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見もの・読みもの日記

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明治を生きた人びと/人物写真帖(三の丸尚蔵館)

2013-02-08 21:47:22 | 行ったもの(美術館・見仏)
三の丸尚蔵館 第61回展覧会『明治十二年明治天皇御下命「人物写真帖」-四五〇〇余名の肖像』(2013年1月12日~3月10日)

 明治12年(1879)、明治天皇は「深く親愛する群臣の肖像写真」を座右に備えようと、その蒐集を宮内卿・徳大寺実則に命じられた。これだけ読んだときは、ふーん、明治の元勲、天皇の近臣の写真帖か、としか思わなかったが、その規模を知って、呆れてしまった。現存するこの写真帖の総冊数は39冊、皇族15名を含む諸官省の高等官(奏任官以上)ら、4,531名が収められているという。

 写真は印刷局の写真館で撮影されたものもあれば、国内外の別の写真館で撮影したものを提出するケースもあった(台紙によって分かる)。皇族など、格の高い人物の場合は、1ページの下段に肖像写真を、上段にその人物が詠んだ和歌または漢詩が収められている。筆跡が本人のものかどうかは気になるところ。意外と漢詩が多い、と思った。

 会場には写真帖の現物のほか、ピックアップされた有名人の肖像写真が拡大パネルで展示されていた。私は教科書に載るような超有名人の写真よりも、こんな人物のこんな写真もある、というのが面白かった。たとえば、神主姿の「富岡百錬」は「鉄斎」のこと。和泉大鳥神社の宮司兼権少教正(教導職=宗教官吏)だった。『ある明治人の記録』に登場する会津人柴五郎もいた。『坂の上の雲』も秋山好古は、若い!

 会場に展示があったかどうか定かでないが、買って来た図録を眺めていると、憲法発布式の図を描いた床次正精がいたり(検事だったのか)、森鴎外の上司だった石黒忠悳がいたり、永井荷風の父・永井久一郎がいたりする。松本順(良順)は、洋服が似合わないなー。

 単純に顔立ちだけの好き嫌いだけで見ていくのも面白い。井上毅は以前から私の好きなタイプである。伊東巳代治もずいぶんイケメンだな。この写真帖の山本権兵衛・29歳は、俳優の青木崇高さんにちょっと似ている。勝安芳(海舟)ってこんな美男だったのか。これは女性問題で正妻を悩ませても仕方ないわ、等々。教科書等でよく使われる「類型写真」といちじるしくイメージが異なる人物もいる。なお、皇族(妃殿下)の方々以外は全て男性である。

 図録も、残念ながら4,531名全ての肖像写真を収録しているわけではないが、巻末に4,530名の人名一覧が掲載されている。残る1名(陸軍省所属)は写真台紙を外すことができず、氏名等を確認できなかったのだそうだ。何かの人名検索に役立つかと思い、手もとに置くことにした。労作に感謝したい。

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