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見もの・読みもの日記

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懐の深いコレクター/1975甦る新橋松岡美術館(松岡美術館)

2025-04-17 22:56:13 | 行ったもの(美術館・見仏)

松岡美術館 開館50周年記念『1975甦る新橋松岡美術館』(2025年2月25日〜2025年6月1日)

 1975年11月に新橋で開館した同館が、2025年に50周年をむかえることを記念し、3会期にわたり松岡コレクションを紹介する記念展の第一弾。1975年11月25日から1976年4月24日まで新橋で開催された「開館記念展」を再現する。同館が白金台に移転したのは2000年だそうで、私は現在の建物しか知らない。新橋の美術館は、創立者・松岡清次郎の持ちビルである松岡田村町ビル8階にあり、社員が輪番で宿直を命じられていたそうだ。そしてこのビルは今も現役で、入口に石像彫刻が飾られているみたいなので、今度訪ねてみよう。

 さて、1階の各展示室では、第1章「50年間いつも傍らに」を開催。1階は基本的に常設展示なので、素通りして2階に上がってしまったが、あとで覗いてみたら、開館以来の常設作品に「50周年記念ロゴマーク」が設置されていた。コレクションへの愛情が感じられて、うれしかった。

 展示室1は、古代エジプトの彩色木棺や神像を展示しており、第2章「日本にないものを求めて」が冠せられていた。創立者の松岡清次郎は美術館開設にあたり、「日本にないものをご覧いただきたい」という想いから、古代オリエントや古代ギリシア・ローマの遺物を精力的に蒐集し、公開したという。1975年といえば、私の中学生時代だが、確かにこういう美術品展示は、まだ珍しかったかなあと昔を振り返った。

 2階、展示室4の第3章「選ばれた名品たち」から、じっくり参観を開始。冒頭には『開館記念名品図録』表紙と巻頭のカラー図版となった13点(中国磁器11+日本2)が掲載順に展示されていたのだが、私はイランやギリシアのやきものに吸い寄せられて、逆まわりで見始めた。ギリシア(紀元前330-320年)の『赤絵式渦巻クラテル』は、実に堂々とした作りで惚れ惚れした。私はギリシアの赤絵式や黒絵式の陶器が大好きなのだ。制作地に「アプリア(南部イタリア)」とあるのが不思議だったが、南イタリアのギリシア植民都市で広く作られたアプリア式陶器の遺例であるようだ。これだけの優品は、国内に多くないのではないかと思ったが、MIHOミュージアムや東京富士美術館が類例を所蔵している。日本の美術館、なかなかすごい。

 中国磁器の名品『青花双鳳草虫図八角瓶』(元時代)と『青花龍唐草文天球瓶』には、開館記念展で使われた手書き文字の説明ボード(写?)が添えられていた。そうか~1975年頃の美術館って、こんな感じだったのかな。手書きだと文字が大きくて、老眼にはやさしい感じがした。

 そして第4章「日本画展-室町から現代-」は、伝・周文筆『竹林閑居図』『山水図』などがとてもよくて、こんな室町水墨画の名品も所蔵しているんだ、と認識を改めた。伝・俵屋宗達『源氏物語残闕:夕顔』は、以前、久保惣美術館で見た源氏物語絵の一種。渡辺崋山の『蓮池蜻蛉図』は淡彩の美しさが明清の瀟洒な淡彩墨画を思わせた。

 これで十分満足したと言いたいのだけど、あらためて公式ホームページを見たら、後期に出る池田輝方や池田蕉園の作品がまたとても魅力的だった。これは再訪せざるを得ないかもしれない。


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