GWもたけなわ。快晴続きで絶好の行楽日和ですね。小生は先日、軽井沢へ行ってきました。といっても、おしゃれな街でバカンスを楽しむ…というわけではなく、数年来断続的に続けている中山道歩きで一泊したというだけです^^;翌日には朝7時に出発し(これでもちょっと遅いくらいです)、碓氷峠を越えて高崎を目指しました。今のハイソな街並みからは想像しにくいですが、軽井沢はもともと中山道の宿場町で、ちょうど旧軽銀座通り一帯に旅籠が建ち並んでいました。
で、私は西(京都側)から東(江戸側)へ進んでいるのですが、旧軽銀座を目指して歩いている途中で、面白いものを目にしました。いわゆる「ラウンドアバウト」と呼ばれる、信号機のない円形の交差点です。欧州などでは一般的にみられるもので、一般道のみならず、時には高速のジャンクションにも用いられているものです。百聞は一見にしかずですので、とりあえず写真を載せます。
ラウンドアバウトに進入する車は、一時停止のうえ、時計回り一方通行の「環道」に入り、行きたい道へ左折して進みます。ひとつ右側の道へ行きたい場合は、環道をぐるっと一周近く回ることになります。信号機がなく、無駄に止まっている時間が短いので、一般に渋滞になりにくいといわれています。
この交差点はその名も「六本辻」といい、読んで字のごとくの六差路です。幹線道路ではないとはいえ、シーズンのころにはさぞ混雑…というより混乱するのだろうと推測されます。軽井沢でこのラウンドアバウトが導入されたのは知っていましたが、旧中山道の途中にあるとは知りませんでした。目下のところは試験導入ということで、ここで渋滞解消や危険減退などの効果がみられるようであれば、徐々に広めて行こうという計画のようです。私が歩いたときには、交通量も大したことはなかったのですが、とくに問題はないように見えました。
ただ、とりわけ都市部にこれが浸透するかというと、私はかなり難しいと考えています。
最大の理由は、土地の問題です。道路が直交するポイントに信号機と横断歩道を置いただけの普通の交差点に対し、ラウンドアバウトの場合はそこに円形の広場を設けなければなりません。交通量の多い道路であれば、環道も2車線・3車線にしなければ、ラウンドアバウト内部が渋滞してしまいます。そうなると、交差点周辺で新たに円形の土地を確保しなければならず、周辺一帯に再開発計画でも布かないかぎりは、用地取得はかなり困難と思われます。
また、信号機がないということは、ラウンドアバウトの円滑な運用は個々のドライバーにかかっているということになります。すなわち、「環道は時計回り一方通行」「進入車と環道内の車では後者が優先」「環道内での駐停車およびバックは禁止」などのルールを利用者全員が順守しないと、信号機交差点以上の混乱・混雑や事故の元となってしまいます。本気でラウンドアバウトを普及させようとするなら、こうしたルールの周知も徹底しなければ、「大枚はたいて作ったわりに信号機の方が良かった」という批判を招いてしまいます。
他方で、「信号機を必要としない交差点」という観点から、先の東日本大震災などのような災害時に、送電がストップしても有用な交差点の方式としても、近年注目を浴びつつあるようです。たしかに、緊急時にもドライバーがパニックに陥らずルールを順守することが出来さえすれば、ラウンドアバウト内の安全は自助的に保たれることができます。復興中の被災地や海辺の地域などでは、積極的に導入が検討されても良いように思います。ただ、全国的な広がりを見せるかどうかは、ひとえに行政側の本気度にかかっているというところでしょう。
軽井沢の六本辻は、駅からも市街からも近いところにあるので、お近くにお出かけの際にふらっと立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。私が通った時にも、雲場池などに出向くサイクリングの人たちをチラホラ見かけました。