i氏の海外生活体験記

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環境省、地熱発電の採掘判断基準を策定

2012-03-28 18:36:05 | 下北の地熱発電
3/28環境ビジネスが伝えております。

-環境省、地熱発電の採掘判断等に関するガイドラインを策定-

環境省は、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入を促進するために、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を策定し、公表した。同省では、本ガイドラインともに、国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて、新たな通知を3月27日付けで、各都道府県に対して地方自治法に基づく技術的助言として通知した。

本ガイドラインは、地熱発電の開発の各段階における採掘等について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示すのが目的。具体的には、調査段階における調査井の採掘や地熱発電の開始における生産井の採掘、生産井の追加採掘や還元井の採掘等、各段階に実施される採掘行為等による温泉資源への影響を判断するために必要な資料とそれに基づく判断の方法等を示している。対象となる地熱発電所は、現在稼働している出力30,000kW~650,000kW級のものが例として挙げられている。

また、本ガイドラインでは、実際の判断に当たっての参考とするために、現在稼働している地熱発電所一帯を対象として行ったシミュレーション等を試行し、それらの結果等についても記述している。

温泉法では、温泉を湧出するための土地の採掘のほか、地熱開発のための試験井の採掘や発電に利用するための生産井の採掘など、温泉の湧出が見込まれる場合は、都道府県知事への採掘許可申請が必要となる。これまで、都道府県知事が採掘の許可を与えるための統一基準がないことが、開発が遅れる一因となっていた。

国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについては、以下のような基本的な考え方を示している。事業用としての大規模地熱発電所においては、国立・国定公園の風致景観や生物多様性に対する影響を軽減するための技術や進展が図られており、その実績も蓄積されてきている。特に資源調査では、機器の小型化、新技術の適用、原状復旧などの配慮によって風致景観等への影響を小さくすることが可能となった。しかし、発電所の建設など大規模な造成による風致景観等への影響、事故の発生等による利用者等へ影響などの課題が残っており、今後とも、地熱発電事業の立地は、特別地域など国立・国定公園の自然環境保全上重要な地域及び公園利用者に影響の大きな地域は原則として避けるべきであると判断している。普通地域においては、その都度開発の判断を行うことが適切であるとしている。

参考1:環境省 - 温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係) の策定について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15021

-引用終わり-

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エネ庁、大雪山公園内地熱開発を初訪問

2012-03-28 18:08:35 | 下北の地熱発電
3/28北海道新聞が伝えております。

-地熱発電開発へ熱い視線 上川-

 大雪山国立公園内での地熱発電開発が検討されている上川町に27日、資源エネルギー庁の担当者らが訪れ、佐藤芳治町長に新年度に地熱発電のモデル地域を国内数カ所に設けることを明らかにした。国立・国定公園内の地熱開発について国が規制緩和に動くなか、同庁関係者が町内を訪れるのは初めて。

 訪れたのは、資源エネルギー庁と北海道経済産業局、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、同公園内での事業参入に関心を示している丸紅(東京)の各担当者。町役場で佐藤町長らと約2時間、意見交換した。

 町によると、町側は約40年前に町内白水沢地区で行った地熱開発の経緯を紹介し、地熱発電を進めたい意向を伝えた。一方、資源エネルギー庁の担当者は、国立・国定公園の地熱開発を条件付きで認める環境省の方針を受け、新年度に国内数カ所にモデル地域を設けて調査を行う方向で環境省と協議を進めているとの説明があったという。

 佐藤町長は今回の訪問について、「地熱発電の実現に向けた可能性が広まったのではないか」と評価した。

 国立・国定公園内の地熱開発は、自然保護の観点から認められていなかったが、福島第1原発事故を契機にした再生可能エネルギーへの関心の高まりなどを受け、環境省が今月、地元の同意などの条件を満たせば一定の範囲で開発を認める方針を決めている。

-引用終わり-


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原発最大35%案も選択肢に加える

2012-03-28 18:07:54 | 大間原発の中間貯蔵化
3/27産経新聞が伝えておりました。

-再生可能エネ最大35% 平成42年電源構成 資源エネ調が6案-

 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)は27日の基本問題委員会で、平成42年時点で電源に占める原子力発電や火力発電などの割合をどうするかという構成比率の整理案を示した。現在は10・5%の再生可能エネルギーについては最大35%まで引き上げる案も明記。今後、経済活動への影響などを試算し、5月半ばにも最終的な選択肢を政府のエネルギー・環境会議に提出して政府の最終方針を決める。

 提示されたのは6案。年間総発電量は22年度比10%減を想定。現行のエネルギー基本計画の想定からは20%減となる。

 焦点の原発の比率については、19日に示された選択肢の大枠では0~30%としていたが、今回、最大のケースを引き上げて0~35%とした。このうち原発がゼロの選択肢では、再生可能エネルギーの比率が最大の35%になる。

 原発事故後、原発の代替電源として比率を高める火力発電は30~55%。原発比率を最大の35%にすれば、地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出する火力発電の比率を現状の半分程度に減らせる一方、原発を減らせば火力発電の減少幅も小さくなる傾向だ。再生可能エネルギーの普及も火力発電の減少を後押しする。

 整理案には、数値を設定せず市場の動きに任せる選択肢も盛り込んだ。石油などの化石燃料への課税で火力発電を抑制したり、利用者が電力会社を選べる市場を整備して再生可能エネルギーの普及を促すことで、「最終消費者が社会的にみて望ましいと考える電源構成になる」(八田達夫・大阪大招聘教授)との主張が反映された。一方、委員の間には、再生可能エネルギーの比率を70%以上に定めるべきだとする指摘もあり、上限を35%に設定したことには批判も出てきそうだ。

-引用終わり-

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欧州、海洋エネルギー貢献は10年以上先

2012-03-28 06:46:27 | 津軽海峡の海流発電
3/27ロイター時事が伝えております。

-欧州の海洋エネルギー、2020年の目標達成困難-

 欧州の波力・潮力発電技術は欧州連合(EU)が2020年までの達成を目指している目標を満たせず、エネルギー供給に大きく貢献するまでには10年以上かかる公算が大きい。波力・潮力発電が急速な成長を遂げており、産業界の大口投資家を引き付けているにもかかわらずだ。

 この誕生してまもない波力・潮力発電業界はここ1年の間に相次いで投資家の関心を集め、電機大手の独シーメンスやスウェーデン系電力会社のバッテンファルといった企業から数百万ユーロの資金を確保した。

 同発電は試作品の製作から海洋での試験運用に至るまで急速に進化しており、天候に依存するその他の多くの再生可能エネルギーよりも信頼できると期待されている。

 しかし、その実績はEUの目標に遠く及ばない。EUは85億ユーロ(9400億円)の投資を行い、20年までに3.6ギガワット(GW)の発電能力の施設を設けるという目標を掲げている。

 波力・潮力発電技術は他の再生可能エネルギーと同様、商業化には政府の資金援助が必要で、その後もコスト効率が高まるまでは助成金が必要だ。

 同発電は、太陽光や風力といったその他の再生可能エネルギーの後を追うという立場にあるという意味で不運だ。政府から資金援助を得るのは困難になっている。ユーロ圏が債務危機に直面し、各国政府は歳出を削減しており、再生エネルギーへの支出も減っているからだ。

 さらに、同発電の開発費用は洋上風力発電を含むその他の再生可能エネルギーよりもずっと高い。

 英カーボン・トラストのチャーリー・ブレア氏は「2020年までに発電能力がギガワットに達すると考えるのは楽観的だ。数百メガワット(MW)と考えるのが妥当だろう」と述べた。

-引用終わり-

津軽海峡の海洋発電は、上手く行けばちょうど地熱の次になりそうですね。

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地熱開発の基準、環境省正式決定

2012-03-28 05:49:16 | 下北の地熱発電
3/28サンケイビズが伝えております。

-地熱開発の基準、環境省正式決定-

 環境省は27日、地熱発電所の建設をめぐり、都道府県が事業者に掘削などの開発を許可する際のガイドラインを正式に決めた。基準を明確にすることで、再生可能エネルギーの導入を推進する。

 地熱発電所は、地下の熱水から生じた蒸気でタービンを回すため、周辺の温泉業者などは「温泉の温度や湧出量が低下する恐れがある」と懸念している。このためガイドラインは、発電所を建設する際は段階的に熱水の温度や量を調べるモニタリングを実施するよう要求。着工前に発電所の建設事業者と地元の関係者、市町村でつくる協議会を設置し、合意を図るよう求めた。

 政府は、2020年の地熱発電による電力供給量を05年の約3倍に増やす方針。環境省の担当者は「開発する際の基準を明確にしたので、手続きが早く進むようになる」と期待している。

-引用終わり-

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地熱だけでもダメ

2012-03-28 05:12:17 | 下北の地熱発電
3/28日経ビジネスオンラインから転記します。

-第21話「地熱発電だけではエネルギー問題の解決にはならないということだね」-

 団達也は、サーディのすすめでパリに向かった。パリ第六大学にいる物理学者、ミミに会うためだった。達也とミミは、カルティエ・ラタンの日本料理店で落ち合い、未来のエネルギーについて議論をし、その後はミミの研究室で、新エネルギーについて話し合いを続けた。

 ミミは、自然エネルギーに対する取り組みが遅々として進まない日本を見て「原発が止まって、原油価格が高騰しているというのに、日本の人たちはエネルギーの将来を本気で考えているのかしら」と不満を口にした。
 かつて、達也と一緒に働いていた細谷真理は、上海のリンダのもとでビジネスパーソンとしての特訓を受けていた。
 リンダのもとには、旧友のジェームスが訪れ、3人で日本の金融問題などについて議論を重ねていた。

パリ

 「ダン、日本も地熱発電に本腰を入れたようね」
 ミミは日本の新聞記事を指さしていった。 

 規制緩和を受けて、早くも福島県内で本格的な地熱発電所が動き出したと、その記事には書かれていた。稼働は2020年。発電容量は27万キロワットで原子力発電プラント4分の1基分に相当するという。

 「これまでずっと、モノを燃やして電気を作るという発想にこだわってきたからね。でも、ようやく自然のエネルギーに目を向けたというわけだ」
 達也がこう言うと、ミミは不満そうな顔で「そうなればいいんだけど」と答えた。

 「日本の地熱資源量は2347万キロワットと世界3位の規模だし、地熱発電のコストは1キロワット時あたり9~11円程度で石炭火力とほぼ同じ。

 でも、なんといっても国立・国定公園内に地熱資源が多いから、2347万キロワット全部を利用することは難しいでしょうね。温泉事業者や自然保護団体の反対は覚悟しなくてはならないでしょう。だから、あくまでも選択肢の1つとして考えておかないといけないと思う」

 「つまり地熱発電だけではエネルギー問題の解決にはならない、ということなんだね」
 ミミはうなずいた。
「ねえダン。イスタンブールのサーディの自宅からボスポラス海峡が見えたでしょう。前に行った時は、あの海流のエネルギーを電気に変える方法について、サーディと夜通し話したことがあったわ」

 「なるほどね。ボクは専門的なことはわからないけど、日本には鳴門海峡というところで海流がぶつかって巨大な渦巻きができる場所があるんだ。下関と門司の間の関門海峡でも、潮の満ち引きの際にものすごい量の海流が流れているんだ」

 ミミは楽しそうな顔で口を開いた。

 「潮流発電が使えるわね」

 「それって?」

 「潮流は潮汐現象による流れのこと。潮流を利用して海底に設置したプロペラでタービンを回転させて発電するのが潮流発電。日本には流れの速い「瀬戸」や「海峡」と呼ばれるところがたくさんあるでしょ。さっきあなたが言った鳴門海峡、関門海峡、津軽海峡などの強流域で潮流発電の実験が行われているわ」

 「どんな実験なの?」
 達也は次第に興味を覚えた。

 「津軽海峡には対馬海流が一気に流れ込んでいて、流れの速さは、確か最大で秒速3.5メートルはあったと思うな。安定的に電気を作り出す3枚の羽根が付いた発電機を海底に設置して電気を起こし、ケーブルで陸と結ぶのね。風力発電と同じ原理と言っていいでしょう。

 でも風と違って、潮流は安定しているから計画どおりの発電ができるというメリットがあるの。風力の場合、風が吹かない日もあるし、風の強さも向きもいつも変わるでしょ。だから風力発電の稼働率は20%にも満たない。

 でも潮流は6時間おきに向きが変わる以外はほぼ一定の強さで流れるから、潮流発電の稼働率は、たぶん40%位にはなるはず。つまり生産性は倍ということね。あなたの得意な管理会計を使って言えば、無駄なコストが半分に減るということ。それだけではないわ。水の密度は空気の1000倍もあるから、風力発電よりずっと小さな設備で電力を起こすことができるのよ」

 ミミは次第に物理学者の顔になってきた。
 「もう少し規模が小さいのが潮汐発電。潮汐で生じる潮位差を使ってタービンを回転させ発電する方式のこと。ここ、フランスのランスに発電所があって、出力は24万キロワット。海洋エネルギーを利用した発電所として世界最大の規模なの。アジアで潮汐発電と潮流発電で一番進んでいる国は韓国かしら。日本でも最近になって事業化計画がいくつも立ち上がっているわ。

 それからもっと大きな規模となると海流発電ね。潮流と違って海流は地球規模の流れだから、年間を通じて流れる方向は一定でしょ。黒潮を使って発電するなんて、壮大で夢があるわよね。それに原子力発電に代わる可能性もあるし」

 ミミは目を輝かせた。

上海

 この日もリンダとマリ、そしてジェームスは事務所の近くにあるスコティッシュパブでスコッチを飲みながら話をしていた。

 リンダは英字新聞をジェームスに見せながらあきれ顔で言った。
 「ZIJって運用損失を1092億円も出したそうよ。残っている現預金はたった81億円ですって」

 企業年金資金をデリバティブと株式投資で、2011年3月期までの8年間で、累計1092億円の損失を出したというのだ。

 「信じられないほど稚拙な運用だよね」

 と言ったのは、ファンドマネージャーをしているジェームスだった。ZIJはディーラーを抱えて取り引きをしていたが、その運用は主に投資の専門家だった社長の指示で行われ、ほとんどは「逆張り」だったというのだ。

 逆張りは、株価が下落している時に株を買い、株式市場が強気で株価が上昇している時に株を売る投資行動のことだ。一般には株価の上昇時に株を売り、下落に転じた時に株を売るのだが、こうした市場の動向と逆向きに相場を張ることから、逆張りといわれている。

 「強気一辺倒だったということか。それでことごとく思惑が外れ、巨額の損失につながった。ひどい話だよ」
 と言ってジェームスはリンダを見た。

 「私も信じられないわ」
 リンダも同じ思いだった。
 「こんな人が実質的に資金を運用してたのね。しかもリーマンショック後も安定した運用実績を上げたと、ウソの運用実績を顧客に報告してたというじゃない。この社長、監視委員会で責任を追及された時『運用に失敗したので成績を改ざんするしかなかった』と言い逃れしたそうよ。責任感のかけらもないんだから」

 と言うと、リンダは真理を見た。達也から一流のビジネスパーソンになるよう鍛えてほしいと頼まれてから、リンダはマリの成長を見守ってきた。

 「マリ、お金を人に預けるってすごくリスクがあるのよ。年金基金の中にはほとんどの資金をZIJに預けていたところもあるって話ね。それこそ、一番してはならないことだったのよ。そのことに日本人はやっと気づいたんじゃないかしら」
 それはいつも真理に教える口調だった。

 その時、二人の話にじっと耳を傾けていた真理が突然口を開いた。

 「ジェームス」
 「なに?」

 真理はこわばった表情で、言葉を絞り出すように話し始めた。

 「私、ずっとリンダを目標にしてきて、いつかリンダを追い越そうと思い続けてきた。でも、いまのままだとリンダは絶対に追い越せないことがわかったの。ジェームス、私をロンドンに連れて行って」

 それは真理の叫びにも聞こえた。

-引用終わり-

一連の事故、事件に教えれれることがあります。

日本にとって大切なのは「いつまでも他国任せのエネルギーではいけない」ということです。

エネルギー政策も短、中長期を見据えて真剣に論じる必要があります。

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バックエンドは46都道府県で

2012-03-28 03:28:33 | 大間原発の中間貯蔵化
3/23日経ビジネスオンラインで伝えておりました。長文ですが私もほぼ同意見です。青森とくに下北の方には読んで戴いて、よく考えてほしいと思います。

-「46都道府県に使用済み核燃料を分散して保管する」-

明確な意思表示をする政治家が少ない中で、馬淵澄夫・元国交相は「原子力バックエンド問題勉強会」を立ち上げ、「技術的、経済的に核燃料サイクルはフィクション」と問題提起を投げかける。馬淵氏にノンフィクション作家の山岡淳一郎氏が真意を聞いた。

山岡:現在、エネルギー政策の新方針「革新的エネルギー・環境戦略」の策定(夏)に向けて政府内でさまざまな議論が進んでいます。東電の国有化や原発再稼働など派手な話題に世間の耳目は集まりがちですが、電力改革の本丸は、むしろ総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会で議論されているエネルギーの「ベストミックス選択肢」。ここで原発をどう減らすか、他の電源とどう組み合わせるかが論じられています。

 そしてベストミックスと非常に密接に関連しているのが原子力委員会で検討中の「原子力政策大綱」の練り直し。とくに「核燃料サイクルの選択肢」をつくること。原発を減らせば、必然的に核燃料サイクルは先細る。原発がゼロになれば、使用済み燃料を再処理して軍事転用できるプルトニウムを抽出し、MOX燃料をつくって原発でリサイクルする意味はなくなります。ベストミックスと核燃料サイクルは、電力改革で極めて重要なテーマですね。

馬淵:そうです。電力改革論議のメインストリームです。

山岡:馬淵さんは原発の推進派、反対派、立地選出議員など民主党内73名の議員で「原子力バックエンド問題勉強会」を組織され、先ごろ「第一次提言」をまとめられました。そもそも使用済み燃料の処理問題に突っ込もうと思われたきっかけは何だったのですか。

「押しつぶされそうな恐怖を感じました」
長馬淵:理由は二つあります。第一に菅総理から原発対応の首相補佐官に任命され、国会議員でただ一人、福島第一原発4号機の建屋内に入ったことです。補佐官となって、すぐに陸海空で漏れ出る放射性物質の封じ込めと4号機の耐震補強工事を命じました。大きな余震で、4号機の核燃料プールが崩れたら、再臨界もありうる。恐るべき状況でした。他の工事は無線でリモート化できたけど、4号機燃料プールの耐震補強は、高線量下の有人作業が避けられませんでした。これには判断に、もの凄く苦しみました。でも、やんなきゃいけない。要員確保も難しい短サイクルタイムでの作業にゴーを出した。そして工事の現認のため昨年6月11日、4号機建屋に入ったんです。

山岡:6月じゃ、通電していないから、真っ暗ですよね。

馬淵:ええ、押しつぶされそうな恐怖を感じました。完全防護で、許された時間は20分間。頭上は真っ暗闇で、厚さ1.5メートルの床版、コンクリートの塊が覆いかぶさってくる。それが崩れるかもしれない状態で耐震補強でしょ。床版の上には使用済み燃料が1590本も入っている。使用中のものまで混じってね。補強はコンクリート打設の余裕なんてないから、鋼製支柱を床版の梁に林立させて、組むわけです。人力で必死に組んでね、しっかりプールを支えていましたよ。

 作業員には、ほんとに頭が下がりました。と同時に、被災して故郷を奪われ、家族バラバラになっている方々のことを思うと、胸が張り裂けそうだった。この責任は、いったい誰が取れるんだ、と。しかも全国54基に全部燃料プールはあると言うんだからね。いや、とんでもない。そこが出発点でした。

「中断していた原子力政策大綱の見直しが、突然、動き出した」
山岡:昨夏の民主党代表選挙に立候補されて、脱原発依存、バックエンド問題の解決を訴えましたね。

馬淵:代表選でバックエンド問題を言ったのは僕だけでした。だけど泡沫候補扱いされて、24票で敗れました。それが8月29日。で、翌日、中断していた原子力政策大綱の見直しが、突然、動き出した。うわっ、と思った。これは、見ていたわけでしょう。

山岡:……原子力まわりの政治のようすを、ね。ムラの人たちが(笑)。

馬淵:調べたら、原子力政策は大綱見直しだけで動く話じゃなかった。野田政権は、資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会で基本計画を見直して「ベストミックス」をつくるところからやる、とわかった。こっちは需要から組み立てる。でも産業に必要な電力供給の話になれば、原発見直しの機運なんて高まりません。

 ならば、やっぱり大綱のバックエンド。人類の存亡がかかるリスクを抱えて、目を背けることができない課題で、一番重い。これしかないな。ここに焦点を絞って突破して、ベストミックス、発送電分離、東電国有化、原発再稼働の再考などへ戦線を広げていこうと決めました。これが二つ目の理由です。

山岡:核燃料サイクルの一点突破、エネルギー政策への全面展開ですね。だけど、勉強会の立ち上げは簡単じゃなかったでしょう。国会議員の皆さんは、地元で電力会社のお世話になっていますからね。地域随一の企業の方針に逆らうかもしれないのだから。

馬淵:一人ずつお願いしました。イデオロギー的な流れで、反原発の人ばかり集まってもしょうがない。推進派、原発立地選挙区の人にも入ってもらって、地元の合意をとるプロセスを踏んでいかなきゃいけない。そこは大前提でした。とにかく虚心坦懐にバックエンド問題と向き合って、立場を超えて勉強し、議論しようと呼びかけました。

「責任保管の概念が鍵ですね」
山岡:なるほど。14回の勉強会と、茨城県東海村大洗の研究所、青森県六ヶ所村の再処理施設、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」を視察して、一次提言をまとめましたね。検証の基本原則に「受益と負担の公平性」「公的関与の強化」「科学的知見の蓄積」そして「モラトリアム」を掲げています。

 そして「責任保管」の概念を提示した。これが鍵ですね。従来の「中間貯蔵」ではなく、国が中心になって責任保管体制を整備した上で、六ヶ所村の再処理施設は稼動を当面中断、MOX燃料を軽水炉で燃やすプルサーマルも当面中断する、と。責任保管って何ですか。

「核燃料サイクルはフィクションです」
馬淵:一次提言は、結論を書いてはいません。あくまでも問題提起ですが、技術的にも、経済的にも核燃料サイクルはフィクションです。基本的に「立ち止まって考えるべき」だと思う。その時間を確保することが大切です。国際競争の観点からも、複数の政策を可能にする時間が必要です。なので、将来的なメドが立つまで、放射性廃棄物を、50~100年間くらい、責任をもって保管する体制に転換していきます。具体的には、使用済み核燃料については、その需要者(電力会社)と負担者(自治体)の公平性が保てる状況を築きながら、「ドライキャスク(乾式貯蔵容器)」で保管する。

 案1では、沖縄を除く各都道府県に一か所ずつ、この責任保管場所を設置することを原則としました。ただし、自治体間で合意があれば、ある自治体が他の自治体の保管すべき使用済み核燃料を引き受けることも認める、としています。

「46都道府県で使用済み燃料の保管負担をシェアする」
山岡:要するに46都道府県で使用済み燃料の保管負担をシェアするわけだ。原発の電力を使っている大都市圏の受益者も、それに応じて負担をしなさい、と。原則論としては明解ですが、各都道府県の現場は紛糾するでしょうね。政治がどうコミットできるのか。

馬淵:これは激論が交わされたところですが、実際にやるとなれば、大騒ぎになります。しかし避けては通れない議論です。自治体間取引も認めるとしていますから、お金で解決もアリなんですね。じゃあ、どういう権限で国が公的範囲の関わりを強化しながら、自治体間で、その取り決めしてもらうか。これは大変なことになります。案1というのはある意味、問題提起のど真ん中なんですね。

 それで、案2で、9電力会社の管内で保管する例もあげました。ただ、これは僕自身、書いていてちょっと否定的だったんです。それを認めると9電力体制の是認になりますからね。でも例示としては必要だろう。案3は、国が全国のバランスを考えて、いくつかの国有地を選択し、そこに責任保管場所を設置するというもの。これも実際には難しい。やはり、案1を中心にどう折り合いをつけていくか。

山岡:「3.11」以降、取材で福島県に通っていますが、除染で出た放射能を帯びた廃棄物の「仮置き場」ですら地元では猛烈な反発が起きて、なかなか決まらない。厄介なモノを排除したい欲求と、皆で負担しなくては泥船が沈む現実。これに折り合いをつけるには政治の力が求められますが、やはり説得材料は、お金ですか。

馬淵:もちろん、いずれの場合でも責任保管場所から半径三〇キロ圏内の自治体あるいは住民に対する財政措置は必要でしょう。財源としては、原子力発電を行っている電力会社の顧客への賦課金の創設や、電源三法の見直しなど、いろいろお金の出し方はある。そこは考えなきゃいかん。ただね、大事なのは、どのような原則で、何から議論するかという順番だと思います。まずは、使用済み核燃料の処理は、電力を使う自分たちの問題なのだという原則を、全国で負担を分け合う議論から始めることで確認しなくては。
山岡:実際には、ドライキャスクにせよ、保管先が全国に散らばれば、セキュリティ上の問題なども生じますね。

馬淵:安全保障の観点からは、集約化した方がいいわけです。警備の点から見ても。じゃあ、集約化するには何処がいいかとなると、またすぐに、青森の六ヶ所村があるじゃないかという人が出てくる。でも集約化するから青森では、何の見直しにもならない。そういう話にした瞬間、受益と負担の公平性の大前提が崩れるわけです。

山岡:青森県は、核燃料サイクルの国策に沿って、再処理施設を造ってきました。国と青森県の間には「最終処分場にはしない」という約束があるから、核燃料サイクルをやめるとなった瞬間、預かっている放射性廃棄物が「原発のごみ」となり、各原発に送り返される可能性もある。それはかなわん、青森県さん預かって、という県も出てくるかも。

馬淵:青森県が、じゃあ代わりに保管しようと言う可能はゼロではないかもしれない。案としては自治体間取引も認めています。自治体間取引が現実になる可能性は否定しません。ただし議論の出発点、プロセスが重要です。立地自治体と受益者である自治体が、本当に自らの問題として考えた結果として自治体間で取引されるならいいでしょう。

「受益と負担の公平は大原則」
 しかし、いままでの原子力政策は、そういう原則を決めず、なし崩し的にお金で解決しようとやってきた。その結果が、このありさまです。最初から狭い選択肢で決め打ちするのではなく、広い視野で絞り込んでいくプロセスが必要。悩ましいけれど、受益と負担の公平は大原則だと思う。

山岡:今回の提言は「人」と「組織」の問題にも踏みこんでいる点が目を引きます。実質的に研究開発が凍結中の高速増殖炉「もんじゅ」の関係者は2千人いるといわれます。

馬淵:一直線の核燃料サイクル路線から撤退するとはいえ、科学的知見の蓄積は求められます。今後、廃炉などの技術の確立も欠かせません。もんじゅの研究者は、研究修了というか、いわゆる卒業論文を書かないといかんわけですよ。卒業論文を書いて、卒業証書をもらう段階です。だからと言って、40パーセントの出力実験を認めて、目いっぱいやっていいよという話ではない。それは認められない。

山岡:原子力研究開発機構(JAEA)の改組にも触れていますね。

馬淵:はい。バックエンドの研究と対応の機構を設立し、そこに核燃料の処理の研究や福島第一原発や既存原発の廃炉処理を担当させる。その際、核融合研究など新エネルギーに関連する部分は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)へ、J-PARC(大強度陽子加速器施設)などの基礎研究部門は理化学研究所などと新たに統合改変される研究開発型法人に、安全研究については、4月に発足する原子力規制庁へとそれぞれ移管していけばいい。

山岡:旧核燃料サイクル機構と旧原子力研究所が合体したJAEAは、組織を維持するのは難しいですか。

馬淵:どう考えても、JAEAはいまのままでは無理ですね。もともと現場に近い核燃料サイクル系と、研究畑の原研では組織間の文化や考え方がかなり違います。連携もよろしくない。だから現場に近い核燃料サイクル系の人たちは、福島第一の廃炉技術開発とバックエンドの研究・対応を合わせた新機構を設けて、そこに集約する。現場と関わった方が、彼らの力も生きるでしょう。原研系の研究グループは、研究テーマに沿って他の組織と統合していく。そう考えました。

「廃炉とバックエンドの開発機構は、新たにつくる」
山岡:廃炉とバックエンドの開発機構は、新たにつくるわけですか。

馬淵:そうです。われわれの議論のなかで、行政改革の流れを重視して、原子力規制庁に統一しろという意見もありましたが、あえてバックエンドの機構を設けようということを提言しています。それほど直面する課題が大きいから。でも、もちろん行革は重要ですから、自分たちの案に固執しているわけではありません。組織の統廃合は不可欠です。

山岡:再処理を中断すれば、事業者の日本原燃は経営に行きづまりますね。

馬淵:再処理が止まれば、原燃の債務超過が発生します。だから、原燃に関しては、提言で、その「会社のあり方・国の関与のあり方を含め、ゼロベースで検討する」と記しています。原燃は、電気事業連合会と日本原子力発電の出資でスタートしましたが、実質的には東京電力の子会社です。東電が原子力損害賠償支援機構の資本注入で国有化されれば、当然、原燃も国有化の道をたどる。そのとき、国の関与のあり方は、公的資金の注入を含めて、どうするか。議論を組み込まなくてはいけません。

山岡:ムラの人たちの抵抗は、激しいでしょうね。

馬淵:福島の教訓を得たわれわれが、少なくとも今後、果たすべき役割は、科学的知見の蓄積とイノベーションで放射性物質の除去、廃炉、核燃サイクルを止める方向にあるでしょう。原子力の平和利用というなかで、平和的収束に取り組まなくちゃ。

山岡:原発の看取りをするわけですね。原発を看取って、一方で、新たなエネルギー源を生み、育てなければいけない時期にきている。

「韓国は、最近、しきりにアメリカに再処理をやらせてくれ、と申しこんでいる」
馬淵:結果的にはね。すぐゼロにできないことはわかっています。ただ、核燃料サイクルは、やっぱり提言でも結論づけましたが、フィクションです。フィクションを永遠に回すわけにはいかない。一次提言を踏まえて、次の課題が見つかりました。その論点整理に、そろそろ入ります。

山岡:次の課題とは?

馬淵:やはり「エネルギー安全保障」に関する部分です。再処理は、とくにそこにかかわってくる。韓国は、最近、しきりにアメリカに再処理をやらせてくれ、と申しこんでいる。北朝鮮の問題があるから。もちろんアメリカは首をタテには振りませんけどね。

山岡:少し話の流れを整理します。原発は「トイレの無いマンション」と言われ続けてきました。ウラン燃料を燃やした後の使用済み核燃料の最終処分方法が確立されないまま建設され、いまも世界中で造られています。日本は、資源の有効活用をタテマエに、使用済み核燃料を再処理してMOX燃料をつくり、それを高速増殖炉、または一般の軽水炉で使う核燃料サイクル路線を推進してきました。しかし技術的にも経済的にも道理に合わない。

 1993年に7600億円の建設費で造られ始めた青森県六ヶ所村再処理工場は、20年ちかく経過しても欠陥、不具合続出で完成せず、建設費は、すでに約2兆1,900億円以上に膨らんでいます。仮に竣工しても、40年間の操業で処理できるのは累積した使用済み核燃料の半分。その間、危険性が消えるまで10万年かかるといわれる高レベル放射性廃棄物、低レベルの廃棄物も溜まり続ける。地震国日本では、放射性廃棄物を地下数百メートルに埋める地層処分は危険すぎて実現性に乏しい。まさに出口なし。フィクションです。

 そこで、馬淵さんたちは、いったん立ち止まって、核燃料サイクル路線を当面、中断し、どうするか考えよう、と。こう主張しておられるわけですね。

「受益と負担の原則でオープンな議論を始めなくては、裏工作とムラの論理で核燃料サイクルが動かされ、潜在的危険性は高まる一方」

馬淵:はい。そうです。もちろん青森県は国策によって再処理施設を建設し、使用済み核燃料の「最終処分場にはしない」という国との約束があればこそ、再処理にも応じてきたわけで、凍結すれば、国は特別の措置を講じて青森の産業再興を支えねばなりません。手厚いサポートは当然です。

山岡:で、中断した場合、悩ましいのは原発サイトの燃料プールに溜まり続けている使用済み核燃料です。六ヶ所村に送れなければ原発自体が雪隠詰になる。原発は稼動を停止するしかない。ただし停めても膨大な使用済み核燃料をすでに抱え込んでいます。原発を動かせば、もっと増え続けるわけですが、すでに全国で1万3500トンの使用済み核燃料がある。さらに、六ヶ所村に貯蔵管理している高レベル、低レベルの放射性廃棄物を青森県は、国や電力会社に「引き取ってくれ」と言うでしょう。再処理前提で溜めていた使用済み核燃料や放射性廃棄物が行き場を失くす。これを国全体でどうするか。そこから目を背けてはいかん、と。

馬淵:ええ、だから沖縄を除く、46都道府県が、それぞれの原子力発電への依存度に応じて、使用済み核燃料を責任保管するという「考え方」を議論の出発点にして、知恵を出し合おうというわけです。受益と負担の原則でオープンな議論を始めなければ、延々と裏工作とムラの論理で核燃料サイクルが動かされ、潜在的危険性は高まる一方です。

山岡:責任保管の概念は新しい。大都市圏からは、とんでもない、使用済み核燃料の保管施設など真っ平だ、危険物を分散せてセキュリティはどうするのか、と反発は出る。現実的には難しい。賛否両論あるでしょうが、私たちがトイレの無いマンションに住んでいる負担を共有する考え方から出発しなければ、解決の糸口は見えないのですね。

馬淵:自治体どうしの話合いで、引き受ける道も認めています。責任保管が重要なのは、最終処分の議論があまりに茫漠としているからです。安全になるのに10万年かかるところを1万年にしようとか、そのころ人類がいるかどうか、そんな話から始まる。研究するのは勝手ですが、そんな不確実な話を真に受けて、原子力政策を立てていいのですか。日本で、地層処分の答えなど出ません。ガラス固化技術は大切ですけれど、それでどれだけもちますか。

 だったら現実的に立ち止まって考え、責任保管に切り替える。われわれの第一次提言は、結論を記したのではなく、あくまでも問題提起です。いろんなご意見をお聞きしたい。

-引用ここまで-

私もほぼ同じ意見です。そのためにも先ず中間処理施設化は大間に手を挙げて頂きたいのです。

前回私の関連ブログ「バックエンド問題勉強会の提言について」
http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=595d1c32c0ebeedf81804890f7a2f08a

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