見もの・読みもの日記

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日本陶磁器の名品いろいろ/出光美術館名品展II

2006-11-30 22:20:47 | 行ったもの(美術館・見仏)
○出光美術館 開館40周年記念展『出光美術館名品展II』

http://www.idemitsu.co.jp/museum/index.html

 アメリカ旅行記を書いている間に、いろいろ「見たもの」「行ったもの」の未掲載分が溜まってしまった。取り急ぎ、行こう。

 出光美術館では、所蔵名品展の第2弾を開催中。春の第1弾『絵巻・室町屏風と中国陶磁』(前期後期)に続き、今期は『競い合う個性-等伯・琳派・浮世絵・文人画と日本陶磁』という副題が付いている。

 最近の興味に従うと、いちばん心が動いたのは、日本磁器である。仁清の『色絵芥子文茶壺』は、京博の『京焼』展で見てきたばかりだが、再見できて、とても嬉しかった。私はこの壺を、これまで何度もこの会場で見てきたはずだが、全く気に留めたことがなかった。それが、突然、憧れの存在に変身してしまったのだから、美術品の魅力というのは不思議なものである。

 それにしても艶っぽい壺だ。華やかな色絵に目を奪われがちだが、肌理もいいし、形もいい。触ってみたくて、手のひらがうずく。両手をまわしたら、細身の女性を抱くくらいの抱き心地ではないかしら、と想像する。張りを感じさせるふくらみもいいし、裾のきゅっとしたつぼまり方もいいのよね。『京焼』の展示ケースでは、三方向からしか見ることができなかったが、今回は、ぐるりと周囲を一周することができ、芥子花の疎と密が、動的なリズムを作っていることが分かる。

 『絵唐津柿文三耳壺』も、初見だと思ったが、実は何度か見ているのかもしれない。かわいいなあ~。『月刊やきものねっと』2004年3月号に写真あり。出光美術館の荒川正明さんが「柿の木か、梅の木か、本当は分からないのですよ」とおっしゃっている。私は、てっきり「梅」だと思っていたので、さっき、ネット上の展示目録をチェックしながら、「梅文の古唐津がない!?」と困惑してしまった。ひょいと片手で持ち上げられそうな大きさで、梅干しを入れたら似合いそうなのだ。

 桃山時代(16-17世紀)美濃窯で焼かれた「黄瀬戸茶碗」という焼き物も初めて認識した。銘『春霞』だっけな? 夕張メロンのような色合いが可愛い。茶の湯って、渋いおじさん趣味の世界だと思っていたが、可憐な花一輪の装飾が加えられた器は、どう見ても女性好みだと思う。柿右衛門の『色絵花鳥文角瓶』は、鳥のトボケた表情が魅力。日本の染付だなあ、と思う。

 絵画では、ずっと気になっているにもかかわらず、なかなか、まとめて見る機会のない画家、冷泉為恭の『雪月花図』が興味深かった。双幅で、1枚は雪山、1枚は月下の山容(梅・松が見える)を背景に、モノクロで吹き抜け屋台を描き、彩色で王朝風の人物を配した作品である。吹き抜け屋台の建築構造や調度品が、遠近法を厳格に守り、細部までリアルに描き込まれていて、にもかかわらず墨一色というのが、倒錯した幻想味を醸し出している。

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