かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

コロナ禍の世界

2021年09月17日 | Topics

今日は、池上さんの講演を、リモートだが、お聞きする機会があった。
何度か、講演会に足を運んでもいるが、いつも話が上手なので、感心する。
ジャーナリストの取材力、情報収集力が、講演に、有機的に反映されている。

今日は、コロナの話だったが、これまで、感染症が、世界史に大きな影響を与えてきたことに驚いた。
このような切り口での世界史の話をお聞きしたのは初めて(どこかの本の題名で見たことがあるような気もするが)。

まずは、今のコロナ拡大により、近未来が、今になったお話で、デジタル化や、リモートオフィスなど、対応しようとしていたが、できていなかったことが、急に必要に迫られ、できてしまった話。
もちろん、一部は、今後揺り戻しもあるだろうが、そのまま進展する分野も多いだろう。

そして、世界史に与えた感染症の話。

日本の古代史でいえば、たぶん中国から来たと思われる天然痘が、奈良時代に大流行し、聖武天皇が、それを抑えるため、大仏を建てて、お祈りしたという話。
これは、シルクロードが、感染症を広めた好例になる。

江戸末期から、明治初頭に流行ったコレラも、ペリー一行が運んできたコレラ菌によるものと考えられている。
当時の米日航路は、ヨーロッパ、アフリカ、アジア経由だったというから、それこそいろんな病原菌が運ばれて来たことだろう。

実は、ヨーロッパで大流行したペストも、最近の調査で(遺体が、火葬されなかったため、当時のペスト菌の源流を探れる)、雲南省がオリジンであることがわかったのだという。
これもシルクロードを通って、中国の物品と共に、ネズミが運ばれてしまった結果。

そして、このペストの大流行により、それに対し、何の力も発揮できなかった教会の力が失墜。
今の生を大事にするルネサンスの世界へ。
宗教界においても、プロテスタントが生まれ、誰もが、聖書を読める世界が訪れた。
聖書が読めるようになると、純粋な宗教心が育ち、ピューリタンと呼ばれる人たちが、ペストが流行するヨーロッパを逃れ、アメリカ大陸へ渡ることになる。

アメリカの原住民たちは、免疫がないため、次々とペストにかかり亡くなってしまった。
アメリカに渡った清教徒(ピューリタン)たちは、これは、(聖書にある)神が我々に土地を与えてくれたものと勘違いし、どんどん原住民を駆逐し、勢力範囲を広げることになる。
これが、福音書を信ずる福音派で、トランプの根強い支持層になる。
アメリカの基本的な精神に今も根付いている。

一方、中南米に進出したスペインも同様で、絶対的多数の原住民の間で、スペイン軍が持ち込んだ感染症が大流行し、スペインが支配する地域になった。

20世紀初頭のスペイン風邪も同様で、第一次世界大戦中、スペイン風邪が大流行し、両軍とも、戦力を喪失し、戦争終結。
ただし、両軍とも、その感染情報を秘匿。当時、中立国であったスペインのみが、この風邪の情報がオープンになっていたため、スペイン風邪と呼ばれるようになってしまった。
そのため、今は、感染症が発生した場合も、地域名は使わないことになっている。

敗れたドイツに対し、フランスが、過度な賠償を請求し、アメリカが止めようとしたが、ウィルソン大統領が、スペイン風邪に唐黷トいる間に、この賠償が決まり、ナチスの台頭を招き、第二次世界大戦が始まってしまう。

こう見ていくと、世界史の重要な部分は、ほとんどが感染症が引き金になっている。

シェークスピアが描いた世界にも、感染症が影響しており、当時、感染症で劇場がバタバタとクローズ。その間、シェークスピアは、こもって演劇作成に集中して取り組んだという。
ニュートンも、その間都会から逃れ、田舎で、リンゴの実が落ちるのを見て、万有引力の法則を発見。

これらの事例から、池上さんは、今の時期を創造的休暇の時期と、ポジティブに捉えたらどうかと提言する。

知的好奇心が満たされると同時に、現実の生き方を考えさせられる、有意義な講演だった。



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