落葉松亭日記

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イスラム教と儒教、そして日本は

2012年12月11日 | 政治・外交
ネットを見ていると、「世界の宗教人口ランキング」があった。
1.キリスト教:19.74億人
2.イスラム教:11.5億人
3.ヒンドゥ教:7.5億人
4.儒教:3.7億人
5.仏教:3.5億人
と続く。

宗教と民族主義、物欲が結びついて戦争の火種になっている。
中共は共産主義国と思っていたが、資本主義も標榜し今は定義の難しい中共皇帝の国になり、南シナ海や東シナ海の国々を脅かしている。中共高官は収賄、海外蓄財、権力闘争に奔走し人民は貧富の格差に喘いでいる。
日本はといえば(独断ではあるが)、豊作、豊漁、家内安全を神社に感謝祈願し、葬式には寺のお世話になるといった宗教観だろうか。
外国のように宗教で血を見るといった激しさはなく、一部の半島系カルト(これが結構いて政治にも口を出す)を除けば、大らかで穏やかなのは有り難いことだ。
加瀬英明氏のメルマガより
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2012/12/11 (Tue)
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

題 名 : 世界を揺さぶり続けるイスラム教と儒教

 いま、イスラム圏と中国が世界を揺さぶっている。なぜか。そのためには、イスラム教と、中国の儒教を理解しなければならない。
 イスラム教と儒教は地理的に大きく隔って成立したが、双生児のように似ている。
 中国は前漢後漢時代から、現在の中華人民共和国に至るまで、天子とされる統治者が徳を独占してきた。中国は一貫して、儒教体制のもとにあってきた。
 儒教もイスラム教も、個人の心のありかたを説いた教えではない。いかに人民を従わせるかという、治世術である。
 儒教は「怪力乱神を語らず」というように、神仏の存在を否定した、現世だけのものだ。

 イスラム教は神を信じるが、政教一致による神政体制である。7世紀に教祖モハメドが定めた『コーラン』によるシャリアー(宗教法)が、今日のイラン、サウジアラビア、スーダンなどをはじめとするイスラム原理主義諸国において、民衆の全生活を律している。アフガニスタンのタリバン政権も、そうだった。女性が不倫を働くと石打ちによって処刑され、盗みを働く者は腕を斬り落される。

 キリスト教も暗黒時代が終わるまでは、ローマ法王が全ヨーロッパに頑迷なキリスト教原理主義を強いていた。ルネサンスによって世俗主義が力をえて、自由がもたらされた。

 昨年1月に、チュニジアで独裁政権が倒れ、リビア、エジプトなどの中東諸国に波及すると、欧米のマスコミが「ジャスミン革命」とか、「アラブの春」とか、囃し立てた。これらの独裁政権はみな世俗主義をとって、イスラム原理主義を厳しく弾圧していた。
 「アラブの春」は民主化をもたらすどころか、イスラム原理主義を甦らせた。エジプトでは、まさかそこまでゆくまいが、イスラム化がこのまま強まれば、アフガニスタンでタリバン政権がバーミアンの石仏を爆破したように、ピラミッドやスフィンクスも偶像として破壊しかねないと、一部で危惧されている。

 中国も、イスラム圏も、長い歴史を持っているが、一度とすら民主主義が行われたことがない。日本は聖徳太子の民主的な『十七條憲法』が諭したように、和の国であってきた。

 中華帝国も、イスラム圏も、国境がない。中国の天子が全世界を支配するのが建前だったから、歴代の中華帝国には王朝名があったものの、国名がなかった。1842年に清朝がイギリスによる阿片戦争に敗れて、南京条約を結ぶ時に、便宜的に王朝の名を使った。
 イスラム教も唯一つの正しい教えであって、全世界を教化することを建て前としている。
 中国では儒教に対して、道教がある。道教は、老子が始祖とされ、儒教が統治思想であるのに対して、心のありかたを教えている。老子は孔子と同じ時代の人だ。荘子を加えて、老荘思想ともいう。
 林悟堂(中国の大文学者、没1976年)が、中国人は「外では儒教を装うが、家に戻ると老荘思想に依る」といったが、家では道教である。きっと、習近平も、胡耀邦、江沢民たちも、そうなのだろう。
 道教は日本に大きな影響を及ぼすことがなかったが、日本でも気功や、太極拳によって、健康法としてなじみがある。

 私は父の書架に『老子道徳経』があったので、高校時代から愛読した。5000語の短いものだ。「清心寡欲」「謙虚柔和」「無為自然」を説いている。
 81章から成っており、第80章は『和諧社会』と題されており、「小国寡民使有什伯之器而不用」(小国で人口が少なく、多くの利器があっても使わない)、「人々が安らかに暮らし、遠くに行こうとしない。車や船があっても、使わない。武器を誇らない。隣国から鶏や犬の鳴き声が聞えるが、互いに侵略しあうことがない」と、述べている。
 中国が道教国家となるかたわら、イスラム圏にルネサンスがおとずれることを、願う。
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加瀬英明事務所
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2 コメント

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Unknown (しょうた)
2012-12-12 17:16:48
日本人は、宗教には大らかな人が多いようですね。
おっしゃるように、仏教徒でありながら、お宮へ色々なお願いをしますね。私も仏教徒ですが、初詣や、病気回復などの祈願はお宮へ行ってお願いしています。
日本中には、多くの宗教があるようですが、それについての争いなどは、あまり起こらないのは、宗教に対して大らかな国民性を持っているからでしょうか。
しょうた様 (落葉松亭)
2012-12-12 19:31:00
私もそう思います。
でもね、今のところに来て4年ですが、当初はキリスト教の勧誘が多かったですが、ようやく「あの人はダメ」という評価が確定したようです(笑)。カルトSも来ましたがはっきりと断りました。
神道は根底に自然への感謝崇拝があるように思います、仏教が地獄極楽、死後の世界を安寧に導いてくれそうな気がしています。私は氏子でも檀家でもないですが、初詣も寺院の雰囲気も好きなご都合信者で罰当たりかも知れません。

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