落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

シナ・対抗措置軟化

2010年09月30日 | 政治・外交
9月7日のシナ漁船の日本領海侵犯からはや3週間、公務執行妨害で逮捕、釈放と目まぐるしく推移し、中共は強硬な対抗措置を繰り出した。
しかし、ここに来て、
『中国外務省の姜瑜・副報道局長は定例記者会見で、「中日関係を重視する」とした上で、「関係の安定と発展には日本の誠実かつ具体的な行動が必要だ」と述べ、これまでの日本側に対する「厳重に抗議」「謝罪と賠償を求める」との姿勢を一転させた。』(9月29日大紀元)
とのことで、早くも関係修復に言及した。

■【尖閣衝突事件】「ほぼ終わった」中国高官が関係修復を示唆 2010.9.29 11:50
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100929/chn1009291152002-n1.htm
沖縄県・尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突した事件について、中国政府高官は28日午後、一部記者団に「ほぼ終わった」と述べ、中国は日中関係修復へ向けてかじを切る考えを強く示唆した。  中国外務省の姜瑜副報道局長も同日の定例会見で日中関係の重要性を強調し、関係修復へ向けたシグナルを送っている。中国側は日本側からの前向きな対応を強く促した形だ。

 また中国側が日本側による漁船船長拘置に反発して取っていた訪日旅行の募集自粛措置に関連し、同政府高官は10月1日の国慶節(建国記念日)から7連休となることを踏まえて「多くの人々は(日本などに)旅行したいと思っている」と述べ、自粛要請の解除にも含みを持たせた。(共同)


■レアアース輸出、再開へ=対日関係修復の姿勢か―中国 2010年9月29日(水)14:03
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100929X507.html
【北京時事】尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件後、日本がその需要の9割超を中国に依存するレアアース(希土類)の対日輸出が事実上ストップしていた問題で、中国当局の通関手続きが再び動きだしたことが29日分かった。複数の日系商社や貿易筋が明らかにした。

 関係者によると、中国商務省当局者が28日、一部日系企業に対して口頭で、通関手続きを速める意向を伝えたもよう。また、事件後に日系企業とのレアアース取引を自粛していた中国企業が、姿勢を改めたとの情報もある。(後略)


■【邦人拘束】フジタ「ひとまず安心」 残る1人の釈放引き続き求める 2010.9.30 14:43
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100930/plc1009301446023-n1.htm
 中国河北省の軍事管理区域に入りビデオ撮影したとして、中国側に身柄拘束されていた中堅ゼネコン「フジタ」の社員4人のうち3人が釈放されたことを受け、同社は30日、「ひとまず安心した。引き続き残された社員の一刻も早い釈放を目指したい」とのコメントを発表した。
 中国側が3人を釈放したのは、沖縄・尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突した事件で、日本側が公務執行妨害容疑で拘置していた中国人船長を25日未明に釈放、中国へ帰国させたことを踏まえた措置とみられる。


「フジタ」はゴールドマンサックス傘下とあるから、米から何らかの圧力があったのだろうか。
それにしても、漁民らしからぬ船長の風貌、中共国内のデモもヤラセ的であった。
帰国した、凱旋船長や乗組員は、公安にメディアや親戚との接触を禁じられているとか。

■「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成22年(2010)10月1日(金曜日)
通巻3084号 (9月30日発行)
http://www.melma.com/backnumber_45206_4980468/
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 あの「ならず者船長」は旧軍人、特殊訓練? 情報源はゴードン・チャン
  すでに帰国して一週間ちかく、誰とも面会が許可されない不思議
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 福建省普江市の晋濾港。
 海保の巡視船に意図的にぶつかってきた乱暴者漁民が住んでいる町。
 ここへはマルコポーロが訪ねたという伝説が残る泉州から南へ車を二時間ほどぶっ飛ばして行ける。高速道路が繋がって、かの「凱旋船長」は病院でちょっと検査したあと、実家へ戻った。

 不思議なことの第一。「死んだはず」の母親がでてきた。ネットでは「日本の逮捕にショック死」などという裏付けのない情報が飛び交った、あの母親である。
 地元漁民は町をあげて凱旋将軍を迎えたが、公安に脇を囲まれ、中国のメディアには一切発言せず、そのまま「引きこもり」を続けている。
 誰とも面会が許可されないのはおかしくないか。

 第二.先に釈放され、おなじくチャーター機で帰国した十四人の乗組員も、メディアばかりか親戚との接触を禁じられたまま。

 第三.「ならず者船長」は旧軍人、特殊訓練を受けているとする情報源はゴードン・チャンで米国のラジオ番組での発言だった。裏付けがとれていないことも判明した。
チャンは『やがて来る中国の崩壊』(邦訳もある)の著者として米国で活躍するジャーナリスト。在米華人。


急速な軍事拡張と、中共軍部対胡・温政権の権力闘争が絡んでいるようにも思える。
検察が日中外交を慮り、日本政府は及び腰の対応であったが、中共は強硬に出られない様々な理由がある。
・中共のいつ破裂するかも知れないバブル経済
・年何万件も発生する暴動と経済格差、環境劣化
・チベット、ウイグル、内モンゴル、台湾などの問題
・膨大な軍事費による圧迫
・1000億ドル対日貿易
等々

日本政府は毅然と付き合っていけばいいのではないか。

『尖閣』便乗、機敏なロシア

2010年09月28日 | 政治・外交
歴史捏造では似たもの同士、ロシアと中共が対日領土戦略で連携するという。
仙菅政権は、日本の尖閣領有権を危うくしている。政治の弱体化は周辺国の膨張に千載一遇の機会を与えてしまった。
生活第一、バラマキ、仕分け等々で目くらましにあったが、周辺国の正体・ホンネがますます姿を現し、日本のとるべき対応がはっきりしたのではないか。

まずは、疫病神・仙菅政権の退陣を望む。
自民党もハニートラップにかかったと云われる谷垣では迫力無し、然るべき人材はいないのか。

5年後では遅すぎる、悠長な防衛省の対応。
■南西諸島の防衛力強化の方針 9月5日 4時17分 NHK
http://www.nhk.or.jp/news/html/20100905/k10013787311000.html
防衛省は、中国海軍が日本近海で活動を活発化させていることなどを踏まえ、来年度から、先島諸島で陸上自衛隊の部隊配備に向けた調査を行うなど、南西諸島での防衛力の強化を図る方針です。

中国海軍は、今年4月、潜水艦や駆逐艦の艦隊が沖縄本島と宮古島の間の公海上を通過するなど、南西諸島の周辺海域で活動を活発化させています。こうした状況を踏まえ防衛省は、この地域に常駐している陸上自衛隊の部隊が沖縄本島にしかない現状を改め、南西諸島の防衛力の強化を図る方針を決めました。

具体的には、日本の最も西に位置する与那国島を含む先島諸島に、陸上自衛隊の部隊を配備することを検討しており、来年度から土地の選定など必要な調査を行い、早ければ5年後にも、周辺の警戒や監視に当たる部隊や災害・事故の際に救難に当たる部隊などを配備したいとしています。また、南西諸島での有事を想定した、陸海空の自衛隊が合同で行う大規模な訓練を実施するほか、弾道ミサイルに対する能力を向上させるため、航空自衛隊の那覇基地に地上配備型の迎撃ミサイル・PAC3を配備することにしています。


■【主張】中露首脳会談 看過できない歴史の歪曲 2010.9.28 02:55
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100928/chn1009280256001-n1.htm
訪中したメドべージェフ・ロシア大統領と胡錦濤国家主席が会談し、第二次大戦終結と対日戦勝65周年に関する共同声明に署名した。これに先立ち、同大統領は「歴史をねじ曲げようとする勢力がいるが、われわれは大戦の真実を主張していかねばならない」とし、中露がともに努力すべきだとの考えを強調した。

 ロシアはこれまでも「日本が歴史を捏造(ねつぞう)した」と主張しているが、旧ソ連の北方領土侵攻の歴史を勝手に書き換えることはできない。北方四島が日本固有の領土である事実を全面否定することは断じて許されない。
 中国がロシアに同調すれば、日本を標的に歴史を歪曲(わいきょく)し、領土という共通利益を正当化するための共同戦線を両国が構築したことになる。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で日本が毅然(きぜん)たる対応を示せないことも中露に乗じるすきを与えていよう。菅直人首相は直ちに両国に抗議し、反論すべきだ。

 中露は漁船衝突事件前から今回の会談をにらんで布石を打ってきた。胡主席は5月のロシアの対独戦勝記念日に訪露、「対独、対日の歴史の真実を守り抜くために連携を強める」と言明した。ロシアは日本が第二次大戦降伏文書に調印した9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」に制定した。

 今回の首脳会談でも、胡主席は「国家の核心的利益にかかわる問題で相互支持を堅持すべきだ」と語り、北方領土問題でロシアを支持する見返りに、尖閣諸島の中国の領有権の主張をロシアが受け入れるよう求めた形となった。

 択捉、国後、色丹、歯舞群島の北方四島は1945年8月9日、当時のソ連が日ソ中立条約を破棄し、終戦後に不法占拠した日本固有の領土だ。「戦争による領土不拡大の原則」を掲げた連合国大西洋憲章(41年)にも違反する。

 一方、尖閣諸島は日清戦争後に明治政府が沖縄県に編入、戦前にはかつお節工場もあった。終戦後は米国施政下に置かれたが、沖縄返還協定で日本に返還された。
 こうした明白な事実を国際社会に認知させる努力を歴代政権は十分に行ってきたのか。在外公館などを通じた説明が不可欠だ。

 中国は今後も軍事的威嚇や領海侵犯を強める可能性がある。ロシアも加わって、日本の主権は危機に瀕(ひん)している。菅政権は漫然と構えている時ではない。


■【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 五星紅旗が翻る尖閣を見たいか 2010.9.28 02:53
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100928/stt1009280255001-n1.htm
・・・(前略)・・・
 ≪志願制で島に自衛隊駐留を≫

 尖閣諸島騒動は一過性のものではなく、東シナ海、日本海への中国の脅威は今後、ますます増大すること必至だ。日本海は決して「友愛の海」などではない。
 その証拠に、事態沈静化を期待し、那覇地検のせいにして船長を釈放したのに、中国はくみしやすしと見て謝罪と損害賠償を求めてきたではないか。孫の代に日本が中国の属国にされないよう、国家危機管理の諸方策を提言する。

 一、温家宝首相声明に応え、菅首相が(1)尖閣諸島は日本固有の領土(2)再発防止努力をせよ、再発すれば、また検挙(3)謝罪と損害賠償は拒否(4)武器の相互不使用?との声明を出す。漁船体当たりビデオは公表する(親書は効果なし)

 二、(執拗(しつよう)な船長釈放要求との相互主義で)駐日中国大使を呼びつけ(午前零時でなくてもよいが)、不当逮捕されたフジタ社員の即時釈放と、会議延期、官民交流禁止、レアアース輸出禁止など全報復措置の即時解除を求める

 三、現在無人の(かつてかつお節工場もあり住民もいた)魚釣島(個人所有)を国有化、埠頭(ふとう)、ヘリポート、灯台などの諸施設を建設、志願制で自衛隊、灯台守、気象観測士などに給与倍額の僻地(へきち)手当、危険手当を支給し、3カ月交代などで駐留させ実効支配を行う。プレゼンスが主権の最大の証明で、急がないと中国人民解放軍兵士が漁民を装って上陸、五星紅旗を立てかねない情勢だ

 四、海上自衛隊のイージス艦を含む一個護衛隊群を、「演習」として近隣海域に定期的に派遣し、海上保安庁を後方支援する。中国は今や、東シナ海をも「核心的利益」を有する地域にしようとしていることを銘記すべきだ。(さっさ あつゆき)

『尖閣』早くも圧力に屈す、情けなや

2010年09月24日 | 政治・外交
「国内法で粛々と処理」とは、こういうことなのか・・・
沖縄地検は本来の仕事を充分したのか。
次々と疑惑の沸く成り行きだ。
外相、国交相がマトモなのがせめてもの救いと思っていたが、やはり民主党政権の本性が出た。
どこまでも中共に舐められる情けない日本の政治外交。
「脅せばどうにでもなる」と知ったヤクザはまた一歩踏み込んでくるに違いない。
南シナ海でシナに同じようにしてやられている国々もさぞやがっかりしていることだろう。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成22年(2010)9月24日(金曜日)参
通巻3075号 臨時増刊号
http://www.melma.com/backnumber_45206_4975066/
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<速報>
 ならず者船長を処分保留で沖縄地検が釈放
 地検が独断で裁量したとは考えられない。管政権、北京に屈服

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 せっかくのチャンスがまた台無しになった。
 田中真紀子以来の外向的醜態である。
 沖縄地検はならず者船長を不起訴処分として釈放した。中国もメディアは、日本のメディアより速く伝えた。

 国家の尊厳を侮辱した民主党政権は歴史に汚点を刻んだ。
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   ♪
(読者の声1)貴誌3074号での貴見ですが、「取り急ぎ政府が行うべきは、かの駐在北京大使を召還することである。かれが無能であることが、この一連の事件がすでに実証した。かれを強く推挽した当時の外務大臣の岡田もなにがしかの責任をとるべきだろう」 
<引用止め>
貴見の通りですが、思いも及ばない人々ですね。
丹羽大使、利口な人なら本国に報告に帰ると東京に戻り、そのまま病院に入院という手口ありですが。そういう想像力もないようで。
まことに任にあらずでしたね。
(SJ生)

(宮崎正弘のコメント)船長釈放となれば、また生き延びますか。釈放を聴いたとき、ちょっと唖然としました。
 防衛力をもっていない国の完敗、北京は乾杯。
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漁船衝突>中国人船長を釈放へ 「日中関係を考慮」
毎日新聞 9月24日(金)14時51分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100924-00000044-mai-soci

 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕・送検し、拘置していた中国人船長、※其雄容疑者(41)を、処分保留のまま釈放すると発表した。

 ※船長は、今月8日未明、中国籍の大型トロール漁船(166トン)を日本領海内の尖閣諸島で操業。久場島北西約15キロで立ち入り検査のため停船命令を出して追跡中だった石垣海上保安部の巡視船「みずき」(197トン)の右舷中央部に漁船を衝突させ、海上保安官の職務を妨害したとして公務執行妨害容疑で逮捕された。

 領海問題を巡り、停船命令に従わなかった中国船籍の漁船が巡視船に衝突させる行為を公務執行妨害ととらえて逮捕する異例の展開となった。石垣簡裁は19日、29日までの拘置延長を認めていた。

 那覇地検の鈴木亨次席検事は釈放の理由について「我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と述べる一方、船長の行為を「追跡を免れるためにとっさに取った行動で、計画性は認められない」などと述べた。
今後釈放手続きに入るが、釈放の日時は未定という。※は「簷」の竹カンムリを取る

尖閣、ここで退くようでは併呑される

2010年09月21日 | 政治・外交
先頃発売された「台湾大劫難・暴かれた中国の極秘戦略」(日本語版)によれば、「2012年に戦わずして台湾に勝つ」という戦略が進行中である。
通読しただけだが、戦略は綿密で、経済、メディア、軍事と多岐にわたっており、日本に対するメディア戦略にも通ずるものがある。
台湾漁船も抗議に参加していたので、台湾併呑工作も進んでいるのだろう。

メディアは、中共が対抗措置として発表した経済文化交流の中止をデカデカと掲載した。
また、北京大使館前のデモは30人規模でカメラマンの方が多かったというが(反日デモから反政府デモに転換することを恐れているフシもある)、大袈裟に報道し中共の恫喝に協力しているかのようだ。

GDPも世界第二位になったが、大方の中国人民は1割の党権力者によって搾取されているので、「張りぼて」ではないだろうか。暴動も多発し、環境悪化もあり、様々な問題を抱えながら傲慢な拡張主義をとっている。

鳩山内閣以降、いやそれ以前から始まっている内閣の頻繁な交代劇で起きた政治弱体化を利用して揺さぶりをかけてきている。
中共は尖閣が日本領であることを知っていながら無理を通し、海洋権益の拡張を狙っている。
日本は毅然として対応すべきだ。日米安保が機能するのか試されるときが来るかも知れない。
国民もそれなりの覚悟が必要になってきたのではないだろうか。

NHK「JAPANデビュー」一万人集団訴訟

2010年09月19日 | 政治・外交
NHK「JAPANデビュー アジアの“一等国”」を巡るNHK一万人集団訴訟の第三回公判が九月十七日、東京地裁で行われ、台湾のパイワン族の陳清福氏が意見陳述を行った。

メルマガ版「台湾は日本の生命線!」より転載
番組は、百年前に現在の屏東県牡丹郷の高士村(クスクス村)の若者たちが、ロンドンで「人間動物園」として展示されるため、日本人によって連行されたことをデッチ上げた。
連行の「被害者」の娘である高許月妹さんが「人間動物園」の話を聞かされ、沈痛な面持ちで言葉を発する場面は、おそらく番組のなかで最も視聴者に衝撃を与えたのではないか。

さて、その言葉を「悲しいね。この出来事の重さ、語りきれない」と日本語に通訳したのが、この陳清福氏なのである。

同氏はあの番組を見て、原告団に加わった。それはいったいなぜなのか。

それについては本人が、公判やその後の記者会見、報告集会でも怒りを込めて語っている。そこで私が直接本人からうかがった話も合わせながら、ここに書き留めてみたい。

話によると、ある日、浜崎憲一ディレクターを含むNHKのスタッフ四人(日本人三人と台湾人一人)がクスクス村へ取材に来た。三日間も通ってきたそうだ。その際取材を受けた高許月妹さんは日本語ができないため、元学校教員のだった陳清福氏が通訳を務めることになった。

そのとき、スタッフは高許月妹さんにロンドンで撮影された村人たちの写真を見せ、父親はどれかと聞いた。高許月妹さんは初めに集合写真を見せられ、「小さくてよく見えない」と答えた。その後一人ひとりが写った写真を見せられ、今は亡き父親の写真を見つけた。

そしてそれをとても喜び、懐かしさがこみ上げ、パイワン語で「悲しいね。この出来事の重さ、語りきれない」と話した。

よく知られているとおり、この「悲しいね」は「懐かしいね」の意味だった。
陳清福氏はカメラの前では直訳したものの、そのことをスタッフに説明していたそうだ。

いずれにせよ、高許月妹さんは父親が「人間動物園」として見世物にされたことを「悲しい」などとは言っていない。なぜならスタッフは「人間動物園」があったなどと一言も言っていなかったからだ。


三人の日本人はとても礼儀正しかった。そこで陳清福氏はクスクス神社の跡地へ案内し、「この神社があったからこそ、村の子供たちは議員や教員になるなど、多くが成功している」とし、神社再建の夢を伝えた。そして三人に協力を求めたところ、頷いてくれたそうだ。

陳清福氏が番組が放送されたことを知ったのは、人間動物園の虚構を明らかにするため、チャンネル桜の取材班が来村してからだ。

陳清福氏は取材班から初めて「人間動物園」の話を聞かされ、仰天した。また番組の映像を見て、自分はほんの数秒間の声のみの出演であり、しかも神社再建の話にまったく言及されていないことにショックを受けた。

また高許月妹さんの名を「高許月」と誤って紹介しており、そしてNHKが誤りの指摘を受けながらも、一切修正をしていないことも知った。

これで陳清福氏は怒りを抱いた。

三人の日本人の取材を懸命に手伝った陳清福氏は子供時代、日本人の先生にすばらしい教育を受けた。
信頼、責任、道徳の大切さを教わり、そのおかげで教員にもなれた。
そのため日本人には感謝の気持ちがある。だからこそ三人を手伝った。

ところが番組は神社の跡地の光景は映さない。悪い話ばかりを取り上げ、民族の尊厳を傷つけた。
「そもそも百年も前のことを取り上げる必要はあるのか」と激怒する陳清福氏。

村の老人たちにも番組のことを話すと、やはり誰もが激怒した。
みな日本人を尊敬してきただけに、NHKへの不信感が高まった。
それはクスクス村だけではない。牡丹郷全体の老人に共通するものだ。

しかしNHKに対して日本語で怒りを表すこともできない…。
そこで陳清福氏は牡丹郷を代表し、はるばる日本へやってきたのだった(陳清福氏は牡丹郷老人会の会長でもある)。

クスクス村は特別に親日的な村だった。
だが番組はこともあろうにこの村を舞台に、人々は日本人を怨んでいるとの悪質な印象操作を試みた。
そしてそのためなら、「人間動物園」なる作り話を行い、「動物」扱いにされたなどと村の先人たちを辱めることも辞さなかったのだ。

番組は日本の台湾人に対する差別、虐待、虐殺を糾弾するた、自らが台湾人を侮辱した格好だ。

陳清福氏は「パイワン族は間違ったことをすれば謝るのが当然だと考える。
それなのにNHKはなぜ…」と怒りを抑えられない。
「そこまで我々を馬鹿にするのなら、三人がまた来たら殺してやろうと、村の人々は話している」「本当に斬るよ。遠慮はしない」とも。

かつては、自らの尊厳を守るためなら、首狩をも辞さなかった誇り高き民族の血がそう言わせたのである。

「生命を簡単に犠牲にできるパイワン族の精神は日本人と同じだ」と話す陳清福氏。
当初、日本人がパイワン族のためにNHKに抗議の声を上げているなど信じられなかったそうだ。
しかし今回来日し、多くの人々が戦っている姿を見て、心から感動したそうだ。
一方多くの日本人も、パイワン族の尊厳のために立ち上がった陳清福氏の姿に感動したはずだ。

心の通い合える両民族の友情がふたたび深まりつつあるのは何よりである。
NHKとの戦いはそれぞれの尊厳を守るための、崇高なる戦いでもあるのだ。
なおNHKは「人間動物園」に関し、次のような主張を今でも取り下げていない。

ーーーパイワン族の人たち自身が当時どう受け止め、感じたかということは、「人間動物園」の事実を左右するものではありません。こうしたことは台湾の方々にとっても心地よいことでないことはもちろんですが、番組は当時の状況の中でおきた事実としてあくまでも客観的に伝えたものです。


菅改造内閣発足

2010年09月18日 | 政治・外交
総理大臣がようやく決まった。
いかに手腕があろうとも、刑務所塀の上を歩くような不動産王、自称中共人民解放軍司令官を日本国首相として仰ぐよりマシだ。

しかし、なんでこんな人物が閣僚?・・・というのがいる。千葉景子がひっこみヤレヤレと思っていたがこれでは。しかも、国家公安委員長という。
民主党には人材がいないんだな。

バリバリの反日活動家・岡崎トミ子
選挙前.com
せと弘幸Blog・菅改造内閣のトンデモナイ顔ぶれ(1)

外国人参政権、人権擁護法案、日本解体まっしぐらになれば、「一度やらせてみた」代償は取り返しがつかない。
安心して任せられる政府首脳になるまで、何度でも交代すべき、早期解散を望む。

俄雨

2010年09月16日 | 散歩・山歩き
朝晩は27~8度位に下がり秋の気配が近づいている。
午後、イヤガ谷東尾根へ散歩に出かけた。尾根筋を外れ森林管理道にはいる。
ヒグラシの声もだいぶん静かになった。夏の間に繁った熊笹が山道を覆い隠しているところもある。


今日の菊水山

いつもの妙号岩で休憩する。
雲の多い天気で、今日の展望はあまりよくない。神戸市街も日射しが疎らになっている。
遠くで雷が鳴っている。


北方向を振り返ると真っ黒な雲が上空に向かってきていた。

水筒で喉を潤している間にポツポツし始めた。

腰を上げると間もなく大粒の雨が降り出した。森にはいると多少は避けられるものの、帽子の縁からは滴が流れ落ち、薄着のシャツもたちまちずぶ濡れになった。
今日は服のままシャワーだ。
山道は所々集まった雨で小川になり落ち葉を押し流す。
雨が降ったときの山は、こんな状態か・・・と妙に感心する。

樹木に降り注ぐ雨音を聞きながら40分ほど粛々と歩く。
木々の間から西日が射してきた。日の当たった木肌から蒸気が立ち上っている。
雨に濡れて雑木や杉、熊笹の葉が鮮やかな緑をとりもどしキラキラと光っている。
尾根筋を抜ける頃には上空は元の青空になった。
帰宅すると、すっかり冷えてしまった体を温水シャワーで温め一息ついた。

中国漁船、日本領海侵犯

2010年09月11日 | 政治・外交
9月7日午前、中国の漁船が尖閣諸島の日本領海を侵犯した。
漁船は海保巡視船に衝突するなどしたが、船長を逮捕した。
これまでにもトラブルが多発している。
中国や台湾の漁船侵入、衝突…トラブル多発の尖閣諸島 2010.9.7 13:06
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100907/dst1009071308006-n1.htm
 尖閣諸島をめぐっては、領有権を主張する中国や台湾の活動家らが漁船で上陸を目指し日本の領海に侵入、領海警備の海上保安庁巡視船と衝突するなどトラブルが絶えなかった。
 平成20年6月、尖閣諸島・魚釣島沖で鹿児島海上保安部の巡視船と台湾の遊漁船が接触し、遊漁船が沈没。抗議のため、台湾船10隻が一時、日本の領海内へ侵入した。
 18年10月には、尖閣諸島上陸を目指す香港の活動家らが漁船で近づき、領海内に侵入。海保巡視船が放水するなど激しい衝突が起きた。
 同年8月にも、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に抗議するとして、台湾の活動家が漁船から巡視船に石を投げつけ、魚釣島に接近。
 中国人活動家7人が16年3月、魚釣島に船で上陸し、入管難民法違反容疑の現行犯で沖縄県警に逮捕され、強制送還される事件もあった。


領海内にはこの一隻だけではなく常時数十隻の中国船が侵入しているという。
政府の甘い対応を反映してか、中国漁船の乱暴狼藉ぶりも呆れるばかりだ。

■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2010年9月11日 NO.696号)より
http://www.melma.com/backnumber_133212_4963271/
◎西村真悟   石垣島と尖閣諸島
 九日に石垣島に出発し、一泊して十日の夜に帰阪した。
今、石垣市の市議会議員選挙が行われており、かねてから九日の石垣行きを決めていたが、丁度、尖閣諸島の我が国領海を侵犯して魚をトロールで捕りあさり、逃走すると思いきや、我が巡視船に体当たりして巡視船の舷側をへこませた中国漁船の船長が船ごと石垣島に逮捕連行されていた。

   早速、港の中国漁船を見に行くと、接岸している大きな巡視船の向こうに隠すように係留されていた。青く塗られた船体は汚なかったが、以前見た中国漁船に比べてはるかに新しく高性能の船だ。これが逃げまくれば、手こずるだろうと思われた。
 また巡視船のへこみ具合からみて、逃げる途中で擦れたのではなく、巡視船の舷側に狙いをつけて船首をぶつけてきたことは明らかである。
 よって、船長の逮捕はきわめて適切な措置である。
問題は、海上保安庁は、現場から首相官邸に問い合わせて(伺いをたてて)逮捕の手続きをしたようだが、このような措置は無用である。法治国家である限り、一瞬も見逃すべきではなく、直ちに現行犯逮捕すべき事態である。
 この度の、首相官邸への問い合わせは、法治国家の法的措置に、「人治」を入り込ませる窓口を開いたことであり、妥当ではない。
 第一、今、首相官邸に誰がおるのか。党首選挙で頭がいっぱい(というか、からっぽ)の者がニヤニヤして出たり入ったりしているだけではないか。

 さらにこの度の事態で愕然とするのは、当時、尖閣諸島の領海内にいたのは、この漁船一隻ではなく数十隻の中国漁船だったことである。
 尖閣周辺の我が国領海には、常に数十隻の中国漁船が進入しており、多いときには二百七十隻に達するという。
 この事態をマスコミも報道してこなかった。
 政府に至っては、とっくの昔に、中国大使を喚んで厳重に抗議しておくべき事態であったのに、何もしていなかったのだ。
 驚くべき怠慢だ。

政府は、「東シナ海を友愛の海にしたい」という馬鹿の妄想に未だとりつかれているとしか考えられない。  この馬鹿の怠慢の果てに、この度、法治国家として当然の中国船船長逮捕という措置をとって、反対に中国政府に抗議されている。逆ではないか。

 現在与党は、多くの中国漁船に領海侵犯されているのに、閣議で取り上げず、マスコミに積極的に発表もしないで、党首選挙をしている。
 かつて、竹島に韓国兵が上陸しているのを認識しながら閣議で取り上げることもしなかった結果、竹島は韓国の実効支配のもとに今日に至るまでおかれることとなった。
 この教訓に何も学ばず、現在の菅内閣と民主党は、 尖閣諸島を中国に差しだそうとしているとしか考えられない怠慢を繰り返しているのだ。許せん。


 次に、石垣市の新市長に会った。
 新市長の中山義隆氏は、本年の選挙で選ばれた若い市長であり、石垣に行けばいつもご馳走になって親しくさせて頂いている沖縄料亭経営者の甥御さんだ。
 この中山市長の誕生によって、石垣市役所の前に初めて国旗「日の丸」が掲げられた。
 驚くべきことであるが、長年務めていた前の市長は、「日の丸」を掲げなかった。また、尖閣諸島が石垣市の市域にあるということに無関心だった。つまり、民主党を支えている左翼系労働組合にぴったりの市長だった。  その点、新市長は、「日の丸」を掲げ市域である尖閣諸島に重大な関心を持っている。国境の島にふさわしい若き市長である。

   また、この新市長と思いを同じくして国境の島を守ろうとする市議会議員候補者の仲間均さんとトイタ芳行さんに会って激励した。
 仲間さんは、平成九年五月、私と共に尖閣諸島魚釣島に上陸した同志である。当時と変わらない志と鍛えられた体をして選挙戦を戦っていた。
 仲間さんによると、「昨日街頭演説をして尖閣のことをしゃべった」。すると、二、三十人が立ち止まって聞いてくれた。しかしよく見ると、「立ち止まってくれたのは観光客で島の人は一人もいなかった」という。

   もう一人のトイタ芳行さんは、若い新人である。彼も、国防に関心のある貴重な候補者だ。アメリカ国防総省・シンクタンクで外交と国防を学んできた。東京の西村塾の仲間も初日から街宣の応援に入っている。
 彼も忙しい中、この度の事態に関して次のように語った。
「現場の巡視船の乗組員は、耐えに耐えて頑張っているんです。乗組員が中国漁船に乗り移って調べようとすると、彼らは、日本側が武器を使わないのを知っているので、海上保安庁の乗組員を多数で縛り上げて海に突き落としたりするのです」、また、 「巡視船が領海侵犯をしている中国船にマイクで、『ここは日本の領海です』、と中国語で呼びかけ退去を要求すると、中国漁船からは日本語で、『馬鹿野郎、ここは中国の海だ』とマイクで返答してくるんです」

 繰り返すが、尖閣諸島周辺の我が国領海内には常時十数隻の中国船がおり、多いときには二百七十隻に達している。これら全て、中国政府の意向に沿って領海侵犯を繰り返していることは明らかである。
 これに対して、海上保安庁の巡視船が限られた少数の要員で、涙ぐましい対応をしているのであるが、もう限界を超えている。
 一刻も早く、我が内閣が、中国に厳重抗議をするとともに、断固とした措置に乗り出さねばならない。


 ところが、こともあろうに、この事態にもっともふさわしくない反日的左翼内閣が、何もせずに居座っている。
 さらに、この左翼と総理の地位を争っている者は、「中国人民解放軍の司令官」である。
どん底だと思う底にもさらに底があるものだ。
 この政府与党に国土防衛の意思がないとしても、国民の崛起によって国土を守る道が残されている。
 国民には「国防の義務」があると同時に「国防の権利」もあるからだ。
 また、東京の内閣と与党は、反日的で国家に関して無関心で無能で無責任だが、石垣の新市長や仲間そしてトイタという市議会候補者に会えば、国境の島に貴重な国家意識が芽生えつつあるのを感じる。

   以上、取り急ぎ、石垣報告として。
(前衆議院議員)


高齢者所在不明23万人

2010年09月10日 | 世相
最初は些細な間違いと思っていた高齢者の生死不明、何と23万人と判明。
約0.2%の方が把握されていなかった。少ないと見る人はいないだろう。
死んだ親の葬式もせず遺棄し、年金を不正受給する輩も次々に出てきた。
現政権は夫婦別姓推進、戸籍制度廃止を狙っている。
猛暑は続くが、ココロは寒々しい世の中。
高齢者23万人超が所在不明=150歳以上884人―戸籍を基に調査・法務省
2010年9月10日(金)12:03
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100910X322.html
 法務省は10日、戸籍が存在しているのに現住所が確認できない100歳以上の高齢者が、全国で23万4000人に上ると発表した。高齢者の所在不明問題を受けて調査した結果、判明したもので、同省は住所不明高齢者の戸籍を整理する指針を作成し、全国の法務局を通じて市区町村に通知した。

 法務省は8月27日~9月6日、電子化された戸籍を中心に全国の4743万9848戸籍について調査を行った。その結果、100歳以上の高齢者23万4354人は、戸籍から現住所を把握することができなかった。法務局別に見ると、最も多いのは東京の2万2877人で、大阪、神戸、福岡、那覇は1万人を超えた。

 戸籍には記載されている者それぞれの転居の履歴を記載した、「戸籍の付票」が添付されている。戸籍の管理は本籍地の市区町村が行い、転居先で住民登録をすると付票にも転入先が記載される仕組みだが、23万4354人の付票には現住所が記載されていなかった。このうち120歳以上は7万7118人、150歳以上は884人だった。

 戸籍は住民登録を抹消しても、死亡届が提出されるまで存続する。一方、付票の住所は住民登録抹消に伴い、旧住所扱いとなってしまう。法務省民事局は太平洋戦争時の空襲による犠牲者や、移住して海外で死亡した人の場合、住民登録のみが抹消され死亡届が提出されなかったためではないかと分析しているが、実際に死亡しているかは不明だとしている。
[時事通信社]

国の会計は「単式簿記」

2010年09月06日 | 政治・外交
複式簿記の初歩は中学校で習った。昭和25年のシャウプ勧告によって青色申告が導入され広く普及している。
ところが国の会計は単式簿記であるという。

「国は債務超過の危機に陥っている」
「いや国債で賄っているので大丈夫、対外債務は少ない」
等とよく聞くが、国の貸借対照表があれば一目瞭然だろう。

石原氏の論説によれば「世界の主なる国で日本のように単式簿記をいまだに行っている国は、アフリカ諸国は別にして、我々の周りでは北朝鮮とフィリピン、そして太平洋の僻地パプアニューギニアだけ」らしい。
なんでも他国の真似をすればいいというものでもないが、やはりおかしな感じがする。
税を徴収するときは、会計監査で帳簿類のチェックや連結決算などと厳しいが、予算執行側は単式簿記ではオープンではない。
【日本よ】石原慎太郎 公会計制度の虚構をあばけ 2010.9.6 02:32
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100906/stt1009060233003-n1.htm

 人間というのは不思議なというか粗忽(そこつ)というか、いろいろ気を配り苦労しているつもりでも案外しごく大切なことに気がつかない。日本の経済はますます傾いてきて、この先どうなるのか誰しも心を痛め頭も絞っているのだろうが、ことが経済の根幹国家財政ということになるとよほどのことを構えないとこの国の懐具合はとても良くなりそうにない。

 政権が代わり、民主党は自民党政権下の行政の無駄を洗い直し、官僚が隠してきた埋蔵金なるものを摘発すれば財政再建の活路は開くなどとはいうが、従来の官僚政治の元で彼等が属する役所の都合のために隠匿してきたかなりの金はないではないが、昨日今日出て来たばかりの未熟な政治家や民間の識者?を駆り出してみたところで、そう簡単に埒(らち)のいくものではありはしない。

 一種公開裁判もどきの見せ物として事業仕分けなる作業がおこなわれ、皮肉たっぷり嫌みたっぷりの詰問に、眺める国民はいささか溜飲(りゅういん)は下げても期待したほどの効果は上がらない。まして科学技術に関しての根本的認識を欠いた某人気政治家が、世界一を目指して頑張っている日本のスーパーコンピューターが、何で世界一でなくてはならないのか、どうして二番目では駄目なのなど口走ると、行われている討論の質の低さと政治家たちの資質が疑われて、識者からすれば危うくて見ていられまい。先端技術の所産である製品は、高度なものになればなるほどまかり通るのは世界一だけでしかなく、世界第二の製品が売れる訳はない。

 ああした粗雑な討論を眺めていると、技術が表象する国家の権威が失墜し、国民の能力も疑われかねぬとますます心が痛む。

 福田和也氏の名論文『なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』の中にいみじくも、『幼稚な人間とはIQが低い、あまりものを知らない、といった人間のことではない。何が肝腎かということがわからず、肝腎なことについて考えようとしない人間のことだ』とあったが、肝臓も腎臓も沈黙の臓器であって声も出さず痛みを訴えないから、往々健康を損なっている人間もその重要部分の疾患に気がつきにくく、命とりとなる。

 日本の財政の復興はここまで来てしまうと至難の技だが、そのための一助として考えられるべき税制の改革、特に国民に選択の幅が与えられるが故に至極公平なものと思われる消費税の税率の問題も、国民に浸透してしまった物欲のために最早タブーとなってしまった今、誰に何の負担もかけずに、財政再建のための大きな決め手があるのに不思議に誰も言い出さない。

 それは日本政府の会計制度の改革で、世界の主なる国で日本のように単式簿記をいまだに行っている国は、アフリカ諸国は別にして、我々の周りでは北朝鮮とフィリピン、そして太平洋の僻地パプアニューギニアだけだ。日本が世界を眺めわたせていないという典型的事例だ。日本国の会計方式は家庭での家計簿よりも機能力の乏しい大福帳の域を出ず、故にも本当のバランスシートが存在せず、複式簿記発生主義会計で初めて可能な、財政の無駄やごまかしを見破るために不可欠な財務諸表が存在し得ない。驚くことに政界に影響力を持つ立場の財界もそれを知らずにいる。あまりにことが根本的すぎて、かえって目にとまらなかったに違いない。企業にとっては当たり前すぎることが、行政の世界では全く不問に付されているということを知る人がいない。

 いつか、私も創設以来参加している政財界の選ばれたメンバーたちでやっている『自由社会研究会』の例会で、元経団連の会長トヨタ自動車の総帥の豊田章一郎氏にその話をしたら、「そんな馬鹿な」と、怪訝(けげん)な顔で本気にしなかった。それから暫(しばら)くして今年の初め、当時はまだ経団連の会長だったキヤノンの御手洗氏にゴルフ場のレストランで行き合いその話をしたらこれまた信用せず、同席のどこか大銀行の頭取も首を傾げ、ようやく同じ席にいた日銀の前総裁の福井氏が、「いや、いわれた通り、国はまだ単式簿記のままですな」といって周りが納得したものだった。

 これは経済界の無知怠慢ではなしに、時には政治に注文もつけてきた経済界までが気づくことなかった、いわば日本の財政を狂わせ陥めてきた盲点のようなものだ。単式簿記の致命的欠点は多々あるが、例えば明治以来の単年度予算主義と相まって予算の繰り越し使用が難しく、万民が知っているように年度末に近い二、三月には支給されていた予算を今年度中に使いはたしてしまうためにやたら道路工事が行われる体たらくだ。

 東京はかつての公認会計士協会会長の中地氏と計ってかなりの予算をかけ、まず『機能するバランスシート』作りから始めて、公会計の新しい複式簿記発生主義のシステムを作り無料で他の自治体に提供している。大阪はすでにそれに応えてその会計制度を一変させる。しかし国の役人のつまらぬ沽券(こけん)のせいでか、地方自治体を統括するつもりでいる総務省は、財務省がどうやらその気になりつつあるのに、複式と称する実は中途半端な会計方式で済まそうとしているがこうした方法論がいかに無駄で危ういものかを、ことはきわめて専門的なので、幅広い国家的討論で判明させたらいい。例えば税収を自治体の損益計算書に収入として計上しないという方式は、そこに属する国民にとってその県なり市が冗漫な赤字に晒(さら)されているといった誤解を招きかねない。いずれにせよ、現行の会計方式では無駄やごまかしをあばくために必要な財務諸費はつくり得ない。

 加えて国が法律で地方自治体に義務化させている外部監査を、なぜ国や公的な組合に課さないのか。教員組合費の政治目的のための違法な支出や、人事院に体よく守られている国の役人の数や給料の矛盾は第三者の監査によって初めて露呈される筈なのに。当然やるべきことをやろうとしない人間は、やはり幼稚としかいいようない。