じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

宮部みゆき「八月の雪」

2022-08-14 14:55:54 | Weblog

★ 朝から不安定な天気。ザーッと雨が降ったかと思うと晴れ上がり、買い物に出かけようと準備をするとまた降りだす。突然の落雷には驚いた。少しずつ季節は移り変わっているのかも知れない。

★ 夏期講座残り10日。夏期講座が終われば秋が来る。

★ 今日は宮部みゆきさんの「人質カノン」(文春文庫)から「八月の雪」を読んだ。中学生になったばかりの主人公。いじめグループとかかわったばかりに、片足を失う大けがを負う。

★ ことの発端は、中学校に入って、たまたま前の席に座った同級生が自ら命を絶ったこと。彼は小学生時代からひどいいじめにあっていて、それが中学生になっても続いていたようだ。転校を勧めるだけの無責任な学校。1つの命が失われたのに加害者たちは何ら咎めらえない不条理。

★ 主人公のいらだちがいじめグループとのいざこざに発展する。そして彼もまた若くして人生の不条理に直面。こんな不公平な社会に生きていて何か意味があるのかと、引きこもりの生活に入ってしまった。

★ そんな折、主人公の祖父が病気で亡くなった。そして遺品の中から遺書が見つかった。それは随分と古びた紙に書かれており、彼は祖父がなぜ遺書を残したのか興味を覚えた。

★ 祖父の友人を捜し、ある老人から話を聞き、それが「二・二六事件」のときのものであると知る。

★ 祖父も歴史の不条理の中で生きていた。上官の命令に従い、それが正義だと信じて行動を起こし、事件が決着してからは反乱軍としての扱いを受けたという。

★ 祖父の過去を知る中で、人生に絶望していた少年に新たな希望が生まれていく。どれほど辛い目に遭い、死を覚悟しても、そこで負けなければ生きていける。「諦めるのは、捨てるのは、まだ早い」ということを少年は悟ったようだ。

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