じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

内田百閒「芥子飯」

2022-08-10 15:15:45 | Weblog

★ 夏期講座は予定の半分が終わった。

★ 昼食後の読書は睡眠を誘うので、できるだけ短い作品を選んで読んだ。今日は、杉田淳子編「アンソロジー カレーライス!!大盛り」(ちくま文庫)から内田百閒の「芥子飯」。

★ 内田百閒にも食うに困る時期があったという。手持ちのカネはわずか10銭。目的地への往復の電車賃にも足らず、歩いて行くことにした。行きを我慢すれば帰りは電車に乗れると。

★ ところが目についた「ライスカレー十銭」の看板。西洋料理が高かった時代、十銭のライスカレーは魅力的だ。百閒は店に入ることに。入るなり、けばけばした2人の女性給仕に挟まれ、強引にビールを勧められる。飲みたくともカネはない。それを告白するのも気が引ける。百閒はこわい顔をしてライスカレーを注文する。

★ むっつり食べていると、給仕たちもどこかに行ってしまった。「ふうふう云いながら、額に汗をにじませて、匙を動か」している百閒の食いっぷりはなかなか豪快だ。

★ 食べ終わって見れば、これから歩く道のりにうんざりしたという。

★ まだカレーのルーが一般的ではなく(ましてやレトルトなどは思いもよらず)、ライスカレーがハイカラだった時代の話。「芥子飯」とは面白い。

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