幼児よりやや放射線に強いので、お子さんが大丈夫な場所なら、妊娠は大丈夫です.
もちろん、大人に対して、細胞分裂が活発なので注意は必要です。

・・・・・・・・・
「1年100ミリまで大丈夫」と言ったり、「放射線があっても平気」と言った市役所、教育委員会、その他の公的機関の記録をパソコンか何かに記録しておいてください。
私はNHKやテレビ、新聞を保管しています.何かの時に「健康に影響がない」とか「1年100ミリで大丈夫」と言った証拠がいるからです.
また、全国が汚染された時に備えて、瓦礫の持ち出し、乳牛の移動についても記録を保管しています.
哀しいことですが、このままではある程度の放射線障害が出ると思います.その時に、補償問題で裁判になりますから、記録を持っている人が提供して、助け合いをする必要があります。
これまでの公害事件でも、当事者は病気になって苦しいし、証明するものがなく泣き寝入りをした人が多くいます.
でも、その時は社会党なども力がありましたし、日教組、主婦連などもありましたが、今はまったく力がなくなっています.オール与党も困ったものです。
一人一人が自分を守る時代になったので、「安全だ」と言って動かなかった(不作為)証拠を取っておきたいと思います.
(平成23年5月23日 午前8時 執筆) 武田邦彦

科学者の日記110515 「奴(やつ)」はどこにいるか?
http://takedanet.com/2011/05/110515_1ff0.html
地面に近づくと放射線が多くなる

気の毒な東北の子供さんたち

2011年05月15日 | 原発
なんで政府や文科省が放射能汚染物質による被爆安全基準を弛め、学童の安全を守る気がないのか不思議だ。
子供等の中に将来癌などの業病に罹る人が出なければ幸いだが。
政府や先生が安全だと云っていた・・・と責任回避するのだろうか。
原子力基本法  文科省に「遵法精神」を求める
http://takedanet.com/2011/05/post_688a.html

今までも教育の現場におられる先生から「文部科学省の締め付けはひどいもので、思うような教育をできない」という話はたびたび聞いていました。
かつては、学校に校長先生はおられたものの、その他の先生は、お互いに「先生」であり、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
先生がたは尊敬される対象であり、お互いに研修し、児童や生徒のために全力を注いでくれていると社会は信じていました。
「良き学校の時代」でしたが、それを誰が壊したのでしょうか?

・・・
文部科学省が自分たちの支配力を増やすために、校長・教頭・主任などの階級に分け、現在では9とか8階級あると聞いています。
いつの間にか文科省を頂点とするシッカリしたピラミッドが出来ていて、「教育の自由」などはすっかり蔭を潜めました。
親戚に文科省の役人がいると恥ずかしいですね。
それだけではありません。
先生がたは毎年のように増える雑務に追われ、父兄からの叱責を受け、与えられた今日お仕事をこなすので精一杯という状態だと聞いています。
「父兄」から「父母」に、そして「保護者」へと名称が変わったように、学校は形式的に、官僚的に変化していったのです.
今回、福島原発の問題が起きてみると、今までわたくしが聞いていたことが本当であることがわかりました。 保護者の方が学校に行って給食の問題や、校庭での運動の問題についての不安を訴えると、その時の校長先生や先生がたの返事は、本当の意味で児童や生徒の健康の心配を共有するのではなく、「国がこう言っている」とか「教育委員会の方針だ」とか「毎年やっているから」というような、およそ子供の健康とは関係のない話が出てきているからです。

・・・
「国の命令」という点では法律が最も重要ですから。1年に1ミリを越えてはいけませんし、安全だというためには「クリアランスレベル以下(汚染されていないので素人が扱っても良いレベル)」である必要があります。 クリアランス・レベルが1年に10マイクロであることを教育関係者は知らないし、文科省は都合の悪いことは通達しません。
今、教育関係者が口にしている「国」というのは、実は国ではなく、現在の文科省の大臣や役人が単に自分たちの責任を逃れるために一時的な言い訳をしていることに過ぎません。
もしも、教育関係者が誠意ある態度をとるのであれば、法律で1年1ミリ(被曝限度)と1年10マイクロ(クリアランス・レベル)しか口に出ないはずです.
放射線医療の学者が、1年に20ミリで大丈夫だと言っているのは、学者が自由に発言していることであって、教育に適応するようなものではありません。

・・・
まず、文科省に法律の遵守を求めます.
原子力基本法がありますが、日本国民が原子力を進めるにあたって約束事を決めたものです。
原子力基本法の最も重要なことの一つは「公開の原則」です。
原子力は危険なものであるがゆえに、それを実施するときにはすべてのものを公開するというのが原則で、もしもその原則に従わなければ、原子力基本法違反で厳しく罰せられなければならないと思います。

・・・
次には放射性物質に関する多くの法律の規定を守ることです.
最近、文科省は福島県を中心とした放射線の強いところで、校庭の土の天地をひっくり返したり、穴に埋めたりするということを進めようとしています。
何もしないよりか良いことなのですが、実はこれにもちゃんとした法律があります。
1年に10マイクロ以上の被曝をしそうなところについては、クリアランス・レベル以上ということで「低レベル廃棄物の廃棄基準」が適用されます。
現在の福島県を中心とした校庭の土は「低レベル廃棄物」ですから、除去することはできますが、天地返ししたり、穴に埋めたりしてはいけないのです。
そのようなことをすると地下水が汚染されたりするからです。
わたくしの読者の中には、セシウムは土の中であまり移動しないので、埋めてもよいだろうというご意見の方もおられます。
日本が法治国家でなければその通りです.
しかし、常に個別の意見というのはあるのですが、それを総合して一つの法律体系になっているのですから、まずは法治国家として法律を守るという立場を明確にしてもらいたいと思います。

・・・
政府も自治体も肝に銘じるのは、
「原子力は他の業務とは違い「公開の原則」がはっきりと明記されている特別な業務だ」 ということです.
原子力のことは、知事が県職員と話をするのも、政府が部内で検討するのも、東電が発電所で対策をとるのも、すべて「公開」でなければならない。
それは、原子力に関しては「秘密」を持つより、「公開」にした方が日本にとって良いと判断したことを意味しています.
この骨太の原則は、一個人が判断して違反することは出来ないでしょう.
(平成23年5月15日 午前11時 執筆)武田邦彦

同じく武田教授のHPより
「被曝場」と化した学校・幼稚園
http://takedanet.com/2011/05/post_268d.html

科学者の日記110515 「奴(やつ)」はどこにいるか?
http://takedanet.com/2011/05/110515_1ff0.html

↑百聞は一見にしかず・・・表土の放射線


政府が被曝量国際常識を無視

2011年05月13日 | 原発
【放射能漏れ】小佐古氏参考人に 2011.5.13 00:20 産経 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110513/plc11051300220000-n1.htm

 衆院青少年問題に関する特別委員会の理事懇談会は12日、政府の東京電力福島第1原発事故対応を「場当たり的」と批判して内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大大学院教授を参考人として招くことを決めた。自民党側が要求した。
 小佐古氏は原発事故発生直後に就任。原発施設と放射線に関して首相への助言を求められていた。辞任記者会見で、福島県内の小学校校庭などに累積した放射性物質に関し、文部科学省が示した被ばく線量基準は「国際的な常識ではなく、行政の都合で決めている」と問題視していた。

武田教授のHPより
勝手に王様になった菅政権  民主・自主・公開の3原則
http://takedanet.com/2011/05/post_3723.html

小佐古内閣官房参与が20ミリシーベルト事件で4月30日に辞任した後、 5月2日に記者会見が予定されていた。
その記者会見は官邸からの「守秘義務違反の可能性がある。懲役1年まである」という脅迫によって中止になったと、週刊誌「女性自身」が報じている.

巨大な問題が生じた。
【1】 政府による原子力基本法違反
原子力と言う巨大なエネルギーを扱うにあたって、議会は「原子力基本法」を作った。これは「国会」で議決されたものであり、「政府」は法律にそって運営されるものであり、みずから勝手に法律を無視することはできない。
原子力基本法のもっとも重要な原則は「民主・自主・公開」の3原則であり、この「公開」は「原子力に関するあらゆることの公開」であって、他の政府の業務と一線を画する.
国民はこの3原則を政府が守ることを前提に原子力を認めてきたのである.
それを「官邸」なるものが違反したのだから、懲役を受けるのは官邸の方だ。

【2】 政府による「守秘義務違反」の違反
公務員には守秘義務というのがあるが、それは無限の力を発揮するものではない。これについてはすでに裁判で多くの判例があり確定している。
それは「何を秘密にするか」ということは、公務員の上司が決めるのではなくて、その情報が真に「国民に対して秘密にするべきであるか」ということで決まるというのが判例である。
基本的には外国との問題のように日本が国として損をするようなものは守秘義務が発生するが、時の政府が損をするという情報は守秘義務の対象にはならない。
今回のことは、内閣官房参与の仕事に関することであり、放射線などの学術的なことでもあるので、国として損害を受けるというような政策を彼が扱っていたとは考えられない。
従って、官邸が辞任した内閣官房参与の行動について守秘義務をもとに脅迫したとしたら、まるで独裁政権のようなものである。

【3】 放射線防御の法律を破る政府
このブログで何度か書いたが、放射線防護の法律は1年1ミリを限度としている。
それに対して1年20ミリという基準は国内に全く強制力のない国際放射線防護委員会の勧告である。
国際放射線防護委員会がどんな勧告をしても、日本政府はそれに従う義務はない。事実、これまでも日本の国内の放射線に関する法律は、国際放射線防護委員会の勧告を受けて独自に委員会を開き、最終的には日本の法律の形となって初めて国内で効力を発する。
今回「国際放射線防護委員会」を隠れ蓑にして「ICRPが言ったから20ミリまでOK」という奇妙な論理を展開している.
首相とか政府というのは、王様ではない。
つまり、何でも力を持っているわけではなく、法律の範囲内で行動できるだけだ。それも国民からの付託である。
今回の福島原発のことで、「非常時」ということを理由に、まるで独裁政権のような決定が次々と行なわれている。
一方では、政府は「非常時」ではないとしている。つまり、「漏れた放射線は健康に障害がない」し、さらには小学校の児童すら1年20ミリシーベルとまで浴びてもよいので、問題は生じていないことになる。
民主党は初めて「国家権力(そんなものは民主主義では存在しないが)」を手にして、王様になったようだ。

・・・・・・・・・
私たちが知らなければならないこと、

1) 原発が危機に陥ったら、数時間前には国民に知らせなければならないこと、
2) 放射線が風に乗って来るときには、その警戒警報を出すこと、
3) 内部被曝を含めて国民がどのぐらい被曝したかを示すこと、
4) 原発から離れていても、雨などで放射線量が高いところは警告を発すること、
5) 野菜などについては規制値以下でも、業者に表示を命じること、
などがあるが、国民を守る立場の政府が、国民が自らの健康を保つために知らなければならないことを隠し続けているのは、本当に困ったものである。

5月11日に、神奈川県産の茶葉のセシウムが基準以上になった。このようなことが「突然」明らかになるのは、毎日の情報提供が不足していることを意味している。

(平成23年5月12日  午前7時 執筆) 武田邦彦