見もの・読みもの日記

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柏原・八幡神社の薬師如来とギャラリートーク(東京長浜観音堂)

2023-11-29 21:39:48 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京長浜観音堂 『薬師如来立像(高月町柏原・八幡神社蔵)』(2023年11月1日~11月30日)

 令和5年度第3回展示の薬師如来立像を見てきた。たまたま18日に訪問したら「18日は観音様のご縁日ですので」ということで、あま茶のティーバッグをいただいた。今期は観音さまではなくお薬師さんなんだけど、ありがとうございます。

 11月25日は、高月観音の里歴史民俗資料館の学芸員・秀平文忠さんのギャラリートークがあったので、聴きに行った。長浜観音倶楽部会員でない、一般向けのギャラリートークは14時からなので、30分くらい前に行ったら、展示室が人でいっぱいだったので、びっくりした。座れる席は20席程度しかないので、時間ぎりぎりにいらした方は立ち見(立ち聴き)になったのではないかと思う。

 薬師如来像のお話は、高月町柏原がどのあたりか、という紹介から始まった。渡岸寺観音堂と境を接する北側と聞くと、この秋「観音の里ふるさとまつり」で高月を訪ねた記憶がよみがえる。八幡神社は、京都洛北の林丘寺(門跡寺院)とゆかりがあること、「野神」と称されるケヤキの大木があること、境内の奥に阿弥陀堂(柏寿山 来光寺)があり、中央の厨子には阿弥陀如来立像、その隣り(左)に、薬師如来、日光・月光菩薩、十二神将が安置されている、等のお話を聞いた。今回、東京においでなのは、薬師如来とひとまわり小柄な日光・月光菩薩だが、さらに小さな十二神将像も祀られているそうだ。

 薬師如来立像の特徴は、(1)一木造(内刳りなし)(2)翻波式衣文 (3)量感のある体躯 (4)温和な表情、にあるという。確かに、平安前期から中期の作に特徴的な厚みのある肉体(スライドでは、神護寺や元興寺の薬師如来像と比較)だが、顔立ちはぐっと力が抜けていて、親しみやすい。

 スライドトークの後、展示室に移って、さらにお話を聞いたが、内刳りがないため、正面の中心線付近に長い割れ目が入っているのが印象的だった。また、足首あたりから下側や両肩(片方だったかも)から外側は後世の補修と見られることも教えていただいた。身体の中心線がズレて、なんとなく傾いているのもおもしろい。後頭部の襟足が左右に割れてオメガの小文字(ω)みたいな形をしているのも珍しく「類例を見たら教えてください」と学芸員さんがおっしゃっていた。

 向かって右・日光菩薩と左・月光菩薩は、室町時代の作と見られているが、かなり顔立ちが違う。学芸員の秀平さん、「作者は同じでしょうか違うでしょうか、同じ工房でしょうか、師匠と弟子でしょうか」とお客さんに問いかけながら楽しそうだった。日光だったか月光だったか、台座の裏に「明治四十二年八月 小森竹塘」という墨書があるのをスライドで見せていただいた。小森竹塘(1855−1930)は高月町出身の画人だが、素人ながら、仏像の修復にも携わっていたのではないかとのこと。いろいろ知識が増えて、楽しかった。


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