見もの・読みもの日記

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2023年5月関西旅行:京都三尾(栂ノ尾高山寺ほか)

2023-05-07 12:34:37 | 行ったもの(美術館・見仏)

栂尾山高山寺(右京区梅ヶ畑栂尾町)

 関西旅行2日目は北山の三尾へ。京都駅前からJRバスに乗り、終点の栂尾まで行って、最初に高山寺を訪ねた。私は2019年に高山寺のクラウンファンディングに参加して、リターンに「永久拝観券」をいただいている。その後、コロナでなかなか訪問の機会がなかったので、今回が永久拝観券を使う最初の拝観になった。

 受付には若い学生のような方が座っていたので、分かるかな?と心配しつつ、「あの、こういうものを持っているんですけど…」と永久拝観券を示すと、すぐに「あのときはお世話になりました」とにこやかに応じてくださった。そして「あとでお召し上がりください」とお抹茶券もいただいた(クラウドファンディングのリターンにお抹茶券も付いていたのだが、私が持っていくのを忘れていた)。

 受付のある書院から渡り廊下で石水院へ。新緑に囲まれ、薫風の吹き渡る庇の間には善財童子。奥の座敷にはガラスケースに収まったわんこ(狗児)がじっと外の風景を眺めている。親子連れや老夫婦など、何組かの先客があった。

 書院に戻ってお座敷で抹茶の接待を受けた。お茶うけは鳥獣戯画のパッケージに入った「栂の月」、あんこを砂糖で固めて型抜きしたような上品なお菓子。調べたら、下鴨の宝泉堂さんのお菓子らしい。宝泉堂のホームページに載っている「都の月」と同じ製品のようだ。

 書院・石水院を出て、また石段を登り、山腹に広がる境内を少し歩く。見えてきたのは寺宝の収蔵庫。2018年の台風21号では、この収蔵庫も被害を受けたはずである。無事に復旧したようでよかった。

 さらに登ると開山堂。そして、ひときわ見晴らしのよい位置に明恵上人の御廟があるのでお参りしてきた。

 開山堂・御廟のあたりはきれいに整備されていたが、石段の反対側は、太い樹々が切り倒された後の切り株がむきだしで、荒涼とした風景である。奥のほうに金堂があるはずだが、経路がよく分からなかったので、ここで引き返した。

 高山寺では、先月末から第2弾のクラウドファンディングを開始している。お寺の方も「裏の整備がまだまだで…」とおっしゃっていた。私は第1弾のときは、新型コロナの給付金を全額この寄付に当てたので、今回は前回ほどの出費はできないと思うが、少しでも参加したいと思う。むかしから明恵さんが好きなので、ご縁を結べるのは嬉しいのだ。

槙尾山西明寺(右京区梅ヶ畑槙尾町)

 高山寺からしばらくバス通り(周山街道)を歩き、途中から清滝川沿いの脇道に外れる。朱塗りの欄干の橋を渡ると西明寺がある。三尾の中では、やや印象の薄かったお寺だが、広い本堂には、清凉寺式の釈迦如来像(本尊)や千手観音像(平安時代)など、興味深い仏像が多数安置されていた。

高雄山神護寺(右京区梅ヶ畑高雄町)

 西明寺を出て再び清滝川沿いを歩いていくと、神護寺への登り口に出る。何度も来ているで、さあここからだ!と分かってはいたものの、長い石段は厳しかった。それでも私は一時期、膝を悪くして、地下鉄の駅の階段さえ避けていたことを思うと、何とか神護寺の山門までたどりつけるようになって、本当によかった。

 神護寺の5月といえば「寺宝虫払い行事(風入れ)」である。コロナ禍以降中止になっており、今年は開催されるのかな?と期待していたが、結局「2023年度も中止」という判断になった。まあ仕方がない。その代わりなのか、金堂で『金銀泥両界大曼荼羅』(高雄曼荼羅、江戸模写本)の特別公開(4/29-5/9)が行われていた。

 高雄曼荼羅は、現存最古の両界曼荼羅図と言われ、天長年間(9世紀)淳和天皇の御願と伝わるもので、紫の綾に金泥と銀泥で描かれている。公開されているのは、寛政年間(18世紀)光格天皇の勅願で修復が行われた際に制作された原寸大の模写本である。すでに銀泥が黒ずんでしまっているのは残念だが、ガラスケースに邪魔されず、精緻に描かれた諸仏諸尊の姿を堪能できた。もっとも4メートル四方の巨大な曼荼羅なので、視線が届く範囲に限られる。お寺の方の話では、5/10のみ、修復を終えた原本に掛け替えて法要が行われるのだそうだ。そのあと原本は博物館に戻され、東博と奈良博(?)で公開予定とアナウンスしていた。

 神護寺の金堂にも、本尊・薬師如来立像をはじめ、見応えのある仏像が並んでおり、須弥壇の近くに寄って拝観できるのもありがたい(高雄曼荼羅の特別公開がなければ、通常の拝観料金で金堂に入れたように思う)。次は宝物虫払いのときに来たいなあ…。

 そして再び長い石段を下り、川を渡って、反対側の坂道を上がって高雄のバス停に出る。まだお昼を少しまわったくらいなので、市中へ戻って観光を続ける。

※産経新聞:神護寺の国宝「高雄曼荼羅」220年ぶり本格修理へ(2016/6/10)


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