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見もの・読みもの日記

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さまざまな美女/上村松園と麗しき女性たち(山種美術館)

2025-07-15 22:46:03 | 行ったもの(美術館・見仏)

山種美術館 特別展・生誕150周年記念『上村松園と麗しき女性たち』(2025年5月17日~7月27日)

 2025年、上村松園(1875-1949)が誕生して150年を迎えることを記念し、数々の名品を取り揃えてその画業をたどるとともに、松園と同時代の画家から現在活躍中の若手作家にいたるまで、女性の姿を描いた作品を紹介する特別展。

 むかしは日本画の美人画というのは、何がよいのか分からなくて敬遠していたのだが、最近少し親しみを感じるようになってきた。松園には『蛍』『新蛍』『夕べ』など、蚊帳や簾を効果的に用いた美人画があり、美人画の先達である歌麿をしっかり学んでいることを感じさせる。しかし同時に松園は「近松式でもなく歌麿式でもなく」崇高で森厳とした女性美を描きたいと言っている。見ている人に邪念を起こさせない、邪な心も清められるような美人画が理想なのだという。まあ松園には、女の情念を感じる作品もないではないのだが、本展の出品作は、キリッとした美女の図が多かった。普通の町娘やおかみさんなのに、キリッとし過ぎて、尼僧に見えてくるものもあった。あと、浮世絵の美人画に比べると、首が太くて短いと思った。

 名品『蛍』(1913年)で蚊帳を吊るす女性の浴衣には百合が描かれている。松園は「天明頃をねらいました」と語っているそうだが、この百合は、当時最先端のアール・ヌーボー趣味を取り入れたもの。というのは、最近、どこかの展覧会で見て、へええと思ったのだが、どこだか思い出せない。同じ山種美術館だっただろうか。

 そして、さまざまな画家による美人画。松園と同じ和装美人でも、梶田半古、鏑木清方、池田輝方、みんな違うなあと思って眺める。いま太田記念美術館で特別展を開催中の鰭崎英朋なんかも思い浮かべて比較してしまう。珍しいところでは、尾竹竹坡の木版口絵があったり、島成園『花占い』(個人蔵)という作品を初めて眺めたりした。大きな立涌模様の着物が大正モダンふうでオシャレ。伊東深水描く、パーマヘアにつけまつげ(たぶん)のバタくさい美女たちも大好き。

 小倉遊亀『舞う(舞妓・芸者)』『涼』、片岡球子『むすめ』『北斎の娘おゑい』などが並ぶ第1展示室のフィナーレは目まいがしそうなほど豪華絢爛。小倉遊亀氏が『舞う』の金色の背景について、青金泥を20回くらい塗り重ねると嫌な感じになるが、さらに塗り重ねた、と語っているのが興味深かった。金屏風を背景に着物姿の女性を描く趣向は、第2展示室、青山亘幹『舞妓四題』(うち2幅)(個人蔵、1985年)に受け継がれていく。和田英作『黄衣の少女』は、戦後のエスニックブームの反映か思ったら、ずっと古い作品(1931年)。しかし褐色の肌の少女、背後の赤いカーテンなど、エキゾチックな雰囲気が漂う。和田英作は、東京美術学校の校長として苦労された方である。


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