見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2023年5月関西旅行:異界彷徨(大阪歴史博物館)

2023-05-09 21:44:40 | 行ったもの(美術館・見仏)

大阪歴史博物館 特別企画展『異界彷徨-怪異・祈り・生と死-』(2023年4月28日~6月26日)

 関西旅行3日目は大阪観光。本展は、民間信仰にかかわる民俗資料、祭祀具や副葬品などの考古資料、絵画資料や歴史資料など、異界にまつわるあらゆるジャンルの資料を紹介し、さまざまな状況であらわれ出る異界を、私たちはどのように捉え、交渉し、また対応してきたのかを考える。

 むかしから「異界」大好きなので、天狗、河童、百鬼夜行など、わくわくして楽しかった。しかし面白いのは「異界」はどこにでもある・どこでもない世界のようで、こちら側の世界の具体的な土地と結びつきを持っている。だから大阪で見る「異界」は、東京の「異界」とは微妙に違っていた。たとえば、京都太秦の牛祭の面や吉田神社の追儺面、妖怪元興寺(がごぜ)の伝説などは、関東人には全くなじみのないものだと思う。疫病除けの子蒸し(大阪府能勢町)とか、節分お化け(京都)の習俗も知らなかった。

 大阪の周辺には七つの埋葬地があり、7月15日には鉦を叩きながら七墓を回向する「七墓参り」が行われたという。自らの葬式の日に風雨を避けられるという功徳の説明を読んで、やってみたくなった(父母の納骨の日が、どちらも雨で苦労したので)。七墓のひとつである梅田墓地跡からは、多くの人骨や動物の骨、副葬品などが見つかっている。本展には、その出土遺物の一部も展示されていたが、小さな徳利、茶器、カマドなど、まさに明器じゃないか!と驚いた。

 珍品には「幸福巻き寿司」のチラシがあった。昭和15年(1940)大阪の「美登利」が配ったもので、節分の恵方巻の習俗が確認できる最も古い資料のひとつだという。チラシには「巳の日に巳寿司と云ふてお寿司を食べるやうに毎年節分の日にその年の恵方を向つて巻寿司の丸かぶりすると大変幸運に恵まれるといふ習しが昔から行事の一つとなつてゐて年々盛になつてゐます」とある。この「巳寿司」も知らないので調べたら、京都の習慣だそうだ。同じ日本でもまだまだ知らないことが多い。

 久しぶりに常設展示エリアも一回りした。古代から近現代まで、どのエリアも「つくりもの」が多くて楽しい。難波宮の古代装束の官人・宮女たちも、活気あふれる大大阪のモダンな街並みも大好き。欲を言うと、大大阪(1920~30年代)以後の戦中戦後の展示が弱いと思う。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  2023年5月関西旅行:承天閣... | トップ | 2023年5月関西旅行:絵金(あ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事