見もの・読みもの日記

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2023年5月関西旅行:承天閣美術館、六角堂

2023-05-07 18:15:23 | 行ったもの(美術館・見仏)

承天閣美術館 企画展『禅寺に伝わるものがたり. Ⅰ期:仏教説話と漢故事』(2023年3月11日~5月7日)

 関西旅行2日目の続き。三尾の観光を終えて、向かったのは相国寺の承天閣美術館。本展では、仏教説話や漢故事を好んだ禅僧たちの詩文や寺院に伝来する絵画・工芸から、禅林につたわる様々なものがたりを概観する。開催趣旨を読んでも、あまりピンとこなかったのだが、最近、同館の展示はおもしろいので行ってみた。

 第1展示室に入ると、縦長の画幅の上方に円を浮かべ、その中に観音像を描いた同形式の掛け軸が、ぐるりと部屋いっぱいに並んでいる。文室宗言筆『観音三十三変相図』(江戸時代)で、東福寺に伝わる明兆筆『補陀三十三身像』(室町時代)を写したものだという。円の中の観音様は優美な白衣観音が多い。外側には観音の変化身や功徳をあらわす様々な絵が描かれている。「長者身」や「小王身」など変化身などの場合は、上方の円相を支える雲のしっぽが伸びて、マンガの吹き出しのような役割を果たしている。「火坑変成池」のような功徳の場面は、この雲のしっぽが無い。ちなみに明兆の作品は、関西旅行から帰って東博の『東福寺展』に行ったら『三十三観音図』の名称で一部だけ出ていた。

 展示室内の茶室「夕佳亭」には、観音懺法会(かんのんせんぽうえ)に関連する経本や華皿、香炉などの荘厳具が展示されていた。相国寺では、毎月17日に観音懺法会を修しており、特に6月17日の法会は京の年中行事のひとつに数えられるほど有名なのだそうだ。伝・明兆筆の白衣観音を本尊とし、左右に若冲の文殊・普賢像を掛け、さらに若冲の動植綵絵30幅(現在は複製)を並べるという。相国寺のホームページの説明を読むと、音楽的にもおもしろそうだなあ。国立劇場の声明公演で取り上げてほしい。

 続いて第2展示室へ。超ビッグネームの超有名作品が出ているわけではないが、バラエティ豊かで楽しかった。明代の大きな『涅槃図』には、多様な動物が所狭しと描き込まれていた。サルもいたしカエルもいた。江戸時代の小さめの『涅槃図』には、白黒ぶちのネコを発見。『縄衣文殊図』(雪礀筆、室町時代)は、伸びた髪を垂らし、みすぼらしい縄だけをまとった特異な文殊像。ロックな感じでよい。『洞窟達磨図』(鎌倉時代)は優しいおばちゃんみたいな達磨さんでこれもよい。

 以上、期待以上に楽しむことができた。それから、歩いて下鴨神社に向かい、流鏑馬神事の見物を楽しんだことはすでに記事にしたとおり。

紫雲山頂法寺(六角堂)(京都市中京区)

 まだ少し時間があったので、最後に六角堂に寄っていくことにした。前日、京博の『親鸞』展と龍谷ミュージアムの『真宗と聖徳太子』展で、親鸞が六角堂で聖徳太子の夢告を受けたことをあらためて学んだので、その確認である。

 六角堂は、聖徳太子がその念持仏を安置したことに始まるという伝承を持つ。これまで御朱印は「六角堂」しか貰ったことがないと思うが、今回は「太子守本尊」をお願いした。納経所のおじさんに「国立博物館で親鸞展を見てきたので」とお話したら、「ああ、そこの石段を上がったところだよ」と教えられた。納経所を出て本堂の横を見ると、少し高くなった段の上に杖をつき笠を被った旅姿の親鸞聖人の銅像があり、小さなお堂(親鸞堂)を覗くと、2体の親鸞像が安置されていた。

 これで京都観光は終わり。翌日に備えて大阪へ向かった。


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