塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

浦和にて秋の土用

2011年12月01日 | 徒然
  
 とうとう12月に入ってしまいました。今年も残すところあと1か月ですね。今年はとにかく震災の影響につきる大変な年でしたが、結局毎年のごとく「今年ももう終わりか。早いものだ」とあちこちでぼやいています。

 さて、今日の話題はちょうど1か月ほど前のネタで、ずっと書こう書こうと思っていたんですが時機を逸してしまっていたものです。一応、月が替わりということもあるので、書いても差し支えないタイミングかなと思い、引っ張り出してきました。

 先月の頭に、秋の土用で浦和にウナギを食べに行ってきました。土用の鰻というと、もちろん夏のイメージですが、土用自体は実は年に4回あります。土用とは立春・立夏・立秋・立冬の直前の18日間(17日や19日のこともあるそうですが)を指すもので、いわゆる夏の土用とは立秋の前の土用にあたります。

 平賀源内のキャッチコピーで始まったとかいわれる土用丑の鰻ですが、それ以前に季節の変わり目にスタミナのつくものを食べようという意味合いのイベントなんですから、年に4回やったってバチが当たるものではないでしょう。とまぁ、要は自分に理由をつけて美味しいものを食べようというコトなんですが、先月の3日が秋の土用丑の日ということで、浦和へ足を運びました。

 つい最近知ったのですが、浦和一帯はウナギが有名な土地なのだそうです。単にウナギの獲れる沼地が多かったということもありますが、江戸時代に中山道浦和宿を越えて北に向かうと、山深くなって当分食べられなくなるため、江戸を出発した旅人が多く浦和宿や蕨宿で鰻を食べていったことに由来するのだそうです。

 今回訪ねたのは、JR南浦和駅から歩いて15分くらいのところにある幸楽園という鰻屋さんです。昭和五年創業という老舗で、あとで浦和に詳しい人に聞いたんですが、周辺でも指折りの有名店なのだそうです。

 
あまりいい写真じゃありませんが、幸楽園外観。


 私が今回このお店を選んだのは、鰻云々とは別のところにありました。私のことを知っている人にとってはいつものことで「またか」と嘆かれてしまいますが、幸楽園は領ヶ谷城址という城跡の上に建っています。お店の方でも、城跡の上に建つ鰻屋というのを売りにしているようで、あちこちの看板に領ヶ谷城址と銘打っています。ただ、城跡といっても中世の砦ですから、何が残っているという訳でもなく、そんなに宣伝効果があるようには思えないのですが(笑)。

 唯一関係してくるのは、この城は河岸段丘を利用して築かれたもので、幸楽園も崖に面して建設されています。ですので、お店からの景色は創業当時からのウリなのだそうです。ところが、食後に店の女将さんとお話しする機会があったのですが、近年開発が進み、景色も見えるのは家ばかりでお世辞にも良いとは言えなくなってしまったとのこと。とくに、幸楽園は御座敷の広間席と一般客用の食堂が別棟になっているのですが、食堂の方はもう目の前に住宅が建ってしまっていて残念ながら窓の外には何も見えません。昔は、眼下に谷戸田が広がり、白鷺などが舞い遊ぶのどかな田園風景だったそうです。

 鰻の方は、安くはないですが特別高いという訳でもなく、一般的な鰻屋さんのお値段でした。味もボリュームもしっかりしているので、満足の内容でした。浦和には他にも名店が数多くあるということなので、次の土用にでもまた別の店に行ってみようかと思っています。

 こうして今年から始めてみた年に4度の土用丑ですが、遠く名店を求めて足を運んでみて思ったのは、鰻の名店というものを知っているようであまり知らないんだなぁっちゅうことです。まぁ、そんなに贅沢ができる身分ではないので、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、名前だけでも知っているという店も少ないのは自分の勉強不足なのかな、と感じました。仙台の鰻屋なら結構知ってるし行ってるんですけどねww

 ちなみに、次の冬の土用丑の日は1月29日(日)だそうです。