「北方領土」問題の方向ははっきりしてきた？

「全く動かない」とされてきた北方領土問題が、ここに来て少し先が見えかかってきたでは。
つまり、ロシアに対してさしあたり歯舞・色丹を返還させることで決着つけるということではないのだろうか。

歯舞･色丹･国後･択捉の四島一括返還を国是としてきた日本は、これまでロシアとの間で事態が進まない中で、今「二島」で当面はよしとしよう、という方向を安倍政府は考えつつあるのではないか、と予想するのだが、どうだろう。

多くの日本人はこれまで「戦争でとった領土ではない」、四島一括が当然、と思ってきた。しかしこの方針ではロシアの政治を変えることにはならない。だから「当面は二島を取り戻し、その後は改めてロシアと交渉する」 という気持ちになってきたと思う。

ニュースで報じられるロシア国内（四島の住民も同じだろうが）では「絶対に日本に領土を譲るな」という世論らしい。このニュースを見るとき、「とれるものなら一つでも二つでもまず獲得したほうがいい」という気持ちになる。

ロシア政府も、これまでの経過から「二島を日本に返して、日本と仲良く付き合う方法を考えた方がプラスではないか」というような気配だ。

原則論ではなく、現実論の立場で、対処してほしいものだ、と私は思う。要するに歯舞・色丹の二島を取り戻すことが当面は最も重要なテーマではないか、ということだ。

「樺太・千島交換条約」（1875（明治8）年）までさかのぼって千島列島を取り戻すべきというような意見もあるようだが、話の外だろう。