○川越市立美術館 特別展『北大路魯山人』
これは先週末のこと。都内まで遠征する気力がなかったので、我が家からお買いもの圏内の川越まで、ぶらぶらと出かけた。蔵の町を少し歩いて、川越市立美術館へ。この夏、隣りの博物館には入ってみたが、美術館は初めてである。なんだか人が多いな、と思ったら、川越市民の日を記念して(12/1~2)無料開放されていた。展示は、北大路魯山人(1883-1959)の陶芸、漆芸、書画作品を紹介するもの。世田谷美術館が所蔵する「塩田コレクション」の巡回展である。
まず目に入ったのは、織部・志野・美濃など、魯山人の好んだ「桃山写し」の陶磁器の数々。私は、近世の染付から陶磁器趣味に入ったので、桃山古陶は、まだ個々の名前を覚えた程度。でも、ああ、これ見たことあるなあと思うような伝統文様(「吊し」「橋」「網干し」など)が使われていることは分かる。同時に、それが伝統そのままでなく、近代的な美意識による「崩し」というか「遊び」が加わっていることも。魯山人の器は、古陶に比べていくぶん大ぶりでもある。
その、豊かで大ぶりな感じがよく似合うのは、京焼の写しだと思う。展覧会の公式サイトにも写真の上がっている『雲錦大鉢』が素晴らしい。春の山桜(雲)と秋の紅葉(錦)を一目で楽しませるデザインである。あと、いくつかの椿文鉢、日月椀(漆器)も、揺るぎのない華やさが私好みだ。
魯山人は芸術家であると同時に食通としても知られる人物で、そもそも自分の料亭「星岡茶寮」で使用する食器を製作するため、北鎌倉に工房を作り、器を焼き始めたと言われている。本展には、魯山人の器に「実際に料理を盛り付けてみた」写真が大型パネルで展示されている(料理拵え・横山夫紀子、写真・ 秋元茂)。これが実によい! ぜひこのリンク先のサイトで、揚げ煮大根を盛った『雲錦大鉢』を、上述のカラの『雲錦大鉢』と見比べてみてほしい。
一度これらの写真を見てしまうと、あとはどの器を見ても、うーん、これは練りものを盛りたい、とか、青菜の色が引き立つだろうなあ、とか、実際の使い方が思い浮かんでくる。器って、本来、そういうものなんだよなあ、とあらためて思った。
なお、川越市立博物館でも関連展示『食の器-暮らしの器と魯山人の器-』を公開中。
これは先週末のこと。都内まで遠征する気力がなかったので、我が家からお買いもの圏内の川越まで、ぶらぶらと出かけた。蔵の町を少し歩いて、川越市立美術館へ。この夏、隣りの博物館には入ってみたが、美術館は初めてである。なんだか人が多いな、と思ったら、川越市民の日を記念して(12/1~2)無料開放されていた。展示は、北大路魯山人(1883-1959)の陶芸、漆芸、書画作品を紹介するもの。世田谷美術館が所蔵する「塩田コレクション」の巡回展である。
まず目に入ったのは、織部・志野・美濃など、魯山人の好んだ「桃山写し」の陶磁器の数々。私は、近世の染付から陶磁器趣味に入ったので、桃山古陶は、まだ個々の名前を覚えた程度。でも、ああ、これ見たことあるなあと思うような伝統文様(「吊し」「橋」「網干し」など)が使われていることは分かる。同時に、それが伝統そのままでなく、近代的な美意識による「崩し」というか「遊び」が加わっていることも。魯山人の器は、古陶に比べていくぶん大ぶりでもある。
その、豊かで大ぶりな感じがよく似合うのは、京焼の写しだと思う。展覧会の公式サイトにも写真の上がっている『雲錦大鉢』が素晴らしい。春の山桜(雲)と秋の紅葉(錦)を一目で楽しませるデザインである。あと、いくつかの椿文鉢、日月椀(漆器)も、揺るぎのない華やさが私好みだ。
魯山人は芸術家であると同時に食通としても知られる人物で、そもそも自分の料亭「星岡茶寮」で使用する食器を製作するため、北鎌倉に工房を作り、器を焼き始めたと言われている。本展には、魯山人の器に「実際に料理を盛り付けてみた」写真が大型パネルで展示されている(料理拵え・横山夫紀子、写真・ 秋元茂)。これが実によい! ぜひこのリンク先のサイトで、揚げ煮大根を盛った『雲錦大鉢』を、上述のカラの『雲錦大鉢』と見比べてみてほしい。
一度これらの写真を見てしまうと、あとはどの器を見ても、うーん、これは練りものを盛りたい、とか、青菜の色が引き立つだろうなあ、とか、実際の使い方が思い浮かんでくる。器って、本来、そういうものなんだよなあ、とあらためて思った。
なお、川越市立博物館でも関連展示『食の器-暮らしの器と魯山人の器-』を公開中。