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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

初訪問/古典籍展観大入札会・一般公開(古書会館)

2011-11-16 01:04:28 | 行ったもの(美術館・見仏)
○古書会館 平成23年度 東京古典会創立100周年記念『古典籍展観大入札会』一般公開(プレビュー)(2011年11月11日、12日)

 先だって、東京古典会の「和本シンポジウム」という貴重書展を見に行って、このイベントの存在を知った。13、14日の入札会は古書店業者しか参加できないが、その前の2日間は、誰でも参加できる「一般公開(プレビュー)」だという。「出品目録一覧」に上がっている資料が、あまりにもすごいので(図書館の貴重書庫、あるいは美術館でガラス越しに拝むしか縁のないようなもの多数)、本当?と疑心暗鬼で行ってみたら、本当だった。

 来場者は、1階のクロークで、コートや大きなバッグを預ける。貴重品は、貸してもらった透明のビニールバッグに入れて携帯する。会場内で使っていいのは鉛筆のみ。あと、ハンカチもあったほうがよい。準備はこれだけ。来客名簿の記帳もなく、入場無料である。プロの皆さんは、約2,000点の出品資料が掲載された、ぶあついカタログを購入して会場に向かうが、ひやかし目的の素人客は身軽である。そうは言っても、学芸員や研究職の方が多い雰囲気だった。

 会場は2~4階と地下1階。上から攻めていこうと思い、4階に上がる。150平米くらい(?)のホールの壁には、さまざまな軸物が掛けられ、4~5列に設けられた大きな平台には、巻子・冊子・摺りもの・秩入り・秩なしなど、各種形態の古典籍が、互いにぶつからない程度の距離で、雑然と並ぶ(近づいてみると、いちおう、地誌類とか医学本草類とか、主題で分類されていることが分かる)。そして、カタログ番号と書名等を記した封筒(入札で使うのだろう)が、無造作に添えられている。

 まず、壁の軸物から見ていこうと思ったら「○○切」と呼ばれる古筆や古写経の断簡、歴史上の著名人の書状などが目の当たりに下がっていて、たじろぐ。手を出して、ぺろっと撫ぜてみても、あまり怒られそうな感じがない(やらないけど…)。東京美術倶楽部の「東美アートフェア」に初めて行ったときも驚いたが、古書店主の書籍の扱いは、骨董店主が美術品を扱うより、もっと野放図な感じがする。いや、お客さんを信頼しているという意味で、うれしいのだけど…。

 もの慣れたお客さんは、興味のある商品があると、勝手に秩を外し、書籍を取り出して、中味を確かめている。私も二、三、手に取ってみたけれど、巻子本は駄目だ。きれいに巻き戻す自信がなくて諦めた。少し貴重なものはガラスの陳列ケースに入っているが、会場内の係員に声をかければ、すぐに取り出して、見せて(触らせて)くれる。しかし、熟練と自信がないと、スマートに振舞えないので、今回は指をくわえて眺めていた。引き札の貼り交ぜ帖や中国の古写真帖、絵葉書集、煙草カード集などもあって、面白かった。珍しいところでは、春日版の版木も。やっぱり、テーマを決めて、蒐集を始めると面白いんだろうなあ。ビジュアルが楽しめる地図・地誌類なんかいいかもしれない。

 少し前にニュースになっていた「お市の方の手紙」(カタログNo.2192)も、地下1階の会場で見た。特に変わった扱いもされていなかったので、気づかず、通り過ぎてしまうところだった。

 それにしても、前述のWeb版「出品目録一覧」は労作である。出品資料が(たぶん)網羅されていて、ほとんどに画像が付いている。すごい! 願わくは書誌項目の文字列検索ができると、もっとありがたいと思う。

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私の場合は… (鴨脚)
2011-11-16 23:22:53
レポート拝読いたしました。
いろいろと沢山の発見があったようで、よかったですね。
確かに巻子本は、慣れないと扱いが難しいですね。保存が悪くて、開くと元に戻らないものもありますし…。入場者の中には、紐の扱いや扱いが雑な方がいて、傍からも見てハラハラさせる方もお出でになりますが、誰も注意しないのも凄いです。

陳列ケースのものは、粗相があっては大変なので、昵懇の会員書店さんにお願いして拝見しました。
本当に美しくて綺麗な本なので欲しいと思ったのですが、その書店さんの値踏みは350以上じゃないと落ちないとのことで諦めました。
それでも、実際に実物を触り、主人の説明を受けながら、その本の評価のポイントなどを教えていただき、大変勉強になりました。

それもあったので、その書店さんに2点入札をお願いして、1点は100まで、もう1点は40まででお願いして、前者は出品者の留札(最低価格)に至らず親引。後者は35余で落ちました。札は3枚入れることができるそうで、中札で落ちたそうです。私はセリ方式より、この入札の方が冷静になれるので好きです。

明日、その本を受け取りに行きますが、親引になって取り損なった本は、最低価格はいくらだったのかな~と気になっております。
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鴨脚さま (jchz)
2011-11-24 23:55:47
こんにちは。初めてなので、緊張しながら行ってきました。とてもいい経験でした。

さすが名札を下げた古書店主の皆さんの資料の扱いはプロフェッショナルだなあと思いましたが、中には、かなりハラハラするお客さんもいらっしゃいましたね。

美術骨董の世界もそうですが、こちら(古書)も十分に奥深いと思われるので、これから徐々に親しんでいきたいと思います。
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